GUILTY GEAR -STRIVE-

【ぎるてぃぎあ すとらいゔ】

ジャンル 対戦格闘

対応機種 プレイステーション5
プレイステーション4
Windows(Steam/Microsoft Store)
アーケード(ALL.Net P-ras MULTI Ver.3)
Xbox Series X/S
Xbox One
プレイ人数 1~2人
販売・開発元 アークシステムワークス
発売日 【PS5/PS4/Win(Steam)】2021年6月11日
【AC】2021年7月29日
【XSX/One/Win(MS Store)】2023年3月7日
定価 パッケージ版
8,580円(税込)
ダウンロード版
8,580円(税込) → 3,990円(税込)*1
レーティング CERO:C(15才以上対象)*2
判定 良作
ポイント 『ギルティギア』シリーズ完結編
「ギルティギアらしさ」を残しながら刷新
2.5Dグラフィックは着実に改良強化
刷新したゲーム内容には馴染みやすい
火力バランスは良くも悪くも大味
GUILTY GEARシリーズ


概要

GUILTY GEAR Xrd』に続くシリーズ作品。
ストーリー的にも前作『Xrd』の続きであり、副題で本作の通称である「STRIVE」は、ナンバリングである「IV(4)」が含まれているのが由来の1つ*3
本作は第1作からの主人公であるソル・バッドガイと、黒幕であるギアメーカー "あの男" を巡る物語が終結する、シリーズの完結編となっている。
『Xrd』シリーズと同じく2.5Dグラフィックを採用しているが、ゲームシステムやグラフィックの一新が行われている。

当初は2020年発売予定だったが、数度の発売延期を経て2021年6月に発売となった。

運営型ゲームとしてシーズン制が採用されており、シーズン2でクロスプレイ機能の実装、シーズン3で対戦中の新システムや新技の追加が行われている他、その都度ゲームバランスなども大きく変更されている。


