キャプテン翼J THE WAY TO WORLD YOUTH

【きゃぷてんつばさじぇい ざうぇいとぅわーるどゆーす 】

ジャンル スポーツ・シミュレーション
対応機種 スーパーファミコン
発売元 バンダイ
開発元 ベック
発売日 1995年11月17日
プレイ人数 1人~2人
定価 9,800円(税別)
判定 クソゲー
ポイント 元々中途半端な原作を中途半端なままゲーム化
中心選手の大部分は日向スタイルのラフなパワーサッカー
連打とドライブシュートのコツさえつかめれば無双状態
キャプテン翼シリーズリンク


概要

前年まで『キャプテン翼』のゲームはテクモから発売されていたが『キャプテン翼』ではなく、あくまでも『キャプテン翼J』のゲームとして2ヶ月前発売されたゲームボーイソフトとともにバンダイから発売。
テクモ版よりもアクションサッカー寄りのゲーム性になっているが、シミュレーションサッカーの方式も併用され作中で使われる必殺技要素もあり、テクモ版にも似た「エネルギー消費」の方式で使用できる。

アニメは『キャプテン翼J』(1994年10月~1995年12月放送)、原作は『キャプテン翼 ワールドユース編』(1994年4月~1997年8月連載)をベースにしている。
ただ当時は原作は完結どころか、まだまだ序中盤の時期だったのでゲームでも「RJ7*1の挑戦」から「タイユースを破ってアジア一次予選突破」というかなり序盤に限られている。
タイトルの通り根本的にアニメ『キャプテン翼J』に即しており、実在するクラブ名は変名されている*2(例・翼エピソードの「サンパウロFC」→「サンパスFC」「CRフラメンゴ」→「CRフロドリア」)。


ストーリー

ワールドユース優勝を目指して全日本ユースチームが結成され、翼合流を待っていたチームに、影の全日本「RJ7」が挑戦してくるところから物語が始まる。
その頃は葵と翼それぞれの国でのプロ戦公式戦を戦い、翼は勝利を飾って帰国してワールドユースアジア一次予選の初戦チャイニーズタイペイ戦に臨むことになる。
続いて、強敵のタイ戦、この試合のさなかに葵と若林が合流し、タイを破ってワールドユースアジア二次予選に進出を決める。
と、ここまでは原作通り。

そしてワールドユース二次予選を前に、ブラジルに戻ろうとしている翼の前に突然シュナイダーが現れた。
シュナイダーはピエールとともにタイ、イタリア、オランダの面々を引き連れて「ワールドチーム」を結成して挑戦してくる。
と、ゲームオリジナルの追加部分はかなり無理矢理なもの。


システム

  • 大まかなシステムはアクションサッカーとシミュレーションサッカーを合わせたようなもの。
  • テクモ版と違って、常に下(画面手前)に相手ゴールがあり、それに向かって攻めるというスタイル。ボールを奪われると相手側の視点(画面手前側に自軍ゴールがある)に切り替わる。
    • 根本はフィールド視点で見たアクションサッカーで、リアルタイムでドリブルし、パスは近くにいる味方を目で見てパスする。タックルなどもリアルタイムのアクションとなる。
    • 「必殺技ポイント」のような位置付けの「気力」があり、タックル等でボールを奪ったり、シュートを打ったりすると上昇する。試合中の時間経過でも微量ながら上昇する。テクモ版の「ガッツ」とは少し異なり、必殺技を繰り出した場合のみ消費され、普通のシュートやタックルでは消費されない。
  • テクモ版のようにレベルという概念はなく、能力はキャラ毎で固定。
    • 先に発売されたゲームボーイ版のコンティニュー用パスワード(4文字)を入れるとステータスがパワーアップする。
  • 特定選手(味方では翼、日向等、敵では火野やブンナーク、ジェンティーレ等)同士がぶつかれば連打合戦となりタックルされても力で弾き飛ばすことも可能。これに勝つことでも気力が上昇する。
    • 一部の選手は何度も競り合いに負けたり、タックルでボールを奪われたりすると、怒り状態となり気力が一気にマックス(32)になる。
  • 見えない要素にスタミナがあり、長い距離を走るのは勿論、タックルなどを喰らうと減少する。また相手の必殺シュートや、パワードリブル(テクモでいう「強引なドリブル」)で吹っ飛ばされたりしても減少する。
    • これがなくなると走る(ドリブル含む)のスピードが落ち、シュートの威力も落ちる。
  • 必殺シュートをキーパーが止めた場合、ボールに対してキーパーが連打で対抗する形になる。
    • ボールの方は固定で何もできないが、キーパーが連打して、その力がボールの勢いに勝ればキャッチでき、劣れば吹っ飛ばされてゴールされる。
    • ボールの威力はその必殺シュートを打った選手のその時点でのスタミナによって決まっている(つまり体力を消耗した状態で打っても威力はない)。
  • 初戦の「RJ7」戦と葵のエピソードは原作でも負けているため、負けてもストーリーは進行する。
    • 「RJ7」で負けると原作通り、日向や岬ら主力選手がいない状態で進み、勝った場合は彼らを含めたベストメンバーで進行する。

