海戦ゲーム NAVY BLUE

【かいせんげーむ ねいびーぶるー】

ジャンル シミュレーション
対応機種 ゲームボーイ
発売・開発元 ユース
発売日 1989年11月22日
プレイ人数 1~2人
定価 3,400円
判定 クソゲー
ポイント 初のレーダー作戦ゲーム
肝心なニアミス判定がないせいで運ゲー化
楽しむためには72ステージ我慢してクリアせよ
NAVY BLUEシリーズ
初代 / 90 / FC / 98


概要

昭和期に紙にグリッドを書いて行われていた「レーダー作戦ゲーム」をコンピュータゲームにしたもの。
1989年にゲームボーイソフトとしてユースから発売された。

お互いに8×8のグリッドに艦隊を配置して、交互に攻撃し合い敵艦を沈めていくルール。
「レーダー作戦ゲーム」は既に紙ベースで昭和期の頃から行われていたものだがコンピュータゲーム化は本作が初めてである。


内容

システム

  • 俗に言う「レーダー作戦ゲーム」のコンピュータゲーム化したものである。
    • 8×8にターゲットグリッドに、特定の艦艇を配置して戦闘を開始する。
      • 艦艇はタテ向きまたはヨコ向きを選択して配置できる。
  • 攻撃はお互い交互に行う。アイテム(有限)がある場合は任意で使用可能。使わない場合は1マスのみを攻撃する。
    • 艦艇は1~8マスで、そのマスすべてが攻撃で潰されたら沈没する。
    • すべての艦艇を沈めたら勝利。逆に自軍の艦艇が全滅したら敗戦。
      • 勝利時は次のステージに進む。同時にパスワードが発行される。
      • 敗北時は即座に再戦できる。
  • アイテムは数ヶ所攻撃可能で、自由に特定数の攻撃ヶ所を選べるものと、定形の形でしか選べないものがある。
    • 根本的に後者の方が攻撃対象の数が多い。
    • 潜水艦のアイテムはレーダーで、波形が大きいとそこに敵艦が存在する。当然その効果は位置を探るだけなので、そこにいることはわかっても改めて後で攻撃する必要がある。
    • アイテムはそれぞれの艦艇に装備されている形で、使う前にその対象の艦艇が沈められてしまうと使うことができない。
  • 対戦モード。
    • 上記コンティニュー用のパスワードを入れて対戦できる。
      • レベルが2以下の場合は、レベル3に補正される。

艦船の種類()は占有マス

  • 空母(2×4)
    • 最後に参戦。最大の大きさで打たれ強く、特殊武器は自在に多くの攻撃できる飛行機を搭載。最大レベルになると「Trident D9」を2つ発射できるようになり名実とも最強に。
    • 搭載アイテム
      • F-4 Fantom
        自由に4箇所を選んで攻撃。
      • F-14 Tomcat
        自由に5箇所を選んで攻撃。
      • Trident D9
        5×5のうち4隅と、その間の1マス、ド真中の計9マスを攻撃。
  • 戦艦(5)
    • 初期から参戦。特殊武器はまとまった多くの数ヶ所を攻撃できる強力なもの。
    • 搭載アイテム
      • Harpoon
        3×3のうち4隅と中心(×状)の計5マスを攻撃。
      • Tomahawk
        3×3のうち中心以外の計8マスを攻撃。
  • 巡洋艦(4)
    • 途中から参戦。特殊武器は2つとも4マス分を攻撃する中堅クラスの攻撃力。
    • 搭載アイテム
      • Sea Sparrow
        2×2の4マスを攻撃。
      • Tartar
        4×4のうち4隅の4マスを攻撃。
  • 駆逐艦(3)
    • 初期から参戦。特殊武器は同時に攻撃できるヶ所は少ないが、自在に選択できる。
    • 搭載アイテム
      • Mk-45II
        自由に2箇所を選んで攻撃。
      • Mk-71III
        自由に3箇所を選んで攻撃。
  • 護衛艦(2)
    • 途中から参戦。特殊な武器(搭載アイテム)は持っていない。
  • 潜水艦(1)
    • 初期から参戦。特殊武器はレーダー系。
    • 搭載アイテム
      • SPS-10 Radar
        2×2の4マス(「Sea Sparrow」と同じ形)を探知。
      • SPS-39 Radar
        3×3のうち4隅と中心(×状・「Harpoon」と同じ形)の計5マスを探知。
  • 最初は「戦艦」「駆逐艦」「潜水艦」の3隻で出撃。
    • 4レベル(32ステージクリア)上がると「護衛艦」→「巡洋艦」→「空母」と小さい準に1隻ずつ参戦艦艇が増えていく。

