本項では『つぐのひ』(判定:賛否両論)、『邪神ころね』(判定:なし)、『絶叫死人』(判定:なし)をまとめて紹介する。
つぐのひ
【つぐのひ】
ジャンル
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ホラーアドベンチャー
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対応機種
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Windows(Steam)
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開発元
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ImCyan-アイムシアン-
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販売元
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バカー (Vaka Game Magazine) PLAYISM
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発売日
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2021年8月13日
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定価
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980円(税込)
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判定
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賛否両論
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ポイント
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連載形式でWEB配信されている短編の追加要素入り移植版 日常が侵食される様を描くジャパニーズホラー 基本的な操作は左キーを押すだけ
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ストーリー
人が霊物の領域へ
侵入する行為は罪となる。
人類は繁栄し、
建造物が乱立し、
元ある霊物の領域が
曖昧になってしまった為、
気づかぬところで
罪を犯してしまう事になる。
本来訪れるはずの
「つぎのひ」は
霊の力によって
「つぐのひ(償い)」という
呪いの言葉に
捻じ曲げられてしまう。
※公式サイト「つぐのひの世界」より引用
概要
名も無き庶民の日常が徐々に怪異に侵され、取り返しのつかない結末へ理不尽に陥れられる様子を描いたホラーアドベンチャー。
元々はRPGツクール2000製の連作フリーゲームだったが、株式会社バカーの協力を経てブラウザゲームサイト「ゲームマガジン」上に発表の場を移行、本作はそこでリリース済となる作品の一部と新作2本をまとめたオムニバスパックとなっている。
テキスト送りを除けば、主人公を左に歩かせる操作しかない点が大きな特徴であり、プレイヤーは一定のポイントで発生する怪奇現象や、進むに連れて大きく崩れていく世界を目と耳で体験するのが目的となる。
要はデジタルお化け屋敷といえるコンセプトであり、特にゲーム実況を目的としたユーザの目に留まることとなった。
収録作品
つぐのひシリーズ全体は、更に細かく「旧作」「異譚」「シキヨク」「新作」の4種のシリーズに分類されている。
本作はその中から「旧作」と「新作」を収録した形となる。
日常侵食リアルホラーつぐのひ 第一話
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『日常侵食リアルホラーつぐのひ』として配信されていた連作のリマスター版。 この3作は公式に「旧作シリーズ」とされる。
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日常侵食リアルホラーつぐのひ 第二話
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日常侵食リアルホラーつぐのひ 第三話
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つぐのひ -閉ざされた未来-
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「新作シリーズ」の1~4作目。
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つぐのひ -ねこのひ怪奇譚-
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つぐのひ -幽闇の並葬電車-
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つぐのひ -囁く玩具の家-
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つぐのひ -霊刻の踏切り-
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本作向けに書き下ろされた新規シナリオ。
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アイの亡き声
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バーチャルYouTuber・キズナアイを主人公としたコラボシナリオ。 こちらも本作向けに書き下ろされた。
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リリース済7作品は新たに他言語に対応している。
また、有料DLCとして以下が追加配信された。
つぐのひ -忌み夜の喰霊品店-
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2023年2月1日配信
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つぐのひ -昭和からの呼び声-
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2023年10月19日配信。 本来は『囁く玩具の家』の次作として既に公開済だったエピソード。 物語上の追加要素が新たに作られている。
