ワンピース 海賊無双3
【わんぴーす かいぞくむそうすりー】
ジャンル
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無双アクション
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対応機種
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プレイステーション4 プレイステーション3 プレイステーション・ヴィータ
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メディア
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【PS4/PS3】BD-ROM 【PSV】PlayStation Vitaカード
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発売元
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バンダイナムコゲームス
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開発元
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コーエーテクモゲームス
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発売日
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2015年3月26日
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定価
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【PS4/PS3】8,424円 【PSV】7,344円(共に税込)
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プレイ人数
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1〜2人
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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判定
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良作
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ポイント
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シナリオは大幅に改善 一通りの人気キャラが使える 過去作よりは無双している
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無双シリーズ
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ONE PIECEシリーズ
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ワンピース 海賊無双3 デラックスエディション
【わんぴーす かいぞくむそうすりー でらっくすえでぃしょん】
対応機種
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Nintendo Switch
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メディア
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Nintendo Switch専用ゲームカード
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発売日
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2017年12月21日
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定価
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6,380円
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判定
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良作
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※共通情報は省略
概要
『ONE PIECE』×『無双』の3作目。今回は3機種同時発売に加えて、後にDLCを全収録したSwitch版『デラックスエディション』も発売されている。
ストーリーは、『2』と違い原作再現を重視した方向性になっている。
システム
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基本システムに関しては無双シリーズの伝統にのっとっているため省略。
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ただし、ガードとジャンプは大胆にオミットされている。その代わり回避が非常に高性能。
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戦闘では、「ナワバリ」の奪い合いが重要視されている。敵ナワバリ内では大量の雑魚敵が出現し、これを潰していくことでナワバリの耐久力を減らし、0にするとそのナワバリを奪える。
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敵も味方のナワバリを奪おうと侵攻してくる。敗北条件に指定されている重要ナワバリを奪われると問答無用で敗北。
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アクション面では「キズナ」システムが特徴。
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本作では一部状況を除き、常に仲間キャラが存在する。仲間を連れた状態で敵を倒すとキズナレベルというものが上がり、キズナレベル2以上の状態で攻撃すると「キズナアタック」という援護技が出る。
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さらにキズナゲージをマックスにした上でR2ボタンを押すと、「キズナラッシュ」が発動。一定時間キズナアタックが大幅に強化され、本体性能も向上する。
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さらに効果中に○ボタンを押すと「キズナ必殺技」を発動し、合体攻撃が出る。ただし、発動するとキズナラッシュは強制的に終了する。
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キズナ必殺技を発動させずに、もう一度R2ボタンを押すとキズナラッシュを中断することもできる。一見メリットがなさそうだが、終了後のキズナレベルが2になるという効果があるため、特にキズナ必殺技を使うべき強敵がいないなら途中で中断するのも戦略。
