Machinarium
【ましなりうむ】
| ジャンル | アドベンチャー/パズル |  | 
| 対応機種 | Windows XP/Vista/7/8/10 Mac OSX 10.11 - 10.13
 プレイステーション3
 プレイステーション4
 プレイステーション・ヴィータ
 ニンテンドースイッチ
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| メディア | ダウンロード | 
| 発売元 | PLAYISM(PS3,PS4,PSV) Amanita Design(Windows, Mac, Switch)
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| 開発元 | Amanita Design | 
| 発売日 | 2009年10月17日(Windows, Mac) 2014年12月14日(PS3,PSV)
 2016年10月18日(PS4)
 2018年11月1日(Switch)
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| 定価 | 1000円(PS4) 1,500円
 (Steam,Switch)
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| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) | 
| セーブデータ | 1個 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | どこか退廃的な機械文明が舞台 | 
 
概要
無料のブラウザゲーム『Samorost』を開発したチェコのデベロッパー「Amanita Design」のアドベンチャーパズルゲーム。
Amanita DesignのゲームがCS機に移植されたのは本作が初めてとなる。
2009年にIndependent Games Festivalの「Excellence In Visual Art」を受賞。
同じく2009年に PC Gamer誌の「the Best Soundtrack award」を受賞している。
特徴・ゲームシステム
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登場人物は全てロボット。一部の植物を除き建物、動物にいたるまで全て機械で出来ているという独特な世界観。
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ゴミ捨て場になぜか廃棄されていたロボット「ジョセフ」が主人公となり、前半は故郷の機会都市「マシナリウム」への帰還を目指し、帰還後は悪党達に荒らされたマシナリウム内の問題を解決しながらマシナリウムの中枢部へと進んでいく、といったストーリーとなっている。
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機械たちは音声で喋ることはないが、考えていることが吹き出しにイラストとして描かれ、ここから大まかなストーリー展開が描かれる。
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ゲームシステムはオーソドックスなポイント・アンド・クリックアドベンチャー。ただし、干渉できるのはジョセフの手の届く範囲のみであるため、彼を操作して潜入・脱出を試み物語を進めていくこととなる。
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地面をクリックするとジョセフはその場所へ移動する。
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手の届く範囲内の特定のポイントをクリックするとジョセフはその場所を調べる。アイテムならば回収してお腹の中のインベントリに保管する。インベントリ内のアイテムを選択した状態で正しい場所を調べるとそのアイテムを使う。
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ジョゼフは胴体を伸び縮みさせることもできる。伸ばした状態なら高いところに手を伸ばせるし、縮めば狭い穴のなかを探らせるのに役立つ。
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インベントリ内のアイテムは合成することも可能。
 
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ヒントが2段階で設けられている。
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1段階目はこれからすべきアクションを1つ、かなり大雑把にイラストで表示するというもの。これは常に閲覧可能。ただし一場面につき一度しか使用できない。
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2段階目はイラストでクリアのための手順を逐一表示するというもの。こちらは閲覧のためにはちょっとしたシューティングゲーをクリアしなくてはならない。
 
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一本道構造であり、原則前の場面に戻ることは出来ない。ミニパズルもあるが、すべてクリア必須かつ一度クリアしてしまえば再チャレンジ不可。
評価点
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本格的な謎解き
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ポイント・アンド・クリックアドベンチャーというと、フリーゲームでよく見かける「脱出ゲーム」が有名であるが、商業ベースなだけありボリュームもクオリティーもフリーゲームのそれとは一線を画する。
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一場面完結の謎解き、ロボットの困りごとを解決するお使い風の謎解き、ミニパズル(パズルが関係しないミニゲームも含む)など種類も豊富。お使いも単純そうに見えて引っ掛けが入っていたりと一筋縄ではいかない。
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難易度は高めであるが、二段階目のヒントを見れば詰まることはない。
 
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世界観
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多くを語らずも、色鉛筆で描き出されるセピアで退廃的な世界観は本作の特徴。
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遠景の空は暗い黄色をしており、機械の部品がまばらにつみあがっていて、どこかグロテスクな面もある。
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舞台は機械が生き物のように文明を築いており、喋らずとも彼らが思っていることがふきだしのイラストで表現される。そのため、プレイヤーはおおまかなストーリーを楽しみつつプレイできる。
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退廃的であると同時にロボットたちはみな人間くさく、どこかユーモラスで温かみも感じられる。ジョセフも階段の手すりで遊ぶようなアクションを見せたり、音楽が流れている場所で放置するとノリノリで踊りだしたりと、無表情ながら妙に愛嬌がある。プレイヤーのミスで溶鉱炉に落とされかけても表情一つ変えずに脱出し、そのまま探索を続行するなど機械らしくシュールな一面も。
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ジョセフをしばらく放置すると頭上にフキダシが表示され、過去の思い出を回想しはじめる。プレイ中手を止めて考え込む場面が多いため、この思い出は必然的に見る機会が増えるのだが、落書きのようなアニメーションで表現される思い出は微笑ましく、(そこまで多くはないが)種類も複数あり、プレイ中の癒しとなる。
 
 
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進捗状況が常にセーブされる
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思い立ってゲームを中断したとしても、再開したときに中断した場所から始められるため便利。
 
