CrossCode
【クロスコード】
ジャンル
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2DアクションRPG
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対応機種
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Windows/Mac OS/Linux(Steam) Nintendo Switch PlayStation 4 Xbox One |
メディア
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ダウンロード
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開発元
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Radical Fish
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発売元
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DECK13 Spotlight DANGEN Entertainment
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発売日
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【Win/Mac/Linux】2018年9月21日 【Switch/PS4/One】2020年7月9日
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定価
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【Win/Mac/Linux】1,980円 【Switch/PS4】2,200円 【One】2,350円 ※価格は全て税込み
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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判定
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良作
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ポイント
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MMO風アクションRPG 緻密で滑らかに動くドット絵 喋れない主人公 難易度の高すぎるパズル
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概要
ドイツを拠点とするスタジオRadical Fish Games開発のインディーズゲームで、ローカライズはパブリッシャーのDANGEN Entertainmentが担当している。
このスタジオに所属する12人のメンバーは周辺の国々にも住んでいるため、リモートで開発をしている。本作はクラウドファンディングで開発資金を集め、スタジオ初の作品としてリリースされた。
ストーリー
インスタテインメント社によってに開発されたMMORPG「クロスワールド」。現実に存在する衛星の上に築かれたプレイグラウンドには衛星の風景と、リモート制御可能な素材である「インスタントマター」によって物理的構造と仮想のプログラムされた要素の独自の組み合わせが実現していた。
プレイヤーはダイブ型機器「クロスギア」を用い、インスタントマターで形成されてアバターを通してゲームへとアクセスしていた。
現実世界の技術維持のためにプレイグラウンドを周回する貨物船「M.S.ソーラー号」で目覚めた少女「レア」はどうやってここに来たのか、自分は誰なのか思い出せなかった。しかし考える間もなく浮遊するディスプレイに映った「セルゲイ」という男や、貨物船の船組員にゲームの仕組みを理解するための課題を与えられる。
レアは課題を難なくこなしたのちに彼女は自分がゲームの中にいること、自分の体は船員達とは違いアバターであること、ゲームをプレイすれば自身の記憶が戻るかもしれないという説明を受ける。
会話モジュールの不具合で話すことができない代わりに特定の単語を話せる機能をセルゲイからプレゼントされ、戦闘訓練をしていると謎の青いアバターからの襲撃を受ける。その攻撃から逃げるようにしてクロスワールドへと転移する。
自分の過去を探るため、革命的なMMOゲームが現実と交差する世界を制覇しよう!
システムと特徴
見下ろし視点のドットで描写されたアクションRPG
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感覚としては「ゼルダの伝説」シリーズの2D作品に近く、四角く区切られた大小さまざまなエリアを行き来する造りとなっている。
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マップの各所にランドマークが存在し、非戦闘状態であればいつでもどこからでもテレポートが可能。
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町や村にはアイテムの売買できるショップの他、植物やモンスターから取得した交易品を取引するトレジャーショップが存在し、通常の店では入手できない強力な装備品や消耗品を入手できる。
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モンスターを攻撃したり、一部の好戦的なモンスターに近づくと戦闘状態に移行する。戦闘状態ではメニューが開けず自動回復が発動しない。
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本作にはコンバットランクというものが存在し、戦闘状態のままモンスターを倒し続けると上昇する。
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コンバットランクが一定以上でなければドロップしないアイテムが存在したり、最大であるSランクに上昇するとモンスターのリポップが早まるなどの恩恵がある。
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戦闘状態のモンスターが近くにいない状態が一定時間続くか、その状態でスキップボタンを押すことで戦闘状態は解除される。
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戦闘状態でなければいつでもセーブできる。またマップ移動毎にオートセーブが作成される。戦闘でやられた場合も最後にセーブされた状態から再開される。
基本アクション
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基本アクションは近接攻撃、遠隔攻撃、ガード、ダッシュ(回避)の4つが存在する。
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近接攻撃は連続で3段階まで存在し、ダッシュと組み合わせることで隙をキャンセルすることができる。
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遠隔攻撃は狙いはじめはブレがあるが、時間経過でブレがなくなっていく。ある程度照準を構えているとチャージ攻撃となり、威力が上昇するほか、壁を反射するようになる。