問題点

  • フィールドがとにかく狭すぎ。
    • ゴールキックやキーパーがキャッチした後でロングキックをするとフィールダーが誰も触れなければ普通に相手ゴールまで届く(勿論相手キーパーに楽々キャッチされる)。
    • フィールダーもロングキックをするとサイドラインやタッチラインを割ってしまうのはザラ。
  • フィールドの全体像とフィールド視点での両方の状況を同時に把握しにくい。
    • 画面上部でアクションが繰り広げられ、中央下部にフィールド全体が見えているというテクモ版のようなスタイルなのはいいが、いかんせんスピーディーな動きが裏目に出てその両方の把握が難しい。上記のフィールドの狭さも相まってドリブル中に相手をかわすことを考えていたり後ろから追ってくる相手を気にしていたら、勢い余っていつの間にかドリブルでタッチラインを割ってしまったりすることもザラ。
  • ドライブシュートを除く必殺シュートはキーパーに一旦止められてしまい、そのボールの威力でキーパーを弾き飛ばしてゴールするという剛球スタイル。
    • 日向のタイガーショット系や火野のドラゴンシュートなどはまだしも、早田のカミソリシュートや新田の隼シュートと言った、本来はボールに触れられずにゴールするタイプのシュートでさえそんな扱い。吹っ飛ばす剛球系の方が盛り上がり要素が強いとはいえ、さすがにこれは間違っている感が否めない。
    • 翼、三杉、弓倉が使えるドライブシュートはセンターラインを少し超えたあたりでサイドギリギリから打つと、キーパーが触れないので連打合戦に持ち込まれず問答無用で決まる。もちろん、キーパーが触れないのでスタミナによる威力減少も無関係。そのポイント以外からなら他のシュート同様、キーパーに一旦止められ、キーパーの連打との勝負になるが、これも力押し(実際にはキーパーの連打不足)で決まることもある。
      • これではワールドユース編当時の翼の象徴的シュートだったフライングドライブシュートも形無し。実はボールに触れられずにゴールできる必殺シュートはこれだけ。つまり普通のドライブシュートが実質最強ということになる。
        その反面、同じ位置からフライングドライブシュートを打つと、その威力でキーパーを吹っ飛ばしてもボールが枠外に逸れてしまう。つまり翼の象徴的シュートが一番ポンコツ性能ということになる。
  • ドライブシュート系やスカイラブ系、ツイン系を除く必殺シュートにあまり個性がない。
    • 必殺シュートを打てる範囲は相手陣内に入ってからで、ゴールとある程度距離がある部分のみ。
    • このため、本来遠くから打つことを前提としている松山のイーグルショットは、その持ち味を失っており、また早田のカミソリシュートもゴール前で急に曲がる挙動もない。ボールに高低の差があるだけでほぼすべてのシュートが一直線(一応シュナイダーのファイヤーショットはボールが赤くなる)。
    • また原作では新旧共にゴール至近距離から必殺シュートを叩き込まれるシーンが何度もあり、しかもそれはかなり緊迫する瞬間で勝敗を分ける部分になっていたことが多いので、それができないのは持ち味を殺している。
  • 気力を温存できない。
    • ドリブルはまだしも、シュート(Xボタンを使うツイン系を除く)やタックルといったAボタン技は必殺技が出せるだけ気力がたまっていると、必ず「その時出せる最高の技」を出すことになる。
    • 上記の通り普通のドライブシュートが最強なのに、翼の場合気力が26以上あれば勝手にフライングドライブシュート、32あれば勝手にドライブオーバーヘッドを打ってしまう。
    • 早田も貴重な必殺シュート要員だが、ディフェンス時についカミソリタックルを意図せず出してしまってカミソリシュートが打てなくなることも多々ある。