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キズナラッシュを一度でも発動させた仲間には同盟マークが付き、以降別のキャラとキズナラッシュを発動させた時に同時にキズナアタックをしてくれるようになる。つまり、複数の味方と何度もキズナラッシュを重ねていくことで、どんどんキズナラッシュ自体が強化されていく。
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キズナ関連の攻撃で敵を倒すと「!」マークが蓄積されていき、一定数溜めればその仲間のレベルが上がってギャラリー要素が解放されたりスキルが追加されたりする。
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ゲームモードは原作シナリオを再現した「レジェンドログ」と、レジェンドログを好きなキャラクターで遊べる「フリーログ」に加え、様々な特殊なシチュエーションでステージをクリアする「ドリームログ」の3つ。
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レジェンドログではストーリー中に「ドリームイベント」「レジェン度」という特殊なシステムがある。
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ドリームイベントは、条件を満たすことで主に原作を再現したイベントが発生するもの。一部を除き特別メリットはないが、コンプリートすることでレジェン度が上がる。
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レジェン度は特殊な条件を満たしてクリアすることで徐々に上がっていき、上がるごとにコインがもらえる。ここでしかもらえないコインもあるので重要。
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成長システムは「レベル」「スキル」「コイン」の3種類。
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レベルは普通に敵を倒して経験値を積むことで上がる。ベリーを消費して、最大レベルのキャラクターと同じレベルまで成長させることも可能。
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スキルは、ゲーム内に登場する様々なキャラクターの「スキルポスター」というものの条件を満たすことで手に入る。任意の組み合わせで装備でき、スキル枠はコインで成長させることができる。
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コインは強敵を倒したりすることで手に入る。指定されたコインを指定された枚数消費することで、各ステータスが上昇する。一部特殊なコインを使うと新しい必殺技を覚えられることもある。
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『2』にあった、コインをスキルノートに並べるシステムは削除された。
評価点
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ゲームシステムは非常にシンプルに整理された。
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わかりやすく言えば、「とにかく指定された場所まで行って敵を吹っ飛ばす」を繰り返せばとりあえずクリアは可能なバランスになっている。
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一部厄介なギミック技を使ってくる強敵もいるが、その場合も「赤エリアで表示された危険エリアから離れる」だけで回避できるのでわかりやすい。
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育成システムも「育てたいキャラにとにかくコインを突っ込めばいい」と非常にシンプル。基本的にコインは該当する敵キャラを倒せば手に入るので、足りなくなった場合の補充場所もわかりやすい。
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ただ、これに関しては「育てがいがなくなった」と批判的に見る声もなくはない。とはいえ後述のようにキャラクターが増えたので、あまり複雑にもできなかった事情はあるだろう。
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単純な草刈りゲーにとどまらず、トレジャーイベントでは手順に頭を捻ったり迅速な行動が求められるものもあるため、多少の謎解き要素もある。
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もっとも、基本的にトレジャーイベントは無視しても戦局にそこまで大きな影響はなく、一度のプレイで全て達成することも求められないので、レジェン度100%を目指す場合でも少しずつ進めればいい。ストーリーを追体験するだけなら、難易度を「やさしい」にしておけば特に強化を考えることなくレジェンドログだけプレイし続けられる。
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爽快感はかなりのもの。
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必殺技ゲージがたまりやすく、さらに最大5本まで溜められるので、ガンガン必殺技を使って敵を吹っ飛ばしていける。敵の出現数は、マシンパワーの向上もあって無双シリーズ全体で見ても多め。
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キズナラッシュは最大4人まで同時に援護してくれる。操作キャラ合わせて5人がかりでの合体必殺技はド派手で気持ちいい。
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キャラクターバランスはあまり褒められたものではなく、ほぼ満場一致で「藤虎」「白ひげ」が強すぎる、と指摘されるが本家無双における「呂布」や「本多忠勝」のようなもの、と受け取られておりあまり非難はされない。原作のパワーバランス的にも妥当なラインであるし。
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極端に弱すぎるキャラもおらず、大体のキャラクターで一通りのステージは攻略可能。
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操作キャラが大きく増えた。
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モリアとドフラミンゴが追加されたため、七武海は新旧含めた全員が使用可能になった。また、出し惜しみ感があったシャンクスがようやく操作可能キャラになった。
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意外なところではたしぎが初期キャラとして追加されている。パンクハザード編の都合もあっただろうが。しかもR1がかなり使いやすく強い。
