ゲゲゲの鬼太郎 復活! 天魔大王
【げげげのきたろうふっかつてんまだいおう】
ジャンル
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アクション
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開発元
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ベック
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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8MbitROMカートリッジ
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発売元
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バンダイ
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発売日
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【通常版】1993年2月5日 【復刻版】1996年1月7日
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定価
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8,800円
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プレイ人数
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1人~2人
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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アニメ第3期がベース 別々のキャラで2Pプレイあり
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ゲゲゲの鬼太郎シリーズリンク
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概要
ゲゲゲの鬼太郎のSFC作品第1弾。
バンダイからリリースされた鬼太郎シリーズの作品としては、FC版第2作目となるRPG『妖怪軍団の挑戦』以来5年ぶりとなる。
FC版第1作『妖怪大魔境』同様の横スクロールアクションゲームで、そちらと同じくアニメ第3期をベースとしたオリジナルストーリーが展開される。
ストーリー
西暦1993年のある日、妖怪ポストに手紙が届いた。
それは未来の天童ユメコから送られたものだった。
1999年7月に妖怪裁判で鬼太郎と仲間達が死刑を宣告されてしまう。その前に助けてほしいという内容が記されていた。
鬼太郎と目玉おやじは時空を超える石臼を使って未来に向かう。
妖怪裁判の前の日付に飛ぼうとするが、たどり着いた先は鬼太郎達が処刑される7月の真っただ中であった。
鬼太郎は未来の自分が処刑される前に仲間を救出できるのであろうか……?
ゲーム内容
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章仕立てのステージ構成
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プロローグ+5章の全6ステージ構成で区切られた各面を舞台に、鬼太郎を操作して凶悪な妖怪と戦っていく。
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ゲーム全体を通してステージ道中(雑魚戦)よりもボス戦の比重が大きく、ボス戦のみのステージも多い。
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ライフ制で、メニュー下に10個表示されている魂で表される。穴に落下した際は即死ではなくライフ減少の上でそのまま続行となり、ライフがなくなると1ミスとなる。
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鬼太郎の装備
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髪の毛針が標準武器。使用回数に制限はない。単発ではなく数発単位の区切りで連射する。攻撃範囲は広めで、真上方向やジャンプ中にも撃てる。
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リモコンゲタや体内電気も武器として使うことができる。強力だが敵を倒すと出現するアイテムを回収しないと使用できず、回数にも限りがある。
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Xボタンを押すとチャンチャンコを構え、敵の攻撃を防ぐ事が可能。
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2P同時プレイが可能で、1Pは鬼太郎、2Pが仲間を操作する。
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オープニングステージではシーサーが登場して2P側の操作キャラクターとなり、以降のステージでは助け出した仲間を操作する。
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シーサーは威力が低いものの離れた敵に届く衝撃波を使用でき、安全に戦えるキャラ。操作に慣れるには丁度いい。
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仲間はいつもの小泣き爺、砂かけ婆、猫娘に加えてねずみ男やアニメでのライバルキャラ「地獄童子」が使える。地獄童子はストーリーにも深く絡んでいる。
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鬼太郎と仲間のライフは共用だが、敵からのダメージが半分になるので計20のライフになる。
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必殺技に「?」アイコンが追加され、2人で強力な合体攻撃が使用できる。その際には両者の必殺技使用回数を消費する。
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難易度設定や到達したステージに行けるステージセレクトができる。
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難易度は「易しい」「ふつう」「難しい」の3種類。