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ガードは押し続けることで(基本的に)正面からの攻撃を軽減することができるが、攻撃をガードし続けるとガードブレイクとなり一定時間ガードが使用不可になる。
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攻撃が当たる瞬間にガードすることで被ダメージを完全に防ぎ、かつガードブレイクもしないパーフェクトガードが存在する。
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ダッシュは短い距離を移動することで攻撃を回避できる。通常の移動では避けられない攻撃も多い。また3回まで続けて出すことができ、4回目以降はほとんど移動できなくなる。
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後述するサーキットで該当のものを習得している場合はこれらのアクションは中に必殺技ボタンを押すことでSPを消費してコンバットアーツを使用することができる。
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腰ほどの高さであれば飛び乗ることができ、崖に向かって移動すると短い距離をジャンプする。
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これらはダンジョン攻略にも活用され、十分に駆使しなければ取得できない宝箱がフィールドの様々な場所に配置されている。
自由度が高く、歯ごたえのある戦闘
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サーキットという一般的なゲームでいうスキルツリーに該当する機能が存在し、レベルアップ時に取得できるCPを消費してスキルを取得できる。
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サーキット内のコンバットアーツとそれに連なるスキルは選択式となっており、どちらかを選ばなければならない。
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ダンジョンクリアで入手できるサーキットオーバーライドというアイテムを序盤から行ける場所で使えばCPの振りなおしも可能。一度アイテムを消費すればマップ移動やタイトルに戻らない限り何度でも振りなおせる。
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ストーリー進行に応じてエレメントモードを切り替えられるようになる。エレメントには火炎、冷気、電撃、波動の4属性が存在し、無属性と合わせた5つが存在する。
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各エレメントやモンスターには弱点や耐性が設定されているので必要に応じて切り替える必要がある。
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無属性以外の状態で攻撃やアーツを使い続けるとエレメントオーバーロードが発生し、一定時間どのエレメントモードも使用できなくなってしまう。
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エレメント別にサーキットが存在するので、属性毎に近接特化や防御と回復優先のようにエレメント別に戦法を変えることもできる。
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属性ごとにある程度の性格付けはされている。例えば波動属性は体力や回復力、冷気は防御に特化したスキルが多い等。また各アーツも属性によっては2段階までしかない上に分岐もないという具合に得手不得手がある。(サーキットが貧弱なだけであって必ずしもその技が弱いという訳ではない。)
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回復やバフに関わる食べ物は食事モーション中に攻撃を受けるとキャンセルしてしまう他、リキャストが存在するので過信はできない。
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登場するモンスターは一癖も二癖もあり、よほどステータスに差がなければ考えなしに攻撃してもダメージが与えられない。特定の行動後にスタンしたり、特定のタイミングで攻撃を当てるとブレイクしたりするので、動きを見極める必要がある。
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なおアクションが苦手だという人への救済処理として敵から受けるダメージや攻撃頻度をオプションで下げることができる。
豊富なクエストとやり込み要素
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マップの各地には100を超える膨大なクエストが存在し、単なるお使いだけでなく特別な仕掛けを使用したり、ボスが居たりとバリエーションが豊富に用意されている。
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報酬はEXPやゴールドに店売りしていない装備品や入手困難な交易品が主なので、やれば攻略に役立つが必須ではないという具合。
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序盤から終盤までの地続きのものや、ミニゲームに近いものがあったり、特定のNPCを連れていることで会話イベントが変化したりもするので飽きにくいよう配慮されている。
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マップ各地には宝箱や各地名産の植物が配置されている。
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宝箱からは珍しい交易品や、店売りしていない装備品、消耗品が入手できる。いずれも必須ではないが、フィールドそのものにパズルとしての側面もあるので、高台に見える宝箱を目指してマップを行き来することになる。
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植物にはレア度が設定されており、各種類一定数破壊することで図鑑に登録される。また破壊時にドロップするアイテムは交易に使用できるが、中にはドロップ率1%のものも存在する。レアな植物を求めてマップを右往左往することになる。
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図鑑などの様々な要素の集大成であるトロフィーは取得に応じたポイントをニューゲーム+の解禁要素に使用することができる。
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中にはその周回でトロフィーを取得するチャンスが1度しかないものも存在するが、全セーブデータで共有してはいるので気にする人への配慮はなされている。
評価点
絶妙なバランスで調整された完成度の高い見下ろし型2DアクションRPG
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フィールドを探索して武器を更新し、レベルを上げて主人公を強化しながら、ダンジョンを攻略していくアクションRPGとしてかなりの完成度を誇る。
