海底大戦争

【かいていだいせんそう】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
発売・開発元 アイレム
稼働開始日 1993年4月
プレイ人数 1人~2人
レーティング CERO:A (全年齢対象)
※アーケードアーカイブス版より付与
配信 アーケードアーカイブス
【Switch/PS4】2019年11月21日/838円(税込)
判定 良作
ポイント 潜水艦が自機のシーティング
高性能な自機で敵を粉砕する
鬼気迫る凄まじいドット絵
R-TYPEシリーズ関連作品リンク

概要

  • 1993年にアイレムがアーケードでリリースした、潜水艦を自機としたシューティングゲーム。
  • 本作はアイレムが展開していた悪の組織D.A.S.と戦う「D.A.S.シリーズ」の1作で、同社『エアデュエル』(1990年)、『アンダーカバーコップス』(1992年)、『ジオストーム』(1994年)と世界観を共有している。
    • 1P側の乗員の名前は「高原麗」、2P側の乗員の名前は麗の夫である「高原仁」。『アンダーカバーコップス』のプレイヤーキャラクターの1人、「ザン・タカハラ」は仁の弟である。

ストーリー

現在からそう遠くない未来───
ある地域の紛争で使用された磁力兵器が原因となり、大規模の地殻変動が起こる。
そして世界の陸地の75%が海の底に沈み、人類の80%が死滅した。
その後、生き残った人間は海洋を中心とした新生活圏を形成。
それから93年後、かつて世界を水没させた組織「D.A.S」が復活、
同時に人類掃討システム、ユグスキューレまでも発動する!
事態を重く見た国際海洋警備隊は、南極でテスト中の新型潜水艦の乗員2名に緊急出動の命令を下す。
任務はユグスキューレの破壊だ!
(※アーケードアーカイブスのマニュアルのストーリーの項目より抜粋)

特徴・システム

  • 1レバー+2ボタンで自機である新型潜水艦ハイドロ・フォビア・グランパス、通称「グランビア」を操作する。1P側は「グランビア・フィメール(雌型)」、2P側は「グランビア・メール(雄型)」を操る。全6ステージの1周構成で、任意スクロールの横シューティングである。敵の攻撃を受けるなどの他、制限時間が0になる事でもミスとなる。地形への当たり判定は無い。
  • レバーで自機の移動、1ボタンで前方へ魚雷を発射、2ボタンで上下方向へミサイル・機銃と爆雷の発射を行う。
    ステージ中に海面が描かれている場合、自機は水中および海面上のみを移動できるが、海面上に自機がいる時は上方攻撃が水中攻撃から上空への対空攻撃へと変化する。
  • 自機の攻撃はアイテムを取ると変更及び強化される。違う種類の武器アイテムを取っても自機の攻撃は強化され、魚雷、上下攻撃共に3段階まで強化される。ミスをすると自機の強化と装備は初期に戻る。
    + アイテム一覧
    • 魚雷アイテム
      • 魚雷(赤)
        • 初期装備。前方に魚雷を発射する。連射速度は速いが、攻撃範囲は狭い。
      • 超音波魚雷(青)
        • 魚雷を撃った軌跡に超音波を発し、広範囲を攻撃する。パワーアップさせると攻撃範囲が広くなる。連射は効かない。
      • クラッカー(緑)
        • 一定距離進んだのち、炸裂する魚雷を発射。威力が高く、パワーアップさせると攻撃範囲も広くなる。ただし、射程は短め。
    • ミサイル・機銃アイテム
      • ミサイルと追跡ミサイル(M)
        • 水中では上方にミサイルを発射。海面から顔を出していると空中の敵を追尾するホーミングミサイルを発射する。パワーアップで発射数が増える。連射速度は低め。
      • 機雷と機関銃(A)
        • 水中ではゆっくりと浮上する風船状の機雷を発射。海面まで到達するとしばらく残る。海面から顔を出していると機関銃で上方を攻撃、レバーである程度発射角度を調整できる。パワーアップで発射数が増え、また連射速度も高い。
  • ステージ中にある「トレジャーボール」と呼ばれるアイテムを100個集めると残機が一つ増える。トレジャーボールは大抵ボックスに入っているが、たまに視認する事の出来ない隠されたものも存在する。

