爆走デコトラ伝説 BLACK
【ばくそうでことらでんせつ ぶらっく】
| ジャンル | デコトラアクション |  
 | 
| 対応機種 | ニンテンドーDS | 
| 発売元 | スパイク | 
| 発売日 | 2008年3月20日 | 
| 定価 | 5,280円 | 
| プレイ人数 | 1〜2人 | 
| セーブデータ | 1個 | 
| レーティング | CERO:B(12才以上対象) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | シリーズ最終作にしてバトル方面に進化 爽快感抜群のシステムと良質なグラフィック
 あと一歩足りない惜しい部分が多い
 | 
| 爆走デコトラ伝説シリーズ 男一匹夢街道 / 男人生夢一路 / for WonderSwan / 男度胸の天下統一 /
 男街道夢浪漫 / 男花道アメリカ浪漫 / 天下統一頂上決戦 / BLACK
 | 
 
概要
PS2の『天下統一頂上決戦』から3年の時を経て発売された作品。デコ伝シリーズを謳ってはいるがシステムは大きく異なり、世界観も本家シリーズからは離れている。タイトルも暑苦しくない。
本作の特徴はデコトラバトル、すなわちトラックをぶつけ合って壊すという荒々しいゲームシステムである。
ストーリー
主人公は、今は一人暮らしの若者竜二。彼にはかつて運び屋をしていた兄の竜一がいたが謎の失踪を遂げており、その手がかりを求めていた。
ある日、竜二の元に公安の者を名乗る久住が訪ねてくる。久住によれば、竜一は裏社会の案件を扱う非合法の運び屋だったという。彼の運んだ荷物には公安が関わったとある荷物も含まれているので捜査に乗り出したが、表沙汰にできないために代行して探りを入れる者を探していた。そんな中、運び屋としてのドライビングの才能を竜二に見出し、弟という立場も利用して捜査に協力させようとしたのである。
かくして竜二もまた裏社会の運び屋として潜入捜査を行うことに。彼は竜一の作った運び屋集団「セインツポーター」のメンバーとして活動しながら、世界を巻き込んだ陰謀を目にすることになる。
ゲームモード
- 
ストーリー…ゲーム本編。4章+外伝があり、各章ごとに第○話という形で違ったバトルが設定されている。最初は第1話のみで、クリアしていくごとに一つづつ解放されていく。
- 
外伝は1〜4章全話をAランク以上でクリアすると遊べる。
 
- 
ガレージ…車両の変更やパーツ・ハコ絵・車名の変更、PPによる性能調節ができる。
- 
ショップ…車両やパーツ、ハコ絵を購入できる。ただし非売品もある。
- 
通信対戦…ソフトを持っている人同士で対戦できる(ダウンロードプレイは非対応)。ステージからルールまでかなり幅広く設定できる。
- 
セーブ/ロード…その名の通り。
- 
オプション…視点・音量の変更や振動の有無の設定、キーコンフィグができる。
システム
バトルのシステム
- 
プレイヤーはデコトラを操作して相手と1対1で戦い、コースをスタートからゴールまで走るうちに勝利条件を達成することが目的となる。
- 
コースは全て一本道で転回は不可能。緩やかなカーブはあるが、ほぼ直線である。以下の5種類のコースがあり、さらにその中に夜だったりレイアウトが違ったりと形態差のあるA/B/Cの3区分がある。
- 
BAY AREA…港町の倉庫街にあるコース。道幅は常に3車線とオーソドックスで、交通量も中程度。
- 
CITY…市街地のコース。道幅は4車線と広いが交通量も相応に多く、一般車の巻き込みに注意が必要。
- 
TOUGE…山越えに作られたバイパス道路のようなコース。道幅はほとんどが2車線で狭く、交通量も少ないため敵車両を攻撃しやすい。
- 
HIGH WAY…高速道路のコース。中央分離帯で区切られているため自車と同じ方向に走る車しかおらず常に3車線で、カーブもほとんどなく、最も走りやすい。
- 
DIRT…舗装されていない山道を走るコース。唯一コースそのものに起伏があるうえにカーブも急で、コントロールに常に気を使う。ただし一般車両が同じ方向に進むものしかおらず道幅も狭いため、暴れたい時は有利になりやすい。
 
