聖鈴伝説リックル

【せいれいでんせつりっくる】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 タイトー
開発元 シュールド・ウェーブ(タケル)
発売日 1992年6月26日
定価 6,800円
プレイ人数 1人
セーブ パスワード制(4文字)
判定 良作
ポイント キャラ交代制のファンタジーアクション
書き込み量が圧巻のグラフィック
ノンバーバル(メッセージレス)の作風
やり応えのある難易度



エンディングは誰も知らない



概要

『ココロン』、『ノスタルジア1907』のタケル(ブランド名シュールド・ウェーブ)が開発、タイトーより発売されたファンタジーアクションゲーム。
特性の異なる4人のキャラクターを使い分けながら進むという特徴を持つ。

ストーリー

古の時代、世界を脅かした魔王タ・キードは神々によって封印された。
闘いの後、神の力は4つの鈴となって世界各地へと散らばり
「その鈴を手にした者は伝説の勇者である」という言い伝えが生まれ、以後平和な時代が長らく続いていた。

しかし時が下り、皇帝ハンス14世の治める世になった時、突如としてタ・キードが復活を遂げる。
ハンス14世は兵を率いて勇敢に立ち向かったが、さらなる力を蓄えたタ・キード率いる軍勢の前に、
配下の魔物たちにすら太刀打ちできなかった。

鈴の勇者の伝説を聞いた皇帝は、各地に手紙を託した鳩を飛ばして勇者たちを呼び集めることにし、
それに応えて4つの鈴を携えた者たちが皇帝の下に集う。
白い鈴の持ち主である少年リックル、青い鈴の持ち主であるドラゴンの少女キキラ、
赤い鈴の持ち主であるゴーレムのガンム、緑の鈴の持ち主であるネズミのコウである。
皇帝はリックルを鈴の指導者に任命し、魔王タ・キード討伐の使命を託した。

リックルと仲間たちは使命を果たすべく旅立つ。

登場人物

4人の戦士たち

  • 勇者リックル
    • 伝説の白い鈴を持つ本作の主人公格の少年。「鈴の指導者」として4人パーティのリーダーを務める。
      • 初期ライフゲージは4、最大で10(EASY=16)。
      • 攻撃方法は不思議な鈴。水平方向に3連射、移動しながらの射撃が可能で地形を貫通…と『ロックマン』のロックバスターに類似した性能。しゃがみ撃ちで背の低い敵に当てることもできる。威力は低め。
      • 能力は天井ぶら下がりと壁つき。『悪魔城伝説』のグラントに類似した操作で壁や天上に張りついて移動したり、壁から壁にジャンプで渡ることができる。
  • ドラゴンのキキラ
    • 伝説の青い鈴を持つドラゴンの少女。元は人間の女の子だったがワガママで自信過剰な性格への罰としてドラゴンの姿に代えられてしまった。
      • 初期ライフゲージは4、最大で8(EASY=14)。
      • 攻撃方法は口から吐く炎。緩やかな逆放物線を描いて飛び、地形も貫通する。Bボタン押しっぱなしで2段階の溜め撃ちが可能。前方から斜め上をカバーする高威力の3WAY弾に変化する。
      • 能力は飛行。ジャンプ後にAボタンを押し続けることで一定時間ホバリングが可能。他にも足の鋭いツメのおかげで滑る氷の床の影響を受けない。
  • ゴーレムのガンム
    • 伝説の赤い鈴を持つゴーレムの男。元は国一番の大泥棒。盗みに入った魔導師の家にあった薬を盗み飲みした結果、今の姿になった。現在は改心している。
      • 体力が全キャラ中最高で初期ライフゲージは8、最大で14(EASY=20)。
      • 攻撃方法は伸縮自在の腕。自身2~3キャラほどの射程しかないが、全キャラ中唯一、左右上下の全方向をカバーでき威力も高い。
      • 能力はトゲ地形をノーダメージで歩く事ができる。ただし見た目どおり移動スピードとジャンプの飛距離は全キャラ中最低で体格の大きさゆえ当たり判定が大きい。またしゃがむことができない。
  • ネズミのコウ
    • 伝説の緑の鈴を持つ。気の弱い魔導師でガンムが盗みに来た時、そばにあった薬を飲んで今の姿になった。
      • 体力が全キャラ中最低で、初期ライフゲージは2、最大で6(EASY=10)。
      • 攻撃方法は時限爆弾。その場に設置して時間差か敵の接触で爆発する。高威力で空中にも設置できる。
      • 能力はリックルと同様の天井ぶら下がりと壁つき。移動スピードは全キャラ中最速。体が小さいので狭い場所に入り込むことが可能なほか、浅い水場に足を取られない。元が小柄なためかしゃがむことはできない。