評価点

  • ドット絵で描かれる、緻密なグラフィック。
    • アイレムお得意と言える綿密なドット絵のグラフィックは本作でも健在。敵の爆発、崩れる氷山、撃沈される戦艦、各種ボスのグラフィック、ステージ6を筆頭とした背景の描写と、職人芸とも言える凄まじいドット絵を拝む事ができる。
    • 中でも圧巻なのがステージ2。自機の攻撃により、家、ビル、橋、列車と言った街の建造物が次々と瓦礫と化していくが、その表現や爆発描写がどれも派手で、また細かく描き切っている。
    • 本作のスタッフは後に『メタルスラッグ』シリーズを手掛ける事になるが、本作でその萌芽は既に出ていると言えるだろう。
  • 高性能な自機。
    • 自機のグランビアは前方のみならず、上方、下方と3方向へと攻撃が可能。このため死角が生まれにくく、容易に敵を撃破する事ができたり、また敵の攻撃を耐えしぶとく生き残る事が可能。各種武装も超音波魚雷やクラッカーを筆頭に優れたものが揃っており、攻撃面では抜かりがない。よく出現する敵潜水艦の弾が自機の攻撃で消せる事も生存率を上げている。
  • 潜水艦を自機とした一風変わったゲーム性。
    • 水中しか移動できないため、上方や空中にいる敵をいかに処理するかというゲーム性が生まれている。ステージ2は特にそれが顕著で、水面が浅く自機の移動がかなり制限される中、地上や空中から敵が攻撃を浴びせてくるので、対空攻撃でいかにそれらをあしらっていくかがステージ攻略の肝になっている。
  • 各種仕掛けやステージ演出の多彩さ。
    • ステージ1の自機や敵を凍らせてしまう冷凍ビーム砲台、破壊不可能で、上を撃つと遅くなり下を撃つと速くなるミサイル群を潜り抜けていくステージ4とステージ6、水没したビルを破壊しその内部を通過して行くステージ4、深海が舞台で、溶岩の雫から始まり、海底火山からの噴石、襲い掛かってくる巨大なリュウグウノツカイ、ラストの雑魚ラッシュと難所揃いのステージ5など、各ステージの特色の出た多様な仕掛けがプレイヤーを待ち構えている。
    • 特に印象的なのがステージ3。ステージ開始直後から下にいる巨人・防人 サブヒューマン「荘厳」に追いかけられながら上方へと逃げていくという展開で、否が応でも焦らされる。最初は巨人にダメージを与える事はできないが、最上段で自機の攻撃を加える事で降らせる事のできるブロックを巨人に直撃させる事で顔の装甲が剥がれ、攻撃が通用するようになるという倒し方も一捻りが加えてある。
  • 各ステージには隠されたトレジャーボールも配置されており、隠しアイテムを探し出す楽しみがある。強制スクロールではなく任意スクロールなので、こういったアイテムをじっくり探し出す事も可能。