- 
操作体系は基本的にアクセル・ブレーキ・ハンドル操作のみとごく単純。だがスピードは200km/h以上出る。また雑魚車両を7台破壊するごとに1回、速度が一定時間大幅に上がり敵車両へのダメージも高まるパワーブーストが使える(バトル中に4回分まで貯められる)。
- 
そして本作の醍醐味でもあるシステムが車両の破壊である。他の車両に自車をぶつけて一定以上のダメージを与えると破壊できる。車両には雑魚車両、一般車両、パトカー、敵車両の4種類がある。
- 
雑魚車両は上に表示される黄色いドクロマークが目印。 しつこくこちらにぶつかってくるが、耐久度は低いので簡単にぶつけて破壊できる。一定ペースで湧いてくるので、これを破壊してBP(後述)を貯めていく。車体形状は3種類あり、スポーツカーが最も耐久度が低く、セダンが中間、ハマー風の車が最強(もらえるポイントに差はない)。
- 
破壊後に素早く次の雑魚を破壊するとコンボ状態になり、もらえるBPが増える。時間が経つか、途中で一般車両やパトカーを壊してしまうとコンボは途切れる。
 
- 
一般車両はその名の通り一般車で、車線に沿って道なりに進んでいるだけの存在。破壊するとBPが引かれてしまうが、雑魚車両や敵車両の巻き添えで破壊した場合(自車は一般車両に触れていない場合)はノーカンになる。
- 
パトカーは短時間で一般車両を破壊しまくっていると出現する。雑魚車両のごとく執拗にこちらにぶつかってくるが、破壊すると一般車両の2倍のBPを失ってしまう。一般車両同様、道連れにした場合はBPが引かれないのでそれを狙おう。
- 
敵車両はそのレースで相手となるデコトラ(マップ上ではBOSSと表示)。やはり執拗にこちらを攻撃してくる。制限時間制を除いて画面上部に耐久値が表示されており、減らすと少しずつ荷台が凹んでいく。さらに減らすと炎上し、0にすると大爆発して相手車両は破壊される。
- 
敵車両破壊ルールの場合、相打ちになりそうな場面で「スーパークラッシュモード」が発生することがある。これが発生すると下画面をスライドしてゲージを貯めることが必要で、相手より早く貯められれば大ダメージを与えられるが、貯められなかった場合は自分がダメージを受けてしまう。
 
 
- 
試合ルールは以下の3種類。自車が破壊されると負けなのは共通だが、勝利条件が異なる。
- 
敵車両破壊…コース途中から相手が出現する。ゴールまでに敵車両を破壊すると勝利で、破壊できなかった場合は敗北。
- 
敵車両より先にゴール…バトル開始時点で既に相手がいる。敵車両より先にゴールするか、ゴールまでに敵車両を破壊すれば勝利。必ずしも敵車両を破壊しなくてもよいが、先にゴールできないと敗北。
- 
制限時間内にゴール…コース途中から相手が出現する。制限時間内にゴールすれば勝利で、時間切れになると敗北。敵車両は妨害専門でクリア条件には直接関係ない。
 
- 
クリア後、バトル中に集めたBPが蓄積される。このBPは下記にあるような車両やパーツの購入に使える。
車両の購入・改造
- 
本作ではパーツごとに「注目度」が設定されており、これを上げることでトラックのステータスを上げることができる。つまり、バトルに勝ちたいならどんどんトラックを改造していかなければならない。
- 
車両等級は「軽」「小型」「中型」「大型」と各種隠し車両の5つ。隠し車両を除いて大きくなればなるほど初期性能が高い。
- 
トラックのステータスは以下の6つ。それぞれ10段階に分かれている。
- 
体力…トラックが攻撃に耐えられるHP。高くなればなるほど破壊されにくくなる。
- 
加速…その名の通り加速力のこと。
- 
最高速…その名の通り最高速のこと。最高は250km/h。
- 
操縦性…高いほど曲がりやすくなる。
- 
破壊力…高いほど相手に与えるダメージが増える。
- 
耐久力…高いほど相手にぶつけられた時のノックバックが小さくなる。
 