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一部舞台を共有している話はあるものの、直接的なストーリーの繋がりはないためどの作品からプレイしても問題はない。
特徴
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右から左方向へ進行する横スクロールアクションで、キャラは腰から上が画面内に描画される程度のやや大きめのサイズ。
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例外的なクリック操作などを除き、前述の通り操作は左に歩くことのみであり、プレイヤーの任意による停止はできるが後退はできない。
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現代日本が舞台となり、各話の主人公も名もなき一般人である。
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学校からの帰途を行く、降車の前に電車の車両内を移動する、といった他愛もない日常の風景を経てマップの終端に辿り着くまでが1周(1日)となり、「つぎのひ」へと進んでまた同じルートを歩行する。
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しかし日を追う毎に同じはずの風景に怪しいものが映り込んだり、そばを行く人々の言動が乱れてきたりと、少しずつ変化が生じていく。
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それを何度か繰り返すと「つぎのひ」ではなく「つぐのひ」となり、主人公が怪異に捕らわれる形でエンディングを迎える。
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分岐や2周目プレイは一部の作品に小規模な追加要素として収録されているのみで、基本的にはこのエンディングに至ることが本ゲームの全てとなる。
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どの作品もエンディング後はタイトル画面が変化する。
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物語途中でのゲームオーバーはない。
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進むか止まるかにもプレイ時間の長短以上の意味はなく、プレイヤーのテクニックが問われる場面は一切ない。
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発生する怪奇現象や悪霊はプレイヤーを驚かせるために存在しており、主人公が襲われてダメージを受けることも、また主人公自身驚く素振りを見せることも、ストーリー上の都合を除いて皆無である。
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プレイ時間は1話あたり10~30分。
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4章構成となる『第三話』と、隠し要素のためクリアフラグを保存する『忌み夜の喰霊品店』を除き、セーブ機能はない。
評価点
「日常が侵食される感覚」をしっかり楽しめる
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舞台が日本の住宅街や電車内などよく見知った場所となる上で、何周もする毎に少しずつおかしなことが起きていく、という構成であるため「自分に近い世界のできごと」として感じられやすい。
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最初から怪物やお化けが前面に出てくるのではなく、「モブが突然動いて意味なく主人公を見てくる」「ゴミにやたら虫が湧いている」のような、特に異常でもないが気になること程度から始まるので、じわじわと不吉なことが迫ってくるような不穏な雰囲気をよく味わえる。
ぱっと見で的確に不穏だとわかるビジュアル
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人物、背景ともに実写風の書き込みであるが、明るさや彩りがかなり抑えられているためか、暗く淀んだじめっとした嫌な風合いがよく出ている。
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更に画面フチはビネットが強めにかけられ、全体的に闇に溶けていくようにどんよりとした、ホラー演出として適切なビジュアルとなっている。
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キャラの頭身もリアルである一方、目だけぼかすように塗りつぶされており、表情が読みにくいのも不穏さを感じさせるポイント。
コンセプトに対して丁寧に作られた美術
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視覚的なオブジェクトは全てストーリーに準じたものが用意されており、使いまわしがない。
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壁材や遠景のビルなど大枠のものはもちろん、貼り紙、雑貨、ゴミといった小物が細かく散りばめられており、それらがストーリーに合わせて書き下ろされているため、リアルさの増幅に寄与している。
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スーパーのバックヤードであれば「職員向けの身だしなみチェック用見本写真」のような細かい物体まであり、更にそうしたものがストーリーにも関わってくるため、全体的に美術関連のこだわりは感じ取れる。
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また操作説明や「つぎのひ」アイキャッチ、スタッフロールのようなゲーム外要素のビジュアルも、都度コンセプトに合わせてイチから作られている。
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例えば「左を押して進行してください」といった操作指示が駅ホームの電光掲示板に書かれていたり、アンティーク雑貨のある洋館においてアイキャッチが人形劇風であったりといったもので、ゲームを開始した瞬間からスタッフロールを経てタイトルに戻るまで、全てが物語の中に没入するような描かれ方をしている。
プレイ時間が「程よい」
