ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団

【るふらんのちかめいきゅうとまじょのりょだん】

ジャンル RPG


対応機種 プレイステーション4
プレイステーション・ヴィータ
Nintendo Switch
Windows (Steam)
発売元 日本一ソフトウェア
開発元 日本一ソフトウェア
発売日 【PSVita】2016年6月23日
【PS4】2017年9月28日
【Steam】2018年9月19日
【Switch】2018年9月27日
定価 【PSVita】
通常版:5,980円
限定版:7,980円
DL版:4,762円
【PS4】
通常版・DL版:6,980円
限定版:8,980円
【Switch】6,980円
【Steam】5,258円
プレイ人数 1人
レーティング CERO: C(15才以上対象)
判定 良作
ポイント かわいい絵柄のダークファンタジー3DダンジョンRPG
最大40人でダンジョンに挑む“カヴン”システム
ダークだが非常に力の入ったストーリー
魔女シリーズ
百騎兵シリーズ:1 / Rivival / 2
魔女ノ旅団シリーズ:ルフラン / ガレリア


概要

  • 同社作の『魔女と百騎兵』と世界観を共有する、ダークファンタジーな3DダンジョンRPG。
    • 『魔女と百騎兵』との直接的なシナリオの繋がりはなく、本作単体でストーリーを楽しむことができる。
  • ディレクター及びシナリオを泉達也氏、音楽を佐藤天平氏、キャラクターデザインを原田たけひと氏が担当している。
  • 本作は口コミで話題になり、じわじわと売り上げを伸ばし全世界累計出荷本数15万本を記録した。

ストーリー

――ここではないどこか。

幽かに魔法が存在する不思議な世界、テネスの物語。

そこにある、妖しげな都、「ルフラン」市――

寂れた辺境の街と揶揄される、
その忘れ去られた街には前人未踏の『地下迷宮』がありました。
いつ、誰が作ったものかはわかりません。

世界を統べる財宝があるとも、
不死の秘宝があるとも、
世界を滅ぼす魔王がいるとも伝えられますが、
その真偽は何一つわかりません。

わかっていることは、
迷宮の中は強い『呪いの瘴気』で満ちており、
『人』は半時と生きていられないことくらい。

しかし、ある時そこに一人の『魔女』がやってきて、
迷宮の探索に名乗りを上げます。

魔女の名は、『バーバ・ヤーガ』

街の人々がいぶかしむ中、
探索に乗り出す魔女の手には、
『迷宮探索唯一の生き残り』
といわれる男が残した伝説の書物、
『妖路歴程』が握られていたのでした……。

(PSVita版 公式サイトより引用)

主な登場人物

  • 夕闇の魔女「ドロニア」(CV:仙台エリ)

    黒い装束に身を包んだ、黒髪と美貌を持つ魔女。
    王に仕える宮廷魔女で、その赤と青の目の色から、夕闇の魔女と呼ばれており、自らを「バーバ・ヤーガ」と名乗っている。
    「――前人未踏の地下迷宮の謎を解き明かし、さらには未知なる魔法の品を持ち帰る……で、ございますね?」

(PSVita版 公式サイトより引用)

  • プレイヤーにルフランの地下迷宮の攻略を命じた張本人。様々な魔法に通じており、しばしば魔法で妖路歴程の探索の補助をする。
  • 傲慢で性格の悪い人物ではあるが、極度の方向音痴であったりとポンコツな一面もある。
  • 魔女の弟子「ルカ」(CV:種崎敦美)

    夕闇の魔女ドロニアの弟子で一緒に旅をしている。
    元気で明るく、泣いたり笑ったりと表情がくるくる変わる。
    幼いながらも炊事、洗濯、掃除にお使いと、なんでもこなす。
    「うわぁうわぁ~。みてください、ドロニア様!蟹さんです!蟹さんがいますよ!」 (PSVita版 公式サイトより引用)

  • ドロニアの弟子として、拠点となる馬車小屋の施設や、家事を任されている。言葉を反復したり、自作の歌を歌ったりする癖がある。
  • かわいい。ダークな展開、キャラの多い本作における清涼剤。
  • 呪われた伝説の書「妖路歴程」