- 
隠し車両はストーリーで特定の条件を満たすと出現。トラックではないものがほとんどで、改造やステータス変更はできない。
 
- 
トラックのパーツは行灯やバイザーを始め全14箇所を、ハコ絵は上・右・左・後の4箇所を取り替えることができる。上述の通り、パーツごとに定められた「注目度」に基づいてPPが与えられ、このPPを消費することでステータスを上げることができる。
- 
一度入手したパーツは等級を問わず所有する全トラックに装着できる。
- 
ハコ絵には「ペイント」ができるが、これについては問題点で解説。
 
評価点
- 
他の車にガンガンぶつけてぶっ壊していくゲームシステムの爽快感は抜群。
- 
大型ともなればその破壊力で無双でき、追突したり空中に吹き飛ばしたり押し潰したりと雑魚の倒し方も多彩になる。
- 
一般車両は基本的に避けるものだが、どんなに壊しまくってもバトルの勝利条件さえ満たせばクリアは可能なので気にせず走っても良い。
- 
高速で走りながらデコトラ同士をぶつけあい、最後には爆発四散して木っ端微塵になる様子は快感そのもの。
 
- 
デコトラ製作の自由度が非常に高い。
- 
付け替えられるのは「フロント行灯」「フロントスクリーン」「フロントバンパー」「フロントバイザー」「ミラー」「はしご」「ホーン」「フロントデッキ」「荷台前行灯」「ロケット」「デンショク」「リアバンパー」「サイドバンパー」「ホイール」の14箇所。バンパーなど目立つパーツには約15種類、ホイールなど目立たないパーツにも最低3種類は用意されており、これらに加えハコ絵も約70種類から選べるのでバリエーションは破格の多さ。
 
- 
DSとしてはグラフィックはかなり良い方。
- 
トラックは実在の車両をモチーフとしている。ライト周りの細かな衣装までしっかり再現しており、全く違和感がない。
- 
何より凄いのは夜間ステージにおける光の表現。ロケットやバンパーや電飾がこれでもかと光りまくるが再現度は非常に高い。レース中にドライバー視点にした時に光バンパーやミラーの存在感は実車さながら。
- 
物語部分のキャラクターもアニメ絵調で出来は良い。上半身裸で運転する筋骨隆々の大男など序の口で、どう見てもアウトなマセたロリガキ、積荷を奪い取る異形の怪人などキャラクターは個性あふれる。
 
- 
ストーリーも悪くない。
- 
短めになってしまっているもののちゃんと竜一の残した秘密を突き止める流れで完結するように作られており、デコトラバトルもその状況に合ったものになっているためお使い感はない。
 
賛否両論点
- 
「敵車両より先にゴール」ルールの難易度が非常に低い。
- 
「敵車両破壊」「制限時間内にゴール」と違い、自車の速度に応じて相手トラックの速度が変化しない。トラックの最高速を上げさえすれば、アクセルを踏んでいるだけで簡単に勝ててしまう。
- 
自車に合わせて相手のスピードが変わったりすれば、それはそれでレースゲームによくあるインチキ走行問題に繋がるのだが、だとしてももう少し緊張感のある難易度にしてほしかったところ。
 
- 
ただし、独走できることから邪魔が入らずBP稼ぎには最適である。また、このルールは「敵車両破壊」に比べると明らかに数が少なく設定されているため、易しすぎるままにクリアということにはなりにくい。
 