ゲームシステム

  • 基本的なルールは一般的な対戦型格闘ゲームと同じ。
  • ウォールブレイク
    • 本作からの新システム。画面端を背負わせた状態で相手に攻撃もしくはコンボを与え続けると相手が壁張り付き状態になり、この状態でさらにもう一撃当てることで画面端から相手がステージ内の別エリアへ吹き飛ばされ、ラウンド開始時と同じ位置関係にリセットされる。
      • 基本的にお互い五分の状態で仕切り直しとなるが、覚醒必殺技で発生させた場合は相手がダウン状態となり、ウォールブレイクした側が先に動ける。
    • 本シリーズと言えば「長いコンボで相手を攻撃し続ける」「ダウンした相手を一方的に固めて崩した上で再び同じ有利な状況で攻め続ける」という光景が定番となっていたが、ウォールブレイクはそうした状況に一石を投じるシステムだと言える。
    • ウォールブレイクすると補正を無視した追加ダメージが入る(このダメージでKOも可能)上、「ポジティブボーナス」という一定時間テンションゲージ*4が自動上昇する状態になるため、決めた側がかなり状況有利になると言って差し支えない。
      • ちなみに、後述の溜めダストアタックヒット時もウォールブレイク時と同じ状況になる。当初はこの場合ポジティブボーナスは発動しなかったが、シーズン3で同様にポジティブボーナスが発動させることができるようになった。
  • 既存システムの仕様変更
    • パンチ・キック・スラッシュ・ヘヴィスラッシュ・ダストアタックという基本5ボタン構成をはじめとして、本作でもシリーズの定番となっていたシステムは同様に導入されているが、その内容には大きな変更が行われているものが多い。
+ 定番システム・変更内容の概要
  • ガトリングコンビネーション・ジャンプキャンセル
    • 異なるボタンを連続で押していくことで通常技によるコンボが可能なシステム。
    • 従来ではP → K → S → HS → Dという基本の流れを下地に全キャラクターとも細かいルートが異なっていたが、本作では全キャラクターでキャンセルルートが統一された上にルート自体が従来に比べてごく限られた内容になり、ジャンプキャンセル可能技も一部の例外を除いて全キャラ共通になった。
    • 旧来からの大きな変更点で例を挙げると「足払いのあるD系統の技へ派生できるのはK系統の技のみ」「P・K系統からS・HS系統の技には派生できない」「S・HS系統の技からレバー入れの特殊技には派生できない」などの共通法則がある。
      • これらの変更は簡易化に加えて技の役割を特化させるためという側面もある。従来は発生の早いP系から確定ダウンの取れる足払いに繋がるため、低いリスクに比べてリターンが高くなっている傾向があった。
    • 旧来からの大きな変更点として「S系統はガトリングによる別の通常技や必殺技へのキャンセル受付猶予が長い」という特徴がある。これにより相手の反撃に対してカウンターヒットが取りやすくなり、単純なコンビネーションも攻めとして機能するようになった。
    • 空中通常技のガトリングコンビネーション・ジャンプキャンセルについては当初のバージョンでは大きなキャラクター差が存在していたが、後に全キャラ統一する形に変更されている*5
  • ガード関係
    • 前作までは空中にいる時に大半の地上にいる相手の技をガードするにはテンションゲージを消費する強化ガードのフォルトレスディフェンスを行う必要があったが、本作では全ての投げ以外の技がフォルトレスディフェンスせずとも空中ガード可能である。
    • この仕様により「空中にいるほうが有利」となるのを防ぐため、二段ジャンプや空中ダッシュ、空中攻撃を出した後は着地硬直が発生し、安易な空中行動に対しては着地に合わせて攻撃を出すのが対策となる。
      • また、空中ガードも打撃技を空中ガードした場合空中での再行動が不可であり、またリスクゲージ*6が非常に溜まりやすい。
    • 相手の攻撃を当たる直前にガードすることで発動する「直前ガード」には大きな変更が入り、猶予が2Fと非常にシビアに。「ガード硬直が減る」という効果も無くなり、「成功時にノックバックが大きく軽減される」ようになった。
      • 相手との距離が離れにくくなるため、硬直が大きいが相手との距離を離しやすい反撃困難な技に対して成功させれば反撃が可能になるというのが上級者のやりこみ要素になっている。
      • ただし、フォルトレスディフェンス中に直前ガードを成功させると、フォルトレスディフェンスの効果を強化させるように逆に相手を強く引き離すようになった。
    • フォルトレスディフェンスを行うにはガード操作とともにボタン2つ同時押しを行う必要があるが、技が暴発してしまう問題が指摘されており、この解決のためにアップデートでフォルトレスディフェンス専用のボタンが追加されている。
  • ダッシュ(ダッシュボタン)
    • 本作ではボタンコンフィグ設定で「ダッシュボタン」という、通常前か後ろに2回入れる必要がある操作をダッシュボタン1つで可能にする設定が用意されている*7
    • 方向キーを2回同じ方向に入れるのは簡単ながら地味に操作ミスの多い操作であり、また低空ダッシュなどは方向キー操作が忙しく難しかったが、このダッシュボタンにより操作性が改善されている。
      • なお、ボタンによるダッシュ操作は過去の格闘ゲームでも多数見られたものであるが、攻撃ボタンの同時押しを行ったりシステムとして組み込まれているものが多く、攻撃ボタンではないダッシュ専用のボタンを用意したのが本作の独自性である。
    • 空中前ダッシュは発動時に一時的に停滞してから前方に加速するようになった。これにより、初動モーションは見切りやすいがそこを逃すと逆に落としにくくなった。
    • ジャンプキャンセルが可能な通常技は地上・空中問わずダッシュでもキャンセルが可能である*8。地上ダッシュキャンセルで出るダッシュは通常のダッシュと異なり硬直が長く、使いこなすにはテクニックが必要。一部のキャラにはダッシュキャンセルのみ可能な必殺技なども存在する。
