ファンタシースター
【ふぁんたしーすたー】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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セガ・マークIII セガ・マスターシステム
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メディア
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4MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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セガ・エンタープライゼス
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発売日
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1987年12月20日
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定価
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5,715円(税抜)
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セーブデータ
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5個
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) |
配信【Wii】
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バーチャルコンソール 2009年4月21日/600Wiiポイント
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判定
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良作
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ファンタシースターシリーズ
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概要
セガが開発、発売したRPG。4Mカートリッジソフトとして鳴り物入りで発売されたSF-RPGである。
後にプラットフォームをMDに移しシリーズ化された、「ファンタシースター・アルゴル太陽系編」シリーズの第一作目。
特徴・評価点
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マスターシステム史上最高と呼ばれる、FM音源で奏でられる美しいBGM。
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同じくFM音源を使っている後続機のメガドライブの諸作品にも引けをとらない名曲がゲームを彩る。
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SF(空想科学・宇宙ファンタジー)テーマを取り入れたRPGの先駆け。剣と魔法のRPGに対する別のアプローチとして、データイーストが荒廃世界の『メタルマックス』を、ハドソンが和風ファンタジーの『天外魔境 ZIRIA』を発売し、そしてセガは本作でこのアプローチをした。
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ただ、それであるにもかかわらずキャラを蘇生させるのが教会だったのは御愛嬌。後のPS2リメイク版では別の施設に変更されている。
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一般的なファンタジーRPGに登場するモンスターや、機械化された魔導師など間の子のような敵キャラが出てきたりなど、非常に豊富な敵のバリエーションなどで一辺倒にならないようになっている。
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また、主人公アリサはこの当時の年代で急増しつつもRPGではまだまだ珍しかった女性主人公。仲間にも動物キャラのミャウがいるなど、メンバー編成も異彩を放っていた。
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宇宙船を利用して3つの惑星で冒険を進めていくというアプローチは文字通り桁違いのスケールであり、世界観やその奥行きがさらに壮大に感じられる。
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宇宙船のほかに地上移動用マシンも3種類あり、それぞれに突破可能な地形が用意されている。
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滑らかなアニメーションで突き進むダンジョン。当時プログラマーであった中裕司氏が大いに腕を見せたとされる。
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余談だが開発時のダンジョンは製品版よりもさらに高速にアニメーションしていたが、あまりにも速過ぎてプレイに支障をきたしたためにウェイトをかけようかという話もあった(圧縮の結果ちょうど良い速度となったとのこと)。
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エンカウントする敵のアニメーションもなかなかの動き。以降の作品でも敵のアニメーションは踏襲されている。
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敵によってはアニメーションが長すぎる敵(ゾンビ系など)もいるのが玉に瑕だが、次回作以降ではこれも改善されている。
賛否両論点
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3Dダンジョン
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ここで挫折した人が多い。特にSS版の『コレクション』までは、攻略本も攻略サイトもない上に、自分がどこにいるのかが解る簡易MAPも存在しないので非常に迷う。
逆に3Dダンジョンのマッピングに慣れている人には非常に熱いのであるが、ラスボスがいるマップはマッピングは不必要というくらい簡単なものである。
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『ファンタシースターII ~還らざる時の終わりに~』以降の作品では3Dダンジョンは採用されていない。
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BGのパターンが足りなかったため「横の扉が表示されない」というトラップも存在する。
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どこでもセーブが可能な点。一見問題ないように見えるが、実は手詰まりの危険性をはらんでいる。
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特に地上への帰還手段が移動マジック・移動アイテムのみとなるエアキャッスルで発生する可能性が高い。
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また、洞窟が連続しているところで、ライトペンダント無しで進入し、マップ内でサーチライトを落とす敵に出会わない場合、サーチライトが切れて詰む場合がある。
このように、エアキャッスル以外・かつダンジョンのみセーブ不可能だったとしても、詰むパターンが存在する。
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制作者自身が「あの頃はRPGの作り方をよくわかってなかった」と弁明していた。
問題点
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ゲームバランスはやや大味気味。
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敵は同じ種族の敵が複数登場する形式なのだが、敵を一体ずつ選択する事が出来ない。
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アニメーションの関係もあってか、表示される敵は一体のみで一目では分かりにくい。出現数は右上のウィンドウに並ぶ名称と残HPで確認せねばならない。
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アニメーションのカットが出来ず、一部の敵のアニメーションが長いためストレスが溜まる。代表的なのは前述の「ゾンビ」で、アニメーションが長いうえに出現数が多い。集中攻撃して確実に数を減らすということが出来ないため時間がかかりやすい。
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敵全体を攻撃する事が出来る「銃」があるのだが、固定ダメージ+攻撃を外すことが無い仕様のため、強い銃ほどゲームバランスを崩しやすい傾向もある。単純に使わなければいいだけの話ではあるが。
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エンカウント率が非常に高く、一~二歩歩いただけで敵が出てくることもザラ。
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さらに3Dダンジョン内では敵から逃げると一歩後退する仕様のため、せっかく逃げることに成功したのにすぐにエンカウントしてジリ貧になることも事も。
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一応、敵から逃げる事が出来るアイテムやマジックは用意されているが、使うのが煩わしい。
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この時代としては仕方のない面もあるが、容量の都合でメッセージが全てカタカナ表示のためやや読みにくい。