    地下迷宮の唯一の生還者であり、迷宮の奥底まで踏破、その秘密を解き明かしたと言い伝えられる男が残した伝説の書物。
    プレイヤーの魂が封じられている、プレイヤーの分身。
    (PSVita版 公式サイトより引用)

  • 本作における操作キャラクター。通称レキテー。喋ることはできないので、『是認・沈黙・否認』の三択で意思表示をする。いわゆる喋らない主人公。
  • 本であり、直接的な戦闘能力はないので、魔女により作られた魔法生物(マナニア)である『人形兵』を率いて迷宮を攻略する。
  • 地下迷宮で出会う謎の青年「ネルド」(CV:福島潤)

    腰に刀剣をたずさえた銀髪の青年。
    ドロニアたちがルフラン市にある地下迷宮を攻略することを快く思っておらず、対立することになる。
    刀剣術を得意とする武闘派。
    「……僕を舐めるなよ、魔女ドロニア。これが最後の警告だ。今すぐ地下迷宮の調査はやめろ」
    (PSVita版 公式サイトより引用)

  • 「人形兵」
    • 魔女により作り出された魔法生物(マナニア)。レキテーの指示により戦闘を行う戦闘要員であり、いわゆるRPGにおけるパーティメンバー。
    • 個人個人に対する設定は特に存在しないので、好きに脳内設定を付けてしまっていい。