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1つの物語あたりのプレイ時間は10~30分程度であり、ゲームとしてはかなり短い。
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しかし本作は終盤になるに連れ恐怖演出が異常にエスカレートする傾向があり、最後は数歩進むたびに何かが起こる事態になるため、正直1回のプレイとしては適切なボリュームである。
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つまり「それ以上長いと疲れる」という意味でもあるがそれは後述するとして、本作の場合、プレイ時間の短さ自体はむしろゲーム内容に対してちょうど良いバランスと感じられる。
「左に進むだけ」という簡単操作とホラージャンルの親和性
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何せタイミングも何もなく「押したら歩く」だけの話であるため、「怖いけど進むしかない」「進むしかないけど怖くてキーを押せない」というホラーゲームの根源の面白さが楽しみやすい。
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またプレイヤーにそうした余裕がなくなりパニックになったとしても、結局左キーさえ押しておけばほぼ全自動で進むようなものなので(むしろ夢中で指を離すことすら忘れ得る)、ホラーが苦手でも受け身で恐怖演出を楽しめる。
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究極的には目を瞑っていても進行に問題はなく、本当に怖くて断念するということが発生しにくい。そのため誰でもクリア自体はできる余地があり、ホラー初心者への間口の広さに繋がっているともいえる。
「忌み夜の言葉」の構造的効果
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DLC『忌み夜の喰霊品店』では、いわば悪霊の世界の言語のようなものが登場する。といっても仕組みは日本語の母音を多少いじった程度であり、初見でもある程度力技で読める簡単なものである。
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しかし習熟が容易であるせいで、たかが30分程度のゲーム体験で「少し違和感はあるが何となく意味が伝わる」から「母語を読むレベルで普通に読める」に至ってしまう。これによってプレイヤー自身も主人公と一緒に霊的世界の住人になってしまったような感覚を得ることができる。
賛否両論点
やりすぎな恐怖演出
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序盤こそ不吉な予感が足元をじわじわと這いまわってくるような雰囲気を楽しめるが、最終日「つぐのひ」に至る頃にはかなり演出がエスカレートする。
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画面が真っ赤に染まり、大きな音が鳴り、悲鳴が轟き、お化けが画面外から落下し背景の窓ガラスは割れ、悪霊がアップになり目から血を流しギャーギャー騒いで寄ってきて飛んできて降ってきて……ということが数歩おきに発生する事態となる。
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その様はお化け屋敷どころかバーゲンセール初日の開店直後。そうした勢いを楽しめる人には良いし、ホラー慣れした人にとってもある種好ましい全力感ではある。ただ人によっては一周回ってギャグに見えてくるか、うるさすぎてイライラする可能性がある。
ストーリーに救いがなさすぎる
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冒頭に引用した通り、本作の世界観は「いつしか曖昧になった境界を踏み越えた人々」をテーマにしているが、主人公たちにとってはたまたま最初から自分の生活範囲がそこだっただけの話であり、踏み越えた自覚も悪意も全く無い。
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つまり個人として見れば何の落ち度もない庶民が、いわば「運が悪かったせいで」無惨な最期を遂げる筋立てとなっている。
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どの話も全く救いは無く、救済される分岐もないためあまりに理不尽ではあるが、逆に「だからこそ良い」と見るホラー愛好者もいるだろう。
コラボシナリオの評価
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『アイの亡き声』はバーチャルYouTuber・キズナアイを主人公としたコラボシナリオだが、そういったシナリオの存在自体が問題視の対象となっている。
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まず当然ながら「名もなき一般人にフォーカスを当てた」「誰にでもある日常」ではない。バーチャルな世界が徐々に怪異に侵食され、そこでバーチャルな存在が酷い目にあったところで怖さの方向が異なる。そのため『つぐのひ』シリーズの特徴や良さが殺されている、とする意見がある。
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しかしストーリー自体はキズナアイの設定を活かしたものであるし、発生する異変も「バーチャルにおいて日常が壊れるとはどういうことか」という軸で考えられている。
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その意味でコラボでないと作られなかった(従前のシリーズでは作られ得なかった)ストーリーであるといえるし、コラボだろうとお構いなしにきちんと残酷な目に遭うのも含め、バーチャルYouTuberに元々色眼鏡があるというのでなければ、シリーズの新しい方向性として好意的に捉えることは可能。
問題点
ゲーム性の乏しさ
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再三書いた通り本作は基本的に左に進む以外の操作はなく、タイミングやテクニックといったものも全く関与しないため、ゲーム性という意味での広がりは全く無い。
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ランダム性も無いので、都度決まった恐怖演出が起きて主人公が惨死するのを眺めるだけであり、これでは手回し映写機を回しているのと同じである。
全体のボリュームも乏しい