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実はレベルを最大まで上げるとステータスがオーバーフローしてかえって弱くなるというバグが存在する。
総評
ゲームバランス面が大味気味という問題があるものの、美しいBGMや「SFテーマのRPG」という方向性を開拓し、人気シリーズの幕を開いた作品。
その後の展開
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先述の様にアルゴル太陽系シリーズは本作の後にプラットフォームをメガドライブに移し『II』『III』『千年紀』と続く。
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アリサ、ルツ、ミャウ、タイロンは2以降のシリーズのみならず、オンライン、ユニバース派生シリーズでも、それぞれ重要な役目、装備アイテム・ルームグッズなどのモチーフなどで登場している。
移植
ファンタシースター 復刻版
【ふぁんたしーすたー ふっこくばん】
対応機種
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メガドライブ
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発売・開発元
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セガ・エンタープライゼス
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発売日
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1994年4月2日
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定価
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4,800円(税抜)
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判定
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良作
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復刻版の名の通り、中身はマークIII版そのままのプログラムである。
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MDにはマークIIIとの互換性のあるモードがありそのモードで動かしているが、MDのFM音源では再生できない上にカセットの内部回路上にFM音源チップを載せていないため本作もBGMはPSGしか鳴らない(プログラムがそのままなのでFM音源のデータ自体はある)。
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元々は『IV』の最強コンビネーションアタック発動方法を送付すると抽選で本作が貰えるキャンペーンの賞品だったが、ユーザーの強い要望で一般販売されることになった。
ファンタシースターコレクション
【ふぁんたしーすたーこれくしょん】
対応機種
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セガサターン
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発売・開発元
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セガ・エンタープライゼス
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発売日
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1998年4月2日
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定価
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4,800円(税抜)
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判定
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良作
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初期4部作の移植作品。
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移植度自体はオリジナルとほぼ同じでユーザーフレンドリーな追加要素で遊びやすさも向上しているが、サターンのスペックもあり若干のロードが発生する。特にIVでは戦闘の前後で長めの読み込みがあるなど快適性は落ちる。
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内容はほぼそのままだが、Iではメッセージのひらがな混じりを選択可能、その他移動速度が変更出来たりセーブデータが増えていたりとより遊びやすくなっている。
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本編以外にイラストやTVCM動画などのおまけ資料も収録されている。
SEGA AGES 2500シリーズ Vol.1 ファンタシースター generation:1
【せがえいじす2500しりーず ぼりゅーむ1 ふぁんたしーすたー じぇねれーしょん1】
対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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スリーディーエイジス
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開発元
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日本アートメディア
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発売日
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2003年8月28日
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定価
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2,500円(税抜)
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判定
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良作
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SEGA AGESシリーズ
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初のリメイク作品。
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3Dダンジョンのフルポリゴン化を始めとするグラフィックの大幅な向上や台詞の増量、イベントスチルの挿入などがある。
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キャラクターデザインやパッケージイラストはソニックチームが監修している。
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初回版にはシリーズ特典であるルーズリーフ型ライナーノートを収納するためのバインダーが付いていた。
SEGA AGES 2500シリーズ Vol.32 ファンタシースター コンプリートコレクション
【せがえいじす2500しりーず ぼりゅーむ ふぁんたしーすたー こんぷりーとこれくしょん】
対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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株式会社セガ
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開発元
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M2
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発売日
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2008年3月27日
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定価
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2,500円(税抜)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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配信
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ゲームアーカイブス 2012年12月19日/800円
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判定
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良作
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SEGA AGESシリーズ
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初期4部作の国内版・国外版の他、『ファンタシースターII テキストアドベンチャー』と、シークレットタイトルとして『ファンタシースターアドベンチャー』『ファンタシースター外伝』が収録されている。
