海戦ゲーム NAVY BLUE
【かいせんげーむ ねいびーぶるー】
ジャンル
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シミュレーション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売元
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アイマックス
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開発元
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ユース
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発売日
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1992年2月14日
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プレイ人数
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1人
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定価
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5,900円
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配信
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プロジェクトEGG:2019年7月16日/330円
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判定
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なし
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ポイント
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戦うポイントを選んで進軍 進軍次第でアイテムの新規獲得 ハードの都合上対戦が不可に
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NAVY BLUEシリーズ 初代 / 90 / FC / 98
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概要
それまでゲームボーイで発売されていた「海戦ゲーム NAVY BLUE」シリーズをファミコン化。
根本的なルールは前作から引き継がれているため、本項では変更点のみにとどめるものとする。
ゲームボーイと違って画面は1つで行わなければならない都合上、対戦はできなくなり1人プレイ専用となった。
変更点
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ゲーム性自体は前作『海戦ゲーム NAVY BLUE 90』から引き継がれている。
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BGMも、そのアレンジになっている。
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戦闘区域のグリッドは8×14のヨコ長の形に変わっている。
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マップ選択は4×7の28コマで、開始地点である自軍の本部は左下。敵の本拠地は右上。自軍本部では戦わないので最大戦闘回数は27回となる。
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本拠地または勝利した地点の隣接するマスから選んで戦っていく。そして敵の本拠地での戦いに勝利すればエンディングとなる。
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よって最短距離を取ればたった9回の戦いに勝つだけでクリアだが、その場合特に後述の追加アイテムが得られないのが痛く相当に運が良くない限り無理。
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敵本拠地を潰せばエンディングだが、それまでの進行状況によってエンディングで与えられる階級(「少尉」~「元帥」)が変化し、少ないほど高い階級が与えられる(もっとも上記の通り9回で行くのは難しい)。
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カーソルを動かすと、その戦いでの敵艦の数が表示される。
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勝てばパスワードがもらえ、負けた場合は再度同じ条件でマップの選び直し。
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時間制限はなくなった。
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本作は対戦ができないので、とことん考えることができる。
艦船の種類()は占有マス
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空母(2×4)
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最大の大きさで打たれ強いので弾除けの役目でも使える。特殊武器は自在に多くの地点を任意に攻撃できる航空機を搭載。「イーグル」は途中で追加。
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搭載アイテム ()は必要ポイント
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ファントム(10)
自由に4箇所を選んで攻撃。
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トムキャット(18)
自由に5箇所を選んで攻撃。
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イーグル(24)
自由に6箇所を選んで攻撃。
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戦艦(5)
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特殊武器は範囲固定だが多くの数ヶ所を攻撃できる。「ポセイドン」は途中で追加。
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搭載アイテム ()は必要ポイント
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16インチ砲(6)
2×2の4マスを攻撃。
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タロス(8)
3×3のうち4隅と中心(×状)の計5マスを攻撃。
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ポセイドン(18)
5×5のうち4隅と、その間の1マス、ド真中の計9マスを攻撃。
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巡洋艦(4)
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特殊武器は広範囲を攻撃して敵艦の位置を把握しやすい。
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搭載アイテム ()は必要ポイント
