KAMEN RIDER memory of heroez

【かめんらいだー めもりー おぶ ひーろーず】

ジャンル ヒーローチェインアクション



対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
発売元 バンダイナムコエンターテインメント
開発元 ナツメアタリ
発売日 2020年10月29日
定価 通常版:7,600円(税抜)
プレミアムサウンドエディション:11,800円(税抜)
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 良作
ポイント 正義の系譜』を受け継ぐクロスオーバーゲーム
近年のライダーゲーでは珍しく参戦作品を絞っている
Wとオーズに特化した内容なのでゼロワン要素は薄め
演者本人がキャストを担当しているのはゼロワンのみ
ライダーに加えガジェットにも焦点を当てたアクション
仮面ライダーシリーズ



正義の仮面は 紡がれる―



概要

平成仮面ライダーシリーズのうち『仮面ライダーW』『仮面ライダーオーズ/OOO』と、令和仮面ライダーシリーズより『仮面ライダーゼロワン』のキャラクターたちが集うクロスオーバー物のアクションゲーム。
近年のライダーゲームでは珍しく作品数がかなり絞られている。
限定版となる『プレミアムサウンドエディション』では『W』『オーズ/OOO』『ゼロワン』から選曲された劇伴と主題歌が収録されている他、キービジュアルやイラストが閲覧できる『デジタルアートコレクション』が付属する。


