リトルタウンヒーロー

【りとるたうんひーろー】

ジャンル ロールプレイングゲーム

対応機種 Nintendo Switch
PlayStation 4
Xbox One
Windows(Microsoft Store/Steam)
発売元 【DL版】ゲームフリーク
【パッケージ版】レイニーフロッグ
開発元 ゲームフリーク
発売日 【SwitchDL版】2019年10月17日
【Switchパッケージ版/PS4】2020年4月23日
【MS Store】2020年7月2日
【Steam】2020年7月9日
定価 【ダウンロード版】2,750円(税10%込)
【パッケージ版】3,850円(税10%込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A (全年齢対象)
判定 なし
ポイント デジタルカードゲームを参考にしたバトルシステム
戦闘のテンポが悪く時間がかかる


概要

ポケットモンスターシリーズの開発元でお馴染みのゲームフリークが開発した完全新作RPG。
Nintendo Direct 2018.9.14にて『TOWN(仮称)』というタイトルで発表。
その約一年後、Nintendo Direct 2019.9.5において『リトルタウンヒーロー』というタイトルで発売されることが発表され、2019年10月17日に発売された。


ストーリー

小さな村の、大きなヒミツ?
とある平和で小さな村。
村人は、危険な村の外に出ることはできず、
主人公の少年・ピッケルは、外の世界を夢見ている。
ある日突然、大きなマモノが村を襲う。
ピッケルは、炭鉱で見つけた
「不思議な石」の力でマモノを退治するうちに、
村の秘密に近づいていく…

(公式サイトより引用)


バトルシステム

公式ではRPGと銘打ってはいるが、バトルシステムはデジタルカードゲーム(以下「DCG」と表記)に近いものとなっている。
基本

  • 主人公はターンの開始時に5つの「アイデア」が与えられる。
    • アイデアは最初は「フワット」と呼ばれる状態になっており、使用するには「ガチット」と呼ばれる状態へと変化させる必要がある。
    • フワットの中央に書かれている数字は、ガチットに変化させるために必要な「キリョク」の数。
      • キリョクとはいわゆるコストのようなもので、基本は毎ターンごとに一定数与えられる。
      • 使用できるキリョクの数は、最初は3しか使えないが3ターンごとに1ずつ増えていき、最終的には最大6まで使えるようになる。
    • アイデアの右側に書かれている数字は攻撃力と耐久力であり、相手とガチットをぶつけた際に、互いのガチットの耐久力から攻撃力を引き、0以下となったら「ブレイク」となり、そのアイデアは使用できなくなる。
      • 相手のガチット全てをブレイクすると「オールブレイク」となり、このときに後述する攻撃のアイデアがあればチャンスターンが発生して、相手のハートに攻撃できる。
      • チャンスターンを得られない場合、代わりに「BP」を手に入れることができる。
    • オールブレイクが発生するか、相手のガチットが全部使用済みとなった場合、ターンが終了する。
    • アイデアの数には限りがある。ブレイクされたアイデアを復活させるには、後述するBPを消費するか、アイデアを復活させるサポートの使用、他にもこちらのハートを攻撃されることで、再びアイデアを使用できるようになる。
    • マモノとの対決ではハートとは別に「ガッツ」が表示され、ガッツを数字分アイデアなどで攻撃して削っていかないとハートに攻撃できない。
      • ガッツは削りきってもハートを攻撃されると最大値まで回復する。これはプレイヤー側とマモノ側の双方で同じ仕様。

アイデアの種類

  • アイデアには「攻撃」「防御」「特殊な効果」の3種類がある。
    • 攻撃は一度使用するとそのターンは使えなくなるがオールブレイク時に残しておけばチャンスターンが発生して、相手の本体に攻撃できる。
    • 防御は耐久力が残っているかぎり1ターンに何度でも使える。ただし、防御で相手の本体を攻撃することはできない。
    • 特殊な効果は相手のガチットとはぶつけずに使用する。相手のガチットや自分のアイデアに対して、こちらに有利な効果を発生させることができる。

移動

  • ターンの終了時に1から4までのルーレットで移動する数字を決めて、その数字の数だけ村の中を移動する。
    • 移動した先のエリアによって住人からサポートを受けたり、ギミックを使用できる。
    • また、一部アイデアを使用することで「自由移動」の特殊効果が発動すると好きな場所に止まれる。

BP

  • 相手をオールブレイクした際にチャンスターンが発生しない場合、BPを得られる。
    • BPは消費することでブレイクされたアイデアを復活させたり、頭の中(カードゲームでいう山札のようなもの)にあるアイデアと与えられたアイデアを交換できる。

ヒラメキ

  • バトルに勝利したり、サブクエストをクリアすることでヒラメキを得られる。
    • ヒラメキは消費することで、使用できるアイデアを強化できる。

難易度

  • 2020年4月23日のアップデートにより、難易度を「てごわい」と「ひかえめ」の二つから選択可能となった。
    • 「ひかえめ」は「てごわい」と比べて敵ガチットの攻撃・耐久力の低下、敵の特殊な効果を持つガチットの出現率の低下、敵のガッツの回復量の減少がなされている。

評価点

  • 戦略性の高いバトルシステム
    • バトルシステムはDCGを元にしただけあって移動したエリア先でのサポートの使い方、キリョクやアイデアの管理など、考えることは多く戦略性は高い。
  • 牧歌的な作風とまとまったストーリー
    • 小さな村を舞台としているだけあって作風は牧歌的で中々良い。
    • シナリオも「不思議な石」に関する設定が練られており、それがゲーム内でわかりやすく解説がされる。
      • 説明不足な点や矛盾などは殆ど見られず一作品としてキッチリまとまっている。
  • 良質なBGM
    • 本作のBGMは『UNDERTALE』で有名なToby Fox氏とポケモンシリーズのBGMに関わった佐藤仁美氏が作曲している*1
    • 『UNDERTALE』でも評価が高かったように本作のBGMも評判は良い。

