えどたん
【えどたん】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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iOS 9.0 Android
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発売・開発元
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CAPCOM
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配信日
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2011年4月1日(iOS)
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定価
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610円(3話〜5話一括セット)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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4+(IOS)・7歳以上(Android)
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備考
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携帯アプリの移植作
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判定
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良作
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ポイント
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逆転裁判の探偵パート重視版
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概要
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元々は携帯アプリ・フィーチャーフォン(ガラケー)向けにカプコンから配信されたアドベンチャーゲーム。
本作はスマートフォン向けに移植・配信されたものであり、本項もスマートフォン移植版に準じた内容で記述する。
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2話までは無料プレイ可能であり、3話以降は610円の買い切りで販売されている。(各話個別購入不可)
3話以降は前後編に分かれており、前編をクリアすれば後編から始めることも出来る。
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基本システムがほぼそのまま『逆転裁判シリーズ』だが、内容はえどたん独自の世界観を表現している安易な二番煎じではない。
ストーリー
大江戸八百八町を舞台に、現代人の奇妙な探偵生活が幕を開ける……!
230年前の江戸にタイムスリップした高校生「天道未来」が、現代の知識を生かしながらご先祖様の同心「天道今一」を始めとする仲間達と共に、お江戸で起こる様々な難事件に挑む!
果たして未来は事件の謎を解き明かすことが出来るのか!?
(公式サイトより一部引用)
登場人物
※えどたん未経験者向け及び膨大にならぬよう必要最小限の登場人物を記述する。
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天道未来
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本作の主人公。探偵に憧れる推理小説が好きな高校生。
鑑識官の父親の仕事道具と証拠品を持参し、お使いの途中雨宿りしていた時に雷に打たれ、江戸時代へタイムスリップしてしまう。
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素人ながらも推理小説の知識を活用して、身の潔白や密室トリックを解決する等、頭脳と行動力を併せ持つ。
他にも閃きや現代での知識・常識を活用して提案・実行することで困難な事件に対し様々な解決に導く。
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天道今一
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天道家ご先祖様。職業は他界された父親と同じ江戸の南町奉行所の定町廻り同心の跡継ぎ。
顔は未来と瓜二つ。性格・腕っぷし・頭の回転は未来と真逆だが江戸の治安と、ある義賊に情熱を燃やす正義感の強い江戸っ子。
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天道家と同心の誇りを何より重んじており、『お上の威厳』が傷付かぬよう日々奮闘している。先代と併せて通称『問い詰めの天道』。
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おとき
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メインヒロイン。絵草子の影響で岡っ引きに憧れる自称・水茶屋の看板娘。
とある事件に偶然遭遇した未来と出会い、同じく事件解決のため一緒に捜査をしてくれる。
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見た目に反し、男どもをとっちめるかなりの腕っぷしな上、薙刀の腕前も一級品。また、彼女にはもう一つの顔が…?
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おかこ
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今一の母親。八丁堀にある天道家の自宅を守る。手料理と着物に関する目利きは超一流。
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未来の着替え(変装)は彼女の助けが必須。本作中の未来は最後まで彼女に頼ることになる。
余談だが年齢に合わず若々しいのは、没案で今一の奥さんだった頃の名残。
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システム
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逆転裁判経験者なら一言で説明出来る『
逆転裁判の探偵パート
』ほぼそのまま。
「移動する」「話す」「調べる」「見せる(つきつける)」から選択し、相手の反応や状況に応じてストーリーを進め、選択肢を間違えるとお上の威厳(ゲージ)を失うペナルティがある。
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逆転裁判と画面構成は異なり、登場人物が2人ずつ並んで対面しながら会話をする。『逆転検事』に近い。
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システムは『2』以降を踏襲しており、一部状況ではサイコロックのように適した回答を行うとお上の威厳が回復する。
変装システム(着替え)/うわさ話・問い詰める
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えどたん特有の逆転裁判には無い独自システム。
主人公の未来が、同心である今一の姿に変装することで、町民では調べられない場所に潜入したり、お上の威厳を活用して相手の秘密を暴くことができる。
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お上の前では話せない・警戒する相手は「うわさ話」によって変装時では調べられない話を聞いて手掛かりを得る(逆も然り)
これらの状況に応じて変装を活用し、調査を進めていく。
江戸豆知識
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中間パートでは江戸時代の文化・常識・歴史などを解説してくれる。えどたん世界での状況も踏まえて解説してくれるため分かりやすい。
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江戸時代の金銭感覚、価値観、時刻や閏年等、現在と異なる常識を自然な形で説明してくれる。
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その他、メモした情報を頼りに人材の適材配置を行う等のちょっとしたミニゲームもある。
評価点