特徴

  • セクターシティと呼ばれる孤島を舞台に各ライダーたちを動かして島内を探索しつつ、暗躍する財団Xなどの敵を撃破しストーリーを進めていく。
    • フォームチェンジなどを駆使して攻撃を繋いでいき高得点を獲得する「チェインアクション」とライダーをサポートするツールを駆使する「ガジェットアクション」がメインシステムとなる。
      • フォームチェンジ選択中は時間の流れがスローとなるため、慌てずに操作を行うことが可能。
      • フォームチェンジの際、決定ボタンとして何を押したかによって、ただ変身するだけであったり特殊能力を同時に使用したり、この時限定の特殊技を放ったりすることができる。
    • HPゲージの他、特殊攻撃や回避行動で消費し、通常攻撃を当てることで回復する「RP(ライダーパワー)ゲージ」と、EXアタックと呼ばれる必殺技の発動や最強フォームへの変身に必要な「EXゲージ」が存在する。
    • ボスなど一部の敵キャラクターにはアーマーゲージが存在し、これを削り切らない限りHPにダメージを与える事はできないが、アーマーを削り切ると敵が怯み隙が大きく生まれる事となる。
      • アーマーゲージは直前に敵が取った行動に応じて強度が変動する仕様。基本的に大技の後ほど大きく削れるようになる。
      • また、敵の一部の攻撃は発動前に「!」マークが表示され、タイミングよくボタンを押すことによってカウンター攻撃を繰り出し、アーマーゲージを大きく削ることが可能。アーマーゲージが無い敵の場合は必ず倒せる。
    • 他、アクセラレーターと呼ばれる探索で得たアイテムをライダーに装備させ能力値を上昇させたり、ストーリー途中ではミニゲームとして3Dシューティングが挿入される。
+ 登場ライダー一覧
  • 仮面ライダーW
    • 私立探偵の左翔太郎と相棒のフィリップが変身する二人で一人の仮面ライダー。
    • 空中ステップのサイクロン、攻撃力強化のヒート、トリッキーなルナ、素早い格闘のジョーカー、長めのリーチと遠距離防御が可能なメタル、遠距離攻撃と高めの火力を持つトリガーの組み合わせによって様々な特性を得るライダー。フォーム数は登場キャラの中でも随一。
    • 亜種形態も含めて各形態は用途がしっかりしており、状況に合わせてフォームチェンジをしていくアクションが特に似合う。通常攻撃の強いヒートジョーカーがあるので、ゲージのやりくりがしやすい。
    • もちろん基本三形態のみならず亜種形態にもEXアタックが実装。各映像作品で描写されたマキシマムドライブを存分に使用できる。
    • ただし、飛行や高速移動、ハイジャンプなどの強力な回避能力を持たず、ガードも飛び道具に対してのみ有効であるため、やや被弾しがち。
    • 敵の首魁がドーパントなだけあって、オープニングから登場したりまさかのゲスト登場があったりと色々と目立つ。
    • オープニングで起きた戦闘により最初はサイクロンジョーカーにしか変身できないが、ストーリー中でメモリを取り戻していくことで使えるフォームが増えていく。
    • EXフォームはサイクロンジョーカーエクストリーム。
  • 仮面ライダージョーカー
    • 翔太郎が単独で変身する仮面ライダー。Wとは別キャラ扱いで、こちらの方が素の攻撃力は高め。
    • 特殊な能力は無い格闘特化のキャラで、アクションが単純なだけあって扱いやすい。設定上のスペックは低いが、隙が全体的に少なく格闘が強いためWの完全な下位互換に甘んじてはいない。
    • ストーリーでは全てのメモリを失ってしまった翔太郎が変身する姿。相変わらずジョーカーは翔太朗が大好きな模様*1。また、ストーリー途中では諸事情で一時的にこの姿での戦いを強いられる。そのため、意外と出番は多い。
  • 仮面ライダーW ファングジョーカー
    • 2周目から解禁となる隠しフォーム。翔太朗の肉体を用いて変身する他のフォームと異なりフィリップがメインとなって変身するフォームであり、今回のストーリー上ではフィリップは現地に直接同行しないため隠し要素かつ別キャラ扱いになったものと思われる。
    • 隠しキャラという事もあり、最初からレベルマックスである。
  • 仮面ライダーアクセル
    • 風都の刑事、照井竜が変身する仮面ライダー。
    • ゲージを消費してのフルスロットルモードへの移行が可能なキャラ。通常形態ではエンジンメモリの、フルスロットルモードではアクセルメモリのマキシマムドライブを使う。
    • フォームチェンジ時の特殊攻撃ではバイク形態への変身も見せるが、移動手段としては使用できない。
