黒鉄ヒロシの予想大好き!勝馬伝説

【くろがねひろしのよそうだいすきかちうまでんせつ】

ジャンル 実用ソフト(競馬予想)
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売・開発元 日本物産
発売日 1990年4月20日
価格 8,000円
プレイ人数 1人
判定 なし
ポイント またまたゲームではない競馬予想シミュレーション
システム面では大幅改善し値段も多少良心的に
とはいえやっぱり入力データの量は膨大


概要

前年同時期に発売された『競馬シミュレーション 本命』同様、ファミコンのソフトながらゲームではなく、実際の競馬を予想する実用ソフト。
上記作はあまりに粗が多くて到底実用に適するようなものではなかったが、その点はいろいろ改良されている。

本作も平地のみで障害戦には非対応だが、アラブ系には対応している。

競馬好きでも知られる漫画家の黒鉄ヒロシ氏が監修やキャラデザインなどを行っている。


内容

全般的には上記作品と同じく、競馬新聞からデータを入力して実際のレースを予想するソフト。

  • データ入力画面でスタートボタンを押すと、入力中の項目に関して黒鉄氏の競馬哲学のコメントを見ることができる。
  • 『本命』同様に入力したデータに基づいて模擬レースを行い、その結果を発表する。
    • レースまえには黒鉄氏のコメントが見られ、レース後にも所感を述べる。
    • レースは、各コーナーでの展開を3つに分けて、馬番のみを並べて表示して簡易表示し、直線でのたたき合いだけフルに見せるのでスピーディー。
      スタートボタンによるポーズも有効で気になった所で止めてみることもできる。
  • 予想レベルAとB、二つのモードがあり、Aは28項目、Bは19項目を入力する。
    • 入力内容は開催地やレース距離だけでなく馬場状態や天候もあり非常に細かい。
+ 入力するデータの詳細
  • クラス
    • 「GI」「GII」「GIII」「オープン定量」「オープンハンデ」「1400万下」「900万下」「400万下」「未勝利」「その他」
  • 開催地
    • 「東京」「中山」「京都」「阪神」「新潟」「中京」「福島」「小倉」「札幌」「函館」の中央競馬10場から選択。
      • 『本命』にあった「内・外」に関しては後述の距離区分に含まれる。
  • コース
    • 「芝」「ダート」から選択。
  • レース距離
    • 「開催地」「コース」を参照し実際の距離区分から選択する。
  • 馬場状態
    • 「良」「やや重」「重」「不良」の4通りから選択。
  • レースNo.
    • 1~12の中から選択。
  • 出走頭数
    • 5~24頭から選択。
  • 天候(Aのみ)
    • 「晴」「曇り」「雨」の3通りから選択。
  • 単枠指定
    • 単枠指定*1がある場合、対象の枠番を○にする。
    • デフォルトは出走頭数に合わせた基本の形(単枠指定なし)に割り振られる。
  • 馬名(Aのみ)
    • そのままで馬の名前を入力する。
  • 人気
    • 人気順を「1番人気」「2番人気」「3番人気」「4番人気」「5番人気」「6番人気」「7番人気」「8番人気」と「人気外(9番人気以下)」を選択。
  • 血統(Aのみ)
    • プレイヤーの判断で入力。
      • 「○」勝ち星あり。
      • 「△」勝ち星なし。
  • 騎手能力。
    • 機種の能力基準を入力。
      • 「○」勝ち星あり。
      • 「△」勝ち星なし。
      • 「×」初騎乗。
  • 予想記号
    • 「◎(本命)」「○(対抗)」「▲(単穴)」「△(連穴)」「×(注意)」「…(無印)」の6通りから選択。
      • 「◎(本命)」・1着が最も有力視される。
      • 「○(対抗)」・「本命」の次に有力視される。
      • 「▲(単穴)」・1着は少々難しいが2.3着程度ならば有力。
      • 「△(連穴)」・1着は難しいが2.3着程度ならば可能な見込み。
      • 「×(穴馬)」・基本的には難しいところだが運絡み次第では…
      • 「…(無印)」・まったくノーマーク。
  • 脚質
    • 主に道中でのポジショニングの取り方で「逃げ」「先行」「差し」「追込」「自在」「不明」の6通りから選択。
      • 「逃げ」・最初から先頭を奪い、逃げ切りを狙う。
      • 「先行」・「逃げ」程ではないが前の方に位置する。
      • 「差し」・中段からやや後ろよりに位置して温存し、直線で勝負をかける。
      • 「追込」・「差し」を更に極端にし道中は後方でとことん脚を温存し、直線で勝負をかける。
      • 「自在」・「逃げ」から「追込」までをこなせる。
      • 「不明」・まったくわからないもの。主な例としては外国馬や「新馬戦」に出走する馬が該当する。
  • 馬齢・性別
    • 性別「牡」「牝」と年齢(3~9歳)を入力。騙*2は「牡」として入れろとのこと。
  • 負担重量
    • 30~79kgで入力(大体40kg台後半から60kg程度が一般的)。
  • 悪路の走行適正(Aのみ)
    • 重馬場や不良馬場での成績の良否をプレイヤー判断で入力する。
      • 「○」好成績(道悪が得意)。
      • 「△」普通。
      • 「×」不振(道悪が苦手)。
  • 芝・ダート成績(過去の全成績)(Aのみ)
    • 8桁の数字が並んでおり、左から「1着(勝利)」「2着」「3着」「着外(4着以下)」の順で2桁ずつ入力。(例「06020715」なら「6勝、2着2回、3着7回、着外15回」)
  • コース成績
    • 出走する開催地でのレース成績(芝とダートは別物として考える)
    • 入力の仕方は上記「芝・ダート成績」と同じ。
  • 前走タイム(Aのみ)
    • 前走のデータ「開催地」「距離」「芝・ダート」「馬場状態」「タイム」を入力。
      • タイムは「分1桁」「秒2桁」「1/10秒1桁」の4桁で表記する。(例・「2253」→2分25秒3)
  • 持ちタイム(Aのみ)
    • 出走するレースと同じ距離、無い場合はそれに最も近い距離での最高記録のタイムを入力。
    • 入力の仕方は上記「前走タイム」と同じ。
  • 休養明け
    • 「1戦目」「2戦目」「3戦目」「4戦目」「5戦目」「休みなし(6戦目以上)」の6通りから選択。
      • 「休み」とは基本的に2ヶ月以上出走がない期間を指す。情報のない新馬戦は「休みなし」とする。
  • 中休み(Aのみ)
    • 上記の「休養」の対象に入らない中で前走から空いている間隔。
  • 馬体重
    • 前走の馬体重を入力。
      • 前走のない新馬戦などは予想されるもの。
  • 調教レベル(Aのみ)
    • 調教の状態を入力。主に競馬予想誌の厩舎情報のマークを参考に3段階「○」「△」「×」で入力。