システム

  • プレイヤーは「夕闇の魔女」ドロニアが所有する伝説の書物『妖路歴程』(以下レキテー)に宿った魂となり、魔女により作られた『人形兵』を率いてルフランの地下迷宮に挑むことになる。
    • 地下迷宮の内部は3Dダンジョンとして表現される。ドロニアやルカは瘴気により迷宮に入ることが出来ないので、迷宮探索は基本的にレキテーに一任される。
    • 迷宮内のストーリーと迷宮外(ルフラン市)のストーリーは平行して進行する。迷宮内のストーリーは主に!マス(イベント)で進行し、迷宮外のストーリーはある程度ダンジョンを進む度に魔女小屋で行える「魔女報告」により進行する。
  • 本作におけるキャラメイクでは、上述の人形兵を旅団のメンバーとして作成する。
    • ファセット、性別、ビジュアルタイプ(外見)、名前、省略名、性格(ステータス補正がかかる)、音声タイプ、成長タイプアレンジ、スタンス、選択スキル、因果数、フレーバーテキストを設定できる。
    • ファセットはいわゆる職業。初期では以下の六種類が選択可能。
      • アステルナイト
      • 得意武器は「古塔槍」。「腕自慢」「食いしばり」等のスキルを持つ攻守ともに秀でたバランスのいい通常攻撃型のファセットであり、古塔槍が前列後列を選ばないこともあり扱いやすい。古塔槍は片手武器で、逆の手に盾を装備することで堅牢にできる。
      • シノブシ
      • 得意武器は「刀剣」。「二刀一流」により、二刀流による高火力が期待できる通常攻撃アタッカー。反面耐久はやや脆いが、AGIが高いので回避に長ける。
      • シアトリカルスター
      • 得意武器は「呪鐘」。呪鐘が利便性の高い打属性のグループ攻撃であるため雑魚戦の殲滅役として有用。紙装甲だがドナム(他RPGにおける魔法)の適正も高い万能職。ERSでステータスが大幅に増加する結魂書もあるので、合わせるとかなり強い。
      • ピアフォートレス
      • 得意武器は「戦術甲」。「守るの心」により旅団をかばう盾役。ボスの攻撃が痛いゲームであり、いるかいないかで難易度が変わるレベル。かばうスキルは一度の攻撃で発動するたびに確率が下がる点に注意。
      • マージナルメイズ
      • 得意武器は「蝕台」。ドナムに関するスキルを多く持つ、魔法使い型のファセット。実はHPやSTRも高く被ダメージを下げるスキルもあるのでかなりの万能職。
      • マッドラプター
      • 得意武器は「百花弓」。行動速度に関するスキルを多く持つ高速アタッカー。DPは少ないがドナム力は高いのでドナム役としても使える。ドナムの発動タイミングはカヴンの速度の平均値なので、1人混ぜておくことで底上げできる。
  • また、以下の二つのファセットは中盤以降「魔女嘆願」を行うことにより選択可能になる。
    • ゴシックコッペリア
    • 得意武器は「鈍槌」。クリティカルに関するスキルを多く持つ鈍足アタッカー。性別は唯一の「中性」のみ。素だと命中率に欠けるが、クリティカル発生時の火力は非常に高い。
    • デモンリーパー
    • 得意武器は「星嵐鎌」。非常に紙耐久だが優秀なスキルを多く持つ高速範囲アタッカー。性別は女性のみ。攻撃力と行動速度が高く、優秀な範囲攻撃が可能なので雑魚戦における殲滅に向く。
  • 成長タイプはファセットごとのステータスの上昇幅に補正をかけるもの。#(シャープ)ではより極端にファセット毎のステータスの個性が出る成長、♭(フラット)ではより個性を弱めた成長をする。♮(ナチュラル)は補正なし。
    • 嘆願により#よりさらに極端に個性の出る##(ダブルシャープ)、♭よりさらに個性を弱め平板な成長となる♭♭(ダブルフラット)が選択可能になる。
  • スタンスはスタンダード、サニーサイド、ムーンサイドの三種。それぞれステータスに補正がかかる。
    • スタンダードは補正なしの平均型。サニーサイドは耐久面(HP、CON)が伸び、さらにERS(エロス)が伸びるが、ドナム力が低下し敵のターゲットになりやすい防御型。ムーンサイドはSTR・ドナム力・武器適性が増加するが、最大HPと運命力がダウンする攻撃型。
    • 補正が大きいため、同じファセットでもスタンスによりかなり使い勝手が変わる。
  • 因果数は00~99の中で任意の数字を選んで設定する。これ以外の項目は変更の手段があるが、これだけは変更する手段が存在しない。
    • 特に理由がないならば偶数にすることが強く奨励されている。理由は後述。
    • 実は魂移し後の運命力にも関係しており、その計算式も分かってさえいればさほど難しくはないので運命力のコントロールが可能。意図的に操作するなら下一桁は0にしておいた方がいい。
  • 本作は「カヴン」システムによる、最大40名に及ぶ大人数パーティによるダンジョン攻略が特徴となっている。
    • とはいえ、実際に40人に指示を出すわけではない。指示を出すのは基本的にカヴンと呼ばれるキャラを結魂書にセットしたグループであり、一人一人に個別指示を出すにはリインフォースというリソースを消費する必要がある。