邪悪なるものたち

  • 恐怖の魔王タ・キード
    • 長年封印されていたが復活を遂げ、数多くの部下を従え猛威を振るう。
    • EASYモードにおけるラスボス。
  • 魔王軍団四天王
    • サイクロプス・ダークナイト・ブレスドラゴン・死神デススカルの四名。ボスキャラとしてゲーム中順番に戦うことになる。
    • それぞれ最初は魔導師風の姿で現れるが、ライフゲージを0にすることで本性を現す。
    • NORMALモードではゲームの最終盤で再戦することになる。
  • 真のラスボス
    • NORMALモードのラスボスでEASYでは出現しない。EASYモードのエンディングで存在が仄めかされるのみで、説明書には一切記載がなく正体もベールに包まれている。

ゲーム内容

  • オーソドックスな横スクロールアクションだが、4人の個性を活用して進めていくのが大きな特徴となっている。道中には上や下へ向かう縦スクロールも点在している。
  • 難易度選択
    • 最初にEASYとNORMALを選ぶことが出来るが、NORMALでなければ真エンドは見れない。
      • EASYモードではミスした仲間は再スタート時に復活するが、NORMALモードでは戦闘不能扱いになり復帰のためにアイテム『薬』が必要。*1
  • アイテム
    + ...
  • 「ハート」
    • 小と大の2種類あり ライフゲージを小は1、大は4つ分回復する。
    • 「水晶玉」
      • ライフゲージの最大値を2つ分増加させる
    • 「薬」
      • 『ロックマン』のE缶のようにストックできるライフ全快アイテム。所持数は各キャラ1つのみ。
        • NORMALモードではリックル以外の仲間キャラがミスした時の復帰アイテムとしても機能し、ポーズ画面でキャラクターにカーソルを合わせ薬を使うことで復活する。
          キャラ間の受け渡しは不可能であるため、ミスした時点で薬を所持していない場合は復帰できない。
    • 「人形」
      • 1UPアイテム

    これらのアイテムは道中に置かれていたり、ザコ敵を倒した時に落とすことがある。

    • オープニングステージ
      • ゲーム開始直後、リックル・キキラ・ガンム・コウの4人から1人を選び、専用のステージを全員分プレイすることになる。
      • このステージは各キャラクターの性能をプレイしながら覚えるチュートリアルとしての役割を担っている。
    • 仲間のチェンジ
      • オープニングステージクリア後、スタートボタンで仲間の切り替えを行えるようになる*2
      • ライフは各キャラクター毎に独立している。
      • BGMもそれぞれのキャラの専用曲が流れる。終盤のステージにおいてはキャラのテーマではなくステージの曲が流れる。
    • ステージの分岐
      • 特定のステージではクリア後にステージ分岐が発生する。
      • ステージの最後が分かれ道になっているものから特定のキャラでボスを倒す、特定のボス戦で穴に落ちるといった条件のものも。
    • コンティニュー&パスワードコンティニュー
    • ゲームオーバー後のコンティニュー回数は無限。
      • パスワードコンティニュー用のパスワードは全てのオープニングステージクリア後以降、ステージクリア毎に4桁の英数字が表示される。
    • ライフ制
      • 操作中のキャラクターのライフが0になった時点で1ミスとなり、残りの仲間でプレイ続行することはできない。ミス後は常にステージの最初からやり直しとなる。
        • ライフ自体はキャラごとに独立しているが、残機数は共有しており、残機0になった時点でゲームオーバーとなる。

    評価点

    良好な操作性

    • キャラの操作に関してのストレス要素はほとんどない。
      • レスポンスが非常に良好で各キャラ共に動きが非常にスムーズで、動かしていて爽快感がある。
      • リックルとコウの壁・天井移動は一旦張りつけば十字キーを離しても状態が保持される*3ので操作ミスが発生しにくい。
      • ジャンプ中に被弾してもノックバックが発生しないので転落ミスが起きにくい。
      • オープニングステージにより各キャラの動かし方を事前にじっくり練習することができるのも親切。

