タッグチームプロレスリング
【たっぐちーむぷろれすりんぐ】
ジャンル
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スポーツ(プロレス)
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売元
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ナムコ
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開発元
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データイースト 酒田SAS
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発売日
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1986年4月2日
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定価
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4,900円
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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クソゲー
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ポイント
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同じ相手と永遠に戦う変化のなさと単調な動きの技 すぐリングアウト 実はみんな日本人?
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概要
1986年にナムコが発売したプロレスゲーム。
元は1983年12月アーケードで稼働開始したデータイースト販売、テクノスジャパン開発の『ザ・ビッグプロレスリング』の移植でファミコンでは初のプロレスゲームである。
前年11月にゲーム・原作ともに有名な『キン肉マン マッスルタッグマッチ』(バンダイ)が発売されているので本作は初ではないと思うだろうが、この作品はリングファイトの形を取っているだけでプロレスルールには一切即していないため対戦格闘であってプロレスではない。
「ただリングで戦っていること」=「プロレス」ではなく、ピンフォール、リングアウト、絞め技によるギブアップなどの要素を持っていてこそプロレスなので本作こそが間違いなく初作品。また登場キャラも実在レスラーをモデルとしている。
内容
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プレイヤーチーム「リッキー・ファイターズ」(1P)
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リッキー
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モデルは長州力
必殺技はサソリ固め(対ウォーリーのみ)
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ウルトラ
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モデルはコブラ
必殺技はブレンバスター(対マスクロスのみ)
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対戦相手「ストロング・バット」(CP・2P)
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ウォーリー
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モデルはヘイスタック・カルボーン
必殺技はウエスタンラリアット(対リッキーのみ)
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マスクロス
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モデルはミル・マスカラス
必殺技は延髄斬り(対ウルトラのみ)
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実際のプロレスと同じで、フォールして3カウントを奪う、あるいは絞め技でギブアップさせれば勝ち。
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ギブアップは体力がない状態で絞め技をかけられること。
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絞め技は自分で振りほどけずパートナーのカットを待つしかない。
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どちらかがリング外に落下すると、2人がリングに戻るまでサイドビューで横軸移動だけとなる。
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2人が同時に落ちた場合凶器のゴングが落ちているので、先にそれに触れた方が、持って一発殴ることができる。
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この状態ではカウントを取られ20カウント以内に戻れないと、リングアウト負け。2人とも戻れないと両者リングアウトの引分けだがプレイヤーにとってはゲームオーバーなので負けと同じ扱い。
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まずAボタンでパンチを繰り出し、それが命中すると攻撃権が得られる(パンチ自身はダメージを与えない)。
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パンチ命中から3秒カウントが取られ、Bボタンを速攻で連打して技を選び、再びAで確定して技を繰り出す。
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確定のAを押す前に3秒が経過してしまうと無効になり、再びパンチを当てるところからやり直し。
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技は上記の必殺技以外は下記の7種類。数字はそれぞれBボタンを押す回数。
名称
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リッキー
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ウルトラ
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ウォーリー
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マスクロス
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ボディスラム
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2
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1
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0
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0
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ネックハンギング
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0
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5
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1
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2
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ドロップキック
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6
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2
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5
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5
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バックブリーカー
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4
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3
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4
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3
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ボディアタック
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1
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0
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2
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1
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フライングヘッドバッド
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3
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6
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3
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4
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バックドロップ
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5
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4
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6
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6
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必殺技は7回で出せるが対象の相手が決まっており、その組み合わせでない場合6回目と同じ技になる。
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場外では全員共通でボディスラム(0~3回)、バックドロップ(4~6回)、鉄柱(7回)
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まずランキングは日本3位から始まり勝つごとに1つずつ上がっていく。
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1位の次はチャンピオンとなる。同時にトロフィーがどんどん増設されて、巨大になっていく。