  • 気力を上げるにはわざと特定選手に喧嘩を吹っ掛けるように向かっていき連打合戦を繰り返した方が手っ取り早い。
    • 前述の怒りで一気にマックスにする手もあるにはあるが、相手のタックル等を喰らう必要があり、それでスタミナを削られるので、最高のシュートは打ててもスタミナ面で威力が弱体化しがちになるため、気力を手っ取り早く溜めたければ競り合い対象となる相手に向かってボールごと突進し、連打の力技で吹っ飛ばすプレーを繰り返した方が一番手っ取り早い。つまりサッカーをするはずのフィールドでボールを持って相手選手に喧嘩をガンガン吹っ掛けに向かって行くというわけわからないことになる。
    • 元々そんなプレイをする日向等はまだしも、翼や葵や三杉なども含め大部分の選手がそんなプレイをする(そんな中次藤はモロにそんなキャラだったのにその対象になっていない)のはさすがに何かが間違っているようにしか見えない。また、そんなラフプレイの多かった日向や次藤*3にしてもあくまでも目的は「ゴールを目指す」であり、その邪魔な相手を突破することが目的であり、不必要に喧嘩をするためのラフプレイはほとんどしていなかった。
      • このため、必殺シュートがドライブシュートしかなく(他の余計なシュートがない)、上記のような連打競り合いができる三杉と弓倉(RJ7)が実質的に最強キャラになっている。
      • 後述の「ワールドチーム」は、この対象の相手が大勢いて気力がすぐ溜まるので、必殺シュートがバシバシ打てるため全然強く感じない。むしろそんな選手が1人もいない本来なら一番弱いはずのチャイニーズタイペイが難しく感じるかも。
      • こうやって気力を上げてドライブシュートを特定ポイントで打つだけで楽勝できる。そのためゲームボーイ版のパスワードでパワーアップさせる機能も大して意味のないものでしかない。
  • 背番号が違和感大ありで、主力選手である日向が13番(本来は9番)、岬が14番(本来は11番)、早田が15番(本来は7番)、次藤が17番(本来は5番)など主力選手が補欠扱いの背番号になっている。
    • 原作のワールドユース編のうち本作で採用されている「アジア一次予選」では、全日本ユースは「RJ7」との練習試合に敗れたため、日向、岬、新田、立花兄弟、次藤、早田の7人は合宿を出て修行を命じられて不参加(主力メンバーは翼、松山、石崎、三杉のみ)だったため、本来は控えの高杉が5番、滝が7番など主力の番号を付けていたので原作通りには間違いないが、当然日向達が復帰したら、それらの番号は彼らに返すことは容易に想像がつくのでやはり違和感がある(実際原作でもそうなっていた)。
      • 因みに上記の通り主力不在の間5番というレギュラー背番号を着ていた高杉もアニメでは25番といういかにも控えらしい番号を着ていた。ゲームなら尚更で後述の通り「日向ら主力が抜けずにアジア一次予選を戦う展開」もある上にタイトルが『キャプテン翼J』なのだから、ここはアニメに準拠した方が違和感もなかっただろうに、よりにもよってわざわざ見た目がおかしくなる方を採用して、しかもそれに合わせて日向らの背番号を全然違う番号に変えるという無理矢理な辻褄合わせ*4をしている。
  • 雑で大味なストーリー展開。
    • 「全日本VSRJ7」「インテーナVSユベリーネ」「サンパスFCVSCRフロドリア」「全日本VSチャイニーズタイペイ」「全日本VSタイ」「全日本VSワールドチーム」とたった6試合しかなく、ストーリーと呼ぶには少なすぎる。
      • しかも、その内「エピソード2の葵(ユベリーネ戦)」、「エピソード3の翼(フロドリア戦)」、「エピソード4の全日本(チャイニーズタイペイ・タイ2連戦)」3つは何故かその順番を選択できるのだが、わざわざ変則的に選ぶ意味があまりない。むしろ、そうすることで話の流れをわかりにくくするだけ。