賛否両論点

  • 難易度は少々高め
    • 運の要素も絡むため、その場で最善の行動をしても上手くいかないこともある。少なくとも何も考えずに適当にやっているだけでクリアできるほど甘くはない。
      • 一部の敵が使うガチット「ふいうち」はこちらのアイデアをランダムに選ばせる効果があり、プレイヤーの思い通りにならないこともある。
      • DCGが得意な人からは手応えがあって良いかもしれないが、DCGに触れたことのない初心者には厳しい面もある。
    • バトルに負けてもヒラメキが貰えたり、メインクエストを進める上で必須のマモノ戦で負けた場合ヒントが表示されるなど多少ではあるが救済措置もあるので、初心者にはクリアが無理というほど難しい訳ではない。
    • アップデートにより低難易度の「ひかえめ」が追加されたので、DCGが苦手な方やストーリーだけを楽しみたい方はこちらを選択することを推奨する。
  • RPGとしての自由度は低い
    • RPGでいう成長・強化要素はヒラメキを使用したアイデアの強化くらいで、そこまで選択肢は多くない。一般的なRPGにはよくある、通貨・装備品・アイテムといった概念もない。
    • シナリオも章仕立で構成されており、サブクエストなどの寄り道要素もあるがメインクエストは一本道となっている。物語も終始村の中で進んでいくため、冒険や探索といった要素は本作には殆どない。
    • そのため本作は「RPGの戦闘をDCGにした」というよりは「DCGの楽しさをRPG風に味わうように作られた」といった方が正しい。
    • 戦略性のあるバトルとストーリーを楽しむような作りとなっているので、この辺はRPGに何を求めているか、もしくはバトルに魅力を見出せるかで評価がわかれるだろう。

問題点

  • 一回の戦闘時間が長引きがち
    • これには主に二つの要因がある。
    • 1.長考必須なゲームバランス。
      • 上述した通り難易度が高めなので一手をじっくりと考えなくてはならない。そのため自然と戦闘時間も長引いてしまう。
      • 終盤のとある敵が使うガチット「いじわる」はこちらのアイデアの選択に制限時間をつける特殊効果があり、長考必須というのは開発側も想定しているのかもしれない。
    • 2.演出がやや長めでテンポが悪い。
      • サポートの使用時やハートへの攻撃時、ターン開始時の敵のガチット表示などの演出が長めでテンポを損ねてしまっている。
      • 演出をカットしたり倍速することもできない。
    • 以上の2点により一回の戦闘につき20~30分程度の時間がかかる。
    • 更にガッツのあるマモノ戦ではプレイヤーによっては1時間を超えることもありうる。
      • ガッツは削りきってもハートを攻撃されると回復するので、ガッツを削る→ハートへ攻撃→ガッツを削る……の繰り返しになりとにかく時間がかかる。
      • これはプレイヤー側も同じなので下手にBPを使い切ってしまいアイデアを復活させるためにハートに攻撃を受けないといけないという状況になった場合、ガッツを削られるために無駄な時間を過ごすということも……。
  • 暗転時などに処理落ちが発生することがある
    • 発生するのは主にバトルの演出時なのでゲームプレイに大きな支障があるわけではないのだが、これのせいでせっかくのBGMが途切れてしまい少し残念。
  • マップ表示機能がない
    • 「小さな村」と作中では評されているが実際にはそこそこ広く道も入り組んでいるため、慣れない序盤の内は意外と迷いやすい。
    • そのためマップ表示機能がないことが不便に感じる。慣れてしまえばどうということはないのだが。

総評

バトルシステムにDCGのシステムを採用した珍しい組み合わせのRPG。
RPGとして見た場合は自由度が低くシンプルな構成となっているので、バトルとストーリーを楽しむゲームとして割り切った方が本作を楽しみやすい。
肝心のバトルシステムは戦略性の高さなどDCGの良さを引き継いでおり、良くできている。
しかしその一番の長所であるはずのバトルは長考必須であり、攻撃やサポートなどの演出が長めでテンポを損ねてしまっており時間がかかる。
戦略性のあるバトルを長い時間をかけてまで楽しめるかどうかが本作の評価を分ける鍵となるだろう。


余談

  • 前述した通り本作のBGMはToby Fox氏が作曲しており発売直前にもそのことをアピールしていた。
    • しかしその割には当初サウンドトラックなどの発売はされておらず、本作のBGMの正式な曲名や曲ごとの作曲担当者は下記パッケージ版の発売まで不明となっていた。
    • サントラに関しては翌年のパッケージ版の購入特典としてダウンロードコードが付属された。ただし、曲をダウンロードするにはPCが必要なので注意。

その後の展開

  • 2020年4月23日にパッケージ版とPS4版が発売。
    • 難易度を「てごわい」と「ひかえめ」から選択可能となり、同日にSwitchDL版も同様のアップデートがされた。
    • パッケージ版のパブリッシングはレイニーフロッグが担当。定価はDL版より1000円高いが、特典としてサントラのDLコードが付属。
  • 2020年7月2日にMS Store(One/Win)版、2020年7月9日にSteam(Win)版がそれぞれDL専用で発売。

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最終更新:2023年11月14日 22:37

*1 厳密にはToby Fox氏が作曲した音楽、佐藤仁美氏が作曲した音楽、Toby氏の作曲した曲を佐藤氏が編曲した音楽、佐藤氏の作曲した曲をToby氏が編曲した音楽が混在している。