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限られた回復に対して、一撃で多くの体力を奪っていくモンスターに対抗するため、スキルや装備を見直したり何度も挑んで体に攻略法を叩き込まなければならない。また一見理不尽に見える攻撃でもパターンや予兆が存在し、ダメージを受けたときに自分のせいだと思えるような絶妙な難易度で調整されている。
ギミックバトルを含むボス戦
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ボスモンスターは基本的にダメージが通りにくく、動きを読みながらステージや敵の攻撃を逆利用しつつブレイクを狙わなければならない。
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ブレイクに利用するギミックは道中攻略したダンジョンのギミックを使うため、直感的に理解し易い。
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こちらの動きに合わせて攻撃をしてくるので安易な安置は存在せず、攻撃の隙も少ない。
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一定のラインで体力ゲージが区切られているので装備やレベルを上げれば余裕ということはない。
スーパーファミコンを彷彿とさせるドット絵による緻密で滑らかに動くドット絵
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戦闘グラフィックから立ち絵、モンスターやフィールドの草木まで丁寧に描かれたドット。
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攻撃モーションはドット絵であることを忘れてしまうほどに滑らかに動き、高レベルのコンバットアーツはそれに見合うだけのダイナミックな演出をしてくれる。
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特にダンジョンの最奥で待ち構えるボスは巨大なこともあり、とても迫力がある。
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各フィールドも鮮やかだが、スイッチのようなギミック部分は機械要素で区別され、破壊可能なオブジェクトも光ることで視認性が保たれている。
MMOを疑似体験できる世界観とキャラクター達
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オンラインゲーム内の出来事であるという設定が程よく活かされている。
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ゲーム上の大陸の形から通称クロワッサンと呼ばれるところから始まり、先輩風を吹かすプレイヤーに、「村へようこそ」という定型文しか言わないNPCに気さくに話しかけるプレイヤー、「アイスクリーム屋を開くために山から氷を取ってきてくれ」というクエストに対して「中世じゃないんだから」とツッコミを入れたり、運営への文句を垂れるプレイヤーなどなど……。
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主人公のレアはいくつかの単語以外喋ることができないが、その代わりに表情が豊かで感情移入もし易い。
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驚いた時には目も口も大きく開き、得意げな時は見事なドヤ顔を披露してくれる。
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使える単語が増えた時には嬉しそうに「やぁ!レア!やぁ!」と喜びを表現したりもする。
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それ以外の主要キャラクターも好きな物や嫌いな物に反応する。
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ストーリー進行に応じて他のプレイヤーを連れ歩くことができるのだが、リアルでの思い出話を聞かせてくれたり、モンスターに対する考察をし始めたりと会話パターンも多種多様に用意されている。
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イベント限定ではあるが、PvPやダンジョン攻略競争をしたりと、楽しくMMOの世界を体験することができる。
ゲームを盛り上げる良質なBGM
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作中の楽曲はインストゥルメントが主体で落ち着いた雰囲気を醸し出すものが多い一方で、戦闘シーンなどではシンセ音に寄せたハイテンポな曲が多く臨場感あふれる仕上がりであり、全体を通して粒揃いで非常に評価が高い。
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DLCの追加楽曲は作曲者が変わっており、このことで雰囲気が変わってしまうのではとの心配の声もあったが、しっかりと作風を受け継いだ仕上がりでこちらも高い評価を受けている。
賛否両論点
やりごたえがありすぎるパズル要素
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ストーリーの合間に挟まるダンジョンが難しすぎる。
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詳細は省くが、ギミックの性質をフル活用したうえで、壁の跳ね返りなどを計算しなければならない。
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ギミックの性質は早い段階で理解できるような構造になっているが、チュートリアルがあるわけではないのでそこで躓いてしまったら目も当てられない。
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また、アクション要素があり、時間以内(もしくは時間ぴったりに)複数の手順をこなさなければならない場面もあり、その時間調整が絶妙。
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フィールドの宝箱も見えていてもたどり着くのが難しい。
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腰段の高さしかあがれない為、高い位置にある宝箱を取るために数マップ隣のエリアから道伝いに移動しなければならない場合もあり、それに気が付かず同じマップを彷徨う可能性もある。
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見下ろし型であるが故に高さや奥行きが分かりづらく、飛び乗ろうとしたら川や奈落に飛び込むということが起きやすい。
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とはいえそれらを越えた時の達成感は代えがたいものがある。
スキル・アーツの当たり外れが激しい
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サーキット・装備で得られるスキルやコンバットアーツだが、有用な物とそうでない物との差がかなり激しい。