    • 同時に編成できる結魂書は5つまでであるので、戦闘自体は通常のダンジョンRPGとそこまで変わらない感覚で行うことができる。また、結魂書一つには最大8名がセットできるが、実際に戦闘に参加するのは最大3人まで。
    • 本作では他作品におけるいわゆる「魔法」ポジションであるドナムも結魂書に紐付けられており、また結魂書ごとの配置効果の影響も大きいため、カヴンの組み換えが戦闘に大きく影響する。
    • 後述のリインフォースの最大値は、結魂書の配置コストの余りになる。結魂書を育成することにより配置コストは減少するので、結魂書の育成も重要となる。
  • 視点キャラであるレキテーは本であるため、直接戦闘に参加することはないが、リインフォースと呼ばれるリソースを用いることにより様々な便利な効果を使用できる。
    • 特に任意の破壊可能な壁を壊して通行可能にできる「壁壊し」や、任意のポイントに使い捨てのダンジョンの出入口を設置できる「泥の脱出口」は非常に有用。
    • また、「キャリーオーバー」を行い、経験値を次戦に持ち越すことにより、大きく入手する経験値を増やすことができる。これの存在により、本作は非常に稼ぎがしやすい。
    • 戦闘中においては上記の個別指示のほか、通常攻撃の威力を上げる「オフェンスフォース」、ダメージを減少させる「ディフェンスフォース」が使用できる。こちらも有用。
  • 装備品の装備部位は、右手、左手、頭、胴体、足、装飾の六か所。
    • 一部の武器は両手持ちであり、両手の装備欄を占有する。また、星嵐鎌は両手にさらに足を加えた三か所を占有する。
  • 戦闘においてクリティカルが発生した際、さらに確率でクリティカル・ゴアが発生する。いわゆる部位破壊であり、大ダメージを受け、最大HPが低下するとともに破壊された装備部位の装備品の効果が受けられなくなる。
    • 破壊されることのある部位は右手、左手、足、胴体、頭。頭が破壊されると蘇生不可となる。
      • 蘇生不可と言っても拠点に戻り資材とマナを消費し修復すれば問題なく治る。ロストではない。
    • なお、クリティカル・ゴアは敵側にも発生する。高い割合ダメージが生じ、雑魚敵ならまず一撃、強敵やボスにおいても非常に効果的。
      • 敵のクリティカルゴアは、その外見に応じて吹き飛ぶ部位は様々である。
  • ダンジョン内におけるマナ溜まりや敵から入手できる「マナ」を集めることにより、拠点で「魔女嘆願」を行うことが出来る。
    • 内容は上記のリインフォースを用いるレキテイスキルの入手、戦闘後回復、奇襲率増加といった便利なものから、強力なアイテムの入手、実質的なマナの換金と用途が広い。
    • しかし、ダンジョン内でマナを貯めすぎると「マナオーバー」が発生し、死神と呼ばれる強力な敵が出現してしまうので注意。ただし、マナオーバー中でしか戦えない敵、手に入らないアイテムも存在する。
      • 死神自体も、半端な能力で挑むとまず全滅する敵であるが、結魂書の経験値が高い。
  • 指定されたアイテムを渡すことにより報酬をもらえる「弟子のメモ」。ルカがルフラン市の人々の悩みを聞き、それを解決するためにアイテムを持っていく、という流れ。
    • いわゆるクエスト。進行にほぼ必須なアイテムを含む強力なアイテムが報酬であり、重要度が高い。
    • 依頼を達成するとメモの内容がそのアイテムを受け取った後の反応に変わる。あとで見返してみると意味が分かるものもあったりする。
  • 中盤で解放される「魂移し」。世界樹の迷宮シリーズにおける引退に近い、キャラの上限突破要素。
    • 今の人形の魂を、新しい人形に移し替えるというフレーバー。因果数以外のステータス、外見はすべて変更可能。LVに応じてスキルの引継ぎが出来、「アニマクラリティ」という値が上昇した上でレベルが1に戻る。
    • アニマクラリティの値に応じステータスに大きく補正がかかるので、最強育成には必須。
    • ファセットごとにレベル1から使える強力な固有スキルがあるが、これはレベル99でないと引き継げない。
    • ファセットにはそれぞれ得意武器に関する適性スキルが存在しており、これを引き継ぐことで異なるファセットでも専門ファセット並みに扱えるようになる。
  • 『カルマ』という値が存在する。
    • 主に非道徳的な行いをすると上昇し、クリティカル・ゴアを受けやすくなるほか、神聖圏というマスで一歩ごとにダメージを受ける。
      • 基本的に、聖獣や各世界の住人系を倒すと上がる。これらが戦闘に消極的ならいいのだが、普通に攻撃してくるので迎撃しているといつの間にか上がってしまっていたりする。
    • 終盤になるとガンガン上がり、また上記の魔女嘆願で安価に0に戻せるため、あまり気にする必要はない。
    • また、カルマが高いほど有用な効果を得られる結魂書も一部存在する。