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アスロック(4)
中心・2マス左上・2マス右下の3マスを攻撃。
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スタンダード(6)
4×4の4隅4マスを攻撃。
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シースパロー(10)
4×7(ヨコ長)の4隅と中心の上端、下端の計6マスを攻撃。
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駆逐艦(3)
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特殊武器はピンポイントの狙いで敵艦を一気に沈めるのに向く。「エグゾカ」は途中で追加。
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搭載アイテム ()は必要ポイント
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アイカラ(3)
ヨコ3マス1列を攻撃。
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シーウルフ(5)
タテ4マス1列を攻撃。
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エグゾセ(15)
1マスしか攻撃できないが命中すれば残りのマスに無関係で一発撃沈。
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原潜(3)
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特殊武器は横列攻撃がメインだが「トライデント」が途中で追加され広範囲攻撃もできるようになる。
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トマホーク(4)
ヨコ4マス1列を攻撃。
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ポラリス(8)
ヨコ3マス×2列を攻撃。
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トライデント(14)
5×5の外周4隅と、その間の1マス、計8マスを攻撃(上述の戦艦装備「ポセイドン」からド真中を抜いた形)。
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爆撃機(2)
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特殊武器はまとまったマス目を一気に潰すもの。前作では空母の搭載アイテム扱いだった「艦爆」が独立したような感覚。
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ターター(3)
タテ3マスを攻撃。
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200ポンド(6)
タテ3マス×ヨコ2列の6マスを攻撃。
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500ポンド(12)
3×3の9マスを攻撃。
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潜水艦(2)
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特殊武器は複数箇所を選んで攻撃するもの。
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MK-71II(2)
自由に2箇所を選んで攻撃。
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MK-71III(3)
自由に3箇所を選んで攻撃。
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MK-71IV(5)
自由に4箇所を選んで攻撃。
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偵察機(1)
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特殊武器はレーダー系。
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搭載アイテム ()は必要ポイント
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SP-4(1)
2×2の4マス(戦艦装備「16インチ砲」と同じ形)を探知。
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SP-5(2)
3×3のうち4隅と中心(戦艦装備「タロス」と同じ形)の計5マスを探知。
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SP-8(4)
5×5の外周4隅と、その間の1マス(原潜装備「トライデント」と同じ形)の計8マスを探知。
評価点
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拡大したグリッドにマッチした新アイテムの数々。
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例えば巡洋艦の「シースパロー」は広範囲を探るのに適している。
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それだけでなく原潜の「トライデント」戦艦の「ポセイドン」なども含め、幅広い使い方ができる。
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一撃で沈めるアイテムの使い勝手の向上。
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前作では「神風」という名前だった。ポイントを20も使用するため、沈められにくい空母搭載という利点を差し引いてもコスパ的に釣り合っていなかった。
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本作では「エグゾセ」が同様の効果で、沈められやすい駆逐艦に搭載という欠点はあるもののポイントが15に抑えられ使いやすくなった。
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ゲーム開始直後は使えないが、序盤では敵も空母をほぼ使用してこないので、なくてもあまり問題にならない。
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前作に比べて敵のアイテム使用が早まったのも使用を促進している。
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好きな形で進軍できるようになった。
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順当に進んでいくのも良いし、先に不利な状況に挑んで後の展開をラクにするなど、好みのやり方で進められる。
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敗戦時は敵の配置状況が見られることで、次の作戦を組みやすくなった。
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もちろん次の戦闘では配置を変えてくるのでメモしても無駄。
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アイテム使用時のデモの迫力。