  • ダウン・空中コンボの仕様
    • 空中に浮かせる技については接地した際に受け身を取ってすぐに動ける技と、地面に倒れて起き上がるまでに時間がかかる技の2種類に分かれるようになった。
    • また、本作ではボタンによる空中受身が存在しない。その代わりに全体的に技による浮力が弱くなっており、1回のコンボに同じ技を使うと浮きが低くなる補正も入っていることから、全体的に空中コンボは繋がりにくくなった。
  • カウンターヒット
    • 本作ではカウンターヒット時に大きめのヒットストップが発生し、食らった側のあらゆる動作が一瞬遅くなるという仕様があり、これによってカウンターヒット時限定コンボが存在し、成立の確認もしやすくなっているなった。
    • HS系などの攻撃をカウンターヒットさせた瞬間、背景全体に「COUNTER!!」の文字がデカデカと表示される演出はなかなかの迫力であり、ネタにもされている。
  • ダストアタック・投げ
    • Dボタンで発動するしゃがみガード不能な打撃攻撃。
    • 本作では溜めが可能で、「発生が早くガード困難だが、当てても追撃不可な上にガードされると反撃必至」通常ダスト、「発生は遅くガードされやすいが、当てた時に相手を上空に吹き飛ばして追いかけて専用の追撃可能なモードに入る」溜めダストの使い分けができるようになった。
    • 通常投げは「距離を問わずレバーを前後に入れながらDボタン」で発動する。従来は相手が投げ間合いにいない場合は通常技が出る旧来の格闘ゲームに見られた仕様だったが、本作は近年の格闘ゲームと同様に「投げ失敗モーション」が用意され、投げの狙いを外した場合は明確な隙を晒すことになる。
  • ロマンキャンセル
    • ボタン3つ同時押しでテンションゲージを50%消費することであらゆるモーションをキャンセルして発動でき、自身を硬直が解けた再行動な状態に戻すシリーズ伝統の特殊動作。
      本作では 技を当てた瞬間に発動した時の赤色 技の動作中に発動した時の紫色 技を出す前・出していない時に発動した時の青色 に加え、 ガード中に発動したときの黄色 という4種類になった。
    • 発動時に周囲に波動を発する演出があるが、これに判定があり、判定に触れた相手は一定時間動作が遅くなるという効果が加わる。先程の色によって波動の効果が異なる。
      • 赤色は相手を吹き飛ばした上でスロー効果を発生させる攻撃判定、ガードさせると長い有利時間
      • 黄色は相手を軽く怯ませた上でスロー効果を発生させる攻撃判定、ガードされると大きな隙
      • 紫色は相手の動作を中断させることなくスロー効果を付与
      • 青色は紫色と同仕様だが、紫色よりもスロー効果の時間が長い
    • この他、ロマンキャンセル時に上下左右に移動しながら発動できる(通称:スライドロマンキャンセル)、ロマンキャンセルの波動を出すこと自体を他の技を出すことでキャンセルできる(通称:ロマンキャンセルキャンセル)などの仕様が用意されている。
    • 黄色ロマンキャンセルは前作までの「デッドアングルアタック」というガードキャンセル攻撃に替わるシステムで、「ガードをロマンキャンセルする」だけなので全キャラで性能が統一・空中ガード中でも使えるようになった。
    • Ver1.18で黄色以外のロマンキャンセル時のゲージ消費が瞬時ではなく、僅かな時間をかけて減少するようになった。これはロマンキャンセルキャンセルによって中断され、ゲージ消費を軽減することができる。
      • ただし黄色ロマンキャンセルのみ、覚醒必殺技と同様に瞬間的に消費する仕様のままとなっている。
  • サイクバースト
    • 食らい状態でも発動可能な、相手を吹き飛ばして相手のコンボや攻めを中断できる緊急回避システム。試合開始時からバーストは使用可能だが、一度使用するとその後バーストゲージが溜まるまで使用できない。
      • バーストゲージは時間経過と被ダメージのみで能動的に溜めることができず、概ね1試合に1~2回と使用回数に限りがある。バーストは相手の攻撃を受けている時に発動できる青色バーストと、そうでない時に発動でき当てるとテンションゲージにボーナスが与えられる金色バーストがある。
    • バーストゲージがシンプルな長方形型のゲージになり、満タン時に「BURST MAX」のアナウンス音声が流れるようになったことで、バーストの溜まり具合や使用可能かがわかりやすくなった。
    • シーズン2までは過去作と同様だが、「投げ無敵のみが無い」という隠れた仕様が無くなり、代わりに金色サイクバーストでも着地時に反撃可能な硬直が発生するようになった。
    • シーズン3からは性能が大幅に変更され、どの状況でも全バーストゲージを消費・バーストゲージの回復もしないようになり、青色バーストは攻撃判定が全画面に拡大、金色バーストは防がれても反撃を受けない代わりにヒットさせてもテンションゲージが増えずにポジティブボーナスが発動するようになった。
  • 一撃必殺技
    • 初代からのアーク格ゲーの伝統システムであったが、本作ではとうとう完全に廃止されている。
  • ワイルドアサルト・ディフレクトシールド
    • シーズン3からの追加システム。バーストゲージを50%消費して発動できるアクション。
      ワイルドアサルトは前進しながら攻撃するアクション。性能は三種類あり、キャラクターごとに持っている性能が異なる。多くのキャラのワイルドアサルトは必殺技同様通常技からキャンセル可能で、ワイルドアサルトから別の通常技・必殺技にキャンセルできるため、連続技や攻めを継続するのに使える。
      ディフレクトシールドは全ての属性の打撃技をガードしつつ相手の攻撃が当たると相手を弾き飛ばすガードの超強化版と言えるアクション。