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他にもイワンコフ、マゼランが使えるようになった他、サボや藤虎と言ったドレスローザ編の重要キャラも使用可能になった。
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麦わらの一味及びティーチは能力違いで別キャラクターが存在するため、実質的な使用可能キャラクター数は47人と、無双シリーズ全体で見てもそれなりの人数になっている。
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また、NPCキャラも「仲間」という形ではあるが、使用可能になっている。名有りのNPCならどこかで使えるステージはある。ラパーンなど意外なキャラクターもNPCになっている。
賛否両論点
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シナリオについて。
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「制約が多い中でも頑張っている」と評価する声もあれば、「いやそれでも省略しすぎだろ」という声もある。ただ、「『1』よりは大幅に改善された」というのは間違いない。
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エピソード丸ごとカットされたのは双子岬、ウィスキービーク、リトルガーデン、デービーバックファイトぐらいで、『1』では省略されていたゾロやウソップ、ブルックとの出会いや空島編もちゃんと描いているのは十分な評価点。
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また「ドラム王国の桜」や「アラバスタでの別れ」、「ゴーイングメリー号との別れ」など、重要なエピソードはキッチリ描かれておりムービーでの再現度も高い。特にドラム王国編は原作では部下を生み出せるとはいえワポルが単独で現れたところをルフィ、サンジ、チョッパーで迎撃する流れだったが、今作ではワポル打倒のために王国民たちをビビ達居残り組が連れて来た設定に変わっており、本編とも異なる一大合戦になっている。ゾロやウソップ、ラパーンまでもしっかり活躍しており必見。
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反面、登場するのが基本的に重要キャラ・ボスキャラだけで幹部級のキャラがことごとく省略されているため、どうにも再現度が片手落ちになってしまっている感は否めない。
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仕方ないとはいえ、ステージの構造も原作を考えるといろいろとおかしい。陸地に接岸しているバラティエとか。海上レストランじゃないのかよ。
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ラブーンの存在がなかったことになっているため、ブルックが仲間に加わる理由がやや薄くなっている。一応、ゲーム内の描写だけでも矛盾があるというほどではないが。
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描写的に省略されてしまった部分も多いため、脳内補完が大事になってくる。原作ファンなら首を傾げる部分もあるとはいえそれなりに楽しめる出来ではある。
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ラストステージは発売当時未完だったドレスローザ編をオリジナルストーリーで描いたもの。
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内容としては、敵に藤虎に加えて黄猿まで加わり、一方クザンが味方キャラとして登場してさらに黒ひげまで乱入してくる…というオリジナルに相応しいお祭り騒ぎなシナリオ。
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しかし、黒ひげの登場するシチュエーションがおかしい。なんと「黒ひげがドフラミンゴと同盟を結び、工場を守るために麦わらの一味に襲い掛かる」というなんとも妙な設定で出てくる。
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基本的にドフラミンゴと黒ひげは敵対する立場であり、原作の設定的にも協力する理由など微塵もない。IFストーリーとはいえ、原作の立場をここまで無視するのも…。
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黒ひげの部下であるバージェスがメラメラの実を求めている部分は原作と同じなのだから、いっそ難しいことを考えずに「メラメラの実を手に入れようと、黒ひげ海賊団がルフィ及びドフラミンゴ両方と敵対する第三勢力として戦場に乱入してくる」で良かったのではないだろうか。
問題点
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キャラクターに関して。
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前述のように「無双」というゲームの性質上、ある程度キャラクターの選別は仕方ない部分は多いし、大体の人気キャラは使えるようになったので、そこまで大きな不満点は聞かれないが、やはり本作でも首をひねる部分はある。
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大きな疑問点としてはビビの扱いだろうか。プレイアブルでないのは仕方ないとしても、なんとNPCですらない=仲間キャラとして使えない。「もう一度仲間と呼んでくれますか」イベントは完璧に再現しているのに、この扱いは…。ラパーンですら仲間にできるのだから、そこはもう少しこだわっても良かったのではないだろうか?
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一部の難易度がやや理不尽。
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ドリームログでは敵勢力が特定のナワバリを目指して移動しており、自軍がそれを阻止するミッションがよく見られる。だがこれが曲者で敵はこの時ナワバリ到達を最優先しているため、こちらの陽動はおろか友軍が正面からぶつかっても目もくれずにナワバリへ突っ込んでいく。このためこちらから素早く倒しては討って出るを繰り返さなければならないのに、時として敵軍総大将が問題のナワバリの目の前に配置されてしまうことも少なくない。最後の最後でこちらを嘲笑うようにナワバリを取られて苦労が水泡に帰すプレイヤーは数知れず。
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これにマップの嫌がらせが追加されると難易度が極悪化する。「オレンジの街」や「スリラーバーク」のように高低差のあるステージでは急いで向かっても行き止まりになってしまうこともザラで、特に白ひげやクザンなど足の遅いキャラは最短距離で走らないとまず間に合わない。
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原作再現のためにサンジは女性キャラへ極端にダメージが入らない仕様であるが、困ったことにアラバスタ編では敵としてロビンやたしぎが現れるため苦戦を強いられがち。しかもロビンは時間制限でたしぎを倒してしまい、トレジャーイベントが1つ失敗になってしまうため、サンジでのプレイはMr.2とのトレジャーイベント達成以外を同時に狙いにくい。最もルフィやゾロで他のイベントを片付けていけばいい話ではあるのだが。