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「易しい」では敵の耐久力が低下する他、最終ステージ(6-2)のラスボス第二形態戦との戦いが省略されるが、エンディング自体は普通に見ることができる。
評価点
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多彩な妖怪達
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西洋妖怪や大型の妖怪も登場し、それぞれの特徴をとらえた動きとパターンで襲い掛かってくる。
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ステージの舞台も多数用意されており緻密に書き込まれている。更に背景の多重スクロールなどの演出面が凝っており、臨場感にあふれている。
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豊富な演出
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ストーリーデモが各章の節目ごとに挿入され、鬼太郎らしさのあるストーリー展開でゲームプレイを盛り上げてくれる。
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一枚絵の質も高く、アニメ版の絵柄をきっちり再現している他、オープニングや時間移動するシーンではわずかながらもアニメーションしている。また会話の際も口パクなどもしっかりと表現されている。
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エンディングの演出も一枚絵に輪文字のフォントでスタッフ表記がなされ、鬼太郎と仲間たちの集合絵で締め、と、アニメのエンディング演出風にまとめられているのもポイントが高い。
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タイトルでは主題歌で迎えてくれ、EDではアニメ版の曲のアレンジが流れる。道中も良曲が多く、鬼太郎らしいおどろおどろしさを表現している。
問題点
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難易度が高め
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まずライフが10あると言えば多いように思えるが、回復アイテムの類は一切出てこないので厳しい。
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ボス戦でさえ足場が悪いところでの戦いを強いられる事が多く苦戦必至。
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難易度を選ぶことができるが、「易しい」でもライトユーザーにはやはり厳しいレベルで、あまりフォローになっていない。
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コンティニューは無制限であり、特殊攻撃でごり押しという戦法もとれるため、どうあがいても無理ゲー的な領域まではかろうじていっておらず、あきらめずに根気よく粘ればクリアできるレベルには落ち着いている。
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難のある2人プレイ
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仲間を操作できるのは2Pのみで、操作できる仲間も助け出したキャラで固定。
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1Pは鬼太郎固定であり、プレイヤーが二人いないと仲間の戦いぶりを見る事もできない。
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2キャラ同時に移動しないとスクロールが進まないので、片方だけ渡ろうとしても次の足場の前にスクロールで阻まれてしまう。結果、前述の足場の悪く落下ミスを誘発しやすい場所で難儀させられることになる。
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一応ライフが10から20に増加し、強力な合体攻撃が使用できるようになるため総合的な難易度は低下するが、それを考慮してもやはり難易度が高いと言わざるを得ない。
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髪の毛針の使い勝手が悪い
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撃っている間はそこから動けず、方向転換もできない。
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一応、空中で左右に撃った際は左右に転換出来るが、役に立つかは微妙。
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射程も短くなっている。本作では遠距離攻撃を多用してくる敵が多いのに対し、接近しないと届かないため被弾する危険を伴う。
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横と上にしか撃てず、斜めから来る敵に対応できない。
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宇宙妖怪「ミミーン」の倒し方が非常に分かり辛い
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鬼太郎達の攻撃が一切効かない。1度溶岩に突き落とすという戦い方に気が付かなくてはならないのだが、これが非常にわかり辛い。
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また、分かっていたとしても相手は思い通りには後退してくれるわけではなく、無敵状態で溶岩から遠ざかったりする動作も相まってストレスがたまりやすい。
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分かりづらいのはこの1戦のみで、後に登場する別の宇宙妖怪やラスボスは普通にダメージを与えられる。
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ラスボスに張り合いがない
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5way弾をまともに回避するのは難しいが、チャンチャンコでガードして弱点が露出したところを叩けば時間はかかるが簡単に倒せてしまう。