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前作までは、対象のグラフィックが一直線に飛んでいくだけだったが、対象の艦艇から発射(発進)するデモが挿入されるようになり、ファミコンながら非常に迫力がある。
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艦艇の部分も、それぞれ固有のグラフィックが用意されている。
賛否両論点
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アイテムの途中獲得仕様。
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前作では最初からフルに使えたが、上記の関係上特定の場所を通らなければならない。
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「トライデント」や「ポセイドン」をパスして進むと相当きついハンデ戦になる。
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とはいえ途中から新しいアイテムが使えるのは前作とは一味違ったパワーアップ要素になっていることには間違いない。
問題点
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追加武器が得られるまでは「駆逐艦」「原潜」の差があまり感じられない。
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普通に一直線に攻撃するばかりで、同じ性能のものを2つに分けているだけにしか感じられない。
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相変わらずポイント的に重すぎる空母のアイテム。
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「イーグル」が途中で追加されるがポイント24と異常なまでに重く、入手できても使い道がない。グラフィックは頑張っているのだが‥‥
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初期から搭載可能な「トムキャット」にしても「ファントム」に対して1つ多く攻撃できるだけでポイントで8も重いのは割に合わない。
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結局のところ「ファントム」以外はコスパが悪すぎて重いポイントを押してまで使うほどでもない。「トムキャット」や「イーグル」を起用するぐらいなら抱え落ちのリスクがあっても潜水艦の魚雷に充てた方が無難。
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偵察機の仕様。
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性能自体は前作と変わっていないのだが、マップが広くなったぶん探索範囲が相対的に狭くなり、「おおなみ」の重要性も増したため使いづらくなった。
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追いつめると必ず攻撃を当ててくるという敵のアルゴリズム上、1マスしかない偵察機は非常に頼りない。どこに隠れていても一発で撃墜される。
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そして敵の場合は偵察機1体だけが残ると探すのが非常に大変。マップが広くなったのでなおさらである。
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パスワードでは数字とアルファベットだが「0(ゼロ)」こそ「O(オー)」と間違われないため使われていないが「1(いち)」と「I(アイ)」が共存している。
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文字数こそ10字と少ないとは言え、この2つも間違いやすい典型なので少々気が利かない。
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基本的には不利な条件での戦いを強いられる。
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初期戦力は「SHIP・4 ITEM・24」で、自軍本拠地から上に進むと4隻、右なら5隻とあるように基本ルートはまず上に向かい、上端にぶつかると右へ1コマ進み今度は下へ向かい下端にぶつかるとまた1コマ右という感じにヘビ状に進行するのだが、これに即して進んでも自軍が5隻で戦える前に2戦、4対5の戦いを強いられ、自軍が5隻になって5対5で戦えるのも束の間、今度は間もなく5対6になり以後大体敵に1隻分のハンデをやるような形になる。
更に敵は最終的にはフルメンバーの8隻で来るのだが自軍は最後まで行っても7隻での戦いとなる。
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先に格上に向かって戦えば後で自軍有利な形で戦える形に持ち込むこともできるが、どのみちハンデ戦を更に重い形で先に行うだけでしかない。
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また追加武器の「トライデント」「ポセイドン」あたりを持っていないと敵との差が2隻あるだけで、まず勝てないほどの大ハンデになる。
総評
システムとして完成形になった前作『海戦ゲーム NAVY BLUE 90』から引き継がれ、更に拡大したグリッドにバッチリ対応したアイテム構成などもよくできている。
また艦艇から発射される武器や、撃沈時のデモなどはファミコン後期らしく、美麗に演出されている。前作の良質なシステムを受け継ぎつつ様々な進め方ができる点は前作のグレードアップには違いない。
だがハードの都合上、対戦に非対応になった点は残念ではある。そう考えるとやはりゲームボーイ向きだったことがよく分かる。
その後の展開
余談
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ゲームスタート時の司令官のメッセージに「そこで また きみに さくせんの しきをとって もらうことに したんだ きみならできる!」と言われるので、設定上では前作から引き継いでいるものと思われる。
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しかし本作の兵器は大体、実際のアメリカやイギリス軍ベースの名前なのに対して前作は日本軍ベースな名前だったので本当に同じ軍なの? というツッコミどころがある。
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前前作「NAVY BLUE」はアメリカ軍ベースのため、ストーリー上はその続編なのかもしれない。
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上述の戦艦の武器「16インチ砲」はアメリカ軍最後の戦艦と呼ばれるアイオワ級戦艦の主砲サイズそのもの(40.6cm)であり、必然的にアメリカ海軍の戦艦の主砲としては最大のものである。
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因みに日本海軍の象徴だった「大和」「武蔵」の「46cm砲」は18インチ強である。
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本作では戦艦の装備となっているミサイル兵器「タロス」は実際のアメリカ海軍では戦艦ではなく巡洋艦に搭載されていた(タロス自身が太平洋戦争後に開発されており、その頃には戦艦自身が一切新造されることがなくなっており既存艦も退役傾向にあった)。
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またタロスは本来「対空ミサイル」の部類に属するのだが、ゲーム中でのタロスは偵察機や爆撃機に対してそれほど相性は良くない。むしろ一気にまとまったマスを潰す爆撃機の500ポンドの方が好相性。
最終更新:2025年05月11日 18:49