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プレイ時間そのものは程よいと書いたが、問題はその1回でその物語のあらゆる要素が見終わってしまうこと。
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多少の2周目要素や隠された展開を含むシナリオもあるが、ルートやストーリーが変わるわけではなく演出が一部変わる程度。掘り下げとしては不十分であり、たかだか10分程度ゲームプレイの寿命が延びるだけでしかない。
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上記の点と合わせて悪く言えば、ゲーム性もボリュームも無く、ほとんどただ観るだけの映像作品とすら言えてしまう。
結局展開も演出もワンパターン
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恐怖演出のバリエーションはそれなりに多いが、結局どのシナリオも同じことが同じ密度で起きるだけなので飽きやすい。
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一応シナリオごとの舞台を活かした仕掛けや趣向は見られるのだが、主人公の背中に亡霊がのしかかっているだの、目と口を大きく見開いた血塗れの悪霊が画面いっぱいにこちらへ向かってくるだの、背景のガラスが大きな音を立てて破裂するだのは毎度おなじみの定番と化している。
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結局飛んでくる物が変わったところで、いかにそれがシナリオに合わせて凝ったものであろうと「物が飛んでくる」という本質は変わらないわけであり、どのシナリオを選んだところで「またか」と感じてしまいやすい。
ゲームを終了しないと別の作品が遊べない
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9作品が収録されているオムニバス形式となっており、開始時にどの作品を遊ぶかを選ぶのだが、一度作品を選んだ後、この画面に戻ってくることが出来ない。
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したがって、別の作品を遊びたい場合には、一度ゲームを終了してから再度、本作を起動しなければならず手間になっている。
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1回のプレイ時間が短いからこそ、地味に面倒なこの仕様は気になるところである。
総評
あまりに単純なゲームデザインである。
それは、プレイヤーを驚かせるためだけに全力で仕掛けられた趣向を全力で享受するための最適解である一方で、人によっては到底ゲームとは呼べない、陳腐な仕掛け絵本としてしか扱えない要因にもなっている。
また、舞台設定やビジュアルは良いが、どのシナリオをやってもほとんど同じというのも両極端な性質であり、いわば「演奏技術は高いが何を歌わせても同じ曲に聞こえるアーティスト」のようなゲームである。
別の衣装を着飾った同じ恐怖を味わうために夢中になる人もいれば、さっさと白ける人も多くいるだろう。その意味で好き嫌いが分かれがちな作品といえる。
とはいえ、ホラー初心者への間口が広いのは確か。
気になったらゲームマガジン上で配信されている体験版もあるので、1度触れてみるのも損ではない。
余談
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本作の独特のプレイスタイルは、製作者のImCyan-アイムシアン-氏が2009年に手掛けたアドベンチャーゲーム『Planet Love Story』が基となっている。
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なお、『Planet Love Story』自体はホラーではなくタイトルにあるとおりラブストーリーである。
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本作の関連作品としてゲームマガジンで連載中のドラマ型ホラーアドベンチャーゲーム『シキヨク』シリーズがある。
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関連作というだけあって本作と同じ左に進むシーンがある一方で、本作と異なり登場人物の顔が目元までハッキリと描写されている。
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この他にも、『死臭-つぐのひ異譚-』『怨みっ子-つぐのひ異譚2-』という3Dダンジョンアドベンチャーもある。
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作品の説明にはないが『閉ざされた未来』についても元のブラウザ版から演出強化がされている。
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『囁く玩具の家』以降恒例となったエンディング後のロゴ画面での驚かせ演出について『幽闇の並葬電車』以前の作品にも追加されている。
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2023年8月10日にはSwitch版『つぐのひ』がリリースされた。
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Steam版と異なり『昭和からの呼び声』が標準搭載されている。『昭和からの呼び声』は後にSteam版でも有料DLCとして配信された。
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『昭和からの呼び声』は本作に搭載されるにあたり、無償公開版と異なり2周目要素が強化されている。
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2022年12月22日に『つぐのひ-忌み夜の喰霊品店-』のブラウザ版が配信され、翌年2月1日に本作のDLCとして200円で有料配信された。
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ブラウザ版は旧作同様無料。ただし、DLC版には、本作同様翻訳版が含まれている。
邪神ころね
【じゃしんころね】
ジャンル
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ホラーアドベンチャー
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対応機種
