探偵 神宮寺三郎 プリズム・オブ・アイズ

【たんてい じんぐうじさぶろう ぷりずむ・おぶ・あいず】

ジャンル アドベンチャー

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
発売元 アークシステムワークス
開発元 オレンジ
発売日 2018年8月9日
定価 パッケージ版:5,370円(税別)
ダウンロード版:4,991円(税別)
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 良作
探偵 神宮寺三郎シリーズ


概要

コマンド選択式の探偵物アドベンチャーゲーム『神宮寺三郎』シリーズの18作目。

PS4/Switchでの初作品かつ、初めてのマルチプラットフォームとなる。

神宮寺、洋子、熊野それぞれが主役の作品が1本ずつと携帯アプリ版10作品のフルリメイク版が収録。
謎の事件簿も新作が1作品、そして次回作『ダイダロス:ジ・アウェイクニング・オブ・ゴールデンジャズ』の体験版が収録されている。

なお、本作の収録エピソードはダウンロード専用ソフトとしてそれぞれのストアで単品販売されている。
価格はリメイクと謎事件簿が各400円、新作が各600円(ともに税込)。


収録作品

  • 時の過ぎゆくままに
  • 『6枚の犯行』
  • 『亡煙を捜せ!』
  • 『アオイメノリュウ』
  • 『イヌと呼ばれた男』
  • 『ふた色の少女』
  • 『託された指輪』
  • 『椿のゆくえ』
  • 『果断の一手』
  • 『連鎖する呪い』
  • 『魔鏡の真実』
    • 熊野主役。
  • 『死者に捧げる石』
    • 洋子主役。
  • 『虚飾の夜』
    • 神宮寺主役。
  • 『三郎と謎の秘宝』
    • 謎の事件簿。
  • 『ダイダロス:ジ・アウェイクニング・オブ・ゴールデンジャズ』序章
    • 体験版。

評価点

  • シナリオは人気の高い作品が選ばれている事もありクオリティは安定している。
    • 携帯アプリ版のリメイクはシナリオ自体はほぼベタ移植だが、グラフィックは全面的にリメイクされている。作品ごとに衣装が異なる洋子の衣装もしっかり描かれている。
  • 新規シナリオは長さ自体はそこまでではないものの、本作では3本用意されているため総合的なボリュームは十分。
  • また過去作では『亡煙を捜せ!』などの複数主人公作品でしかメインを張る事がなかった洋子と熊野にもそれぞれ単独で新規シナリオが用意された。もちろんそれらの作品でも神宮寺は裏方として要所で活躍する。
  • 新規シナリオのみキャラクター相関図がメモに存在する。
  • 新規作だけでなく、アプリ版の作品もチャプター毎にプレイできるようになっている。またどのシナリオでもカーソルを合わせた時に新規シナリオは主役の声優、それ以外の作品は神宮寺役の小杉氏によってあらすじが読み上げられる*1
  • BGM
    • 過去作同様ジャズメインだが、演奏メンバーが増えた事もあってより重厚となり、携帯アプリ版の曲も新たにジャズ曲としてリファインされているが、ゲームの雰囲気を損なう事なく溶け込んでいる。
  • セーブファイルの大幅増加。
    • 今までは3つ程度しかなかったが、本作では30と大幅に増加。14もシナリオがあるため非常にありがたい。

賛否点

  • グラフィック
    • 『未完のルポ』ほど極端ではないが、本作のキャラクターグラフィックもアニメ塗り。質自体は悪くなく、背景からも浮いてはいないが、各タイトルのキービジュアルやタバコ吸うコマンドなどはいつも通りの渋い絵柄のため差が大きい。
    • 謎の事件簿を除く全作品の絵柄が統一された。
      • これにより作品ごとに差異はなく、毎度毎度顔や服装が変わる洋子も安定している。DSでそのまままとめて移植していた過去作ではシナリオ毎の絵柄の変化に違和感を感じやすかった。
      • 一方で、アプリ版及びDS版をプレイ済みの人からすると、絵柄が大分変ったシナリオもあるため、そちらに違和感を感じやすい。

問題点

  • 大半が移植作品
    • 携帯アプリ版の作品はグラフィック、サウンド面は大きくリメイクされたとはいえ、全てDSに一度移植されているためストーリーでの目新しさはない。
    • とはいえミドルプライスで14本ものシナリオを遊べるため、ボリューム自体は十分にある。また、前述のようにDL版はエピソード単体でも販売されているので、新作+謎事件簿のみであれば2200円とかなり安価で購入できる*2
  • 表現規制で不自然になったシーンが存在する
    • 本作に収録されている『亡煙を探せ!』では、熊野が神宮寺の拘りについて語る場面があり、元は「マルボロ」「カミュ」「ミニクーパー」が言及されていたのだが、本作では商標の問題があったのか、「吸い応えのあるレギュラータバコ」「ブランデー」「コンパクトカー」となっている。
      • シリーズ経験者からすればやはり違和感のある表現であるし、それ抜きで考えても同シナリオで洋子が「先生は特定の銘柄しか吸わないはず*3」とレギュラータバコという括りではなく銘柄について話す場面も存在し、整合性が取れていない。
      • これらの固有名詞は新作のみならず携帯アプリ版リメイクでも一切登場しなくなった。これ自体は大人の事情ということで納得できなくはないが…。
  • システム
    • 過去作同様非常にシンプルで、特に携帯アプリ版にはサーチモードが追加されるといったこともない。
  • グラフィック
    • 携帯アプリの移植作はDS版ではOPなどにアニメーションムービーがあったが、絵柄が変更となった影響かそれらは全て削除されてしまった。
      • 逆に本作オリジナルシナリオ3作にはちょっとしたアニメーションがあるが、本当にちょっとしたレベルであり単純なクオリティはDS時代以下。
    • タバコ吸うコマンドはDSや3DSではタバコを吸えない場所では専用のイラストだったが、本作ではどこでやっても煙草を咥え火をつけたものになっている。

総評

久々の据置機向け新作だが、良くも悪くも何時もの神宮寺といったクオリティ。
シリーズファンはやはり過去作でのアプリ作品のプレイ状況でボリュームは変わってくるものの、システムがシンプルなためとっつき易く、新規プレイヤーならば十分お勧めできる作品となっている。

最終更新:2024年06月08日 16:55

*1 洋子&熊野が主役の『亡煙を探せ!』も小杉氏。

*2 全てのエピソードを購入する場合は『PRISM OF EYES』として購入する方が安くなる。

*3 この場面は吸わないはずの銘柄を1カートンも購入していたため、洋子が違和感に気付く、というシナリオ運び