Unreal Tournament
【あんりある とーなめんと】
ジャンル
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FPS
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対応機種
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Windows Mac OS Linux PlayStation 2 Dreamcast
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発売元
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GT Interactive 【Mac】Macsoft 【PS2/DC】Infogrames
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開発元
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Epic Games Digital Extremes
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発売日
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1999年11月22日 【PS2】2000年10月26日 【DC】2001年3月13日
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判定
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良作
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ポイント
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『Unreal』第二の出発点 戦略性の高い戦闘、バリエーション豊かなマルチ シングルプレイは空気
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Unrealシリーズ Unreal / II Unreal Tournament / 2003 / 2004 / 3 Unreal Championship / 2
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概要
当時最高峰のグラフィックと完成度の高いマルチプレイで高い評価を得た1998年の『Unreal』をベースとした、アリーナタイプのスポーツ系FPS。
後のUnrealシリーズ作品と区別するため『UT99』と表記されることもある。
開発は前作を製作したEpic gamesとDigital Extremesが引き続き担当しており、エンジンも「Unreal engine」を採用している。
ストーリー
人類とスカージの遭遇から100年が経過した遥か未来。
両者の戦闘は未だ終わらず、更に資金源としていた別惑星からの過酷な鉱石採取作業は悪徳企業の横暴や反政権活動の温床となり、人類同士の紛争をも生み出してしまっていた。
2291年。激闘の末にスカージ勢力を撤退させることに成功した地球政府は、増えすぎた企業間紛争を政府の損失なく処理するため『中央管理殺人』として決闘による殺人を合法化。
これを好機と見た採掘企業は、すぐさま紛争による虐殺を究極の娯楽「トーナメント」として昇華。賞金か死かの命がけのデスマッチは熱狂と共に迎えられ、2341年にはもはや採掘会社は採掘ではなくトーナメントによる莫大な利益を求めるようになっていた。
そんなトーナメントに、今日も無名の挑戦者が訪れる。
謎のチャンピオン「ザン・クリガー」を倒しトーナメントチャンピオンの座を奪うべく集まった彼らは、名誉、金、殺戮、栄光、様々な目的を秘め殺し合いに身を投じていく。
ゲームシステム
操作方法
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前作『unreal』と同様の操作を採用しており、目だった変化はない。
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ドッジングやプライマリ・セカンダリ機能も続投しており、独特な操作性が特徴。
マルチプレイ
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宇宙船、前哨基地、城や修道院などのさまざまなロケーションを舞台に、武器、弾薬、ボディアーマー、ヘルスパック、ダメージアンプなどのアイテムをかき集めつつ対戦を行うスポーツ系FPS。
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ルールはシンプルに殺しあう「デスマッチ」、2チームに分かれてマップによって異なる様々な特定オブジェクトを巡って争う「アサルト」、旗を奪い合う「キャプチャーザフラッグ」、生き残りを賭けて戦う「ラストマンスタンディング」などが存在。
シングルプレイ
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扱いはBotとの練習モードといったところであり、ステージクリア式ではあるがステージ自体はマルチプレイの流用となっている。内容は『QUAKE III Arena』に近い。
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BotはNoviceからGodlikeまでの全8段階。段階によって強さは大幅に異なり、最大まで上げた場合は並の人間では太刀打ちできない強さとなる。
評価点
高度なテクニックを許容する高い操作性
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前作同様にドッジングを利用可能であり、これを利用することで高い機動力を得ることが可能。スポーツFPSらしいスピード感のある対戦を楽しめる。
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研究によるドッジングと武器、またはドッジングと地形を用いた特殊な移動テクニックも数多く生み出され、コミュニティを経由して拡散されていった。