評価点

  • ダークだが非常に奥深いストーリー
    • 本作は特にストーリーにおいて高い評価を受けている。序盤はドロニアとルカの二人を中心としたルフラン市との住民との交流が中心であり、不穏さや伏線こそあれやや地味な展開が続くが、中盤からは息もつかせぬ展開の連続となる。
    • 特に本編終盤は声優の熱演もあり、絶望的ながら非常に盛り上がる展開となっている。
    • 従来キャラメイク可能な3DダンジョンRPGでは、主人公のキャラ付けが難しいため濃いストーリーを作ることが難しかったが、本作では地上側の視点人物となるドロニアやルカを置くことにより、濃いストーリーとキャラメイクを両立している。
    • もちろん本来の主人公であるレキテーも十分な存在感を持つ。また、地下迷宮では従来のキャラメイク型RPGに近い演出を抑えたストーリーが地上と並行して存在し、こちらには地上の人物はほとんど関わらないため、主体として冒険している感覚が損なわれることはない。また、地下のストーリー自体も好評。
      • ただし、レキテーはあくまで地下探索の道具という扱いなので細かい説明が行われることがなく、ドロニアら登場人物が納得したもしくは無関心だった事象はプレイヤーにとってはよく分からずに終わってしまう場合もある。
      • ダンジョン内においても、ほとんどの場合は登場人物が各々の都合で一方的に行動するため、蚊帳の外もしくは単に巻き込まれただけであることが多い。
    • 初見ではまったく関わりのないようにすら見える地上と地下のストーリーが、次第に収束していく展開も評価が高い。
    • 表ED後、とある条件を満たすと進むことのできる裏ダンジョンにもストーリーが存在する。本編とは異なる状況のストーリーとなるが、こちらも好評。
  • 緻密な伏線
    • 露骨な描写のみでなく、一周目ではまず見落としてしまうような描写にも、多くの伏線が張り巡らされている。終盤でこれらの伏線がどんどん回収されていく流れは圧巻。
    • ストーリーのみでなく、システムすら伏線の一部として機能している。
  • 一癖も二癖もあるキャラクターたちと声優の熱演
    • 性格が悪いがポンコツな魔女ドロニア、健気な弟子ルカを初めとして、キャラクターはいずれも一筋縄では行かない人物であり、人気も高い。
    • 地上パートはフルボイスであり、加えて声優の熱演もありストーリーを非常に盛り上げてくれる。
    • 兼役もあるが、しっかりと演じ分けがなされていて違和感がない。同一人物設定のキャラを別声優が演じる際もきっちり演技を寄せている。
  • かわいらしいグラフィック
    • 各キャラクター、および人形兵は原田たけひと氏によりデザインされ、かわいらしく好感の持てるデザインとなっている。
  • 魅力的な世界観と調和したシステム
    • 3Dダンジョンというと暗い地下迷宮や森をイメージされがちだが、本作のダンジョン、ルフランの地下迷宮はある理由により非常にバラエティに富んだステージを持つ。特に「アストルム公国」、「死都アマデウス」辺りは、佐藤天平氏の音楽とも相まり人気が高い。
    • 『人形兵』をPCとすることにより、実質的な上限突破要素である『魂移し』や『クリティカル・ゴア』といった描写が出来るようになり、戦闘の個性付けとともに迷宮の殺伐とした世界観に一役買っている。
  • 独自性が高く、かつ楽しく盛り上がる戦闘
    • 最大40人の戦闘、はやや過大広告の感もある(直接戦闘に参加しないサポーターを加えた数)が、直接戦闘を行うだけで10人を超える大人数の戦闘をしっかりと楽しむことができる。
    • 直接戦闘に参加しないレキテーも上記のリインフォースにより干渉できるため、存在感は強い。オフェンスフォースで強力な攻撃を当て、敵の大技はディフェンスフォースでしのぎ、個別指示で回復アイテムを使って立て直す、と盛り上がりどころを作ってくれる能力でもある。
    • 雑魚戦の難易度は低めだが、強敵やボスはそれなりに強いものが多く、それを編成と工夫で乗り越えるのは本作の醍醐味。
  • 快適性の高いダンジョン攻略
    • 任意の位置に出入口を作れる泥の脱出口、効率のいいショートカットを可能とする壁壊し、敵から発見されなくなる霧のヴェール、メニュー画面からの蘇生等を、拠点に戻れば全回復するリインフォースで行えるため、快適にダンジョン探索を行える。
    • 特に迷宮探索のリスタートを容易に行える泥の脱出口は快適性に大きく寄与する。泥の脱出口を二個設置し片方から拠点に戻ることにより、もう片方から即座に探索を再開できる、といったテクニックも作中で教えてくれる。
  • 稼ぎが非常にやりやすい
    • 本作では、キャリーオーバーによる経験値の乗算による増加、および定期的に用意される高効率の稼ぎ場により、経験値稼ぎが非常にやりやすくなっている。
    • 節目のボスは強めの調整となっており、壁になりやすいが、そのような場面でも稼ぎによるステータスによるごり押しで突破できるため、初心者にもやさしい作りとなっている。
    • ただし、そもそも敵から入手できる経験値量自体が高めのバランスなこともあり、最高難易度でもやりようによっては特段の稼ぎなしで十分裏ラスボス突破できる範囲ではある。
  • 音楽、演出も好評
    • OP、表EDの影絵アニメの演出は世界観とよくマッチしており評価が高い。特に表EDの演出は、ストーリー、音楽とも相まり非常に感動的。
    • 音楽も世界観をよく引き立てている。特に「アストルム公国」戦闘曲、「死都アマデウス」地上部フィールド曲、ボス曲、表ED曲あたりは評価が高い。