キャラクター

太字のキャラクター15名は家庭用版発売直後から使用可能で、製品版のみの購入で使用できるキャラクター。
それ以外のキャラクターは発売後に追加されたキャラで、DLCとして販売されている。個別に購入する他、各シーズンパスを購入すればそのシーズンの全キャラクターを使用できるようになる。

初代『GG』から登場しているキャラクター ソル・バッドガイ、カイ・キスク、メイ、アクセル・ロウ、チップ・ザナフ、ポチョムキン、ミリア・レイジ、ザトー=ONE、 テスタメント(S1)、梅喧(S1)
GGX』から登場しているキャラクター ファウスト、御津闇慈 、ジョニー(S3)
GGXX』から登場しているキャラクター イノ 、ブリジット(S2)、A.B.A(S3)
GGXrdS』から登場しているキャラクター ラムレザル・ヴァレンタイン、レオ・ホワイトファング 、シン・キスク(S2)、ベッドマン?(S2)、エルフェルト・ヴァレンタイン(S3)
GGXrdR』から登場しているキャラクター ジャック・オー(S1)
本作からの新キャラクター 名残雪、ジオヴァーナ 、ゴールドルイス・ディキンソン(S1)、ハッピーケイオス(S1)、飛鳥=R♯(飛鳥=R=クロイツ)(S2)
+ 本作からの新キャラクターについて解説
  • 名残雪(なごりゆき)
    • 侍をモチーフとした黒人の吸血鬼。本来は争いを好まない性格をしているが、ハッピーケイオスに無理やり操られる形でストーリーに関わることになる。
    • アーケードモードはストーリーモードの後に各キャラクターが個人の理由で名残雪に会いに行く話となっており、勝負を通して彼を諭すキャラや純粋に友達になりに来たキャラもいれば、散歩ルートにいたからついでに倒すというトンデモな理由で戦うキャラもいる。
    • 機動力はとても低いものの、攻撃のリーチは長く火力も非常に高い。各必殺技は機動力の低さをカバーする性能だが、特定の攻撃をヒット・ガードさせたり、必殺技を使っていくと彼固有の「ブラッドゲージ」が蓄積される。
      • ブラッドゲージが溜まると通常技が強化される効果もあるが、満タンになるとブラッドレイジという特殊な状況が強制的に発動し、攻撃の威力やリーチがさらに上がる。
      • その反面、発動時には大きな隙が生まれる上に使える技にも大幅な制限が掛かり、さらに体力が急激に自動減少。一切攻撃を受けなくても、ブラッドレイジから復帰するまでに文字通り 半減する 。基本的にブラッドレイジ状態は名残雪にとって甚大なペナルティとなる。
      • 「ブラッドゲージ」は特定の行動・移動必殺技のコストとして消費されることもあるため、ゲージ管理の立ち回りが重要なキャラクターとなっている。
  • ジオヴァーナ
    • 礼儀正しいようで慇懃無礼な特別警護官の女性。常にやる気の無いような態度だが実力は高く、特別警護官の仕事にも彼女なりのプライドを持っている。自らに霊体の狼「レイ」を憑依させることで人間離れした力やスピードを発揮する。
    • 足技メインの格闘技を主力としたインファイター。いわゆる「ステップ」タイプのダッシュを持っているのが大きな特徴であり、相手との距離を素早く詰める立ち回りが可能。
    • リーチが短めという弱点もあるが、地上戦でのラッシュ力は全キャラでも随一で、シンプルかつ安定した強みを持つ。上位キャラに数えられることも多い。
  • ゴールドルイス・ディキンソン
    • アメリカ合衆国の現役軍人兼国防長官を務める巨漢の男性。UMAは大好きだが幽霊や宇宙人は信じていないという謎のこだわりを持っている。なお、彼が勝利すると対戦相手が宇宙人にキャトられる(専用台詞付き)。
    • 棺桶を武器にして戦う豪快なパワーファイター。「ダッシュはできるが、2段ジャンプができない」機動力となっており*9、通常技も必殺技も非常に癖が強い。
      • 特に必殺技の「ベヒモスタイフーン」は入力した方向キーの起動そのままに棺桶を振り回す性質を持ち、コマンド入力を開始する位置で性能が変化するという格ゲー全体から見ても類を見ない技となっている。
  • ハッピーケイオス
    • ストーリーモードでメインヴィランとなる謎の男。飄々として人を小馬鹿にしているような態度をとる一方で、すべてを見通しているかのような達観した価値観を持っており、総じて真意が掴めないトリックスター。
    • 『GG』では2人目となる拳銃使いキャラ。長距離から強力な射撃攻撃が可能であり、他の行動の最中でも銃撃に移行できる一方、「集中力ゲージ」と「残弾数」の2つのゲージ管理が必要となる上級者向けのテクニカルキャラ。だったのだが…。
  • ベッドマン?*10
    • 完全な本作からの新キャラとは言い難いがこちらに記載。『Xrd』に登場したベッドマンの後継キャラで、ベッドマンが寝ていたベッドフレーム。生前の彼の妹であるディライラが付き添っており、彼女を護るように自立して動いている。
    • 必殺技を出すと時間差でその必殺技に応じた追加攻撃が発生する特性「error 6E」を持つ。ちなみにディライラは非戦闘のNPC扱いであり、攻撃はもちろん行動も操作できず、バトルに全く干渉しない。
  • 飛鳥=R♯*11
    • ソルの研究仲間にして生体兵器ギアの生みの親でもある「あの男」…が作った分身体。見た目や能力は本人と同一だが性格は本人より少々感情的。
    • 飛鳥本人は本編のストーリーで合衆国に自ら投降しており、彼の真意を確かめ全てに決着を付けるためにソルは本編で絡むことになる。
    • 多数の専用ゲージとデッキ変更により26種類もの魔法を使い分ける超絶テクニカルキャラ。まるで格闘ゲームでカードゲームを行うかのような操作と戦略を求められ、慣れないうちは操作を理解するだけでも一苦労するが、極めればまるで別のゲームのような光景で相手を翻弄することも可能。