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音楽は上記の通り良質であるが、ストーリーデモのBGMのほとんどが(エピローグシーンまで)1面BGMの使いまわしになっている。
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裏技の扱い
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特殊攻撃を無制限にする裏技で難易度低下につながるが、当然隠しコマンドを知らないと使えず、初心者の救済になっていない。
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未クリアのステージへ行けるステージセレクトの裏技を使わないと各ステージで好きな仲間を使用できず、自由度が低い。
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難易度「易しい」でもラスボス第二形態と戦えるのだが、やはりステージセレクトの裏技が必要である。普通に戦えても良かったのではないだろうか。
ストーリー関連
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ぬらりひょんの扱いが悪い
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処刑された未来の鬼太郎の前で黒幕であることを告げる。そこから本格的に牙を剥いて来るかと思いきや、そこから一気に急落する。
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まず、オートイベントで鬼太郎に右目をやられるのだが、その直後に飛来してきた二匹の宇宙妖怪に助けを乞う始末。その直後、二匹の宇宙妖怪に用済みと言われあっさり殺されてしまう。
その二匹の宇宙妖怪も一定ダメージを与えると強制的に戦闘終了となり完全に倒すことはできない。
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ちなみに、コンティニューするたびにこのやり取りが表示されるので、ぬらりひょんの哀れなさまを何度も見る羽目になる。
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ぬりかべの扱いが悪い
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エンディングで集合した仲間達に混じっているのみでゲーム中には登場しない。
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最後の最後で待ち受ける驚愕の結末
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ネタバレ
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ラスボスの天魔大王を倒し、敵に奪われた地獄童子の宝珠の残り1つを取り戻した鬼太郎は、壊された街を戻し、処刑された未来の鬼太郎を蘇生させ、壊れた石臼を修復する。
安堵もつかの間、倒したはずの宇宙妖怪ミミーンが復活し再び襲い掛かってくる。
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地獄童子は応戦を引き受けて鬼太郎に元の世界へ戻れと告げ、目玉の親父は彼ならば大丈夫だと鬼太郎を諭して急ぎ元の時代へと帰還する。
無事現代に戻った鬼太郎は、自分の危機を救うきっかけをくれた夢子に感謝の言葉を述べるのであった。 そして「カランコロンの唄」と共に和やかに流れるスタッフロールの後、鬼太郎ファミリー集合の一枚絵で物語は締めくくられる。
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その後、一枚絵が表示されてから約1分20秒ほど待つと隠しエンディングとなり、地獄童子の辿った顛末が明かされるのだが…。
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更なるネタバレ
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その内容は「黒一色の背景に独り無言で佇む童子の右腕が鋭いトゲのように変形し、長く伸びた影が宇宙妖怪の姿を形作ると共に邪悪な笑みを浮かべる」というもの。
つまり「
地獄童子が宇宙妖怪に体を乗っ取られた
」という驚愕の事実が示唆されているのである。
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復活した未来の鬼太郎が最終的にどうなってしまったのかも含め、非常に後味が悪い締めくくりになっている。高い難易度を乗り越えてたどり着いた結末がこれでは非常にやるせない話である。
そこに至るまでの詳細は一切省かれているため、強引に解釈すれば未来の鬼太郎と地獄童子の前に再度敗北した宇宙妖怪がしぶとく生き延びて童子の姿に成りすましただけともとれなくはないが…。
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スタッフロール後に1分半近く待つ必要があるので、予め存在を知って意識しない限りは見ることは少なかったであろうが、それはそれで童子の存在を放置したままになってしまうので、後味が良くないことには変わりがない。
せめて童子の無事がはっきり分かる結末も用意して、条件次第で分岐するなどの仕様があれば良かったのだが。
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あるいは続編を作る構想でもあったのかもしれない。
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総評
原作はもちろんアニメや劇場版からも多数の妖怪が出演している豪華な作品。流石はキャラゲーの大御所バンダイというべきか。
しかし肝心のゲームバランスが厳しく、鬼太郎ファンか否かを問わず、かなりの腕前がないと本当にどうしようもないレベルで、人を選ぶ作品になってしまっているのは惜しい所である。
腕に覚えのある鬼太郎ファンであればやってみても損はないだろう。
余談
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今作は後に1996年2月29日に『復刻版』のタイトルが付加された上で再販されている。
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ちなみに『復刻版』発売から先駆けること1996年1月7日よりアニメ版鬼太郎の第4期シリーズが放送開始していた事から所謂「アニメタイアップ作品」としても位置付けられているのだが、今作は第3期をベースとしている作品であるため、第4期からの新規ファンからは期待外れに見られる向きもあった。
最終更新:2024年11月30日 11:25