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誰でも楽しめる簡単操作と江戸時代を活用した没頭感溢れる面白いストーリー
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主人公の未来は、現代での技術や知識を活用して江戸の難事件を解決しようとするが、現代の常識や環境設備だからこそ成り立つ物が活用出来ず不甲斐なさを痛感する。
同心:今一を始めとする人々の常識や経験を学ぶことで、江戸時代ならではの手段を用いて未来の知識・経験が活用されて解決する。
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また未来以外にもタイムスリップした人物がいたり、黒幕の犯行動機に関わってきたりとタイムスリップ要素も無理なくストーリーに落とし込まれている。
唐突な設定も無く、然りげ無い形で伏線が用意されていたり、非常に細かい。
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未来の人柄や行動力に評価されて協力者が多く付いたり、物語で取り戻した父親の仕事道具によって迷宮入り寸前の事件の証拠を発見する等、物語と共に成長している。
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全てのストーリーが繋がってる完成度の高いシナリオ
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1話完結式であるものの、どのエピソードでも後々の展開に繋がる伏線が用意されており、ほぼ全て回収されている。
(続編が配信されていたものの)元々単発作なのもあり、残された謎や未回収伏線も大きな矛盾が生じるほど残されてない。
一度クリアしてから最初からプレイすると、当初は気付かなかった状況も理解出来るため、やりごたえがある。
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そのエピソードでは未登場人物も未来の活躍から助言する人もいれば、対策を施す犯人等、劇中の活躍が後々に反映されている。
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次の進め方が分かりやすい親切なヒント
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次の進め方が分からなくなった際、会話相手のいない場所で「はなす」を選ぶと次へ進めるヒントを喋ってくれる。
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世界観にマッチした良曲揃いのBGM
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江戸時代の世界観にマッチした和をベースにしたBGMがどの場面も違和感なく溶け込んでいる。
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とある歌舞伎の登場人物に関しては啖呵を切った後に掛け声が入る拘りよう。
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通常セーブの他にオートセーブ機能が搭載されている。
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このおかげで途中でアプリ落ちしても即座に再開可能。一度再開するとデータは消えるが、基本的に会話する度にオートセーブされるので再開が苦にならない。
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しかしこのオートセーブが原因でとある問題点も生み出している。
賛否両論点
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名前があまり特徴的ではない
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一部人物は分かりやすい名前だが、基本的に一般的な無難な名前が多いため、逆転裁判と違い、名前の印象はあまり無い。
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女性キャラは「お◯◯」でほぼ統一されているので覚えやすいが、男性陣は一般的な名前ばかりでやや印象に残りづらい。
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ややご都合主義な展開がある
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基本的に証拠を揃え、犯人を追い詰める展開を迎えるが、あと一歩というところで証拠を出せない展開がある。
その際、「そう言えばこんなものを手に入れた~」的なセリフの後に証拠品が突如現れ、それがトドメとなる展開もある。
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入手経緯の説明はあるものの、入手描写も未来に説明した場面も一切無かったため、ご都合主義感が拭えない。
問題点
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下手人(犯人)候補が非常に少なく、真犯人探しの醍醐味が無い。
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犯人も大半が人相が悪く悪役だと分かりやすい。1話に至っては
名前からしてロクデナシな人間である。
最終話前半に至っては、そもそも犯行可能な容疑者が(濡れ衣の被告人除いて)消去法で一人しかいない。
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シナリオの分岐もなく、間違えた選択肢を選んでも逆転裁判同様ゲージが減るだけで、失敗パターンへ分岐するという事もない。
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また、間違えた時のセリフも真っ当な会話内容であるため、逆転裁判のようにワザと間違えてリアクションを楽しむといったプレイングは期待に応えられない。
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ゲームオーバー確定時もオートセーブされてしまう。
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ゲームオーバー後に再開しても再び同じ結果になる上に、オートセーブも消えるので蛇足でしかない。
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着替えが面倒。
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前述のとおり町民と同心の格好を必要に応じて切り替えて進めていくのだが、着替える度に天道家にいちいち戻る必要がある。
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大衆浴場での情報収集時にはどちらの格好をしているのかで入れる湯が違うため、いちいち着替えて入る必要があり非常に面倒。
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2話の不親切な謎解きに関して
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とある密室トリックを解明するために、ある証拠品を用いて証明する場面がある。
だが、その証拠品がプレイヤーが想像する大きさと異なるため、指摘したい部分と違う判定になって間違えやすい。
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証拠品は画像表示されるが、大きさに関しては表現されておらず、想像と異なる解説図が出て困惑したプレイヤーもいたはず。
間違えたら当然、ゲージ(お上の威厳)が減るペナルティがある。
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一応、密室に使われた場所は「非常に重いかんぬき」があると説明はされている。
総評
逆転裁判の二番煎じと思いきや全くそんなことは無く、えどたん特有の世界観から楽しくのめり込めるシンプルかつ奥深い良作アドベンチャー。
システムが単調な分、誰でも分かりやすく簡単に楽しめるため、ゲーム初心者にもオススメ出来る入門作。
逆転裁判シリーズファンでも本家に負けず劣らずのストーリー性や魅力的なキャラクター達がいるため、一度手に取ることをオススメしたい。
余談
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続編の「続えどたん」やミニゲームの『こいこい!えどたん花札』、『えどたん五目ならべ』、『えどたん大富豪』が配信されていたが、いずれもスマートフォン未対応。
最終更新:2024年12月27日 16:29