バリエーション豊かな新モード「アサルト」
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守備チームと攻撃チームに分かれ、攻撃チームは特定オブジェクトの破壊や操作を、守備チームは攻撃チームの阻止を行う「アサルト」では、多種多様なマップを舞台に様々なシチュエーションで任務をこなしていく。
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あるマップでは大型戦車爆破のためハンガーに忍び込み、また別のマップではヘリから走行中の列車に飛び乗って戦い、鉱山を経由して砲台を爆破し、戦艦の武装を強奪して使用、水中基地の機能を停止させるなどバリエーションは非常に豊富。
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目標はマップによって異なり、守備側・攻撃側共に取るべき戦略も大幅に異なる。同じモードながら展開はがらりと変わる、スポーツ系の対人戦ながら軍事任務的演出の光る内容は高く評価された。
拡張性の高いbot
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AIの性能だけでなく名前、外観、武器の好みまで設定可能であり、拡張性が非常に高い。性能も良く、場合によっては逃げるなど機械的でなくプレイヤーが実際にしそうな動きをしてくれる。
対戦環境の改善
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前作の欠陥であったネットワークコードの品質は改善が図られ、より快適なマルチプレイを実現している。
プレイを盛り上げるBGM
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BGMの種類は多く、上下差はあるものの基本的にはアップテンポでノリの良いものが多く高速のゲームプレイとマッチしている。
Unrealマップとの互換性維持
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ほとんどのUnrealマップとの互換性が保たれており、前作用のエディタで作成したデータもそのまま流用可能。もちろん本作にもレベルエディタが同封されており、プレイヤー自身で新しいマップやmodを作成・共有できる。
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マルチプレイというジャンルや容易な改良手段の提供はコミュニティを活発化させ、最終的な売り上げの上昇に貢献した。
個性的な武器
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武器は13種類に増加し、更に左クリック(プライマリー)と右クリック(セカンダリー)が各武器に用意されているため、実質26種類の武器数を誇る。
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それぞれの武器には個性があり、種類ごとに差別化が図られている。特に本作で初登場した小型核ミサイルを発射し、周囲一帯を丸ごと吹き飛ばす「リディーマー」はその扱いにくさと強すぎる性能から多くのプレイヤーの印象に残ることとなった。
賛否両論点
空気なシングルプレイ
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同時期のほかのタイトル同様シングルプレイの扱いは雑。『Unreal』のような壮大な展開はなく、ひたすら血みどろのトーナメントだけで終わる。
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もっとも本作のメインコンテンツであるマルチプレイは作りこまれていたため、さほど問題点とは見做されなかった。
問題点
進歩の見られない内容
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本作は元々『Unreal』の拡張パックを想定していたため、グラフィックやエンジンといった部分に大規模な進歩は見られない。エンジン自体は優秀ではあるが、内容はわりと『Unreal』そのまま。
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UIについては本編と拡張パックがセットになった「Unreal Gold」以降のパッケージで、Unrealに逆輸入されるほどに好評ではあったが。
総評
「2000年代初頭のスポーツFPS」といえば真っ先に名が挙がるほどの高い人気を獲得した作品。
同時期のマルチプレイFPS『QUAKE III Arena』とオンライン人口を巡ってしのぎを削り、アメリカやヨーロッパで多くのファンを獲得、200万本以上の売り上げを達成した。
各批評家からも世界的に高い評価を受け、Computer Gaming World、Gamespy、EurogamerがGOTYに選出するなど人気・批評ともに大成功。後に『トーナメント』として単独シリーズ化するに至った。
エンジンなどの根本的な部分に前作からの改良点は少なく、シリーズとしてはあまり向上しているとは言えない。しかし前作をベースに順当に調整された良好なマルチプレイは非常に完成度が高く、シリーズ第二の出発点として現在も高く評価されている。
余談
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本作をGOTYに選出したEurogamer誌だったが、ゲーム作品への評価で満点を与えるという出来事はEurogamer史上初だったという。
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後のUnreal Engineには及ばないものの本作のMODの拡張性は既に高く、デスマッチ用オリジナルマップから他社タイトルの移植まで幅広い題材に用いられた。
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本作のシングルプレイ及びアサルトは対戦プレイやその練習としてだけでなく単独プレイのスピードラン競技としても用いられており、一人でどれだけ早く全マップを制覇できるかが競われている。上位ともなると移動テクニックを駆使した異次元競技の域。
最終更新:2022年03月26日 15:17