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Windows(Steam)
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開発元
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ImCyan-アイムシアン-
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販売元
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バカー(Vaka Game Magazine)
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発売日
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2021年11月8日
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定価
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563円
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判定
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なし
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ポイント
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VTuber「戌神ころね」とのコラボ作品 アイドルVTuberが元ネタだがしっかりと怖い 裏ルートの衝撃的なオチ ボリュームはやや控え目
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ホロライブ関連作品 さくら色Dreamer / 邪神ころね / hololive ERROR / あくありうむ。 / 美魔女の真実 / Doppelganger / Days With Ollie Idol Showdown / ホロパレード / Age of Advent / Holo X Break / KORONE BOX / Miko in Maguma / みこスナイパー / デュエホロ / お宝マウンテン / ホロポップ / 一伊那尓栖の冒険 / Protostar Twilight / FLARE NUINUI QUEST
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概要(ころね)
ホロライブプロダクション所属のVTuber「戌神ころね」の誕生日企画の一環として製作されたコラボ作品。
VTuberとのコラボ作品としては前作『つぐのひ』の中で『アイの亡き声』(キズナアイとコラボ)が存在したため、2作目といえる。
ただ、大きな違いとして、『アイの亡き声』ではキズナアイは主人公の立場であったが、本作における戌神ころねのポジションはタイトル通り邪神、つまり怪異側となっており、主人公は戌神ころね関連の怪異に巻き込まれていく形となっている。
タイトルには「つぐのひ」という文言は出てこないが、システムとしては『つぐのひ』シリーズと基本的に同様。
特徴(ころね)
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主人公となるのは男子学生。日頃からVTuberの放送を見ているという彼が、戌神ころねの張り紙の前でとあることを呟いたことを契機として怪異に巻き込まれていくことになる。
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コラボ作品である『実呪者』『絶叫死人』を除くと実に、初代(前作『つぐのひ』の第1話に該当)以来の男性主人公である。
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基本的に前作と同じシステムであり、日を跨ぐ際に「つぎのひ」「つぐのひ」と表記されるのも同様。
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戌神ころねをイメージした要素が作中に色々と登場する。また、ころね本人もしっかりと出演している。
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なお、戌神ころねの放送開始時の挨拶ネタである、「リスナーが指を切って捧げる」ネタが拾われており、本作説明文に「指を差し出そう」と書かれていたり、タイトル画面の「スタート」に相当する文言も「指を捧げる」となっていたりするが、いわゆるそっち方面のグロテスクな要素はないので安心されたい。
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周回要素はないが、2周目においては分岐点が表示され、裏ルートに進行することが出来るようになる。裏ルートでは衝撃の結末を迎えることとなる。
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なお、正確な表現としては2周目でなくとも裏ルートには進行出来る。ただし、1周目の時点ではノーヒントなので、本当の初回プレイで見つけるのは難しい。
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ネタバレ注意
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もっとも、『つぐのひ』の第2話の裏ルートに初回で辿り着けるタイプの人であれば意図せず初回到達してしまう可能性もある。そして、面食らうことになるだろう。
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評価点(ころね)
鏤められた戌神ころね関係のネタ
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ころね自身が作中に登場しており、VTuber・戌神ころねを起用した意味がしっかりと出ている。
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アイドル的要素を持つVTuberである戌神ころねだが、怪異としての怖さは充分発揮されており、「邪神ころね」というタイトル通りの存在感を見せてくれる。
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裏ルートは本シリーズでは数少ない主人公が助かるハッピーエンドとなっているが、同時に初見では爆笑不可避である。本ルートとは逆の意味で、なかなか攻めた衝撃的な内容といえる。