賛否両論点

  • アーケードゲームの例に漏れず、本作の難易度もやや高め。前半ステージはともかく、後半ステージは先に述べた厄介な仕掛けや敵の猛攻に晒され、苦しくなってくる。
    • ラスボスである人類掃討システム「ユグスキューレ」は形態が5段階まであり、かなりの長期戦となる。集中力を要し、ミスすると自機の装備が剥がされ不利な状況に追い込まれるため、残機が沢山あっても油断できない。
    • ただし、難しいと言っても極端に難易度の高いゲームではない。敵の攻撃パターンを覚えたり、適材適所で装備を変えるといった事を心掛け、そして繰り返しゲームをプレイすれば、1コインクリアも見えてくる難易度である。
  • エンディングの仕様。
    + ネタバレあり
    • コンティニューせずに1コインクリアすると、自機グランビアが崩壊する敵基地からの脱出に間に合わず、水底に突き刺さって沈んでいるというバッドエンディングとなる。ではグッドエンディングはというと、コンティニューをした場合に見る事ができる。苦労して1コインクリアして見るのがバッドエンディングとは、プレイヤーとしては複雑だろう。
      • 2人プレイ時だとラスボス戦後、両プレイヤーによる対決プレイが待っている。これでどちらかのプレイヤーが勝利すると、なんとD.A.S.に代わり世界の支配者として再び地上に姿を現すという驚愕の展開が待っている。更に、対決プレイで時間切れにより引き分けると、両者とも海の底深く沈んでいくという展開になる。
      • なおエンディングは他にもあり、ラスボス戦で時間をかけすぎると、ラスボスが逃げてしまい、上記とはまた違うバッドエンディングを迎える。
      • ちなみに、スタッフロールの「アシスタント」に並ぶ名前をよく見ると…
        • 私は 世界の 法だ 秩序 なのだ よって この 大海原に 生きとし 生けるもの その 血の 一滴 までも 全て 私の もの なのだ
          この文章と下にもあるグランビアの設定を見る限り、グランビアが帰るコンテニュー有りのEDより、海底に沈むノーコンテニューEDの方が(世界的には)グッドなのでは?という考察もある。

問題点

  • 自機の移動速度は遅く、それに比例してゲームテンポもやや遅め。このため1プレイが長くなりがちなゲームである。また、爆発などの演出効果が重なるせいかよく処理落ちが発生し、特に魚雷ボタンとミサイル・機銃、爆雷ボタンを一緒に連射していると発生しやすい。場面によってはこれで敵の攻撃を避けやすくする事もできるが、ゲームスピードを殺してもいる。
    • 自機のスピードの重さも相まって、良く言えば重厚、悪く言えば鈍重というイメージを与えやすい。シューティングに従来のような爽快感を求める人には不満を感じる人もいた。
  • 内部ランクの概念があり、自機を強化していくと、敵の攻撃が激しくなったり、敵の耐久力が上がったりする。特にボスの耐久力は顕著で、フル装備だとかなりの長期戦を強いられるボスでも、パワーアップを控えているとあっさり倒せたりする。そのため、闇雲にパワーアップしていくとかえって不利になってしまう。
    • ただし、ランク調整をしなければ進めなくなるゲームではない。順当に自機が強化されるため、フルパワーでも十分に道中、ボスともに突破する事が可能。
  • グラフィックが細かく派手であるがゆえに、爆発などに紛れる敵の弾が視認しづらい。特にステージ2は建物の大量の瓦礫と敵弾が合わさるため特に見づらい。
  • 魚雷アイテムは色のみで分類されており、やや見分け辛い。特に赤と緑は人によってはかなり区別がし辛い。なお、ミサイル・機銃アイテムはアルファベットで分類されているため、区別は容易。

総評

  • アイレムらしい緻密なグラフィックが目を引く本作。しかしゲーム性や各種演出もそれと同じくらい良く作り込まれている。潜水艦を自機にするという独自性も評価点だろう。難易度は少々高いが、やり込むのに十分値する良質なシューティングである。