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スキルで言えば一定時間毎にHPを自動回復する「HPリジェネレーション」は絶対的に強く、有無でゲーム性が大きく変わるレベル。他にパーフェクトガードの性能を上げる「ロイヤルガード」・「リポスト」はシナジーが強く、併せ持つと多段攻撃すら無傷で耐えることも容易に。逆にバフ(アイテム効果)の枠を一つ増やす「アペティート」はアイテム使用時のクールダウンとの相性が悪く使いづらい等。
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アーツではどの属性でも使いやすい近接・スローアーツに対しダッシュ・ガードアーツは出しどころが難しく使いづらい。特にダッシュアーツはダッシュ中に入力というコマンド自体若干出しづらい。
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だが一方で波動属性のダッシュアーツ「ワープデコイ」は数秒間残像で敵を引きつけるという特殊なもので、敵の大技を容易に避けたり、正面からダメージが通らない相手を後ろから殴りつけられるといった極めて有用なアーツであったりもする。
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問題なのは有用かどうかは試してみないとわからない点で、サーキットは基本的に一度マスを取得したら戻せないし、装備は素材や金を消費するという点で気軽に試しにくい点である。が、その辺りはこの手のゲームに共通する要素であり、色々試して強い組み合わせを見つけるのが楽しさだと感じるプレイヤーもいるため一概に悪い要素とは言えない。
主人公のクラスしか使えない
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ゲームの設定がMMOであり、他のプレイヤーが使用しているにもかかわらず、主人公であるレアの使用クラス「スフィロマンサー」しか操作することができない。
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パーティを組める別のプレイヤーが高速近距離型の「ペンタフィスト」や、遠距離魔法型の「ヘキサキャスト」としてコンバットアーツを使用するなど作り込みもしっかりしている分残念だと感じやすい。
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ただ、スフィロマンサーとしてのアクションだけでもかなり豊富なので、2,000円程のインディーズであることを考えれば十分なボリュームではある。
ストーリーが不完全燃焼で終わる
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本筋としての結末は迎えるのだが、意図的にいくつかの伏線を残しており、DLCありきの終わり方をしている。
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ネタバレを含みます
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本作の黒幕であるキャラは自ら退場するに留まり、ある意味その被害者といえる人物がラスボスとして立ちはだかることになる。
補足として黒幕の人物は回想で優しい人物であることなどが語られるのだが、やっていた行いに対してのフォローとしては足りない部分が多い。
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DLCも含めて回収しきれていない細かい伏線もいくつかある。また、プラットフォーム毎に用意された専用クエストがあるのだが、他のプラットフォームからすると意味ありげに見えて何のイベントも起こらない建物もあったりと不親切。
問題点
コントローラーでの遠隔攻撃が難しい
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マウスキーボードでの操作なら問題ないが、コントローラー操作の場合に遠隔攻撃がしづらい場面がある。
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右スティックを倒した方向に遠隔攻撃をするのだが、パズル要素で壁反射を使う際にミリ単位での操作を要求されることがある。
マップが見づらい
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マップではランドマークの位置、別エリアへの接続と、侵入可能な建物の有無、大まかなエリアサイズと交易エリアの位置ぐらいしか判別できず、使いづらさが目立つ。
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マップの機能としてそのエリア全体の宝箱の総数と取得数、スタンプ機能があるが、宝箱は範囲が広すぎて使いづらく、開けた宝箱の位置を記憶してくれるわけではない。スタンプも主人公が今いるエリアしか表示されないので、どこにスタンプを押せばいいかがわかりづらい。
機種によってはエラーが発生する
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Switch版にてイベント中(夢の中の回想に切り替わるタイミング)にエラー終了が発生した。
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何度か発生したが全て別のシーンで1回限り発生。
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イベントシーン単位でオートセーブがされている為大事には至らなかった。
クエストハブに表示されないクエストがある
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街ごとにあるクエストハブでは、その街と周辺フィールドでのクエストが表示されるのだが、不具合なのか一部のクエストは全く表示されない。
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DLCでは全域の未消化クエストが表示されるクエストハブも用意されたが、やはり表示されないクエストはいくつかある。
総評
ドット絵で描かれた見下ろし型2DアクションRPGとして素晴らしい完成度を誇る。
だがしかし、難易度の高いパズル要素が良くも悪くも足を引っ張っており、人を選ぶ作品となっている。
MMOの雰囲気が好きな人、カスタム性の高いアクションをしたい人、寄り道をするのが好きな人、唸る程の高難易度パズルをやりたい人にお勧めできるが、それらのどれかが苦手な人には向かないかもしれない。
緻密なドット絵の世界をレアと一緒に冒険してみてはいかがだろうか。
余談
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2019年12月20日Steamにて有料DLC「CrossCode - Ninja Skin」が配信された。
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単なる見た目を変えるスキンでクラウドファンディングの特典でもある。
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2021年2月26日にSteamにて有料DLC「CrossCode: A New Home」が配信された。
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本編エンディング後のエピローグを描いた追加シナリオ。本編で明かされなかった伏線部分の補完、マップやサイドクエストなども追加されている。但し、前述の内容から1度本編のグッドエンディングを見てからでないとプレイ出来ないので注意。
最終更新:2022年05月30日 19:01