脱出アドベンチャー 旧校舎の少女
【だっしゅつあどべんちゃー きゅうこうしゃのしょうじょ】
ジャンル
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脱出ゲーム
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対応機種
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ニンテンドー3DS
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メディア
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ダウンロード
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発売元
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アークシステムワークス
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開発元
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インテンス
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発売日
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2012年8月1日
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定価
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734円(税込)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1個
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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判定
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なし
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ポイント
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アイテムを改造・修理できる登場人物 消化不良気味なシナリオ
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概要
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アークシステムワークスの脱出ADVの第一作。
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時計や機械の分解が大好きな女子高生を主人公に、学校にある旧校舎での冒険を描く。
登場人物
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時野若留
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本作の主人公で、赤ぶち眼鏡をした女子高生。若留は「わかる」と読む。
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両親が事故で他界しており、祖父が時計屋に引き取られる。本人も時計の修理技師の資格を有している。中学のときは内気な性格だったが、現在では若干無鉄砲な性格になっている。
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時計修理用の工具を内蔵する特別な腕時計をしている。腕時計からは必要に応じて、精密ドライバー・ルーペ・こじあけ用のナイフが出てくる。
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鍛冶野彦道
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幼馴染。けだるげでだらしない雰囲気をしているが熱血漢で道理の通らない話しを嫌う。
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若留の心理面の弱さを理解しており、大事なときには付き従うパートナーのような存在。
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ゲーム中でも、体格の良さや力を活かした行動をしてくれる。
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須佐見秀ノ介
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静養のための転入してきた、理知的な眼鏡の男子学生。とある家族の写真を大切に持ち歩いているようだが…。
システム
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物語を読むパートと、パズルを解くパートと分かれている。
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各自登場人物が、身上の話やこれからの目的を語ったり行動するパートを読んだ後、閉所や閉ざされた扉からの脱出を試みるパズルパートを交互に繰り返す内容。
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十字ボタンの上入力することで、常にバックログ確認可能。下入力で、既読箇所を早送りできる。
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密室の調査
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脱出パートでは、基本見回し可能な開かずの間をタッチペンで探索することになる。
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基本、3DS下画面に表示される部屋の怪しい箇所・気になる箇所をタッチしていく。
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そしてアイテムを回収・行使したり、扉に秘められたギミックを解除して先に進むという流れ。
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持ち物
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攻略中に拾ったアイテムは、持ち物の一覧から確認できる。
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持ち物は「観察」「手に持つ」「他のアイテムと合体させる」のいずれかができる。
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手に持った状態で適切な場所を調べると使うことができる。画面右上に、現在何のアイテムをもっているかが表示される。
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持ち物を観察することで、登場人物たちが先に進むには何が必要なのか閃いたり、アイテムそのものを分解・修理する画面に移行することもある。
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アイテムの分解・修理
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特定の物体を調べると移行する。物体を画面いっぱいに観察しながら何かしらの操作をするモード。
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タッチ操作を活用して、ねじを外して分解したり、心臓部を観察して修理をしたりなどできる。
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修理などの目的達成で、適宜上記の密室探索のパートへともどる。
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その他
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全4章で最後にセーブしたところからスタートするか、あるいは一度クリアした章の最初からチャプターセレクト可能。
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ストーリーチャートは1本道。寄り道のために別の謎を解くといったことは無い。
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原則いつであっても、Startボタンをおすとセーブできる。またセーブ画面にてヒントを閲覧可能。ヒントを選ぶと若留たちが攻略方法に関して、何かしらのヒントを喋る。
評価点
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各キャラクターのかけあい