余談

  • PS2で発売された潜水艦3Dシューティング『U・アンダーウォーターユニット』は世界観やメカが本作と酷似しており「3D版『海底大戦争』」と言える内容となっている。
  • R-TYPE TACTICS II -Operation BITTER CHOCOLATE-』に、本作の自機であるグランビア・Fが登場している。
    • 当然のように水中専用機であり、波動砲は超音波魚雷となっている。水中がメインのステージのみでしか使い所は無いが、かなりの強さを発揮するユニットであった。
    • なお追加コンテンツで武装と性能が微妙に違うグランビア・Mも使える予定であったが、配信されないまま終わってしまった模様。
  • 海外では『In the Hunt』というタイトルで発売。国内版とはステージの順番が異なっている。
    • これにより、国内版ではやや変則的であるリザルト画面でのボス撃沈マークの付く順番が、海外版では左から順番通りに付くようになっている。
  • ゲーメストの本作の記事にて、ステージ4及び6のミサイルのギミックについて「上を撃つと速くなり、上を撃つと遅くなる」という誤植がされた事がある。どっちだ。
    • 正しくはもちろん、「下を撃つと速くなり、上を撃つと遅くなる」。
  • 一見、単純に『悪の組織「D.A.S」の破壊活動を、主人公である国際海洋警備隊の2人が止める』という、王道的なストーリーに見えるのだが、実は本作にもアイレムらしい裏設定が存在している。
    + ネタバレあり
    • そもそも主人公達が使っている「グランビア号」2台は、宇宙で鹵獲した謎の船を、構造を逆さまにして無理矢理潜水艦に改造したものという無茶なシロモノ。
      • オマケに『船内にガンマ線を多量に放ち続けており、パイロットはその影響で徐々に思考に異常をきたしていく』というトンデモ船なのである。どうもこの船は自らを最強の機動兵器にしないと気が済まない、プライドの高い性格らしく、「高原麗」「高原仁」たちも徐々に影響され、ひたすら最強を求めるようになっていく…という、なんともアレな設定となっている。勿論、上述したエンディング内容にもこれらの設定が反映されている。
      • 因みに上記の『R-TYPE TACTICS II』のグランビアはPOWアーマー水中型のフロッグマンをアップグレードする形で手に入るため、この設定は適用されていない。適用されたらバイド化がより加速しそうではあるが。
      • 同時期に発表されていた「ブルーセンチネル」という漫画に、宇宙駆逐艦を上下反転させて艦体とし、システムのコアが人格を持つという潜水艦が主人公たちの乗艦として登場する。細部は違うものの設定が酷似しているが、どちらかが参考にしたのだろうか。
  • 本作は後に数々のアイレム作品を手掛ける九条一馬氏が初期に携わった作品である。

移植

  • プレイステーション版
    • 1995年11月10日にエクシング・エンタテイメントより発売。ステージ1の氷山やステージ6の赤い機雷弾を吐き出す敵がなくなっている、一部効果音がない等の差異があるが、比較的良質な移植となる。
    • 通常のアーケードモードのほか、バリアアイテムが出る難易度の下げられたプレイステーションモードがある。また、アーケード版の曲とは全く違う新規BGMも収録されている。なお、CDプレイヤーにソフトをセットすると、ゲーム中の音楽を再生する事が可能。
  • セガサターン版
    • 1995年12月15日にイマジニアより発売。CGによるオープニングムービーが追加されている。ステージ2の爆撃機の出現が早い等やはりいくつか差異があるが、こちらも比較的良質な移植。ただし、後期生産型のセガサターン(通称、白サターン)での動作は保障されていない。
    • BGMはアーケード版と同じ楽曲のものだが、若干アレンジされたものへとなっている。また、プレイステーション版と同じく、CDプレイヤーにセットする事でゲーム中の音楽を再生する事ができる。
    • 付属の取扱説明書は凝ったものとなっており、自機グランビアの設定、ステージボスの名前やイラストが載っている。余談だが、パッケージの裏に「1993年。ゲーセン野郎達のシューティング魂を熱く燃え上がらせたあのゲームが、今、ここに蘇る!!目の前にあるもの全てを、片っ端からぶち壊せ!!さあ、みんなで海へいこー!!」、帯には「進め!僕らのグランビア(^_^)」とかなり軽い文章や顔文字が書かれている。
  • その他、1997年3月にゲームバンクよりWindows95版が発売されている。
  • アーケードアーカイブス(Switch/PS4)
    • アーケードアーカイブスの1作品として配信。海外版『In the Hunt』も収録されている。

最終更新:2024年03月01日 09:00