賛否両論点

  • 「ダーク」ファンタジーではあるが、それにしても嫌悪感をおぼえかねない露骨な表現が散見される。
    • 方向性は主に暴力と下ネタ。世界観やキャラ性に合ってはいるが…
    • オープニングでルカを理不尽に殴りながらこき使い、羊を井戸に突き落とすドロニアに始まるこの手の描写はやや人を選ぶだろう。
    • 選択肢の有無にかかわらず、NPCが残酷に死亡し、どうやっても救うことができない場面も多い。
    • 直接的な描写はさすがにないが、露骨に性暴力を示唆する場面もある。
    • ただし、程度の差こそあれこういった要素は日本一ソフトウェアのゲーム、及び泉氏のゲームにはしばしば存在し、それを好むファンも多い。
    • 各世界でのエピソードでも、 登場人物壊滅・敵役の末路が同情するレベルで悲惨・明言されないが特に罪のない人が死亡 、など悉くが散々な結末で終了しており、全編通してすっきりする結末というものが少ない。
  • 戦闘バランスはやや大味な部分もある。
    • 良く上げられるのは、マージナルメイズの固有スキル「ドナムマスター」。「ドナムマスター」は所属するカヴンのドナムの威力を13%上げるという効果を持つので、マージナルメイズを詰め込んだカヴンのドナム攻撃が頭一つ抜けた火力が出る。
      • 8人配置できる結魂書に全員マージナルメイズを詰め込めば、13%×8で104%ダメージが増加する。ただでさえドナム攻撃はDPを消費する分強力であり、本編中盤までのボスはほとんどアタッカーはこれだけですむほど。
      • 強力なドナムを使える結魂書「ペコーの結魂書」が序盤で手に入る、ドナム力を70%上昇させる「ドナム攻撃陣形」、「ドナム防御陣形」がマナさえ貯めれば同時期に使用可能になる、等環境にも恵まれている。
      • ただし、敵の攻撃が苛烈になり強力な装備の揃う本編終盤~裏ダンジョンでは、ドナム攻撃は頭打ちとなり通常攻撃アタッカーが優勢になる。しかし今度は下記が台頭してくるが…
    • 同様に挙げられるのは、「蜜病I」「蜜病II」。敵の状態異常耐性を下げるドナムだが、下がり幅が大きく目に見えてボスにも状態異常が入るようになる。
      • このゲームの状態異常の多くには確率での行動阻害がついており、複数の状態異常を重ね掛けすることでボスでも完封してしまうことができる。一度かかると治りにくく、継続ダメージもある「呪毒」、1ターンで治るが行動阻害の確率が高い「驚愕」、厄介なドナムを封じることができ裏ボスにも強い「深淵」辺りは特に強力。
      • 一度状態異常ハメが成功すれば回復や防御に回す手数を攻撃バフや火力に回せるので、そのまま押し切れてしまうことが多い。押し切れなくともいわゆる累積耐性の概念はないので、ふたたびハメ直すことも容易である。
      • ただし、この戦法を安定して用いるにはあらかじめ状態異常付与率の高い武器を集めておく必要があり、まったく準備なしで使えるわけではない。イベントでいくつかは手に入るのでまったく使えない、ということも少ないが…。
      • 「蜜病I」が使用できる結魂書は早期入手も可能だが、配置条件の厳しさや状態異常武器の入手を考えると利用できるのは本編終盤からになるか。