    • 隠しエピソードの「全日本VSオランダ」を含めれば7試合だが、当該のエピソードは「RJ7戦以前の回想」のような形なので、ストーリーが続いている感じがしない。
    • 当時は原作の進行でもまだアジア二次予選序盤だったので仕方ないが、一次予選を突破したばかりで、いきなり世界全部の連合チームというのはさすがに大味すぎる。確かにドリームマッチといえばドリームマッチだが展開が唐突で無理矢理な感が強すぎて、ドリームマッチというより「原作の不足部分をゲームにする上で適当に取り繕った」という感が否めない。*5
      • アルゼンチンのディアスも、旧世代のライバルだったのにワールドチームに含まれていない。
      • シュナイダーと同じく旧作から参戦のカルツやピエールは一切台詞がない。これでは拘りも感じられない。
      • 当時明確な必殺技シュートを持っていないかったオランダのクライフォートが「ブレイクシュート」、イタリア・ユベントス(アニメでは変名されユベリーネ)のジェンティーレが「バタフライシュート」というオリジナルのシュート技を持っている等、ゲームではオリジナル要素で埋め合わせていたこともあって、中国やサウジといったアジアライバルにもそんな応急措置ぐらい講じて参戦させられなかったのだろうか?
  • サンターナの盟友レオの扱い。
    • 原作では途中出場し、味方選手からも除け者にされていたサンターナを唯一フォローする重要な役目を担っていたのに、ゲームでは控えのまま出場すらしない。また技は一切もっていない(サンターナとのコンビ技も持っていない)。
      • つまり無名のザコ選手扱いでしかない。
  • 試合中のBGMが非常に間抜けな感が否めず(特に葵のエピソード)、盛り上がりに欠ける。
    • テクモ版の『キャプテン翼IV プロのライバルたち』のBGMのひどさはシリーズでも屈指の不評要素だったが、本作はそれに輪をかけてひどい出来で、お世辞にもテンションを上げる要素になっていない。
    • まあタイトルの通り『キャプテン翼J』なので曲調などもそれに準じて作られているのだが、そもそもアニメのそれ自体不評要素だったので、そんなものに準じてはロクな仕上がりにならないのは当然と言えば当然。
    • BGMとはちょっと違うがゴールした効果音も「パチン!」と、まるで金属音のような似つかわしくないものになっている。ゴールネットもまるで金網のように揺れない。
  • タイトルの通りなので仕方ないが声優陣のキャスティングが元々不評だった『キャプテン翼J』に準じているため、いかんせん聞き苦しい。
    • 因みにアニメでは前期(小学生編のリメイク)と、後期(ワールドユース編)に分かれておりキャスティングも違う(一部のみ共通)のだが、ワールドユース編なのに前期のキャスティングが使われているというのも中途半端。
    • 特に不評だった同作でアナウンサーを担当した小野坂昌也氏*6の脱力感しかない「ゴール」のコールというただでさえ著しく低評価なアニメの中でも屈指のダメダメな部分までご丁寧に取り入れている。一応、それはPK戦でしか聞けないのが救いと言えば救い。
  • 試合中やたら「パスだ!」「パスだ!」とキャラボイスがとにかく鬱陶しい。
  • 「スライディング部隊」という技が無理矢理すぎる。
    • この名を聞けば思い浮かぶのは当然「明和特攻スライディング部隊」であり、その司令塔が本来なら日向であり、日向不在となった明和東中では沢木だったのだが、ゲームでこれを使うのは何故か全然関係ない石崎や浦辺、オランダのディック。
      • しかも、旧作で明和FCが披露したような「ひっきりなしのスライディングタックルが雨あられ」の片鱗もなく、近くの3人が本人と一緒にするというだけとしょぼすぎる。