    • バトライド・ウォー』シリーズと違い、今回は一切の制約無しでブースターへの変身が可能。自由に飛び回り、空中から切りかかることができる。
    • EXフォームとなるトライアルでは、『仮面ライダーカブト』のクロックアップの様なスロー状態を作ることができ、また高速移動による範囲攻撃などスピーディーな戦いが楽しい。必殺技は連打しないとすぐに終わってしまうという特性を持つ。
    • 合流がかなり早いこともあって、ストーリーにおいてはメインの3ライダーに並ぶ存在感を放つ。
  • 仮面ライダーオーズ
    • 火野映司が変身する仮面ライダー。
    • Wと同様に多くのコンボ形態を持つが、それぞれ特定の戦闘パターンを持っており、次々にフォームチェンジしてコンボを繋げるよりは自分が使いやすい形態で戦うことに向いている。
    • 固有能力がかなり優秀で、高速移動が自由に使えたり、ガードによって相手の攻撃を完全シャットアウトしたり、飛行中に高めの火力+高速射性のショットをばら撒いて焼き払ったりするといったことが可能。単純な性能で言えば最強と言って差し支えない。その分、ゲージが尽きるとやや物足りない。また、Wやゼロワンが持つ「敵の懐に自動で接近できる能力」を持たない。
    • グリードとの戦闘に勝利することで各形態がアンロックしていく。最初のメダルは、オープニングでゼロワンがタワー屋上で回収しつつも落としてしまったものとWに襲い掛かったカザリとウヴァから飛び散ったものを使用している。
    • 実は今回のコアメダルは全てコアエナジーによって作った複製品で、縁が黒くなっているのが特徴。その影響か通常のメダルより扱いやすいらしく、コンボに変身していても負担が少ない様子*2
    • Wと並ぶ主役として位置づけられており合流もフォーム数も多いためか、ストーリーにおいては操作キャラが強制的にオーズになる場面も多い。
    • ブラカワニコンボは2周目からの解禁となる。
    • 終盤からはなんとムカチリコンボも使用可能。空中ステップ、ガード、状態異常付与を持ち、攻撃も全体的に扱いやすいものが揃う。
  • 仮面ライダーバース
    • 映司の仲間である後藤慎太郎が変身する仮面ライダー。ライダーゲーで後藤バースは割と珍しい。
    • 攻撃の癖が強く、近接戦だとやや扱いづらい。バースバスターによる遠距離が優秀なので、距離を取って攻めるのが有効。デフォルト形態で飛行が可能なのもポイント。
    • EXフォームではバース・デイに変身する。攻撃力は高いが、飛行能力が失われて移動速度も落ちてしまう。
    • 刑事繋がりという事もあり、照井の存在を知ってテンションが上がったりしている*3
  • 仮面ライダーバース・プロトタイプ
    • 戦うドクター、伊達明が変身する仮面ライダー。
    • 後藤バースとは逆に、近接攻撃向け。通常攻撃で敵をかち上げれば、強攻撃のバースバスターでゲージが尽きるまで追撃できるという鬼性能。
    • 攻撃モーションにもドロップキックが存在したりクレーンアームで敵を引き寄せることが可能と、戦法はバースとはかなり異なる。
    • クレーンアームとブレストキャノンしか装着できない事もあり、バース・デイにはなれない。
  • 仮面ライダーゼロワン
    • 飛電インテリジェンス社長、飛電或人が変身する仮面ライダー。
    • フライングファルコン、シャイニングアサルトホッパー、メタルクラスタホッパーへの変身が可能。 フライングファルコン以外のハイブリッドライズへの変身は一切無し。 主役ライダーとしては唯一、最初から全てのフォームが使用可能。
    • 形態は少ないが、それぞれがなかなか高性能であり、戦力不足を感じない。シャイニングアサルトホッパーはシャインシステムによるオールレンジ攻撃に加え強攻撃で敵の直近へワープできるため、隙をついて襲撃したりが可能。メタルクラスタホッパーもクラスターセルやプログライズホッパーブレードによる範囲の広い攻撃が強力。
    • ちなみに、フライングファルコンは原作では序盤にアイテムが奪われてしまってほとんど使用されていない不遇の形態だが、本作ではWとオーズとともに飛行するために使用されるなど、むしろ他の形態より露出が多い。
    • EXフォームでは仮面ライダーゼロツーへと変身する。こちらも諸事情で原作においては出番が僅少となってしまったが、ゲームでは思う存分使うことができる。首元からマフラーのような光を放つゼロツーストリーマももちろん再現。