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単なる女性キャラクターというだけでなく、VTuberという要素も展開に大いに活かされている。
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戌神ころね自身だけではなく、関連するネタも拾われている。
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特に、戌神ころねの動画リスナーやファンを指す「ころねすきー」は、本作ではころねという怪異に取り込まれた人間として扱われている。
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そのため、ころねの落書きとして生まれた「ころねすきー」の画像も、そのすっとぼけた笑顔や開いた口などをホラー要素として利用するという演出にうまく利用されている。
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それ以外にもホロライブを運営するカバーの社長・YAGOOこと谷郷氏のネタなど、ホロライブ自体のネタも細かいレベルではあるが潜んでいる。
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ころね自身が企業系VTuberということで他のホロライブのVTuberと多数絡んでいることもあり、彼女自身の強いファンでなくてもホロライブ系VTuberが好きな人であれば多くのネタを拾えるだろう。
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戌神ころねやホロライブについて全く分からなかったとしてもプレイに支障はないため、ファンでないからと言って置き去りになってしまうことはないので安心。
問題点(ころね)
前作と比べてかなり割高
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本作のプレイ時間は1周辺りでいうと20~30分程度である。プレイ時間30分弱で500円強という値段はかなり割高と言える。
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ソフトの価格は前作の半額程度であるが、前作が事実上9作品のオムニバスだったのに対し、本作は1作品のみであるため、事実上の価格は4倍程度といっていい。
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裏ルートがあるため、2回はプレイするという前提としても決して安い値段ではない。
総評(ころね)
基本的には『つぐのひ』シリーズと同じ感覚でプレイすることが可能。
コラボ作ではあるものの、原作ファンであれば問題なく楽しむことが出来るだろう。
ただ、良くも悪くも『つぐのひ』と同様、合わない人にとってはとことん合わないかもしれない。
前作と異なり、収録されているのは本当にこれ1作なので値段はかなり割高である点は注意されたい。
余談(ころね)
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リリース前にころね自身が本作を先行プレイ・実況したほか、それ以外のホロライブVTuberもリリース後に挙って本作を実況プレイしている。
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なお、この裏ルートではいわゆる洗脳ソングが流れるものの、妙に耳に残ると話題である。
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2023年8月11日に、ホロライブとのコラボ第2弾となる『美魔女の真実 -マリンの秘宝船-』が発売。所属タレントの宝鐘マリンをフィーチャーしたもので、デビュー4周年の一環として製作された。
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2024年4月14日に『ころね』のPS4/Switch版が発売された。
絶叫死人-ゼッキョウシビト-
【ぜっきょうしびと】
ジャンル
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ホラーアドベンチャー
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対応機種
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Windows(Steam)
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開発元
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ImCyan-アイムシアン-
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販売元
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バカー(Vaka Game Magazine)
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発売日
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2022年6月3日
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定価
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560円
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判定
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なし
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ポイント
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ゲーム実況者とのコラボ作品のリメイク
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概要(オダケン)
2020年8月6日にホラーゲーム実況者であるオダケン氏とのコラボ作品として制作された『つぐのひ』のコラボ作品。