    • これらは初心者救済となっている部分もあり、一概に問題点とは言えない。本作はストーリーの先が気になる展開が続くため、低難度かつ救済措置を使いストーリー目当てでガンガン進めるプレイヤーも多い。
  • 上記とも関係するが、ファセット間にもやや格差が存在する。
    • 特に優遇されている、と言われやすいのがマージナルメイズ。ドナムに関する重要なスキルをほぼ1職でまかなっており、序中盤では「ドナムマスター」「ドナム力自慢」でアタッカーとして桁の違うダメージを出せる。
      • 「ドナム効率化論」により回復、補助のドナムも使いやすく、またステータス面でも高HPであり、ムーンサイドの最大HPが下がるデメリットを受け入れさらに火力を上げることが出来る。序中盤では1強、かつ万能職である。
      • 終盤以降では通常攻撃型が台頭しアタッカーとしての優位性は落ちてくる。また、適正武器の蝕台が両手武器であり盾が持てず、回避も苦手であるため耐久面も苦しくなる。とはいえ魂移しでステータスを底上げするなり高いDPを生かしたサポーターと割り切るなり手はあるので、十分に強さはある。
    • ピアフォートレスもかなり強力。「守るの心」により防御しつつ味方をかばうことができる盾役であり、ピアフォートレスを詰め込んだカヴンでひたすら防御しているだけで味方の被害が大きく軽減される。
      • 全体攻撃でも(一人1ターン3回という制限はあるが)一体ずつ庇ってくれる、庇った場合攻撃に付加されているデバフは庇った側が受ける、等仕様に恵まれており、特に攻撃が苛烈なボス戦では価値が高い。
    • 逆に不遇と言われやすいのがシノブシ。いわゆる紙耐久高火力アタッカーなのだが、デメリットの割に火力がそこまで出ず、またスキルの多くが死にスキル同然と仕様に嫌われている。
      • ウリであるスキル「二刀一流」は通常攻撃時、両手の武器が適正S+なら50%の確率で両手の武器で一度ずつ攻撃する、というもの。しかし、実際には二撃目に減衰がかかるため、期待できるダメージの伸びは1.4倍ほど。
      • このゲームは盾にも攻撃力が存在し、盾の攻撃力はもう片方の手の武器の攻撃力に乗るため、盾を装備できないこのスキルの実際の倍率はさらに落ちる。また、盾を装備できずガードが出来なくなるのは紙耐久のシノブシにとって痛い。
      • 「影術」「影隠れ」による狙われ率低下はボスに多い列以上の範囲攻撃には無力、「闇討ち術」はボスにまずスタンが通らない、「呪い返し」は狙いたい状態異常は行動阻害持ちのため合わない、「奥義大鎧通し」は計算式の関係でほぼ無意味と、ボス戦において機能するスキルの少なさも印象を悪くする。
      • ステータス的に回避を狙いたくなるのだが、回避に関するスキルを全くもたないので安定しがたい。
      • もっとも、適正武器である刀剣は定期的に優秀なものが手に入るので、それらを活用する目的で使用する場合はある。魂移しによるスキル引継ぎを用いて魔改造する、というやり方で死にスキルの多さをカバーすることも可能であり、使いようは十分ある範囲。