評価点

  • 非常に再現度の高いライダーアクション。
    • サイクロンメタルの防御力やルナトリガーの追尾弾にサイクロントリガーの連射可能な速射弾、飛行可能なアクセルブースターやタジャドルコンボ*4予算を気にせず分身することで多面的な攻撃を仕掛けられるガタキリバコンボ、攻撃力が高く扱いやすい仮面ライダージョーカーなど、原作同様に各ライダーとフォームの特性がはっきりと分かれて表現されており、癖の少ないサイクロンジョーカーで敵の攻撃を避けつつ牽制し、攻撃力の高いヒートジョーカーへチェンジして敵を一気に倒す…という番組さながらのスピーディーなアクションを行う事も可能。
    • 各ライダーのモーションも原作番組と同じ動きや演出を踏襲しており見応えも抜群。そうでなくても、いかにも「しそう」なモーションをきっちり実装している。因みにこれは本作の敵キャラでも同様。ゼロワンの特徴的な必殺技発動時の文字演出も完全再現されている。
    • アクションそのものも良質であり、『バトライド・ウォー』シリーズほどではないものの多くの敵を薙ぎ払える爽快感も気軽に味わえる。
    • フォームチェンジを瞬時に行えるため、サイクロンメタルで敵の遠距離攻撃を防ぐ → すかさずルナジョーカーの腕伸ばしで敵を引き寄せる → ヒートジョーカーでボコボコに殴る → 攻撃モーションに入ったらヒートトリガーの溜め撃ちで行動キャンセル、というようなチェンジを駆使したコンボが可能。
  • ガジェットの登場
    • 従来のライダーゲームではライダー自身のアクションに焦点を置いているためかゲーム内容にガジェットが取り入れられる作品が少なめだが、本作では所々でそれらを使ったアクションや謎解きを行える。
      • 敵を怯ませたりと戦闘中の役に立つものも存在する。
      • それぞれのガジェットは持ち主ではないライダーでも使用可能で、タカカンドロイドと共闘するWといった珍しいシチュエーションを見られる。
      • 逆にオーズらがデンデンセンサーを使うといった場面もあるが、あくまで「ゲームシステム的にW以外でも使えるだけ」で使用している光景は描写されない。
    • 一部のイベントのみではあるが、Wが自身のライダーマシンであるハードボイルダーに搭乗する機会がゲーム内で用意されており、こちらも変形・合体と言った平成ライダーでは当たり前となったとんでもマシンとして利用することが可能。
      • ムービー限定だが、リボルギャリーの無敵っぷりも相変わらず。
  • 満載なファンサービス。
    • オープニングムービーを『W』本編や劇場版でも監督を担当した坂本浩一氏が手掛けており、カメラワークなど全体的な雰囲気は完全に『W』そのもの。
    • 主題歌「Over Again」も『W』本編の主題歌「W-B-X~W Boiled Extreme~」を担当した“上木彩矢 x TAKUYA”が再び登板。歌もアンサーソングとも言える内容となっている。
    • プレミアムバンダイ限定販売の玩具「CSMオーズドライバーコンプリートセット」にて追加されたオーズのフォーム「ムカチリコンボ」が初めて映像化された。
    • 本作のオリジナル怪人はそれぞれ『W』の怪人デザインを務めた寺田克也氏と『オーズ/OOO』の怪人デザインを務めた出渕裕氏が担当。
    • 他、園咲霧彦やアンク、声のみだが鳴海亜樹子など人気キャラクターの多くも登場する。
  • プレミアムサウンドエディションの選曲が秀逸。
    • OP主題歌はもちろん、原作戦闘中に使用された挿入歌、劇中において印象的なBGMが万遍なく収録されている。原作BGMのアレンジ曲も。
    • フォームチェンジや必殺技発動時、一部イベントシーンには自動で対応する曲に切り替わるなど演出面でも十分。
    • また、プレミアムサウンドエディションでのみ楽曲のカスタマイズが可能。通常版のBGMも収録されているため、そちらを選曲する事もできる。
      • このカスタムサウンドトラック機能の名前は「セクターシティFM」。なかなか粋なネーミングである*5
  • 良質なクロスオーバー・ストーリー
    • 昨今の仮面ライダーのゲームは、様々な作品からライダーを登場させることが多く、その都合上ストーリーではライダーによって出番や扱いにムラが多々見られたり、そもそもストーリー性が皆無な作品も少なくなかった。
      • それが本作では作品数を絞ったことにより、登場するライダーも絞られ、出番の差が極端に大きかったり、扱いが悪くて空気気味といった点が可能な限り抑えられており、全員何かしらの形で活躍してくれる。
      • また、キャラ崩壊を起こして別人化したライダーはおらず、全員原作のキャラ付けを大事にしており、ファンならニヤリとする場面も多い。
      • クロスオーバーに関しても好評。特にWとオーズは何度も顔を合わせており、映画における印象的なやり取りもあって人気の高い組み合わせであった為、その気心の知れた3人の交流はファンから歓迎された。
      • とあるライダーが因縁のある意外な武器を使うシーンなど、ファン目線で見ても「分かっている」と唸らされる描写も多い。