ゲーム内容

  • ネットワークモード
    • オンライン対戦の主戦場にして、いわゆるランクマッチに相当するのが「タワー(ランクロビー)」と呼ばれるロビーである。
    • タワーには1~10の階層が存在し、同じような腕前のプレイヤーが同じ階層に集まって対戦するという名目である。
    • 適正階層は対戦結果によって変動し、自分の適正階層より下の階層には入室できないという初心者狩りを防ぐシステムが用意されている。
    • エンドコンテンツとして、10階で好成績を残すと天上階という専用ロビーに入れるようになり、さらにこの天上階で6戦中5戦勝利すればその月間は天上階に常に入れる権利を有することができる。
    • 対戦で増減するポイントの類は用意されておらず、月間の勝利数*12および、キャラクターごとの累計の試合数+勝利数に比例するレベルが本作におけるやり込みを示す数値になっている。
    • 階層やマッチング制限がない「パーク」というカジュアルマッチロビーも用意されており、プレイヤー個人でロビーを立てることも可能。
  • ストーリーモード
    • 前作同様ゲーム部分一切なしの映像を観覧できる内容。前作と比較して、本作はアドベンチャーゲーム的なダイアログボックスも廃止されており(会話は字幕で表示)、映像作品という趣がさらに強くなった。
    • シーズンパス1購入者限定でアナザーストーリーという追加コンテンツも用意されている。こちらは本編ストーリーに登場しなかったキャラクターも出演する。
  • オフラインモード
    • いわゆるアーケードモードや対戦、トレーニングモード、ゲームシステムやキャラクター性能を理解するためのミッションモードなどが用意されている。
    • アーケードモードには対戦結果によって難易度が変動するシステムがあり、最高難易度のRoute EXTREMEになると最終戦の相手は性能が大きく強化された名残雪(通称:ボス名残雪)となる*13
  • コンボメーカー
    • 発売当初は実装されず、追加コンテンツとして配信された。トレーニングモードの要領でコンボや連携を記録してオンライン上に投稿することで、他のプレイヤーがゲーム内で閲覧したり、ミッションのように自分で練習したりできる。
  • デジタルフィギュア
    • 発売当初は実装されず、追加コンテンツとして配信された。『Xrd REVELATOR』と同じ、キャラクターのモデルや背景グラフィックを配置してジオラマ的な遊び方ができるモード。

評価点

  • シリーズらしさを残しつつプレイフィールを一新し新規プレイヤーにも遊びやすくなったゲームシステム
    • キャラクターもシリーズ皆勤のメンバーが多く、実際ウォールブレイク以外に特に新たなシステムは無いのだが、その中身は徹底した換骨奪胎が行われており、プレイ感覚は旧『XX』および『Xrd』シリーズとは全く異なっている。
      • 例えば、前作までのシリーズはゲームバランス的にも高い完成度を誇る反面、複雑過ぎて新規参入を阻んでいる側面も大いにあったが、そういった複雑な要素をある程度簡略化。新たなプレイヤー層を開拓することに成功している。
      • その一方、完全なる一新ではなく旧来からの要素も多く残しつつの刷新により、システムを駆使したスピーディな攻防という旧来のエッセンスも健在。
      • シリーズの独自システムであるロマンキャンセルは、簡単な操作で使える直観性を残しながらも過去のシリーズと比較しても最大級の応用性を有しており、奥深さも過去シリーズ一と言える。
    • システム・キャラともに基本は従来と同じながら、リフレッシュした感覚で楽しめるゲームデザインは見事である。
  • 新システムの「ウォールブレイク」は、格闘ゲームの常識である「画面端まで追い詰める」ことの優位性・報酬をわかりやすくしたもので、爽快感や遊びやすさに貢献している。
    • 基本的に1回のコンボで、キャラによっては画面中央からのコンボでウォールブレイクまで持っていける調整になっているが、従来のように「小技から空中コンボに移行して容易く画面端へ運搬」というわけにはいかず、アドリブによる連続技の繋ぎも要求される。コアプレイヤー向けのやり込みポイント・遊び応えももたらしている。
    • また、当システムの導入により「画面端でコンボを決めた後ダウンを奪って起き攻め」という起き攻めのループがほぼ撤廃され、「起き攻めゲー」とも揶揄された当シリーズの難点が上手く解消されている。
      • 一応、「ウォールブレイクを発生させないよう相手をダウンさせて起き攻めを選ぶ」といった選択も出来なくはない。しかし壁を割った時に発生する「ポジティブボーナス」が非常に強力であること、コンボを途中でやめた所で壁ダメージは一定時間残っている(=次の起き攻めで何か攻撃がヒットすればすぐ割れる)ことなどから、あえてそういう立ち回りを選択する状況は限られるようになった。
    • 「画面端で相手に当てると必ずウォールブレイクが起こる」という技も用意され、特にゲージを消費する覚醒必殺技は多くがこれに該当する。
      • このため、従来のシリーズでは「ゲージはロマンキャンセルに使った方が良いので実質的に死に技となりやすい」という傾向のあった覚醒必殺技が、とても活用させやすくなった。
    • 派手な吹き飛び演出、美味しい追加ダメージにより大火力もあって爽快感も強く、シンプルながら今作の大きな長所と言えるシステムである。
  • 豪快で爽快感があるワイルドなダメージ調整
    • 全体的に攻撃力が高めに設定されており、それに伴ってコンボは短め・ダメージは(一部キャラを除いて)非常に高いという傾向にある。リスクゲージの溜まり次第では、「いい始動が当たれば即死級のダメージ」も日常茶飯事である。
      • そのため、単純なコンボでごっそり体力を奪う爽快感はもちろんのこと、体力差が開いても逆転の余地は非常に大きく、最後まで互いに気が抜けない緊張感が味わえるほか、絶望的な状況をひっくり返す楽しさにも貢献している。
    • いわゆるコンボゲーと言われるアークシステムワークス製の作品は、コンボが繋がりやすい反面一発一発も減りにくく、「非常に長いコンボレシピを覚えて繊細な操作をしなければならない」というハードルの高さも伴っていたが…。
      • 本作の調整はそうした傾向に一石を投じており、コンボの苦手なプレイヤーでも一矢報いやすくもなっている。
    • 後の全体調整でダメージを抑えるような調整が行われている*14が、リスクゲージの存在もあって連続技で豪快なダメージを出せる方向性は保たれている。
    • なお、こうした調整もあって一試合のプレイ時間は従来の作品と比べて短くなりやすい。
      • そのあたりの判断もあってか、AC版は100円2本先取ではなく3本先取がデフォルト設定となっており、大会も異例の3試合先取*15で行われる場合が多い。
  • ロールバック/クロスプレイを採用した快適なネットワーク対戦
    • 近年の格闘ゲームのトレンドに乗じて、ディレイ式ではなくロールバック式のネットコードを採用。インターネットの通信時間起因による操作遅延を感じず、快適に対戦できる。
    • また、シーズン2実装時に異なるハード間で対戦できるクロスプレイを実装。実質的な対戦人口が増加している。
  • グラフィック
    • 『Xrd』で衝撃を与えた2.5Dグラフィックは、キャラクターはより細やかで自然なアニメーションをしたり、カメラが移動したりズームイン/アウトを行ってもシームレスに絵が続き、乱れる事もないように調整されているなどより洗練されている。
    • ステージ背景も新システムのウォールブレイクに応じて1ステージにつき3箇所分のロケーションが用意されている。
    • 本作では過去の同様のグラフィックを用いた格闘ゲームに必ず導入されていた「大技使用時の長尺ムービー演出」が用いられておらず、この点は賛否両論ある所だが、試合展開の速い調整とも合わさってテンポの良さに繋がっているのは評価点と言える。
  • 全キャラ分ボーカル付きの対戦中BGM
    • 従来同様、本シリーズの企画者である石渡太輔氏が全キャラ分のテーマ曲を作曲しており、新たな試みとしてゲーム中に流れるキャラのテーマ曲はすべて、橋本直樹(OUTRAGE)氏をはじめとした歌手によるヴォーカル付きとなった。
    • 歌詞はキャラクターをイメージした内容で、各キャラの解像度を高め、その魅力を引き立てている。
    • 本作のメインテーマ曲「Smell of the Game」は、発売前の初期のPVで多用されながらもファンの間ではなお聞き飽きの来ない珠玉の一曲として評価されている。
  • ストーリーモード
    • アニメ映画にも匹敵する映像や演出のクオリティもさることながら、初期から語られてきた因縁やキャラクターや物語がきちんと本作で完結するのはシリーズのファンにとっては感慨深い。
    • ストーリーの設定資料集を閲覧できるモードやイラスト・BGMを視聴できるギャラリーモード、DLCで追加された『Xrd』シリーズと同様のデジタルフィギュアなど、過去作品と同様観る楽しみもサポートされている。
  • コンボメーカー
    • 従来と比べてミッションモードのコンボチャレンジについてはボリュームダウンしており、過去作品においても実戦的でないコンボを練習させる内容が目立っていた。
    • だが、このモードの導入でプレイヤーから課題を募ることにより実戦的なものも含めてゲーム内で閲覧・練習が可能になるなど問題点を一挙に解決している。
    • トレーニングモードに関しても、『Xrd』シリーズ以降に導入されたガード後・ダウン後などの特定状況からの記録の自動再生機能も実装されており、手抜かりはない。