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ミニパズルで解錠する一幕あり
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扉を開けるためだったり、機械を動かすためにミニパズルを解く必要が出てくる。
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パズルは本作オリジナルのものもいくつか存在する。ルールについても説明がないのだが、試行錯誤してクリア条件をプレイヤーが推理できる程度のほどよい難易度となっている。
 
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BGM
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どこか退廃的だったり哀愁漂う曲が多く、非常に世界観とマッチしている。
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ゲーム序盤で訪れることになる繁華街のようなエリアではボサノバ風のBGMがかかる。
 
賛否両論点
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一部の謎解きが難しすぎる
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先に進むために色々と推理する必要があるが、答えを知った上で見返すと理には適っているものの、初見でその発想に至るのは相当困難では…?と思いたくなるような謎解きが少数存在する。ノーヒントでクリアするには怪しい場所を片っ端から調べる、総当たりに頼ると力業になりがちで、クリアに多くの労力が必要。
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だからこそ、先に進めたときの感動もひとしお、というプレイヤーも一定数居るかと思われる。
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また、試行錯誤と観察をじっくり行えば、自力推理も十分可能なラインではある。
 
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ミニパズルが若干多め
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特に後半で顕著になってくる。
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すべてのミニパズルは攻略ルート内に組み込まれており、解かない限り先に進めない。種類が多いのは長所でもあるが、ガチガチの論理パズルや妙に強いAI相手に5目並べをする、などといった高難易度のものも含まれており、苦手なものがあると延々そこではまり続ける可能性がある。
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ヒント内にはこれらの解法も完備されているため、詰むことはないのが救い。5目並べも手番が逐一載せられており、その通りに置けばクリアできる。
 
問題点
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ヒントの仕様
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若干不親切なところがみられる。
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1段階目のヒントは本当にざっくりとしているため、過信は禁物といったところ。
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鍵のシューティングゲーもコントローラーによるボタン操作でないと、クリアが難しくなる。
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また1回でもエリアチェンジしてしまうと、このシューティングゲーをクリアした経歴が無効になる。
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2段階目のヒントは答えも同然。もう少し段階を踏んだヒントも欲しかったところ。
 
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一本道構造
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ちょくちょく前に訪れた場所に戻れる場合があるが、攻略は一本道。
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特定の場面だけを選んでプレイといったことができない。
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収録されているパズルゲームだけ遊べるモードがあっても良かったかもしれない。
 
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薄味のシナリオ
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本作の世界観に関しては謎が多い。摩訶不思議な光景が多い反面それに対する考察の余地もあまりなく、クリアしたときにストーリーの印象が残りにくい。
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シナリオ中の善悪描写がいい加減。ストーリー中に明確な悪役が存在しており、彼らの野望を止めるという目的がある。一方で、主人公ジョセフもシナリオを先に進めるために、他のロボットに対して迷惑行為をはたらかなくてはならないケースがある。
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言語でストーリーが一切語られない&ジョセフが無表情であることが災いして、中盤以降ジョセフが何を目的に行動しているのかがわかりづらい。下手すると「進行ルートを進めているうちに気が付いたら悪役が成敗されていた」「気が付いたら前出てきた重要そうなポイントについたからトラブルを解決しておいた」といったなんともぼんやりしたプレイ感覚になってしまう。ラストシーンも行動原理が謎。
 
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移動関連
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主人公ジョセフの移動速度が高くない。体を伸ばしたり縮めた状態だとさらに歩くのが遅くなる。
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一度移動を指示してしまうと中止出来ない。間違って遠くの場所に移動させる操作をさせると、ヨチヨチと移動しているのを眺める羽目になる。
 
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ミニパズルの操作性
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ジョセフの移動と打って変わって、ボタンを押しながらスティックを動かすといった操作が求められることがあるが、いまいち上手く判定されないことがある。
 
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終盤のパズル
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シチュエーション設定における演出上、背景で不快な音声が鳴り続ける。
    
    
        | + | 別の終盤の謎解きについて(謎解きのネタバレ注意) | 「プレイヤーが絶対音感を持っていること」を前提にしたような謎解きが一ヶ所だけであるが存在する。音感がない人はそれこそ総当たりで解かなければならない。 |  
 
 
総評
システム面でも本格的に脱出ゲーム的なパズルが繰り広げられており、かなり頭を悩ますギミックが盛りだくさんで人を選ぶ。一応、きちんと答えを教えてくれる救済措置もあり、ゲームが苦手な人でもクリアできないということはない。
ゲームの舞台はただ美しいだけではなく、どこか退廃的な機械文明な世界観であり、芸術性での個性が際立っておりただ眺めるという楽しみ方もある。
上述の通り、ストーリーは薄味なので壮大なストーリーを味わいたい人には物足りないかもしれないが、独特な世界観の中で頭を使ったパズルを楽しいんで見たいのであれば、挑戦してみて損はないゲームである。
余談
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WindosおよびMac向けに、序盤だけプレイできる体験版がある。興味があれば触ってみるといいだろう。
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とある場所に「Samorost2」のキャラクターがゲスト出演している。逆に「Samorost3」ではジョセフがゲスト出演している場面がある。
最終更新:2021年11月26日 23:36