賛否両論点

  • キャスト陣がゼロワン/飛電或人役の高橋文哉氏を除いて全てゲームオリジナルキャスト陣で固められている。
    • これは「原作番組からのキャストとゲームオリジナルのキャストが混在すると違和感を招いてしまう」という制作上の方針によるもので、過去のゲーム作品と違い「代役の声優」と言うよりはれっきとした「一人の演者」として出演している事を公式が大々的に宣言している*6
    • その他、諸々の事情で演者本人のボイスを十分に活用出来ないと言った理由もあると思われるため、仕方ない部分もあるだろう。実際、近年のライダーゲーではその辺りのボイスのやり繰りが難しかったのか折角本人が演じているのにもかかわらず首を傾げざるを得ないような描写も少なくなかった。
      • 以前からフィリップ役の菅田将暉氏などの新録が難しくなり、ライブラリに限界が来ていた側面もある。
    • 原作で声優が演じていたスミロドン・ドーパント、メズール怪人態、ロストアンク怪人態も別の声優が演じているという徹底ぶりである。それだけでなく、過去のゲーム作品で代役の声優が務めていたキャラも配役が全て一新されている。
    • 左翔太郎役の細谷佳正氏やフィリップ役の内山昂輝氏、火野映司役の鈴木達央氏*7等に関しては本人の演技に近い為好評の声が多いが、アンク役の吉野裕行氏などは原典の演者と声質が違い、かなり賛否が分かれる。
    • 原典では変身体でエコーが掛かっていたキャラクターも加工なしで収録されている為、若干違和感があるキャラもいる。
    • 内容がいいからこそ「正義の系譜」のようにオリジナルが良かったという声も少なくはなく、後述のようにそれで買い控えが起こったこともあって、この采配がセールス面では足を引っ張ってしまった感はある。
      • 逆に『W』の続編漫画『風都探偵』を本作と同じキャスティングでアニメ化してほしいという意見も聞かれるようになり、新たなファン層を切り開いたとスタッフの英断を称賛する声も。そして実際にこのキャストで風都探偵がアニメ化された。
  • ゼロワンは実質いるだけ参戦。
    • 原作に登場するサブライダーのバルカンやバルキリー、滅亡迅雷.netといった敵勢力も全く登場しない。
    • 会話では一応ヒロインであるイズの存在についても触れられてはいるが、彼女の出番は全く無い。
    • 一方で、会話には頻繁に加わり各フォームも作り込まれているため、存在感は十分にある。人によっては「夢」推しではなく「爆笑ギャグ」推しで番組初期に近い本作でのキャラの方が好みという声も。
    • そもそも、当時の現行ライダーであるゼロワンを差し置いてWとオーズをメインに据えた内容自体、疑問ではある。
      • とはいえ『W』『オーズ』はいずれもシリーズで特に人気の高い作品であるため、「なぜ今さら?」という疑問の声はあっても不満の声は少ない。
      • バンダイのスマートフォンゲーム『ゼノンザード』でも、本作の発売の少し前に『W』『オーズ』『ゼロワン』の3作品に絞った仮面ライダーコラボが行われていた。
  • 一部のフォームやライダーが登場していない。
    • 他媒体で登場したライダーはエターナル一体のみで、それも本作では敵キャラ限定となっている。スカルやサイクロン、ポセイドンやアクアと言ったライダーは登場せず。
    • フォームに関しても他媒体でのみ登場した一部のフォームは登場せず、残念に思う声もある*8
    • ゼロワンに関しても登場しないフォームがあるが後述する事情により、仕方ない部分もあると思われる。
  • ガジェットの仕様
    • カンドロイドとメモリガジェットに、一部登場していない物がある。
      • とはいえ、ゲームシステムに組み込めるか微妙な物もある為、この辺りは仕方ない点もある。
    • サポートキャラとしてカンドロイドが使用可能であるが、特定のバトルでしか使用できず、どのカンドロイドにするか選択が出来ず、本編のように複数のカンドロイドを従えることもできず、ボス戦では使用不可能と言うかなり制限の多い仕様となっている。
      • また、使用可能の時は、ゲーム画面に表示されるが、それが出た直後に次のステージへ移行してしまうと何故か使用不可能になってしまう謎仕様。
      • ただし、容量やゲームバランスの面も考えると仕方ない点もある。
    • メモリガジェットはムービーで登場する以外には、探索パートのみでしか使用できず、本編のように戦闘でサポートしてくれたり、武器に取り付けて必殺技を打つアクションはできない。また、別のガイアメモリをガジェットにセットして必殺技を発動させたりもできない。カンドロイドとの扱いに差が出てしまっている。
    • ガジェットアクションのうち、デンデンセンサーの必要性が微妙。
      • そもそも使える場所になると毎度毎度アイが「デンデンセンサーを使ってみましょう」と指示を出してくれるため受動的であり、使用する際はカメラを動かして光っている所を見つけて、その場所まで移動してそれを取る…という流れになる。一応、設定通りの仕様で登場するのはうれしい点だが、単なる探索にひと手間かかっているだけである。