賛否両論点

  • 従来以上に強調されている攻めの優位
    • 「起き攻め優位」と言える従来の『GG』シリーズのバランスこそ緩和されたが、「防御システムの弱体化」及び「打撃にも投げにも無敵となるような完全無敵技が減少した」こともあり、攻めている側の優位性はむしろ従来以上に大きくなっている。
      • 攻められ続けても一度はウォールブレイクで逃げられる可能性のあるゲームシステムだが、ガードすることで溜まる「リスクゲージ」の溜まり具合によっては、むしろウォールブレイクがダメ押しとなり1コンボが致命傷となる可能性も十分にある。
    • 他にも、「直前ガードでガード硬直の軽減ができなくなった」「ガード硬直後の投げ無敵フレームの減少」「バックステップの無敵時間の減少」「ジャンプ移行フレームの増加」「投げの発生が遅くなった」「発生の早い小技のリターンが全体的に大幅に減少している」など、従来作と比較して防御面にも不利が生じるようなフレーム鈍化の調整が行われている。
      • 上級者でなければ使いこなせない直前ガードなどはともかく、「密接距離で投げを擦る行動が非常に強い」という前作以前のセオリーが通じにくくなった部分などは影響が大きいだろう。
      • ガードキャンセルで出せる黄色ロマンキャンセルも、成功させても距離を離す・相手をダウンさせる効果がなく、若干有利フレームが得られるだけ。要するに「近距離での仕切り直し」に留まる点は好みが分かれるところ。
    • また、「小技からのリターンが取りにくい」という点については、攻め優位を抑制する調整としても有効に機能しているため、これ自体は間違った調整とは言えないだろう。
      • 特に本作はリターンの多いウォールブレイクが存在するため、ローリスクな小技からあまり大きなメリットを得られる仕様にしても問題であり、むしろ妥当な調整とは言えるが、やはり好みは分かれている。
    • 攻めのリターンを後押ししている調整もいくつか見られる。
      • 例えば、カウンターヒットのヒットストップ増加により、カウンターヒット時限定の連続技始動がしやすくなった事。
      • 他にも、ガトリングコンビネーションで派生させる際の受付幅が広い(いわゆるディレイが利かせやすい)ため反撃するポイントが不明確で、相手がガードを固めている場合に不利フレームを無視した連携を組みやすいことなど。
      • 分かりやすくコンボを繋げやすい分プレイのしやすさに繋がっており、間口を広げる目的としては成功しているものの、結果的に面倒な攻めを仕掛ける点においても利用できるようになっている。
    • 主人公であるソルは、「ガードさせて有利+前進するので距離が離れにくい」という特性を持つ通常技・遠距離Sを用いた固めやHS版ヴォルカニックヴァイパーを使った大ダメージ連続技などの本作の調整傾向を象徴するような苛烈な攻め性能を持ったキャラで、本作の強キャラとして名前が真っ先に挙がる。
      • とは言え、操作が簡単で強いキャラが居る事は、初心者にとって取っ付きやすいという面もあり、一概に欠点とも言い難い。特に初期ver.でお手軽強キャラとされたラムレザルなどは、前作では複雑で取っ付きにくいキャラだったこともあり、「本作の調整のおかげでようやく自キャラにしやすくなった」等の喜びの声も間々見られる。
  • 簡易化の方向性への賛否両論
    • 長く続いてきたシリーズの宿命ともいえるが、『ギルティギア』といえば長く爽快なコンボを決めたり研究したりするのが楽しいという層にとっては、本作の調整方向は難色を示す可能性がある。
    • 近年の格闘ゲームでは「ボタンを連打するだけで連続技になる」「コマンドを要さずに必殺技を出せる」といった簡単に操作できる補助システムが導入されているのがトレンドだったが、本作にはそのような機能は一切付いていない。
    • 格闘ゲームをきちんと遊ぶ気になっているプレイヤーにはわかりやすく馴染みやすい作りになっているが、その意味で格闘ゲームらしく人を選ぶ側面を堅持している。
      • シリーズにおける難しいキャラの代表格であるザトーや、本作からの新キャラのハッピーケイオスなど、プレイヤーに高い操作技術を求めるテクニカルキャラもしっかり登場している。
    • 「ロマンキャンセルキャンセル」「ダッシュキャンセルキャンセル必殺技」といった、キャンセルに絡んだ操作テクニックが用意されており、これらは一見して何が起きているのかわかりにくい仕様と忙しい操作を要求される。
      • また、発売後のアップデートでは複雑化する方向でのゲーム内容の追加修正が行われており、単に簡単なだけのゲームにする意志は運営側には無いことが見て取れる。
      • 中には「一見バグのように見える、仕様の穴を突いたテクニックを新たに用意する」というマニアックな調整*16が行われたこともあり、これも意見の分かれるところ。
  • ランクマッチが実質ない点
    • 従来のランクマッチとロビーで対戦プレイヤーが分散していたのを避けるため・気軽な対戦を促すための試みだが、ランクマッチでの実力の成長とそれに見合った積み重ねのポイントを重視するプレイヤーにとっては不満となっている。
    • 対戦結果を元にした非公式のレートサイトが作成されている。
  • 好みの分かれるUIデザイン
    • UIは全体的に近年の潮流に沿ったフラット系のデザインで、これまでド派手なデザインだった当シリーズとしては、方向性が大きく異なる。
      • ゲージ類の視認性を重視したデザイン変更でもあるため、その点においては効果的とも言える。
    • 本作のロビーのUIは『Xrd REVELATOR』に始まり多数のアーク製タイトルで使われている3D空間でミニキャラのアバターを用いたものではなく、粗めの2Dドット絵の横スクロールアクションのような画面が新たに作られている。
      • この急な方向転換にはやはり好みが分かれている一方、この仕様としたためか、従来のものに比べるとアバターや部屋の細かいカスタマイズが可能に。
  • ストーリーモードの内容
    • 前作以前から続く「あの男」ことギアメーカーとの因縁の決着…はきちんと描かれるのだが、それ以上に「イノとハッピーケイオスを相手に危機的状況で奮闘」というプロットの比重が大きく、それ以外の描写がややあっさり気味。
      • そのためギアメーカーとの因縁をスッキリ終わらせる、という点では好みは分かれやすい。
    • シナリオ上のセリフ回しの癖が強め。小洒落た比喩表現が多用されるため、読み進めるために必要なカロリーは高い。
  • 飛鳥のピーキーな性能
    • 「デッキからどの魔法を引けるかはある程度ランダム」という不安定さはあるものの、このデッキコントロールさえどうにかすれば、とんでもない飛び道具連携が可能となる。格闘ゲームにあるまじき弾幕を張ることで一方的な試合展開にもなりやすい。一応、一部飛び道具は相手の攻撃で相殺されてしまうのだが、飛鳥の対応次第では「その隙を突く」ことも充分に可能。
      • 「一定時間中、手札を取捨選択できる」という覚醒必殺技(ブックマーク フルオーダー)も備えているので、強引に上記のような試合展開を作り出すことも充分できる。
      • しかも、飛鳥はマナゲージがある限り全キャラ中防御力が最高で(被ダメージ倍率はなんと0.75倍で、これはポチョムキンや名残雪よりも断然高い)、「先に触って一気に仕留める」ということもやりにくい。
    • ただし、そこまで圧倒的なキャラ性能を発揮するにはかなりの熟達が必要。
      • 「自身の手札4枠」「デッキの種類」「魔法使用のための専用リソース」「テンションゲージ・バーストゲージといった共通システム」「それらを管理するための適切な行動選択」と、自己管理がものすごく大変。そして飛鳥を対策するにもこれらの知識が必要となるため、使う側にとっても相手をする側にとっても非常に難解。
      • マナが切れた時の防御力は最低(被ダメージ倍率1.50倍!)で根性値も最低なため、マナを切らさないようにしないといけない。マナ切れ状態でうっかり連続技を喰らうと文字通り一瞬で瀕死、又はそのままKOされる。マナ回復の際に体力を消費するのが前提*17のため、尚更マナ切れからの一撃で負けとなる可能性は高い。
      • テクニカルな楽しさは確かにあるだろうが、色々な意味でハードルの高いキャラでもある。
  • シーズン3から追加された共通アクション「ワイルドアサルト」の一長一短
    • これのおかげで「画面端に移動しながらのコンボ」が行いやすくなり、1コンボでウォールブレイクを起こせるキャラが増加。
      • ウォールブレイクしやすさの格差軽減にはなっているし、コンボの楽しさの増強にもなっている。一方で、コンボや駆け引きがややこしくなったとも言える。
    • ワイルドアサルトでウォールブレイクを起こすと、(覚醒必殺技を出した時と同様に)壁を割った側が有利な状態で展開が始まるため、起き攻めによる攻め継続がしやすくなった。
      • ポジティブボーナスはテンションゲージが溜まりやすい状態であり、バーストゲージを消費して確実に起き攻めに行くことで各種ゲージを「回す」プレイングとなり、優位を得やすい。一方で後々サイクバーストを使用するために温存するという選択肢もあり、駆け引きとして機能している。
      • 攻めている側が相手を圧倒して勝利する事も容易になったため、不利な側が逆転しにくい状況を助長する一因にもなっている。
    • また鈍重キャラは「別の技にキャンセルできないためコンボには使いにくいが、突進中に無敵時間があり、ヒット・ガード問わず当たれば有利状況を作れる」という仕様で実装。
      • 特徴として接近に苦労するキャラクターが所持しているため大いに役立つ一方、いかにも「近づけないキャラ相手にこれをぶっ放してどうにかしろ」と言わんばかりであるため、大雑把で面白味は少ないとも言える。コンボに組み込めるタイプのキャラと比べても使い所が少ないため、立ち回りの幅も広がりづらい。
  • 一部グラフィックについての指摘もある。
    • 背景はさらに美しく立派になったが、ステージによっては逆光が強すぎるせいで目が痛くなるという意見もある。