評価点

  • バッテリーバックアップによりデータ保存枠が12枠も用意されている。
    • そのため、予め入力しておいてピンポイントに変更ができる。
      • 一日の最大36レースに完全対応は無理とはいえ、実用性は充分増している。
  • データ自体も有効なデータが大部分になり、無意味なデータがほとんどなくなった。
    • 予想の信頼性も増している。
  • 入力も専用のウィンドウが開くようになり、若干ながら操作性が良化している。
  • 模擬レースも道中は部分部分のダイジェスト化することで要所要所を押さえつつ、スピードある展開を見せている。
    • 『本命』では、時間ばかりムダにリアルで2分3分かかったことを思えば、この点も大幅に改善された。
    • 黒鉄氏のコメントが入ったり、またオプションレースによりワンパターンなものだけでなくなった。
      • 淡々とレース見せるだけでなく、順当な結果前提や荒れた結果前提でどうなるかも可能になり、多少は楽しめる要素も持っている。

問題点

  • なんだかんだでやっぱりデータ入力作業は膨大でかなり手間がかかる。
    • 簡略化した予想レベルBでも入力項目が膨大で、「簡易予想」という名に反してそれほどお手軽ではないので、存在意義が薄い。
  • 『本命』を思えば少ないがありえない数値が入力できてしまい、それをスルーするものがある。
    • タイムに関しては6以上を入れる必要のない2番目(「秒」の10の桁)でも6以上の値が入れられる(「9999(9分99秒9)」が入れられてしまう)。
    • 人気順も例えば4頭しかいないのに「5番人気」「8番人気」などが入れられスルーされる。

総評

バッテリーバックアップ搭載に加え、有効なデータが増えるなど予想の内容もだいぶ改善され模擬レースも時間効率が良くなった。そのため『本命』を思えば、ちゃんと「実用ソフト」と呼べるものになった。
また、黒鉄氏のメッセージなどもいろいろバリエーションがあるなど、単に予想を発表するだけでなくエンターテインメントの意味でも楽しませる要素も大事にしている。
だが、いくら当時はパソコンの普及率が低かったとはいえ、やはり膨大な入力は非常に手間がかかるためファミコンとの相性は悪く、理想的な実用レベルにはまだまだ遠い。


余談

  • 日本物産は同年7月20日『ニチブツマージャンIII』を発売する。
  • 本作の「おたすけデータ」は今見ると時代を感じられる。
    • 増沢末夫*3が現役だったり10年後には押しも押されもしない大ジョッキー武豊がまだ見習いだったり、また見習いとしては同じく若き天才と名高かった岡潤一郎*4がいたり、今からすれば懐かしいか伝説になっているものばかりである。

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最終更新:2023年02月05日 16:38

*1 当時連勝馬券は枠番単位のみでしかなかったため、有力馬が人気を集めていながらその馬がトラブルなどで発走除外になると馬番単位の単勝などは返還されるが、枠番単位の連勝は同枠に他の馬が1頭でもいれば有効なため返還対象にならず、同枠の他馬が力で劣るだった場合、「的中率が低いのに低配当」といういびつなものになる。そのため人気が集中すると思われる馬は(3頭まで)同枠に他の馬を入れない単独枠(その馬が除外されたら枠に馬がいなくなり無効枠として返還となる)することでオッズバランスを保つ制度。1991年10月に馬連(馬番連勝)が導入され廃止された。

*2 「セン」去勢した牡馬。大成した例が少なく(後の1993年、レガシーワールドが騙として初のGI制覇を果たした)この頃は一種のダメ馬の指標のような扱いを受けていた。

*3 初の2000勝を達成した騎手で、'70年代にはあのアイドルホース「ハイセイコー」の主戦を担っていた。ハイセイコー引退時に歌った「さらばハイセイコー」(1975年1月・ポリドールレコード)はオリコン4位に食い込むヒットとなった。

*4 1993年2月落馬事故により死去。「ジューンペー」の愛称で親しまれた。