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SS版の仕様に加えてボタンカスタマイズに画面の明暗、敵の強さや獲得資金の増減難易度選択機能も追加された他、取扱説明書の原画イラストや当時の発売チラシなど関連資料も収録。
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復刻版セガサターンコントロールパッドfor"PlayStation 2"にも対応。
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なお、リメイク版のデータは共有不可能となっている。
SEGA AGES ファンタシースター
【せがえいじす ふぁんたしーすたー】
対応機種
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Nintendo Switch
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発売元
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株式会社セガゲームス
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開発元
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M2
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発売日
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2018年10月31日
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定価
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925円(税抜)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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第4期SEGA AGESの第3弾。コンプリートコレクションがベースのため、移動速度アップ等のAGESモードも収録されている。
とはいえその時点からフルエミュレーション移植なので、実際には実機のエミュレーションとも言える。
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ひらがなカタカナ混ざりの文章にするため、メモリ容量を増設する等、第3期SEGAAGESである3D復刻プロジェクト同様、単純なエミュレーションにとらわれない拡張をしている。
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迷うと評判の3Dダンジョンがオートマッピングされるのが最大の更新点。他にも遭遇したモンスターの情報が見られる「モンスター図鑑」や海外版のFM音源化、マジックやアイテムリストの収録という追加要素もある。
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この内モンスター図鑑の実装は困難を極めた。限られたROM容量にデータを詰め込もうと、モンスターのグラフィックについてはそれぞれに最適な圧縮や展開のルーチンを用いるという手段を採っていたために、データを容易に抽出できなくなってしまっていた。
最終的にとあるモンスターだけどうしても呼び出せず、ドット絵を目コピすることに。こんな所で改めて当時のゲーム開発事情と中裕司氏の凄まじい手腕を目の当たりにし、堀井社長をして「中裕司さんに負けた」と言わしめた。
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この解析に手間取った関係で、第1・2弾に引き続いて更に発売日が伸びてしまっている。また、当初より「世界同時配信」をシリーズ目標としていたが、この作品のみ地域別に順次配信という形が採られた。
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尚、データ圧縮の仕様については、当の中裕司氏もTwitterにて「デザイナーさんが描いてくれた絵のデータを入れると色んな圧縮を試して1番圧縮率が良いのをデータとして出力するのを僕が作ってました」と「忘れてしまった」と発言している。
余談
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本作との同時期発売は「アフターバーナー」だった。
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容量は同じ4M(ビット)で価格も200円違うのみ。どちらかを選ばざるを得ないことも多かったであろうが、アーケードからのファンが多いセガユーザーの多くはアフターバーナーを選んで涙を飲み、家庭用オリジナルの本作を買ったユーザーを羨んだという悲惨な逸話がある。
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おまけがついているわけでもないのに、倍の大きさのパッケージで売られていた。
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今でこそ言われることはほぼ無くなったが、本作はタイトルを「ファンタジースター」、略称を「FS」と間違われることも多かった。
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ファンタジー(Fantasy)では無くファンタシー(Phantasy)なのは、プログラマーの中裕司氏が当時の酒井法子ファンで、「渚のファンタシー」からの命名という、微笑ましいというか、がっくりくるというか…。
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ダンジョンの奥深くにケーキ屋があるというイベントは本作発祥。
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その際の台詞である「こんなところにケーキ屋があってごめんなさい」は後のシリーズでも使われることになる。
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さらに他のダンジョンの中にガスクリア販売がありその際も台詞である「こんなところに・・・」があるが殆ど知られてない。
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シリーズ通じてのボスキャラとなる「ダークファルス」の正式なスペルは元々は「Dark Phallus」であるが、海外版では「Dark Falz(『III』海外版のみDark Force)」となっている。
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元々敵の名前の表示部分が8文字しかとれないのと「Phallus」のスペルがいろいろと不味い意味を含んでいたための措置だと思われる。
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その、よくネタにされる「いろいろと不味い意味」だが、たしかに英語圏では放送禁止用語になるが、元になったギリシア語では「膨らませるモノ」の意味がある。「闇を膨らませるモノ」となれば全然問題無いが、「◯◯◯が膨らむ…」ともっと連想させてしまう発展も。
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その後『PSO』にて「ダークファルス」の正式スペルは、海外版で展開していた「Dark Falz」に統一された。
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実は本作の「ダークファルス」は2体出現している。これはHPが1バイトで管理されており、255を超える値を設定できなかったことによる苦肉の策である。最初は2回攻撃してくるが、途中から1回攻撃になるのはこのため。
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のちのシリーズで語られる、「ダークファルス」は複数存在するという設定は、偶然ではあるが本作から実装されていたことになる(設定上の本作での扱いは1体であると思われるが)。
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サムスン電子がローカライズした韓国語版が存在する。
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タイトル画面も韓国版オリジナル。ハングルが8×16ドットで表示されるのは日本語版よりリッチ。ただFM音源に対応していないのが残念。
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初期プロットでは「パルマ」「モタビア」「デゾリス」の他に霧の星「レクシオン」が存在したが容量の関係で削除された。また途中まではバックアップセーブの他にパスワードセーブの機能もついていたが、これも容量不足でカットされた。
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本作のグラフィックデザインは小玉理恵子氏が中心となって手掛けられているが、プレイヤーキャラであるタイロンのデザインは『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』のキャラデザインでも知られる大島直人氏によるもの。
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エンディングの最後に出てくる4人が揃った一枚絵について小玉氏は「(開発終盤になって)エンディングにアリサたち4人の絵を出したいという話になったが、4メガの容量をほぼ使い切ってしまったのでどこにも絵を入れられない状態だった。そこで中さんがプログラムを詰めにつめた事で少しだけ容量を空けてもらうことができたので、(本当にわずかな容量だったものの)プログラムを整頓して容量を空けてくれた気持ちに応えるためにもあの絵を入れた」旨を述べている。
最終更新:2024年07月22日 13:31