賛否両論点

  • テクモ版では常に隠し技扱いだった「ドライブタイガーツインシュート」*7が気力と、お互いのポジショニングさえ合えば普通に打つことができる。
    • ただ、見た目はしょっぱく中身もそれぞれ単独での最強技「ドライブオーバーヘッド」や「タイガーオーバーヘッド」と比べてそこまで強いわけではない。

評価点

  • 問題点とも被る部分があるが、連打合戦でボールを奪い合ったりする趣向自体は悪くない。
    • 実際、新旧原作でも、そのようなぶつかり合いから力での競り合いで奪うような場面も結構ある。
    • これにより対戦なら白熱することにもなる。またネタだけのヘボキーパーとして有名な森崎でもプレイヤーが関与することで強くなったりするのはゲームとして面白い部分ではある。
      • しかし、実際には上記のようにそれを利用して喧嘩を吹っ掛けて蹴散らしまくって気力を溜めて鉄板のドライブシュートを打つだけという残念なことになっているが…
  • 動きがスピーディーなのに加えて、近い相手にはサイドキックでパスしたり、普通のシュートもヘディングやオーバーヘッドキックやジャンピングボレーになったりとちゃんと細かい所まで凝っているアクション。
    • また、それらがリアルタイムにフィールド視点で動いているので、原作度外視で見ている分には躍動感があって見ごたえはある。
    • ゴール前では必殺シュートが使えないのはキャプテン翼らしさは殺しているが、そのスピーディーな動きに慣れれば「至近距離でシュート→キーパーがパンチング→こぼれ球を素早くカバーしてまたシュート→ゴール」の流れで得点できるので、普通のサッカーゲームのような感覚でプレーできる。
  • この時代にしては珍しくコンティニューがパスワード方式だが、それはバッテリー切れの心配がないという事でもあり、それもアルファベットのみでたった8文字なので中断や再開が楽。
  • 一応原作のアナザーストーリーが楽しめる。
    • 上記の通り、原作では本作のエピソード「ワールドユースアジア一次予選」は日向らが不在だったのだが、ゲームでは最初の「RJ7」に勝てば(原作同様変則7人3セットマッチで「2勝以上」または「1勝1敗1分且つ得失点差で上回る(更にこれも同じ場合得点で上回る)」が条件)日向らが離脱せず、ベストメンバーで戦える。もちろん、連打さえできれば相当ヌルヌルな難易度になるので張り合いがないが…
    • 他には原作のワールドユースでは戦わずじまいに終わった旧作のライバル、シュナイダーやピエールに対して葵を含んだメンバーで戦えるというドリームマッチも可能。上の「問題点」の項目で書かれているように、強引すぎて無理がある展開ではあるが、せっかくの名キャラクターたちが出演できないのはもったいないとも言える。
      • また、ゲーム発売時点では分からない事だったが、原作の展開を正しく再現していたらシュナイダーたちとは戦わないまま終わってしまう事になっていた。*8それよりはこのifエピソードを加えてくれた方が、結果的には良かったとも言える。
  • 必殺シュート系は名前ばかりで大多数あまり見た目の差がない反面、数でみるとシュートを含め必殺技はかなりレアなものまで取り入れられており、それなりに拘りは見られる。
    • 「ツインシュート」は「翼&岬」「立花兄弟」だけでなく「日向&沢田のツインシュート」や「翼&日向のドライブタイガー」まである。
    • シュート以外でも高杉の「ロングスロー」や松山の「イーグルパス」などテクモのシリーズで取り入れられていなかったレアなものまで取り入れられている。
    • 他にはヘルナンデス(ジノ)の「カウンターアタック」なども取り入れられている。
  • スタミナが及ぼすシュートへの影響。
    • テクモ版では「ガッツが足りない=その必殺シュート自体打てない」だが、原作では(旧作も含む)「負傷などもあって本来の威力が出せない状態で、不完全ながら強引に打った」という場面も多々あったので、その再現になっている。
  • 上記の「パスだ」コールは鬱陶しいが、一応キャラ分けされている。
    • 早田なら「パスや!」次藤なら「パスタイ!」など。

総評

連打合戦でボールの奪い合いをしたり、フィールドビューでのスピーディーな展開などテクモシリーズとの差別化や意欲が感じられる部分はあるが、いかんせんゲーム全体で見ると見事にバランスが崩壊しており、お粗末すぎる点が多い。
当時は原作自体がまだアジア予選と言う中途半端な状態であり、それをゲームに置き換えることでゲームもまた中途半端になるということは、ある程度はやむを得ないだろう。しかしそれを補填する旧世代ライバルのシュナイダーの登場がタイやオランダまで含めた世界の連合チームと言うのはいかんせん強引すぎるし、またそのストーリーのつなぎ方もあからさまに無理矢理さが目立つもので、この点でもお粗末さが露呈している。
更にゲーム化する上でアニメと原作どちらを採用してもいいような部分でもわざわざダメな方を採用したり、『キャプテン翼J』風の盛り上がりに欠けるBGMの曲調など、いろいろな部分でダメな要素は律儀に取り込んでしまっている。
試合数が少ないなどボリュームにも欠けており10,000円超のソフトにしては、それに見合うだけ楽しめるとは到底言えない。

これがオリジナルのサッカーゲームだったならば多少は面白いものになった可能性もあっただろうが、テクモ版も踏まえて「『キャプテン翼』のゲーム」として考えると、ものの見事にそれまでの良い部分を殺した要素ばかりが目立つ。
ただしこれは『キャプテン翼VI』(「栄光ある『キャプテン翼』シリーズの7作目」)ではなく、あくまで「元々黒歴史の『キャプテン翼J』のゲーム」である。そう考えれば今までのブランドに傷がつかないのは不幸中の幸いと言えるかもしれない。


