本項では『海戦ゲーム NAVY BLUE 90』と、リメイク版の『NAVY BLUE 98』について記述する。判定はどちらも「良作」。

海戦ゲーム NAVY BLUE 90

【かいせんげーむ ねいびーぶるー きゅうじゅう】

ジャンル シミュレーション
対応機種 ゲームボーイ
発売・開発元 ユース
発売日 1990年12月7日
プレイ人数 1~2人
定価 3,500円
判定 良作
ポイント ニアミス追加によりしっかり考えるゲームに
アイテム取得もポイントから自由に選択
しっかり楽しめるバランスにモデルチェンジ
NAVY BLUEシリーズ
初代 / 90 / FC / 98


概要(90)

前年に発売された『海戦ゲーム NAVY BLUE (GB)』の続編となる「レーダー作戦ゲーム」。
根本的なゲーム性は前作から引き継がれているため、本項では変更点のみにとどめるものとする。


変更点(90)

ニアミス機能の追加

  • 敵艦艇(偵察機含む)のすぐ隣に外した場合、メッセージが「おおなみ」と表示され、ターゲットグリッド上でも4方向矢印で表示される。
    • 上記の矢印マークは艦艇を沈めた場合、他のドハズレ同様の表示に戻る(撃沈しても表示が残っている場合対象のマスの上下左右に他の艦艇が残っている)。

出撃艦艇とアイテムが毎回選択する方式に変更

  • ステージ毎に「SHIP」「ITEM」の数が提示される。
    • 「SHIP」…艦艇の数で「空母」「戦艦」「巡洋艦」「駆逐艦」「潜水艦」「偵察機」から選択。
    • 「ITEM」…出撃させる艦艇を選んだあと、搭載するアイテムを選ぶ。もちろんポイントを全部使い切る必要はない。
  • 全18ステージで、ステージを進めば進むほど「SHIP」「ITEM」の数が増えていく。
    • 前作ではその戦力アップするにも8ステージクリアしなければならなかったが、本作ではちゃんと1ステージ毎に上がるよう改善。
    • 最終的には全5隻+偵察機のフルメンツで出撃する。

艦船の種類()は占有マス

  • 空母(2×4)
    • 最大の大きさで打たれ強いので弾除けの役目でも使える。前作と同じだがアイテムはすべて航空機系になった。
    • 搭載アイテム ()は必要ポイント
      • 零戦(10)
        自由に4箇所を選んで攻撃。
      • 艦爆機(18)
        3×3の9マスを攻撃。
      • 神風(20)
        1マスのみしか攻撃できないが当たりさえすれば残りのマスに関係なく一発撃沈できる。
  • 戦艦(5)
    • 特殊武器はまとまった多くの数ヶ所を攻撃できる強力なもの。
    • 搭載アイテム ()は必要ポイント
      • 4連装砲(6)
        2×2の4マスを攻撃。
      • 波動砲(15)
        タテ8マスを攻撃。
      • V-2(20)
        5×5のうち4隅と、その間の1マス、ド真中の計9マスを攻撃。
  • 巡洋艦(4)
    • 特殊武器は主に敵艦の位置を探るに優れたもの。
    • 搭載アイテム ()は必要ポイント
      • 拡散砲(4)
        4×4のうち4隅の4マスを攻撃。
      • 広角砲(6)
        5×5のうち4隅とド真中の計5マスを攻撃。
      • V-1(10)
        3×3のうちド真中以外の8マスを攻撃。
  • 駆逐艦(3)
    • 特殊武器はピンポイントに一列を攻撃するもので確かな狙いを要求される。
    • 搭載アイテム ()は必要ポイント
      • 3連装砲(3)
        ヨコ3マスを攻撃。
      • 水平砲(4)
        ヨコ4マスを攻撃。
      • 垂直砲(4)
        タテ4マスを攻撃。
  • 潜水艦(2)
    • 特殊武器は任意に選んで攻撃できるもので、前作の駆逐艦のようなもの。コストは軽いが被弾すると沈められてパーになりやすいリスクがある。
    • 搭載アイテム ()は必要ポイント
      • 2連装魚雷(2)
        自由に2箇所を選んで攻撃。
      • 3連装魚雷(3)
        自由に3箇所を選んで攻撃。
      • 4連装魚雷(4)
        自由に4箇所を選んで攻撃。
  • 偵察機(1)
    • 特殊武器はレーダー系。前作の潜水艦そのままの立ち位置。
    • 搭載アイテム ()は必要ポイント
      • SP-4レーダー(1)
        2×2の4マス(戦艦装備「4連装砲」と同じ形)を探知。
      • SP-5レーダー(2)
        3×3のうち4隅と中心の計5マスを探知。
      • SP-8レーダー(4)
        5×5の外周4隅と、その間の1マスの計8マス(戦艦装備「V-2」からド真中を抜いた形)を探知。