問題点

  • 対戦部分以外の挙動が不安定気味なネットワークモード
    • 評価点で先述したように「基本的には」快適にプレイできるものの、特定の状況下での妙な挙動、バグなどはそれなりに発生する。
      • 例えばプレイヤーマッチで観戦ができなかったり入室ができなかったりと、大会運営時には支障を来すほどであった。
      • 現在は一部改善済みだが、環境によってはまともにサーバーへの接続すらできない不具合も発生していた。現在も対戦待ちしていても即対戦拒否してしまう、他のプレイヤーのデータの読み込みに時間がかかる(途中中断機能が後から追加された)、誰もいない台で準備したらエラーとなり通信中として拘束される、プレイヤーマッチで部屋の中にいる別のプレイヤーが見えず対戦もできないなどの不審な挙動が存在する。
      • クロスプレイ実装後にマッチングでエラーが頻発する、通信中と表示されたまま長時間操作不能になるという事象が発生しており、公式から対応中のアナウンスは出されているものの、現状大きな改善は見られていない。
    • タワーで試合によって適正階層が変化すると対戦が中断され階層を移動する演出が入るが、これが邪魔だと感じるプレイヤーも。
      • 特に「天上界」挑戦中の場合。「天上界」とはプレイヤー層の最高ランクであり、当然本作のトッププレイヤーたちがひしめいている階層なのだが、ここの永住権を獲得するにはこの魔窟で6戦中5勝もせねばならない。
      • そのため、永住権を獲得するまで数えきれないほどに行き来を繰り返すことになり、その度にいちいち階層移動の演出が挟まるのでテンポが悪い。
      • 現在はこの演出がスキップ可能となり、やたらテンポが悪い点は解消された。
    • ちなみに発売から時間が経った事もあり、上階に上がって行けないプレイヤーは次々と辞めていった結果、現在ではタワー下層がいまいち機能していない。
      • 適正ランクが下層であっても任意で上層へ行く事はできるため、これで初心者が対戦できないという事態にはなっていないが、初心者にあまり優しくない環境にはなってしまっている。
      • あくまでプレイヤー側の意向といった都合が絡んでくるため、ゲームの環境設定に問題があるとも言い切れず、非常に難しい部分ではあるのだが。
  • 基本的に、釣りに必要なポイント(ワールドドル)が対戦しないと多く手に入らない
    • 最も効率の良い方法がキャラクターレベルを上げる事だが、これは基本的にオンライン対戦で勝つことのみ上がっていく。
    • 釣りを行うことでアバターやプレイヤーマッチの家のパーツに加え、絵やBGM、設定資料集などのギャラリー、デジタルフィギュア用のパーツなどを解禁するシステムになっている。絵や世界観を楽しみたいけど対戦は苦手というプレイヤーには厳しい作りと言える。
      • オンライン対戦を積極的に促すための仕様とも解釈できなくはないが、オフラインでも十分稼げた前作と比べると不親切な仕様と言える。
  • オフラインで遊べる要素自体、前作からパワーダウンしている。
    • 本作のオフラインのやり込み要素であるサバイバルモードは、単純にこちらの体力が減らないよう気を付けながらCPU戦を勝ち抜いていくだけ…という非常にシンプルなもの。
      • 前作に存在したオフラインでのやり込みモード「M.O.M」は、プレイヤーがかなり自由に操作キャラのカスタマイズを行うことができたりと遊ぶ要素が多く、それと比べると味気ないものとなってしまった。
  • Steam版の回線問題・待ち受け
    • 本作はロールバックシステムで快適なネットワーク対戦が魅力とされているが、それ故に回線制限のシステムがない。
    • 実際、60~80ping程度ならば問題ないのだが、NAや中国の海外プレイヤーが日本サーバーにやってくる。
    • 結果、トレーニングモードの待ち受けでは対戦拒否された海外プレイヤーと際限なくマッチングさせられるため、トレーニングモードの待ち受けがかなり不便になっている。
+ 現在は改善済み
  • PS5版は入力遅延が大きめ
    • 本作のみではなくPS5と、PS5版のUnreal Engine双方が抱えている問題。
    • 発売1年後にアップデートで遅延解消が行われ、PS4 Proで遊んだ時同様の遅延と評価されており、PS5版で遊ぶことで不利が発生することはなくなった。
  • 一部キャラで可能なシステム的に強力な攻めパターン
    • アップデートでの調整によりパターン自体は残されているものの、システム面での制限が加えられる事で依然として強いものの発見時ほど強力ではない程度の効果に抑えられている。
    • 次の攻撃に派生可能な必殺技*18(通称烈火)を途中で止めて通常技を出す事で攻め状況を維持しやすかった。本作のカウンターヒット演出により必殺技をカウンターヒットさせた場合にノーゲージでさらなる追撃が可能だった事が要因。
      • 現在では別の攻撃に派生可能な必殺技・派生された必殺技は一律でカウンターヒット演出が発生しないようになり、ロマンキャンセルを使わない限り追撃できなくなった。
    • ポジティブボーナス中にロマンキャンセルを何度も使いながら相手にガードさせ続ける事が可能。(通称ポジハメ)アップデートでロマンキャンセルキャンセルを行うとゲージ消費が50%より少なくなる事で実行しやすくなった。
      • この攻めをやりやすくしていた仕様*19が廃止された他、シーズン3現在はポジティブボーナス時間の短縮や対抗手段としてディフレクトシールドが用意された事で相手を長時間無力化することはできなくなり、実行自体は可能だが強さは落ち着いている。
    • 地上にいる相手を壁張り付き状態にした後にあえてウォールブレイクをしない事で、地上ダウンさせた時と同様に大きな有利時間を得られるため起き攻めループが可能。(通称壁ハメ)特に射撃で相手を浮かせずにヒット数を稼げるハッピーケイオスで実行しやすい。
      • シーズン3でバースト関係の仕様変更が行われた際に壁張り付きが発生する度にバーストゲージが大幅に回復するようになったため、変わらず実行可能だがダメージと相手に与えるリソースを比べるとあまり強力とは言えなくなった。
  • 悪役過ぎたハッピーケイオスの性能(Ver1.18以降は一旦改善済み)
    • 本作からの新キャラでありストーリー上では悪役の1人であるハッピーケイオス(以下ケイオス)だが、性能の研究が進むにつれ非常に強力かつお寒い立ち回りが発覚し、その一方的過ぎる立ち回りの内容がプレイヤー間で大いに問題視されていた。
    • 非常に固有ゲージ管理や操作が難しい上級者向けキャラクターだが、中でも必殺技「しっかり狙いを定める」による「射撃」はこれ単体でもローリスクハイリターンであり、正確に操作すれば相手の技が届かない距離(お互いが端と端に位置している状況)から射撃を連発して一方的に攻撃し続けることが可能である。
    • もちろん、対戦相手側は射撃をガードしながら相手に徐々に近づけるように調整されているのだが、真に問題になったのはケイオスの必殺技の1つ「スケープゴート」で、相手が通り抜けられず攻撃も代わりに受ける身代わりを体力を消費して設置する技で、近づかれそうな時にこれを設置することで、身代わりに手を出した相手に反撃して押し戻せる上に相手側も身代わりが消えるのを待つ以外の有効手が無い*20という非常に有利な状況を作れる技である。
    • 大半のキャラは近づくまでに自キャラの持ち味が発揮できず*21、まるで別のアクションゲームのような対応をさせられる対戦が行われることになる。
    • また、覚醒必殺技「超フォーカス」を使うことで距離を問わずに10秒以上射撃の連発で相手に近づくことさえできず文字通り何もさせない状況を作ることも可能である。
    • ただしVer1.18での変更で、相手との距離が遠ければ遠いほど射撃に使う集中力ゲージの消費が増えるように、「スケープゴート」も体力消費量の増加などで弱体化し、従来通りの立ち回りを行うのは難しくなった。
    • その後、中核を成す強力な特殊技6Kが弱体化したことで弾を使わないときの連携が組みにくくなり、現在では「まだ強みは残っているものの、安易な繰り返し行動で勝つのは難しい」キャラクターとなっている。