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ひとつのアイテムを調べるにあたっても、各キャラクターが掛け合いをするのでゲームが殺風景にはならない。
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またアイテムや怪しい場所を2回目以降調べると、こういった攻略に直接関係の無い会話も省略され端的になる。逆に2回目以降に重要なヒントを言うこともある。
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主人公の若留は、とりあえず怪しい物事には片っ端からトライしてみる性格があり、無鉄砲なところが鼻につくプレイヤーはいるかもしれないが、システム面でプレイヤーに対して不利益をもたらすことは原則なく、ゲームの進捗に一役は買っている。
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ゲームタイトルについて
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タイトルにもなっている「旧校舎の少女」についてはゲームシステムを利用したからくりが仕込まれている。からくりについては気づいた人からは概ね好評。
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アイテムを分解・修理できる
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主人公が機械に強く、さらには機械をいじくるための道具一式を所持している、という設定は脱出ゲームとしては案外珍しい。ドライバーも標準装備として持っているので、ドライバーを探すという他ゲームでありがちな工程をスルーできるのはある意味斬新。
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本作は手に入れたアイテムそのものを、分解したり内蔵されているパズルを解いてみたりとできるので、プレイ中のアクセントにはなっている。
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タッチという簡単な操作だけで、機械内部を結構細かく動かせるのもポイント。
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中断のしやすさ
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いつでも(イベントや会話中であっても)Startボタンでセーブ可能。
賛否両論点
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ヒントがあまり役に立たないことが多い。
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「どこかまだ調べてない場所を探して見たらどうか」といったものが多く、的確なヒントを出すのは特定のパズルを解いている時のみ。謎解きゲーである以上、完全な答えを出してしまうのも問題だが。
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シナリオが全体的に急展開
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値段相応の短めなシナリオの中で多少強引に起承転結を作ろうとしている事もあり、説明不足だったり心情の変化に違和感を感じるような展開も多い。
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ただ短い中にしっかりシナリオが詰まっているとも言え、シナリオ展開が間延びする事なく最後まで楽しめるシナリオになっている。
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未解決の謎が多い
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ホラー寄りのシナリオという事もあり、そういうものでは定番である残った謎で後を引くような終わり方となっている。
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どうしてもこういった展開については、それが味と取る人と、中途半端でもやもやするという人で意見は分かれる要素。
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最終的にこのシリーズは7作目まで続いたこともあり、本作で振った伏線については凡そ続編で解決したものの、一部は明確な答えが出ないままとなっている。
問題点
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描写不足が感じられるキャラクター達
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ネタバレ注意
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悪役となる人物の描写が安定していない
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序盤から妙に怪しい雰囲気を醸し出し、中盤で毒ガス攻撃して監禁してきたかと思ったら、主人公の説得であっさりと主人公サイドに鞍替えしたりと、行動に一貫性が無いように見える。
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内面でかなり悩んでいたのは読み取れるが、それにしても極端すぎる展開は気になりやすい。
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もう一人についても本作時点ではキャラ描写が薄い。
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かっこいい回想シーンが描かれたりはするのだが、終盤は謎を解く若留や事件に深く関わる犯人と異なり、若留の為についてきている形である為、半ば蚊帳の外に追いやられてしまう。
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タイトルギミックへの誘導が甘く、全く気づけないプレイヤーが発生
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ゲーム中で気づけなくてもシナリオ上で違和感を感じてクリア後に調べて気づいて驚いたという声もあるが、逆に言えば明確な答えをゲーム中で気づけない人は最後まで気づけない。
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ホラー要素のあるゲームでは謎を残すのも定番だが、そもそもギミックの存在にすら気づかせないのはゲーム構成に問題があると言える。多少強引にでもギミックへ誘導すべきだっただろう。
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ギミックのネタバレ注意
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タイトルの「旧校舎の少女」に関して、バックログにギミックが仕込まれている。
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主要人物に一人、人外の存在が紛れ込んでいる。
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当該人物は主人公以外との会話が成立していなかったり(他の人物は主人公だけに話しかけている)、「数人寄れば文殊の知恵」のように違和感のある言葉が使われているが、これをバックログで確認すると、該当人物が存在していなかったり、代わりにある動物の存在が描写されていたり、「三人寄れば文殊の知恵」と正しい言葉が使われている等、「バックログが本来の出来事」というギミック。
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ただし、バックログは使わない人は全く使わない機能である為、最後までバックログを見ず、シナリオが変だとは思ったがギミックの存在に全く気付かなかったというプレイヤーもいた。
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また、このギミックの都合上、間違えて読み飛ばした場合に読み飛ばした部分を確認しようと思っても変化部分は確認できないという本来のバックログ機能に求められる物が欠けている問題もある。
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一部の謎解きの判定がシビア
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特に3DS画面の端っこに描かれているネジはタッチペンに反応しにくく外しづらい。
総評
機械に強い主人公を引っさげ、アイテムを直接分解修理できる脱出ADV。寄り道要素はなく、価格相応に小粒で無難にまとまっている一作である。全体的にストーリーは急ぎ足で、舞台となる旧校舎について謎は多く残る。
最終更新:2023年03月06日 16:23