    4人の操作キャラを生かしたゲーム性

    • 4人のキャラそれぞれに個性があり、キャラチェンジを駆使してゲームを進めていく面白味がある。

    多彩な敵キャラ

    • ザコ敵はオーソドックスなタイプや一癖ある動きをするものが登場し、バリエーションに富む。
    • ボスキャラも上記のタ・キードや四天王、それ以外にも複数のボスが登場し、見た目だけではなく戦い方も多様である。
      • 中でもブレスドラゴンは圧巻のドットの描き込みや即死攻撃、露骨なオマージュで強烈に印象に残るだろう。

    ほどよく、やり応えのある難易度

    • 中間点が無いこともあり一部ステージは難しめではあるが、道中は適度に1UPが設置されており、ゲームオーバーにはなりにくい。
    • ボス戦もキャラチェンジを生かしてライフゲージの高いガンムでごり押しする、全員が体力ギリギリになるまで挑むといった戦法が取れる。
    • 魔王タ・キードはオマージュ元が難敵*4なだけにゲーム中でもかなりの難関。上記のブレスドラゴンの存在もあり決してヌルゲーというわけでもない。

    非常に優れたグラフィック

    • キャラクター、背景のドットは非常に作り込まれており、特殊チップなどのハード的に特別な技術を使わずこの高品質を実現している。
      • 隠しステージの移動する足場扱いの巨大なカニの描き込み具合は圧巻であり、ファミコン史上最も迫力のあるカニと言っても過言ではない。
      • 遠景も空気遠近法などが考慮されており奥行き感がある。
      • 4人のキャラや一部の敵キャラがダリウス風車のように滑らかに回転する動作まで用意されている。
      • 4人のキャラの待機時の動作やオープニングで皇帝が口パクまで行っているのが芸が細かい。
      • エンディングのスタッフロールも各スタッフごとに固有のフォントが使われているという凝りよう。

    良質なBGM

    • ファンタジー世界観にマッチした音楽は聴きごたえあり。
      • 各キャラクターの操作時に個別のBGMが流れ、それぞれがキャラクターのイメージにマッチしたものになっている。
      • 作曲の担当は「流石一秀」こと横山喜次氏と『ノスタルジア1907』を手掛けた「ゆきまり」こと鞠川雪映氏。

    賛否両論点

    • ノンバーバル(メッセージレス)の作風
      • パスワード表示などシステム的なものを除き、作中にセリフは一切存在しない。そのため話の展開がわかり辛い場面がある。
        • ただし、ノンバーバルが容量の都合で仕方のない部分だったり、作風として評価されているゲームも多いので、一概に悪いとは言えないだろう。

    問題点

    • ボス到達まで中間点が存在しないのでミスするとステージの最初からやり直しになる。ステージによっては道中が長いので辛い所。
    • ステージ道中でミスするとそのステージ内で上昇した分のライフゲージが消滅してしまう。
    • 各キャラのライフゲージ及び薬の所持状況はパスワードに記録されない。
      • パスワードコンテニュー時は常にステータスが初期状態からの再開を強いられてしまうため、上記のライフゲージ上昇の仕様も相まって不便さが否めず、終盤のステージをパスワードコンティニューした場合は攻略が困難になる。

    総評

    プレイヤーを引き込む圧巻のグラフィックと多彩な敵キャラ、それを支えるゲーム性やBGMと本作は多方面で力の入った作品に仕上がっている。
    ノンバーバルの作風やパスワード関連の仕様など多少の賛否・難点はあれど、やり応えのある良アクションゲームであるのは間違いないだろう。

    余談

    • ファミコン末期の発売で出荷本数が限られていた事もあり、現在では本作は中古価格が非常に高騰している。
      • 開発元会社であるシュールド・ウェーブ(タケル)は1994年頃に倒産したため、復刻が困難。
      • アメリカのゲーム会社であるLimited Run Gamesは2024年11月に公益社団法人著作権情報センターのウェブサイト上に権利者捜しの広告を掲載している(参照1)。
        • 開発元会社が共通している『ココロン』も同様に掲載されている(参照2)。
    • 海外版は『Little Samson』というタイトルで発売されている。
    最終更新:2024年12月17日 07:32

*1 ラスボス撃破後の脱出パートでは攻略に4人の能力が必須のため、この制約は除外される。

*2 ある隠しステージでは仲間の切り替えに必要な鈴が奪われ、操作キャラがリックル固定になる。

*3 『悪魔城伝説』のグラントは常に壁・天井の方向に十字キーを押している必要があった。

*4 イエローデビルの分離攻撃。ただし見た目は画面奥から光弾を連射するというもの。こちらの攻撃チャンスも相手の攻撃後の一瞬だけ。