      • また、Wもしくはジョーカーを操作中の場合、拾いに行かなくていい代わりにバットショットかスパイダーショックを使用するムービーが毎度流れるため、これはこれでテンポが悪い。
      • また、とり逃したデンデンセンサーのアイテムは、次のイベントに差し掛かった後にまたあった場所に戻ってくると何故かデンデンセンサーが反応しない謎仕様が存在する。最悪2周目でとることもできなくはないが、なぜそのような仕様なのかは不明。
  • ライダーマシンの扱い
    • ライダーマシンが使用できるのはWのみで他のライダーは一切使用できない。原作ではオーズとバースが使用するライドベンダーも登場こそするが、あくまでもカンドロイド販売の為の自販機モードのみで、バイクで走行させることはできず、当然ながらWと一緒に走行することも出来ない。
      • こちらも他のライダーマシンとの扱いに差が出てしまっている。ゼロワンのライズホッパーやアクセルのガンナーA、バースのCLOWsサソリに関しては影も形も無い。
    • そのWのハードボイルダーについても、原作のように通常のバトルや移動時で乗り回したり、乗った状態でアクションや必殺技を打ったり、別のメカと自由にドッキングして操作することは不可能。
      • あくまでも巨大な敵と対峙するゲームパートにて、一定のコースをシューティングゲームのような要領で操作するのみに留まる。
    • ただし、ゲームパートに取り入れるのがやや難しいと思われる要素である上、そもそも近年のライダーでは、大人の事情の関係であくまでもライダー自身のアクションがメインで登場する事が多い。
      • よって、ライダーマシンがゲームに取り入れてくれるだけでも嬉しいと取るか、もっとそのアクションに自由度が欲しいと取るかは人によって異なるだろう。
  • ライダーのアクションに一部搭載されていないものがある。
    • ただし、設定通りに全部搭載してしまうと操作が煩雑になってしまったり、ゲームバランスや容量の事も考えると致し方ない点もあるだろう。
  • 探索パートの仕様
    • 設定上、ライダーに変身している時は身体能力が飛躍的に高まっている。にもかかわらず、変身後の状態では破るのが容易いであろう鍵のかかったドアや壁を破壊したり、壁キックや大幅な跳躍等を駆使して駆け上がるようなアクションも取らず、律儀に謎解きを行ったり、木の枝にあるアイテムをガジェットに取りに行かせる等、本編の設定を知っているとやや違和感のある行動を取ることが少なくない。
    • 周囲に民間人がいて安易に能力を用いると被害が出てしまうなどの描写があれば別だったかもしれないが、そもそも本作には設定上民間人は誰一人登場しない。
      • とはいえ、探索パートを取り入れた一本のゲームとして成立させるにはどうしても必要な要素でもあったりする為、仕方ない部分もある。
    • 一部の障害物を乗り越えるためだけに別フォームへの変身を強制される場面がある。
      • タジャドルコンボやシャウタコンボなど、飛行・潜水フォームへの変身ならともかく、炎に包まれた場所を通るだけなら別のフォームへ変身する必要はあるのかと疑問視されている。設定を大事にしていると言えばその通りなのだが、ゲーム的なテンポは削がれる。
      • またこの仕様故にオーズを強制される場面が非常に多く、本作はシナリオ進行で解放されるレベルキャップシステムがあるため、その面でもオーズ強制多用は不便である。
  • 敵のキャラ変更
    • 園咲家の面々やグリードたちが敵の首魁によって再生させられているのだが、その性格が原作を省みるといささかかみ合わない。
    • 和解したはずの園咲家がまたガイアインパクトを目論んでいたりクレイドールがフィリップに対しても容赦なく攻撃してきたり、メズールがガメルの世話焼きをろくにせずむしろ狡猾な性格になっていたりしている。
    • これらについて、明確に作中で説明されないため、原作を知る人間からは困惑されている。
    • ただし、ある程度は説明可能である。彼らは恐らく、コアエナジーで複製したガイアメモリとコアメダルを使用して生み出された本人の記憶を受け継ぎつつもそのキャラそのものではない、クローンとも呼べる存在である。現にフィリップが「偽物だとわかってるんだけどね……」と述べるシーンもある。
      • 園咲家は野望が最も強い時期が再生されており、グリードも複製コアメダルが無制限に供給される環境にある上に完全体として再生された*9ことで欲望の大半を満たされてしまっているため、と考えられる。
      • グリードは欲望こそが存在意義という怪人であるためかその影響は特にひどく、 メモリの半数を失ったW相手にカザリとウヴァの2名で挑んで返り討ちにされる 程に弱体化してしまっている。カザリはともかく、ウヴァはこれはこれでらしいと言えなくはないが。
      • このあたりは最初に登場した霧彦が、 他の面々に比べてあまりにも本人すぎた ため、その後に登場したキャラの違和感が強くなってしまっている面もある。