問題点
- 
内容がやや薄い。
- 
本編21ステージ+外伝5ステージで合計26ステージとあまり多くなく、上記の通り非常にクリアが簡単なものもいくつか含まれる。
 外伝や隠し車両の解放にはAランク以上が必要となるが、序盤は極端にノルマが低く余裕でAランクが取れてしまうのでコンプにもあまり時間を要さない。
- 
通信対戦ではかなり多彩にルールやステージが選べるので、自分で条件を選んで対戦できるモードを1人プレイでも利用可能にしてほしかったところ。
 
- 
評価点で記述した通りパーツ選択の幅はとにかく広いものの、実戦で使える強さを重視した場合は注目度のせいで途端にワンパターン化する。
- 
せめて組み合わせによっても注目度が上下するシステムがあれば救いがあったのだが、本作では弱いパーツはただ弱いだけなので本当に使い道がなくなる。
- 
さらに悪いことに、売られている最強パーツのみで構成したトラックはあろうことかラスボスである黒幕の使うトラックと全く同じ組み合わせになってしまう。いざ最終決戦に望まんとするとまさかの悪者と同じ外装のデコトラに乗っていた、ということに…
- 
隠しパーツを手に入れればこの点は解消されるが、ストーリークリア前の時点では基本的に入手不可。
 
- 
なお、ハコ絵は全て注目度が共通なのでどれを使っても差はない。
 
- 
上記と似た問題点として、中型以下の車種や隠し車両に実戦の出番がほとんどなくなってしまう。
- 
ステータス的には全くの下位互換であるためわざわざ使うメリットに欠けている。当たり判定が小さいので一般車両を巻き込みにくいというメリットはあるものの、少し慣れれば大型でも避けることは簡単(そもそも操縦性が高いので避けやすさという面ではむしろ大型の方が上である)なため、空気である。
- 
隠し車両に至ってはステータスの変更ができないので完全にお遊びの部類である。
 
- 
ハコ絵の「ペイント」が全く役に立たない。
- 
その名の通りハコ絵をペイントする機能…なのだが、1色でしか塗ることができないという致命的な問題を抱えている(色は選ぶことができるものの、途中で色を変えるとそれまでに塗った部分も全て色が変わってしまう)。
 塗りそのものに関しても細さが調節できるとはいえ元の絵の細かさに釣り合っておらず、せっかくの綺麗な絵を単色で不自然に塗りつぶすというだけの意味不明な機能となってしまっている。
- 
またまっさらな状態から描くということができず、既存の絵に上書きする形でしかペイントできない。このシステムが完成されていれば「自分の好きな絵を描いたデコトラを走らせる」というかなり大きな楽しみ方をプラスできたのに、この有様では目も当てられない。
 
- 
デコトラとして見た時に不自然な点がいくつかある。
- 
デコトラ製作の基本中の基本であるメッキによるキャビン装飾ができない。本作のパーツは全てカッコいいが、キャビンの地色が出ているせいでいまいち浮いてしまっている。
- 
フロントバンパーは9割近くがラッセルバンパーで極端に優遇されており、舟形バンパーとキャデラックバンパーは各1種類ずつしかなく注目度も低い。
- 
ホーンを変えても音色が変わらない。
 
総評
トラックをぶつけまくって敵を木っ端微塵にする爽快感は群を抜いており、この一点だけで相当なポテンシャルのある作品である。だが、それ以外の部分で詰め込みが足りない面も少なくない。
特に「強いデコトラ」が固定化されている点は痛く、せっかくの自由度の高いエディット機能の意義を著しく失わせている。より多彩な注目度設定ができれば良作に近かったであろうから非常に惜しい。
余談
- 
爆走デコトラ伝説シリーズは本作が最終作となっており、以降全く音沙汰はない。
- 
本家シリーズスタッフが関わった『全国デコトラ祭り』がジャレコからWiiで発売されたが、発売元の違いから分かる通り正規のシリーズ作品ではない。
 
- 
バトルの下画面ではコースの地図が表示されているが、これは日本地図から切り出したものとなっている。神戸や幕張のほか遠く北海道まで全国を巡っていることがわかる。
最終更新:2022年11月14日 18:47