その他

  • 前作にあったアイテムを搭載していない「護衛艦」は廃止。
    • 単に「いるだけ」で存在価値自体が希薄だったので無難な判断。
  • 撃沈時には、○○撃沈と表示される。対象の艦艇が炎上するデモが挿入されるようになった。
  • 制限時間が追加。
    • 既定の時間内で攻撃しないと、攻撃しないまま相手のターンに移行する。
  • 基本的に敵が先攻になった。
    • 敗戦後のみ、自軍が先攻になる。
    • パスワードによる再開でも、それは考慮されていない。
  • 2Pのシステムも改善。
    • パスワードの必要がなくなり完全フリーになった。
      • 艦艇数が1~6、アイテムポイントが20~70(10刻み)で自由に選べるので、いきなりフルの戦いができるだけでなく、実力差のある相手に対してハンデや、細かい調整の変則マッチも可能になった。

評価点(90)

  • 改善されたシステム。
    • 前作は肝心なニアミス判定がないなどゲームの根幹としての欠落があったが、それが解消され時間効率も大幅に良化。
    • またレーダーにしても、反応があった部分は画面上で記録されるようになった。
    • 同じステージを8度も繰り返し128ステージという冗長さもなくなり、18ステージに縮められ1回1回でアイテムのポイントや艦艇数が増えていくようになった。
    • 2P対戦もパスワード不要で、手軽に対戦できるようになった。上述の通り実力差を埋めるハンデも手軽につけられる。
  • ポイント制によるアイテム選択。
    • 前作はレベル毎に紐づいていたが、ポイント交換制になり自由に選択できるためより個人の好みを反映させやすい。
    • 同時に、これが上記の対戦でもより変化のあるものを実現している。
  • 全体的には搭載兵器(アイテム)のバランスが良い。
    • 空母の「零戦」と潜水艦の「4連装魚雷」は同じ効果なのに、前者は2.5倍の10Pも必要とするは不公平に感じやすいが実はバランスが取れている。
      空母は沈みにくいため敵に発見されてからも使い切る余裕があるという強みがある。片や潜水艦は1発でも被弾したら次の一発が命中して沈んでパーになるリスクの高さがある。
      • こういう見方ができればあまり気になるものではない。
      • ただし後述の通り「神風」のみ難点がある。
  • パスワード制ながらアルファベット6字のみなので、再開もお手軽。

賛否両論点(90)

  • 時間制限あり。
    • これにより、早く決断しなければならない不便さがある。
    • だが実際の戦闘では無限に時間があるはずもなく、モタモタ考えている余裕などないので、まんざら間違ってもいない。
    • 特に対戦などでは相手がいつまでも考えていて進まず、片方のプレイヤーが待たされてイライラするのでその防止にもなっている。

問題点(90)

  • 20と莫大なポイントを要求される空母の搭載武器「神風」のコスパの釣り合わなさ。
    • 当てれば残りマスに無関係で一発で撃沈というのは魅力のように思えるが、外せば1マスなので相手の位置を探る役割を果たせず元も子もない。
    • 偵察機のレーダーで探って狙うというのもアリといえばアリだが空母や戦艦あたりならまだしも、当ってもそれが潜水艦や偵察機あたりだったりするとあまり意味がないものになる。
    • 一発で沈めることで敵艦隊に搭載されているアイテムを抱え落ちさせることができるが、駆逐艦や潜水艦のアイテムでも同様の事ができるし、こちらのほうがポイント的にお得。
      • 次作では駆逐艦の「エグゾセ」として同じものが登場しているが必要ポイントは15と軽減されている*1
        3マスの駆逐艦なので沈められてパーになりやすいリスクが増していることを無視はできないが、それを加味しても改善されたバランス。
  • 艦艇の配置でタテ置きはデメリットがあるため公平ではない一面もある。
    • その原因は上記の武器「波動砲」にありタテ1列(8マス全部)を攻撃できるため、空母以外はそこにタテ配置していると、問答無用で一発で沈められてしまう(つまり被弾後に対象艦艇アイテムを優先して使う対策が取れない)。
      • 片やヨコ一列(8マス全部)攻撃できるアイテムはないので、横置きの方が相対的にリスクが少ないことになる。

総評(90)

「レーダー作戦ゲーム」のコンピュータゲーム化作品として、ようやくシステムも理想的な形になり、また対戦のシステムも手軽で自由度の高いものになった。
ステージ構成も、18ステージと程よく楽しめるバランスになり1戦1戦での艦艇やアイテムの充実化も感じられるようになったことで、冗長さは完全になくなった。
当時はファミコンでは4メガRPGが増えてきたこともあって、ゲーム全体では地味臭さはあるがゲームボーイの特性をフルに生かして楽しめるものとしては申し分ない。