その後の展開

  • 翌年1996年5月3日に同じくバンダイからプレイステーションソフトとして『キャプテン翼J GET IN THE TOMORROW』が発売される。『キャプテン翼J』は上記の通り1995年末までの放送だったため、映像ソフトを除けばこれが『キャプテン翼J』最後の商品展開となる。結果的に『キャプテン翼J』のゲームはバンダイに始まりバンダイに終わったことになる。
    • バンダイはそれから10年を経た2006年に「J」のない『キャプテン翼』としてプレイステーション2でゲームをリリースしている。

余談

  • 本来ジェンティーレはDF、クライフォートはMFなのだがゲームでは二人ともFWになっている。
    • 翼や葵がサンパスFCやインテーナでは本来のMFではなくFWになっているためクライフォートもゲームの都合から変えられたものと思われる。
    • ジェンティーレがDFという情報が出たのはアジア予選終盤で、この当時はMFとして予定されていた名残で翼や葵同様ゲーム都合によるFW転換と思われる。
  • 本作の題材であるアニメ『キャプテン翼J』は、1994年10月の開始当初こそ金曜ゴールデンタイムでフジテレビ系全国放送という破格の待遇で初回こそ14.1%とまずまず好調だったものの絵質や声優キャスティングの一新が裏目に出て中期には視聴率5%前後まで急落し(結果的に第1話が最高視聴率となった)、第2部ワールドユース編以降は平日夕方のローカルセールス枠へ降格、一部地域では打ち切りの憂き目に遭った。
    • 当初はジュニアユース大会まで含めた旧作をフルリメイクする予定だったが、上記のリニューアルが裏目に出て視聴率が急落し、リメイクは小学生編のみにとどまった。そしてワールドユース編への移行を前倒しても挽回には至らなかったため、これもアジア一次予選を終え日向らベストメンバーが戻った所でアジア二次予選初戦のウズベキスタン戦の導入部で終了。
      • 結局ワールドユース編のアニメフル放映は叶わずじまいに終わっている。
  • 原作は最終的には連載打ち切りという最悪の結末を迎えており、結果「一次予選のタイユース戦*9が一番面白かった」という意見も多々ある。
    • そう考えると黒歴史な中ながら一番面白かった時期をゲーム化したともいえる。
    • 一応打ち切りとは言っても決勝戦のブラジル戦の結末までは描かれており、未掲載分は単行本に収録されている。
  • 後に漫画家となる岡本倫氏がバンダイスタッフ時代に関わったタイトルの一本であり、スタッフクレジットにも本名の岡本倫人でアシスタントプロデューサーとして掲載されている。

最終更新:2023年10月15日 18:47

*1 「リアル・ジャパン・セブン」と呼称する。全日本ユースとは別に組織され代表の座を奪いにきた「影の全日本」。ゲームでは触れられないが、その実態は「コーチ役のバックアップチーム」であり最初から全日本メンバーに入る予定はなかった。また浦辺と火野以外の5人は翼たちより年上のJリーガーで仮に入りたかったとしても年齢的にその資格がないので入れない。

*2 原作のワールドユース編ではちゃんと現実のクラブの名前が使われている。ちなみにこの「漫画では実名、アニメ・ゲームでは変名」という処置は以後も貫かれることとなる。

*3 ただしこれは小学生編や中学生での話でワールドユース編ではあまり見られない。

*4 原作でもアニメでも日向が13番、岬が14番といったゲーム中での背番号を着ている描写はまったくない。

*5 だが、そうでもしなければ原作で大人気の海外キャラがゲームに出場しない事になってしまい、そうなったらなったでゲームの魅力がさらに失われてしまったことだろう。原作でも不人気の理由はなかなかシュナイダーたちが出ない事への不満と、出たら出たでかませ扱いにされた事への不満が大きかった。そんな原作と比較すれば、まだこうして顔出しの特別試合を組んでくれた事は有り難いとも言えたのである。

*6 他に火野竜馬なども担当

*7 GKに必殺シュートを3回連続で止められると、1/8の確率で一度だけ撃てるようになる。それ故に強豪GKがいるチームが相手でないと、まず発生しない。

*8 試合があったイタリアは相手側の負傷で好試合にならなかった。オランダは打ち切り展開のためダイジェストになってしまった。

*9 本来なら楽勝の相手のはず(実際日向らが合流したその後のアジア予選は全試合が3点差以上の圧勝だった。)だが主力がほとんど不在のため一時は3点ビハインドするほど大苦戦し、葵と若林がかけつけてギリギリ逆転勝利した。