問題点

  • ストーリーは完全な一本道であり、探索要素は少ない。
    • 2周目要素や敵と連戦するサバイバルモードなど、多少のやり込み要素もあるが順当にプレイしても10時間程度でクリア可能とボリュームもやや少なめ。
    • キャラ数が少ないため、黒幕も読みやすい。
  • 折角のクロスオーバーなのにバトルでは共闘ができない。ストーリー自体は盛り上がる点も多いのだが、ムービーでは共闘しているのに、戦闘パートでは絶対に一人のライダーしか操作できず、バトル中は任意で交代する事が出来ず、他のライダーをサポートキャラに設定したりする機能もない。
    • 一応、理由を付けて別々に行動させる等のパートも存在するが、それ以外の時でも当然共闘はできず、ストーリーの展開から不自然に見える部分も少なくない。特に大半のボス戦ではそれが顕著である。
    • 容量の都合などもあるかもしれないが、クロスオーバーと謳うからには他のRPGやアクションゲームのようにパーティを組むシステムを導入してほしかったところである。
    • また、一人しか操作できない為、他のライダーも一緒にレベル上げを行ったりすることはできず、ライダーの強化で無駄に時間がかかってしまうという弊害もある。
  • 『W』のキャラは敵味方共に変身前の名前でも呼ばれるのに対して、『オーズ/OOO』『ゼロワン』のキャラは変身後の名称しか呼ばれないため、違和感が非常に強い。
    • アンクが一度もオーズこと映司を名前で呼ばなかったり*10、バース(後藤)が「照井警視」と呼ぶのに対して、照井は「バース」としか呼ばなかったり、挙句の果てに伊達が「俺は仮面ライダーバース・プロトタイプだ」と『コンパチヒーロー』並みの自己紹介をする。大人の事情だろうか?
    • 違和感を感じる程度ならまだ良かったのだが、ストーリー中でオーズが感慨深げにグリードたちの名前を呼ぶ際にも「ウヴァ、カザリ、メズール、ガメル、恐竜グリード」と原作のドクター真木を知っているとなんとも言えない呼び方をするなど、せっかくの雰囲気が台無しになってしまう弊害を生んでいる。
  • ライダーが本来できることとゲームのキャラとしてのライダーができることに差異がある。
    • シャッターが閉まる前に道を走り抜けなければならない状況でラトラーターコンボが使えるのにそれを思いつきもしないオーズ*11、工場に入るためには屋上に行かなければならないがその手段が無いので探そうとよりにもよって 飛行形態を持つアクセルが言い放つ 場面は特に顕著で、ストーリーの都合に付き合わされている感が強い。
  • ボスを倒した際には必殺技を放って撃破するという内容のムービーが流れるのだが、「通常技・必殺技問わず」「どのフォームで」倒していても、必ず通常フォームへ戻って必殺技を放って撃破する内容になるため違和感が激しい。
    • 各フォームに対応した撃破ムービーになっていれば批判も少なかったであろうが、恐らく時間や容量の都合で一つのパターンの物しか作れなかったのだと思われる。しかし、このような不自然な描写になるくらいなら撃破後のムービーから再びストーリーを始めるようにしておいた方が無難だっただろう。
    • また、細かいことを言えばこのムービーではどの敵も防御の体制を取ったり、虚を突かれてよろめいたり、体勢を崩されて立てない状態等の描写が無く、絶対に棒立ちのまま突っ立っているだけで、必殺技を打たれるのを待っているようにしか見えず、この点もやや不自然である。
    • ゲーム的に見ても、バトル後に暗転をはさみ、わざわざ基本フォームに戻って再度撃破シーンを流すという体裁を取っている為、当然テンポも悪い。
  • 通常版のゲームパートでは、原作のBGMがあまり使われない事と、やや簡素な作りであるため『プレミアムサウンドエディション』と比べるとやや盛り上がりに欠けることが多い。
    • 『プレミアムサウンドエディション』ではデフォルトで殆どのBGMが原作の物となっており、オプションで切り替えても違和感が募り、演出面でも劣るので結局原作のBGM一択となる為通常版のBGMに切り替えるメリットはあまり無い。
    • 最初からこの形態のみで販売した方が良かったと思われるが大人の事情でそのまま売ると値が張ってしまうのでオリジナルのBGMのみ収録した通常版を作らざる負えなかったのかもしれない。
      • とはいえ、『プレミアムサウンドエディション』はそれなりに値が張っているので買うには躊躇するうえ、通常版ではDLCのような形で後から別途購入することができない。
    • 『プレミアムサウンドエディション』の『ゼロワン』の収録曲が2曲のみの為、劇中のBGMがほぼ皆無で、『W』や『オーズ/OOO』の充実した収録曲と比べるとかなり冷遇気味に感じられる。
      • ゼロワンを操作してもそれらの曲しか流れない為、プレイしてるとマンネリ感や違和感を感じやすい。
      • ただし、これは仕方ないと思われる事情が存在する。詳しくは後述する余談を参照。
  • 操作するライダーを変更した際には絶対にどのライダーも立ち止まって決めポーズ・台詞を発してから操作パートに移行する。スキップができず、スムーズに操作へ移行できない為、ゲームのテンポが削がれてしまっている。
  • 敵の攻撃をタイミング良く回避するとカウンターを放つことができるが、その目安として出る「!」とジャスト回避のタイミングにズレがある。
    • 大抵の場合は「!」のほうが早く出るため、マークの発生に合わせるとカウンターが失敗しがち。幸いカウンターの受付時間はそれなりに長く、狙って出すよりは運良く発生したら活用するくらいの心づもりでいたほうが楽。
  • Wのサイクロンジョーカーエクストリーム、オーズのサゴーゾコンボやムカチリコンボで使えるガードが便利過ぎる。
    • 一応防いだ際にRPが消費されるのだが、防御していればHPへのダメージはゼロであり前後の硬直なども特に存在しない。きちんと敵の攻撃に合わせてガードを繰り出せば初見のボスですらほぼノーダメージで倒すことも可能。そもそも全体的に敵の攻撃モーションは意図的な隙が設けられておりガードのタイミングはかなり甘く、多段攻撃を放つ敵も多いことから、とりわけボス戦では回避を行うよりもガードした方が確実でRPの消費も抑えられる。

総評

ゲームそのものとしては佳作といったところだが、ライダーファン、特に『W』『オーズ/OOO』のファン向けとしては十二分以上の内容である。
ストーリーもライダーゲーとしては十分及第点であり、「2020年度のMOVIE大戦」と評す声も見られている程*12。 ファンならプレイして損は無いゲームと言える。