その後の展開

  • 本作のマイナーチェンジにあたるファミコンロムカセットソフト『海戦ゲーム NAVY BLUE』が1992年2月に発売。
    • 開発はユースだが、アイマックスから発売されている。
      • こちらでは戦闘海域がヨコ長に拡大され、ステージクリアによる追加アイテムなどもある。
      • また兵器の名前が、主にイギリスやアメリカ軍ベースのものに戻っている。

余談(90)

  • 前作で空母搭載の航空機は「ファントム」や「トムキャット」といったアメリカ軍のものが使われていたが本作では「零戦」など旧日本軍のものが使われている。
    • 因みに現実の「神風」つまり「神風特攻隊」は「零戦」が用いられていたので本来ならば同じ機体である。
  • ゲーム中で戦艦に搭載されたアイテム「波動砲」はもちろんあの「宇宙戦艦ヤマト」に登場するヤマトに搭載された最強兵器である。
    • その威力たるや「オーストラリア大陸を消滅させるほどのもの」であるとのこと。そう考えると、本作の戦艦のそれはその名前にしてはこじんまりした威力であるし、少々ふざけた感も否めない。
    • 後の話になるがファミコンで発売される次作では戦艦の武器が「16インチ砲」になっている。効果自体は本作での「4連装砲」と同じ。
      • そのため、本作でも実在の大和らしく「18インチ砲(46cm砲)」の方が雰囲気に合っていたと思われる。
  • 兵器の名前表記に誤字が多い。
    • 駆逐艦の「3連装砲」や戦艦の「4連装砲」が「○レンウホウ」になっている。
    • 空母の「艦爆機」が「カンバクキ」ではなく「カンハグキ」、神風は「カミガセ」となっている。

NAVY BLUE 98

【ねいびーぶるー きゅうじゅうはち】

ジャンル シミュレーション
対応機種 ゲームボーイ
発売元 ショウエイシステム
開発元 ユース
発売日 1998年2月20日
プレイ人数 1~2人
定価 3,980円
判定 良作
ポイント 機能充実も内容自体は変わらず

概要(98)

『海戦ゲーム NAVY BLUE 90』(以下「90」)の8年越しのリメイク。
グラフィックが一新され、パワーアップして帰ってきた…ように見えるが….。


変更点(98)

  • 偵察機が偵察艦に変更。航空機は空母のアイテム専用となった。
    • 空中にいるのに「おおなみ」になったり、魚雷で撃墜できるといった不自然な点が解消された。
  • アイテム名の変更。
    • 日本軍ベースのものから再びアメリカ軍ベースに戻った。
    • 名前が変わっただけで性能や搭載にかかるゴールド(90でいうポイント)は変わっていない。
  • 上官のマイルド化。
    • 90では敗戦時などに割ときついことを言われたが、今回はいつも笑顔でノリのいい人になっている。
  • BGMは全て差し替えられている。

評価点(98)

  • ギブアップ機能が追加。いつでもステージ開始時からやり直せるようになった。
    • 敗戦した場合と違い先行は取れないが、時間の短縮には役立つ。
  • 一度レーダーを使用した場所には反応の有無にかかわらず記録が残り続けるようになった。
    • 90では反応がなかった場所の記録が消えてしまい、探索した位置を覚えておかねばならなかった。
  • FC版と同様、アイテムを使用した場合は搭載してある艦の艦砲グラフィックが表示されるようになった。
    • アイテムの種類により違うグラフィックになるなど凝っている。
      • 空母のハリアーはきちんと垂直離陸する。
  • 攻撃時のテンポが若干改善された。
    • 特に複数地点を同時に攻撃するアイテムは待ち時間が少なくなり、使い勝手が良くなった。
    • アイテム使用時の艦砲グラフィック表示時間も短めで、気にならないレベルである。

賛否両論点(98)

  • スーパーゲームボーイ未対応で、白黒画面でしか遊べない。
    • 対戦も本体2つ、ロムカセット2つと通信ケーブルが必要で用意するのが大変。
    • FC版と同様、一つの画面では対戦ができないので仕方のない面もある。
  • 上官やBGMがノリの良いものになり、戦争というイメージからは遠ざかっている。
    • タイトルからも「海戦ゲーム」表記が消えた。

問題点(98)

  • ゲームバランスの調整は特に行われていない。
    • トムキャット(神風)のコスト高や横置き有利仕様など、90の問題点はそのまま残っている。
    • CPUの攻撃アルゴリズムも調整されておらず、90で有効だった作戦がそのまま通用する。

総評(98)

8年も経過しているのにゲームの内容自体は90と実質同じものである。
ただ元々が良質なゲームで、システムの改善もされているので、遊びやすくはなっている。


タグ:

SLG ユース NAVY BLUE
+ タグ編集
  • タグ:
  • SLG
  • ユース
  • NAVY BLUE

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年08月02日 22:36

*1 全体的なポイント値も増えているので体感的には本作の15よりも軽い