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またスリラーバークのブルック操作によるトレジャーイベントも、迷いの森でクルーを全員探し出した上でオーズ戦まで誰も敗走寸前に追い込まないという高難易度となっている。ただでさえ迷いやすい構造の迷いの森は、ご丁寧にマップも霧で覆われて見えなくなっており、初回プレイではまず間違いなくブルックの操作に慣れないうちに道に迷い続け、チョッパーが合流前に敵に囲まれてやられてしまう。運よく突破出来たとしてもその後に待ち受けるのはペローナ、モリア分身体、オーズの連戦である。冗談抜きでこのトレジャーイベントは白ひげの「健康第一」とシャンクスの「戦場のカリスマ+」を揃えた上で、ドリームログでスリラーバークのマップを覚えてからの攻略が無難である。
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そして扱いに困るのがローによるパシフィスタ停止作戦。自分一人なら目的地まで誘き寄せるだけでいいのだがいかんせん仲間たちが邪魔で上手く進んで来てくれない。特に開始時から配置されているナミはダメージが蓄積しやすい上にパシフィスタに突撃しやすく、やられやすい。
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仲間キャラを自由に選べない。
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そのため、レジェンドログで仲間として使えないキャラは該当するキャラが仲間として出現するステージをドリームログで探さないと仲間レベルが一向に上がらない。
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特にアルビダのスキルを解放するのがナミのスキルを解放する前提条件であるため、アルビダが出てくるステージを見つけないとナミのスキルだけ全然埋まらない。ドリームログで「東の海」のカテゴリを指定したステージならあるものの、バギー・クロ・クリーク・アーロン・ついでにハチとライバルも多く出現率は高くない。女海賊No.1を決めるマップではアルビダ軍を結成するため確実にチームを組めるが、相手はMr.2とイワンコフという強豪であり苦戦は必至。
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ロビンのスキルは更に厄介でクロとMr.1のスキルを解放後に開始となる。Mr.1はマリンフォード編で味方として登場するので難しくはないが、クロはアルビダ同様にドリームログで遭遇しなければならない。どちらも達成条件が難しくないことが救いか。
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同様にチョッパーもビスタ、ハチ、ローのスキルをコンプリートしてからでないと解放が始まらないが、ビスタとハチはストーリー内で必ず味方として登場するのでフリーログ周回で割と達成できる。更にローは初期キャラの一人である上にROOMの使い方さえ押さえればかなりの強キャラである事からさほど苦には感じない。
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問題はフランキーのスキル。フランキーは「肉を身体に++」からスタートなのだが、このスキルは先に戦桃丸とバージェスのスキルをコンプリートしなければ開始されない。ストーリー中で彼等が味方になることはないためドリームログで遭遇した所を協力しなければならないのだが、バージェスがとにかく敵としての登場ばかりで味方で出現しにくい。ストーリーがエッグヘッド編まで進んでいればまだ違ったのかもしれないが……。
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スキルシステムがやや練りこみ不足。
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使い勝手のいいスキルと悪いスキルの差があるのはまだいいとしても、例えばスキルソートがないのはスキルの数が増えてくるとかなり不便。スキルが並ぶ順番は、「覚えた順番」そのままである様子。
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キズナ必殺技のテンポが悪い。
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演出は派手だが、技名コールをスキップできないため、同盟を組んだ仲間が増えていくとテンポがかなり悪くなる。
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一部コインが集めづらい。
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ギア2を始めとする麦わら海賊団の強化技はCP9編を各クルー操作でクリアしなければならない。バスターコール後に味方の敗走が起こりやすい高難易度のステージを、必然的に5周を要する。
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特にオーズのコインはオーズそれ自体が倒すのが面倒くさい上に、ステージが厄介なギミック盛りだくさんのスリラーバーク一択なのが痛い。幸いなのはレジェン度70%到達で必要最低限(麦わら海賊団+モリアとペローナ)が集まるところか。
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同様にドリームログを始めると軒並みスリラーバークキャラのコインが枯渇しがち。救済措置としてモリアとペローナはプレイアブルとなっているが、どちらも上級者向けのテクニックを要するため慣れるまでは時間がかかる。
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ドリームログではキャラクター選択のためにいちいちメインメニューに戻らなければいけないちょっと手間のかかる仕様になっている。
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相変わらずDLCが多い。
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ただ、基本的には衣装とドリームログの追加ステージだけなので、プレイする幅としてはそこまで大きな違いはない。また『2』と共有できる衣装も多い。
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DLCを全て盛り込んだSwitch版を後発で発売するのも「完全版商法」に近い面がある。しかし、Switch版はオンライン協力プレイができないため、完全版として見ても微妙な面が…。
総評
全体的に細かい不満点は散見されるが、とりあえず「ワンピースのキャラクターを使って無双する」という一点に関して言えば目立った問題点はなく、ワラワラ感に関して言えば本家無双にも劣らない出来。
ストーリーも、省略された部分や首を傾げる部分がなくはないが、概ね再現度は高めで『ONE PIECE』ファン同士でプレイするなら十分なクオリティ。
3作目にしてようやく安定した完成度に至ったと言える。
最終更新:2025年01月31日 02:19