問題点

  • 編成画面のUIが悪い。
    • 普通にプレイしていても配置するキャラクターが30人を超え、編成に長時間をかけることになる。にもかかわらず、編成画面はUIに欠点が散見され、無駄に時間がかかる印象がぬぐえない。
      • ソート機能が明らかに不十分。装備に多彩なパラメータが設定されているというのに、ごく一部のパラメータ順にしかできず、優秀な装備を見逃しやすい。
      • 装備変更によるステータスの変化を見ることができるが、いくつもの画面に跨っており大変見にくい。なんとか一画面にまとめられなかったか。
      • 結魂書の使用可能なドナムの説明を、一度カヴンにセットした後でしか見ることができない。これにより、一部のボスに対し存在する特攻ドナムの存在に気づきにくい。
      • ヒントや関連性のあるものはいいが、特攻ドナムが全く関連性の見えない結魂書に存在することもあるので不親切。
    • そもそも30人以上のキャラクターの装備品の管理、カヴンへの配置自体作業量が多く疲れるため、上記の問題は特に目につきやすい。
  • 全体攻撃、全体回復の際、一人一人にエフェクトが出るので時間がかかる。
    • キャラが多いために発生する問題。雑魚戦でも集団で現われ、高速で全体攻撃を撃って来るものが散見されるので鬱陶しい。
    • 設定で変更はきき、また長押しでも短縮は可能。
  • 敵に発見されなくなるフィールドスキル、霧のヴェールの効果中には画面に霧のかかる演出がある。これ自体は問題ないのだが、元からもやのかかる場所や、背景が白い場所では霧と被って画面が見にくくなる。我慢できる範囲ではあるが鬱陶しい。
  • 因果数が奇数のキャラが最終的に不遇。
    • 最も効率のよい経験値稼ぎ用結魂書「結魂書666」(経験値倍率666%の配置箇所が4カ所ある)に配置できる人形兵が因果数偶数のみであるため。次点の結魂書とは二倍近い差があり、最終的な育成の手間が違いすぎる。
    • そこまで稼ぎに傾倒せずともクリアできるバランスではあるが、最強育成をしようと思うと避けて通れない。因果数は魂移しでも変更が利かないので、変えようと思うとキャラを作り直すしかなくなる。
    • 因果数奇数のみが配置できる結魂書もあるが、性能はあまり強くない。そのため、多くの攻略サイトで因果数は偶数にすることを推奨されている。
    • ただし、この結魂書は配置したキャラの防御力が95%ダウンしてしまうというデバフがあり、普段から使用するのに適しておらず入手時期も遅い。特に盾の育成には致命的。
      • これに対し、準備さえできれば序盤からでも入手可能でリスクも低い「経験値ガッポリ結魂書G」というひねりの欠片も見当たらない結魂書があるので、人によっては大した問題ではない*1。ただし、倍率はアタッカー360%、サポーター220%が各3枠と低め。
    • なお、どちらの結魂書もドナムはサポート寄りで主力向けではない。ヘイト管理としては前衛にヘイトを向けられる経験値ガッポリ結魂書Gが有用。
  • 「魂移し」で異なるファセットに転職した場合、外見と声を変更しなければならない。
    • ファセットに外見、および声が紐付けられているため。他職への転職、およびそれによるスキル引継ぎは重要であるため、脳内妄想が阻害されやすいこの要素は批判されがち。「新しい人形に魂を移す」というフレーバーには合っているが…。
    • もっとも、スキル引継ぎなし(同職への魂移しのみ)でもクリアできる難易度ではある。
  • 一部のストーリーがやや説明不足であり、混乱しやすい。
    + やや物語の根幹にかかわるネタバレあり
  • 「新緑のフェーヌム」のボスの正体に関する会話が聞けるイベントがあるが、タイミングが限られており気が付きにくい。
  • 物語のキーアイテムになる「鍵」だが、本数に関して混乱しやすい。
    • だいたい原因になるのは「三領主の塔ウンブラ」で手に入る鍵。この鍵が本物である前提でしばらく話が進み、明確に偽物とも言われないので勘違いしがち。実際には他の鍵を入手した時と異なり獲得時のトロフィーの獲得がなく、説明文も異なりこの鍵は明確に偽物。

総評

従来3DダンジョンRPGはシナリオよりもダンジョン探索、戦闘に重きを置いたものが多かったが、本作は非常に力の入ったストーリーが売りとなり好評を博した。
ゲームシステム自体もカヴンシステムやキャラが「人形兵」であることを活かしたシステム等、独自性が高く従来の3DダンジョンRPG好きにも新しいプレイ体験を与えてくれる。
ストーリーでのやや露骨な描写など一部好みの分かれる要素もあるが、総じておすすめできる完成度の高いRPGと言えるだろう。


その後の展開


最終更新:2025年03月21日 22:42

*1 デメリットはキャラを配置するごとに少しずつ敵に狙われやすくなるというもの。そのため、むしろ盾役は率先して使用すべき代物。