余談

  • 発売前に公開された公式プレイ動画では派手さが足りず非常にテンポが悪そうに見え、ゲーム雑誌でも低めの評価と、ぶっちゃけ「見えている地雷」扱いであった。
    • ところが実際に発売されてみれば良い意味で評判をひっくり返しファンを喜ばせた。
  • 本作も新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けたと思わしき部分が散見されている。
    • 高橋氏が本作の声の収録を行ったのが発売から1年ほど前であり、『ゼロワン』放送終了後に発売したゲームとしてはかなり演技が拙く感じられる。
    • ゼロワンのフォームチェンジにおいて派生フォームがフライングファルコンだけであり、それ以外はシャイニングアサルトホッパーとメタルクラスタホッパー、ゼロツーと上位フォームのみの収録となっている。
    • 『プレミアムサウンドエディション』においても『ゼロワン』からの選曲が主題歌『REAL×EYES』と映画『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』の主題歌『Another Deybreak』のみ。
      • これらの点から、本来は『ゼロワン』放送中に発売されるものだったことが推測される。もっとも、放送中に発売していたらゼロツーは登場できなかった可能性が高い*13ので、その点では怪我の功名と言えるかもしれない。
  • 変身前となる左翔太郎と火野映司の3Dモデルも登場するが、演じた役者陣の肖像権に配慮してか、イベントムービーにおけるカメラワークでは顔が映されない。
    • 翔太郎はプロローグにて変身前の状態でも動かすことができ、カメラ操作により顔を映せるが目元が暗く覆われているなど、徹底した配慮が行われている。
  • OPムービーではストーリーのムービーを兼ねているという都合なのかWしか登場せず、他の登場キャラも『W』に偏っていることやゼロワンの扱い、全体的なストーリーの空気から「本来は『W』のみでゲームを作る予定だったが、商業上の理由から『オーズ/OOO』『ゼロワン』を抱き合わせることで発売にこぎつけたのでは?」という憶測を呼んだ。
    • また『W』の扱い、登場キャラの声優起用から「『W』の続編である漫画『風都探偵』をアニメ化する為の布石では?」という憶測を呼び、後に仮面ライダー生誕50周年企画の1つとして『風都探偵』が実際にアニメ化され、キャラの役については本作のキャストが引き継がれている。
      • ただし、『アニメ 風都探偵 公式ガイドブック』掲載の監督インタビューによれば、ゲーム版のキャストは気にしなくていいと言われていたとのことで、引き継がれたのは監督の意向による。
  • 財団Xとオーズが登場しているためか、本作で扱われていない『仮面ライダービルド』と『仮面ライダーエグゼイド』が主役の映画『仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』より、Xガーディアンが登場している。
  • ゲームとしての内容は決して悪くないが、本人ボイスではないという前情報が足を引っ張ってか初動売上は芳しくなかった。続編の構想はあるようだが、実現できるかは未知数である。
最終更新:2025年01月21日 13:01

*1 劇場版では彼が本来使っていたジョーカーメモリとは別のジョーカーメモリですら真っ先に翔太郎のもとにやって来るなど、劇中では何かと翔太郎との相性の良さが強調されている。

*2 メタ的な事を言ってしまうとオーズは派生フォームが異常なまでに多いため、コンボの常用にゲーム的な説明を付けるためであると思われる。

*3 後藤は元は警察官だったが『オーズ/OOO』本編が始まる頃には鴻上ファウンデーションに所属しており、最終回にて刑事に復職するという経歴を持つ。刑事としての後藤はほとんど描写されていないため、照井にシンパシーを感じる後藤の姿にピンと来ないファンも少なくない様子。

*4 技ゲージが続く限り飛行し続け、攻撃もできる。高度を上げれば一方的に攻撃したりも可能(格闘の追尾が微妙なので、飛行攻撃が射撃タイプのキャラ限定だが…)。

*5 『W』における挿入歌は舞台である風都のラジオで流行っている曲という設定があり、放送当時は実際のラジオでもタイアップが組まれることもあった。また、登場キャラクターのひとりがラジオの人気DJという設定でフィーチャーされるなど、ラジオと『W』は切っても切れない関係がある。

*6 エンドクレジットだけでなく、予告編や公式サイトではちゃんとキャラクター紹介の時にも声優の名前がゼロワンと同様に一緒に表記されている。

*7 ちなみに、鈴木氏は『ネット版 仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大変 ~犯人はダレだ?!~』でオーズを演じたことがある。

*8 オーズのスーパータトバコンボやWのファングトリガーなど。

*9 グリードは元々、完全な状態から不完全な状態にされ「常に満たされない」状態にされたことで強い欲望を抱いて形成された存在で、メダルを失うとそれだけ弱体化してしまう。それに対して、本作の彼らはメダルを失っても完全体のままという「完全体グリードという完成品」として創り出されている状態と言える。

*10 逆に「オーズ」とも呼ばない。

*11 結局ジョーカーがハードボイルダーを駆り突破するのだが、ラトラーターコンボは設定上バイク以上の走力を誇る。

*12 2020年はMOVIE大戦に当たる冬映画が製作されていなかったこともこの意見を後押ししている。「新人(ゼロワン)がやたら強いのもMOVIE大戦っぽい」と冗談めかして語るファンも。

*13 原作中で披露されたのが最終盤であるため、どう頑張ってもまず制作や収録が間に合わない。