問題点

  • ニアミス判定がない。
    • このゲームとしては必須に近い機能で、これがないためにムダ撃ちが多くなる。
    • どこかで命中させない限り目安が全くないので、ほとんど運ゲーに近い展開になる。
      • 特に序盤はお互いの艦船数が決定的に少なく、スカスカな海域で空撃ちを繰り返すことになるので、その虚無感も相当なもの。
      • まして敵艦が1マスの潜水艦だけになろうものなら、目安にできるものがまったくないので、まぐれ当り狙いでしらみつぶしに撃つしかできない。
      • 特に序盤はアイテムの所持数自体の少なさもあって、すぐに尽きてしまうので、この潜水艦を探し当てるだけでかなりダラダラしてイライラする。
  • 過剰に長いステージ構成で、その大部分は単調すぎる展開で相当な我慢を強いられる。
    • 上述の通り、1マスの潜水艦が最初からいるので、最後は大体アイテムを尽きた中でそれを探すためのしらみつぶしの撃ち合いで時間のかかる運ゲーを強いられる。
    • なんと全128ステージもあり、そのうちレベルは16段階なので8ステージも同じ状況が続く。
    • 加えて1回1回のレベルアップでは微々たる戦力アップしかしない。新しい艦艇の追加には実に4レベル(32ステージクリア)も要する。
      • しかも最初に艦艇追加となるステージ33で加えられる護衛艦には新しい武器がなく、それまでと比べて大した差は感じられない。その上、ここまで来るだけでも結構長くかかり、その間ダラダラと単調に撃ち合う作業的な展開が続く。
      • 有効な武器が増えて、やっとそれなりに手応えを感じた楽しめる撃ち合いが展開されるのは「Sea Sparrow」が2発撃てるようになるステージ73(レベル10)あたりから*1。つまり約6割近くも運ゲーじみたチマチマした撃ち合いを強いられる。
    • ファミコン初期の頃にあった傾向で「少ない容量で長く楽しませる手法」にも似ているが、1ステージにかかる時間が長く、実質同じステージを8つもクリアしてやっと小さな変化があるという程度というのはムダに冗長が過ぎる。
      • グラフィックもかなりチープな作りになっており初ジャンルの基本形ゲームならもっと手軽なスタイルで良かっただろう。実際この当時のゲームボーイソフトはそんなゲームが受け入れられていた。
      • パスワード対戦のために育成のハードルを上げたという趣向にしても、ここまで我慢を強いるのはもはや時間泥棒で、やりすぎと言わざるを得ない。
  • アイテムを使うとターゲッティングでムダに焦らしてくるCPU。
    • 敵の攻撃では人間的な演出をするためか、わざわざ迷っているようにターゲットが右往左往してくるので、これも地味にイライラする。
  • BGMがすべてのステージで同じ曲が再生されるため均一で、これも単調さを助長している。
    • 楽器自体は良質であり、ゲームボーイロンチ近くの中では中々工夫を凝らしたサウンドプログラムによる音色を奏でているだけに惜しい点でもある。

評価点

  • 初のレーダー作戦ゲームということで、一応新しさはある。
    • コンピュータゲームらしく変則的に攻撃できるアイテムが実装されており、別々の画面というハードの特性を活かした2人対戦にも対応している。
  • 敗北時のコンティニュー自体はその場で無制限にできる。

総評

それまで紙ベースで行われていた「レーダー作戦ゲーム」をお互いの画面が見えないゲームボーイの特性を活かしてコンピュータゲーム化した発想自体は良い。加えて特殊武器を用いたりコンピュータゲームならではなこともできている。
反面、肝心なニアミス判定が抜けてしまっていたり、同じステージが8回も連続しそれを乗り越えても1レベルアップ程度では微々たる差しかなく、特に序盤は少ない艦船数で空撃ちを繰り返す展開が長く続きやすく我慢を強いるゲームバランスでは、さすがにそれを乗り越えてまで楽しみたいという気持ちも失せてしまう。
コンピュータゲーム版「レーダー作戦ゲーム」としては、まだシステムの未成熟さを感じえない。ゲームボーイ初期作品ということもあり、あえて過剰に長くする必要も薄いので、もっと手軽に楽しめるボリュームぐらいで良かっただろう。


その後の展開

  • 続編として1年後の1990年12月7日に『海戦ゲーム NAVY BLUE 90』が同じくユースから発売。
    • ニアミス判定が行われるようになりステージもだいぶ絞られ遊びやすくなっている。
    • しかし同時期には任天堂の『海戦ゲーム レーダーミッション』と被ったことで、注目度で劣ったことが災いして売上本数はさほど伸びなかった。

余談

  • 昭和期に紙ベースで行われた「レーダー作戦ゲーム」では、攻撃範囲は自軍の艦から射程が決まっており、併せて移動できるルールもあった。
    • よって敵の攻撃も、その位置を推測するヒントになっていた。
    • 移動するには攻撃を1回放棄しなければならないが、そのままでは攻撃できないポイントを攻撃するためには必須で、それだけではなく他に敵の推測を狂わせる目的もあり、本作のようなゲームとは違った駆け引きを生み出していた。
  • ファミコン通信増刊の「ゲームボーイ通信」に掲載された桜玉吉の漫画「お金海戦」にて、作者が友人のサイバー佐藤に本作とおぼしきゲーム(明言はされていないが、時期的に本作であると思われる)を勧められ購入。プレイ後ものすごい表情になった。
    • その後、佐藤が作成した紙ベースの海戦ゲームに2人で熱中していた。

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SLG ユース NAVY BLUE
最終更新:2023年11月11日 15:00

*1 巡洋艦はレベル9(ステージ65)から参戦するが、その時点ではアイテムがない。