総評

シリーズ完結編の座に付きながら、従来のファン向けのみならず、シリーズのらしさを存分に残しながら新たな地平を目指した作品。
アーク自身が先頭を走って作り上げてきたアクティブかつダイナミックな「コンボゲー」の特徴を継ぎつつも、操作の自由度を求めるあまり過度に複雑になり過ぎていたコンボゲーの昨今の風潮に一線を画した試みは評価されるべきものである。
一方で決して小綺麗に収まることなく豪快とも大味とも取られかねないゲームバランスは、本シリーズが掲げている「ロック」の精神の体現であると、ある意味言えるかもしれない。
一部見過ごせない粗さもあるが、グラフィックや操作性、ネットワーク対戦の快適さを含めた対戦型格闘ゲームとしての質は充分に確保されている。


余談

  • 2024年11月20日に、本作のCEROレーティングが「B」の12才以上から「C」の15才以上へと引き上げられた。
最終更新:2024年11月20日 07:36

*1 XSX/One/Win(MS Store)版は発売当初から3,990円(税込)で発売。

*2 発売当初はCERO:B(12才以上対象)だったが、2024年11月20日に引き上げられた。

*3 「副題の綴りの中にナンバリングとなるローマ数字が組み込まれている」というのは、同時期に発売された『バイオハザード ヴィレッジ』と共通している。

*4 シーズン3からはバーストゲージも含む。

*5 「空中Kのみジャンプキャンセルが可能なキャラ」と「空中S・空中HSも空中K同様にジャンプキャンセル・空中Dへのガトリングコンビネーションが可能なキャラ」がそれぞれ存在していたが、全キャラ後者に統一された。

*6 『GG』の定番システムの1つで、相手の攻撃をガードすると溜まっていくゲージで、攻撃を受けると減少するが、0より多い場合攻撃を食らった時の連続ヒット数によるコンボ補正がその分カットされる。つまり、リスクゲージが溜まっているほど被コンボダメージが倍増する。

*7 バックステップを行う場合は方向キー後ろ+ダッシュボタンで可能。

*8 当初は一部キャラのみ地上ダッシュキャンセルに対応していたが、後にダッシュを持たないキャラ以外は全キャラ地上ダッシュキャンセル可能になった。

*9 「2段ジャンプができない」キャラというのはギルティギアシリーズにおいても初。ちなみにポチョムキンはダッシュができないが2段ジャンプは行うことができた。

*10 「?」までが正式名称。

*11 ♯の部分はクロイツと読む。なお、カラー選択時に名前を上下すると本来の正体である「飛鳥=R=クロイツ」に変化し、一部の掛け合いやキャッチコピーが変わるが性能に変化はない。

*12 月間の天上階での勝利数が多いプレイヤーには次月中も天上階に入る権利が与えられ、アバターにオーラが発生するようになる。

*13 シーズン2からは各キャラによってボス仕様となった対応キャラが相手となる。

*14 近距離S以外の技に一律でダメージ補正を付けるなど。これについては赤色ロマンキャンセルを相手にヒットさせた際のコンボ補正が消えた事で全体的に上がりすぎていた火力を抑えるためという側面もある。

*15 通常は予選では2試合先取で進行する場合が多い。

*16 必殺技のモーション初めの数フレームを覚醒必殺技でキャンセルできる仕様が追加され、これ自体は必殺技とコマンドが被った時に覚醒必殺技が出やすくするための仕様なのだが、必殺技からの派生動作にもこの仕様が適用されているため、派生動作を持つ必殺技を持つキャラに限って他の格闘ゲームの「スーパーキャンセル」に相当するシステムが追加されたような状態になった。

*17 必殺技でのマナ回復は「何も消費しないが回復速度が遅い」「テンションゲージを消費する」「回復速度が速いが体力を消費する」の三種類ある。

*18 ソルのバンディットリボルヴァー、チップの冽掌、ラムレザルのエラルルーモなど。

*19 「相手のリスクゲージが最大まで溜まると攻めている側のゲージ増加量が増える」というもの。

*20 その間にケイオス側は固有ゲージを回復できる。

*21 苦労して近づいたとしてもスケープゴートへの対応が困難。