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自身がチャンピオンとなると防衛戦となり、リングに八芒星が描かれる。
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順番としては、日本(3位から)、ヨーロッパ(4位から)、アメリカ(6位から)、ワールド(9位から)、スーパー(9位から)という形で上を目指すことになる。
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つまり上記それぞれ+1回(タイトル防衛戦)でスーパーチャンピオンに挑むのが35R目で、それに勝つと以後はすべての試合がスーパーチャンピオン防衛戦になる。
問題点
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同じ相手と最初から最後まで戦う展開。
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一応、途中途中でそれぞれのマスクマンの色が変わるが、この変化のなさはさすがに単調すぎる。
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スコアもないのでただラウンドを重ねるだけ。
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アーケードでも「同じ対戦相手と同じ戦いを繰り返すだけ」は同じでもアーケード版にはスコアの概念があった。
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一応ラウンドがスコアのようなものになっているが、1試合1勝で1点ずつ取っているだけでしかない。
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『マッスルタッグマッチ』ですら8人のキャラがいて、それぞれ個性も違ったというのに…。
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貧弱なアクションの数々。
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アーケードではパイルドライバー、ジャーマン・スープレックス、コブラ・ツイストなどが変化のある技があったが、本作では大部分が直立でタテ・ヨコの体勢になった技のみ。
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アーケード版では、それぞれ固有のグラフィックがあったのに、それすら必殺技以外なしという貧弱さ。
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おまけに必殺技以外、全員技のバリエーションが同じ。
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場外転落ばかりになる試合のバランス。
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このゲームはとにかく、ちょっとしたことですぐ場外転落してしまう。
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プロレスの場外乱闘は稀だからこそ見せ場であり、こうもやたら落ちまくるのは不自然。
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対CPUでは、上記の頻発する場外転落を利用してリングアウト勝ちを狙うだけの単調な展開。
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しかも場外では、ただ連打しまくって、カウント17~18でボディスラムをかけてすぐリングに戻るだけで簡単にリングアウト勝ちができてしまうので作業じみた試合になる。
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後述の通りリング内では「ただ連打すればいい」という単調さを軽減したシステムだが、場外ではこの通りで、場外乱闘が頻発するバランスではピンフォールよりリングアウト狙いの方が有効で、結局「ただ連打すればいい」に近いものになる。
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更に1P時は場外にいると体力がジワジワ回復するので尚の事ボディスラム連発が効率的になる。
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かといって2P対戦が盛り上がるかといえば、そうでもない。
評価点
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単に連打するだけでは攻撃権は取れても弱い技しか出せないので、常に連打すればいいという単調な展開はいくらか払拭されている。
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ただし、1P時の場外戦は連打しまくるだけのボディスラムで何とかなる上、場外転落率がとんでもなく高いので単に勝ちたいだけなら、リング内で戦うより、とりあえず場外に落ちたら連打が手っ取り早いのであまり意味はないかもしれない。
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試合中のBGMが追加された
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元のアーケード版では試合中のBGMが無く、場外転落の際に時たま乱入してくるバイレンス・シーザー・シニア登場時に流れる短いBGMしか無かったが、今作では試合中のメインBGMが追加された。
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対戦プレイが実装された
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元のアーケード版ではタッグマッチという仕様上、2人プレイ時は同じチームの各キャラを担当する交代プレイだったが、今作では2P側は相手チームを担当して操作する対戦プレイに変更されている。
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また先述の通り、アーケード版では場外転落の際に乱入者が登場してプレイヤー
のみ
に攻撃を加えてくる事があったが、これも削除されている。
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乱入者の攻撃はほぼ回避出来ず、デメリットしか無いので削除された事自体は評価に値するが、アーケード版のファンにとっては風物詩みたいなイメージだったので、少し寂しい気もw
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音声が出る。
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場外で鉄柱にぶつけると「イテェ!」固め技をかけられて体力がなくなると「ギブアップ!」
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前者は対戦相手は外国人チームに思えるが「素で日本語を話すので実は日本人」というネタとしてよく言われた。
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フォール時にされるカウントも音声。
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ただこれは「ワン!」こそ正しいものの「ツー」「スリー」ではなく「ワン!イー…イー!!」という珍妙な発音になっている。
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一応、実在のレスラーをモデルにしたプロレスゲームとしてはファミコン初である。
総評
キャラが固定でずっとその同じ組み合わせでの試合しかできないのは面白味に欠ける。当時はまだ未成熟とはいえ、キャラの動きが貧弱なのも単調さに拍車をかけている。
連打依存を排除したシステムは評価点と言えなくもないが、それ以上に場外転落が多く、ほぼ連打リングアウト狙いの方が効率が良く、数少ない特徴を殺している。
単調なシステムはアーケードの移植とはいえ、スコアもなく単に同じような展開をえんえんと繰り返すだけでは、まるでやり甲斐もない。
余談
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ファミコンのプロレスゲームとしては同年10月に任天堂がディスクソフトとして無印タイトル『プロレス』を発売する。
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任天堂のファミコン草創期によくあった無印タイトルゲームながら本作よりも後の発売となったが、こちらは絞め技こそないもののファミコン初期作品ながら出来は良く、開発のTRY(後のヒューマン)にとっても『ファイプロシリーズ』の原型となったことなどもあって、後に続くプロレスゲームの基盤となり始祖的な存在となった。
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ゲームソフトに同梱されているアンケートはがきに応募すると抽選で600名限定にゲームソフト『タッグチームプロレスリングスペシャル』が配布された。
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通常版との違い。
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パッケージのジャケット
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ゲーム中の音楽
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一部グラフィック
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技のかけ方
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本作の元である『ザ・ビッグプロレスリング』を開発を担当したテクノスジャパンは後に『くにおくんシリーズ』で有名となる。
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『ザ・ビッグプロレスリング』はアーケード初のプロレスゲームとしてリリースされ、ゲームセンターはおろか、駄菓子屋の軒先等でも多く出回りかなり人気を博していた作品だったが、皮肉にも同社が後にリリースした『エキサイティングアワー』の更なるヒットにより影に埋もれてしまったイメージが強い。
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ちなみに『リングの上は大さわぎ』というタイトルで当時のPCであるFM7にも移植されている。
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元々は『Oh!FM』1984年11月号に読者投稿で掲載されたプログラムをバージョンアップし、テクノスジャパンの許諾を得た上で市販された物であるが、販売は日本ソフトバンクで、そのプログラムを雑誌に投稿した開発者は後にテンゲンを設立する天内潤氏である。
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マスクロスの延髄切りが決まるとウルトラのマスクがズレて若干素顔が見える。
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しかし現実では素顔が気になるレスラーとして有名なのはマスクロスのモデルとされるミル・マスカラスである。
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そもそもマスカラスの得意技は延髄切りではなくダイビングボディアタックである。またマスカラスは実際はマスクに手をかけられることが多くアブドーラ・ザ・ブッチャーやエル・ハルコンにマスクはぎを受けているが完全にはがされて素顔を晒したことはなかった。
最終更新:2024年03月05日 17:19