当時は、オダケン氏が実況動画でプレイしたのみで、一般公開はされていなかったものの、2年弱の時を経てリリースされる運びとなった。
基本的なゲーム内容は当時放送された時のものから大きな変更はないが、分岐ルートが追加されている、主人公の服装を選択出来る、といった違いがある。
特徴(オダケン)
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基本的な操作等は『つぐのひ』と同様。
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主人公はホラー配信を行っていると思しき男性…というよりコラボ先であるオダケン氏そのものである。
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一般リリース版においても主人公=オダケン氏であることに代わりはない。もっとも、旧作の主人公と比べて大きく異なった言動もないため、特に違和感を覚えることもないだろう。
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毎日着る服を3種類から選ぶことが出来る。選んだ服でストーリー展開が変わることは全く無いため、好きな服を選べば良い仕組み。
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前日に着た服を翌日コインランドリーで洗濯している(と思われる)ため、前日と同じ服を選ぶことは出来ないという妙にリアルな仕様がある。
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なお、これらの服はいずれもオダケン絡みの服である。
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実況動画でプレイした際には1,2,3はそれぞれ1日目、3日目、2日目の服として登場していた。
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実況動画の際から大きく異なる点として、分岐ルートが追加されている。
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分岐ルートでは本作、というよりも本シリーズにまつわるかなり核心に迫った内容を聞くことが出来る。
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オダケン氏のマスコットにもなっている魚が怪異として登場する。前作である『邪神ころね』と比べても旧シリーズと比べ違和感が少ない仕上がりであるが、細かいところでオダケン絡みのネタが出てくる。
評価点(オダケン)
ストーリーの背景が理解しやすい
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開始時にあらすじが出る他、分岐ルートでは本シリーズの根幹とも言える話を聞くことができるため、怪異というものがどういうものかが理解しやすい。
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例えば、『つぐのひ』の項目にも書かれている、つぐのひの名前の由来についてはこれまでゲーム中に説明されることは一切なく、公式サイトや作者Twitterなどを見ていなければ知り得ない情報であったが、本作では償いという用語は登場する。
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ネタバレになるので詳しくは述べないが、本作含め、主人公が(プレイヤーが見ている)怪異を認識できない理由も言及されるため、本シリーズのファンであれば是非とも見ていただきたいところ。
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惜しむらくは(?)本編ではなく、コラボ作でこの情報が語られたことであろうか。オダケン氏自身も、本作を実況プレイした際に「(自分のコラボで明かして)いいんですか!?」と思い切り突っ込んでいる。
問題点(オダケン)
相変わらず値段が高い
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価格は同じくコラボ作である『邪神ころね』より3円だけ安いが、ボリュームも同作と同程度であるため、価格が高いという同じ問題点となっている。
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しかも、本作は基本的には既にオダケンが実況配信した内容からほとんど変わっていないため、新鮮味も少ないものとなってしまっている。
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服の着せ替えができる、という要素を除けば、追加ルートが出来たくらいの違いしかない。
総評(オダケン)
コラボ作ではあるが、基本的には本編と同じような内容となっており、『邪神ころね』と比べてもすんなりと受け入れやすいストーリーとなっている。
上述の通り、シリーズの根幹に関わる話も聞けるため、まさかゲーム内でこのような話が、と驚くことであろう。
ただ、問題点や評価点は全体的に『つぐのひ』と同様であるため、合う合わないは大きく分かれる作品といえるだろうか。
余談(オダケン)
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本作のタイトル画面では歴代主人公が本作に登場するコインランドリー前を通過していく。
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登場するのは『初代』から『霊刻の踏切り』までの全ての主人公となっている。つまり、本シリーズの出来事は全て同じ地域で起きているということである。
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流石に背景が特殊な『アイの亡き声』の主人公と『邪神ころね』の主人公は登場しない。前者はさておき、後者も背景が少し特殊なので止むなしといったところか。
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これまで、『ねこのひ』『囁く玩具の家』の主人公が他の作品で登場することがなかったため、この2作が他の作品と同じ舞台であるかは不明であったが、これで同じ舞台であることが判明したといえよう。
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基本的に本シリーズでは(怪異ではない)人については目が描かれず、結果的に主人公の目は描かれないことが常であったが、本作では明確に主人公の目が描写されている場面がある。
最終更新:2025年02月13日 10:34