シャイニング・フォース外伝 遠征・邪神の国へ

【しゃいにんぐふぉーすがいでん えんせい・じゃしんのくにへ】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 ゲームギア
発売元 セガ
開発元 クライマックス
ソニック
発売日 1992年12月25日
定価 5,500円
配信 バーチャルコンソール
【3DS】2013年10月2日/524円
判定 良作
シャイニングシリーズ


概要

ゲームギアで発売されたシャイニングフォースシリーズの外伝作。
ストーリーは「シャイニング・フォース 神々の遺産」の20年後という設定であるが直接的な繋がりはない。
キャラクターデザインは本作より梶山浩氏が担当。


ストーリー

(説明書3ページより引用)

  光の軍勢 (シャイニング・フォース)が悪の化身ダークドラゴンを封印してから20年。ガーディアナ王国はアンリ女王のもとで平和に統治されていた。
だが、その平和もつかの間。ルーン大陸の南方に位置する軍事国家、サイプレス国の使者の来訪により平穏な日々も崩れ去ることになってしまう。
友好を結ぶためと偽り訪れた大神官ウォルドルは、サイプレス王からの贈り物として小箱をアンリ女王に手渡した。
しかしこの小箱こそが、サイプレスの罠だったのだ。そうとも知らず小箱を開けてしまったアンリ女王は魔法で永遠の眠りについてしまう。
サイプレスの罠にかかったガーディアナ国は、女王を再び目覚めさせるために、戦いを決意!
 未知の島国へとガーディアナの軍勢は旅立っていくのだった……


システム

シャイニングフォースのシステムを一部引き継いだ、ステージクリア型のシミュレーションの形式を取るRPG。
全4章、22ステージ構成。

シミュレーションパート

  • 最大12名のユニットを操り、戦術マップに居る敵の全滅もしくは敵リーダーの撃破を達成すればステージクリア。
    • 主人公が戦闘不能になる、もしくはリターンの魔法(アイテム天使の羽根でも可)を使うと撤退となり、キャンプコマンドで仕切り直しとなる。
  • 純粋なターン制ではなく、敵味方問わず素早さの高いユニットから順番に行動できる。
    • いずれかの行動コマンドを実行するとそのユニットの手番は終了し、次のユニットに行動順が回ってくる。
  • マップには地形に応じた「地形効果」が設定されており、これが高いほどダメージ軽減率と移動距離の制約に大きく影響を与える。
  • 宝箱などの特殊ポイントでは、調べることでアイテムなどを入手出来る。

戦闘シーン

  • シミュレーションパートで攻撃や魔法、道具といったコマンドを選択すると、アニメーション付きの戦闘シーンに切り替わる。
    • 味方の行動時は、戦闘シーンの結果に応じてユニットに経験値が加算される。経験値が100まで貯まるとレベルアップ。

キャンプコマンド

  • シミュレーションパートをクリア後、イベントを経由するとキャンプコマンドに移行する。
  • 「お店」では買い物、「本陣」では装備、メンバーの入れ替えといった戦闘準備や、戦闘不能や呪いなどに陥ったメンバーの治療などが行える。
    • お店はステージを進めるにつれて品揃えが豊富になっていく。
      • 加えて何らかの原因で手放した貴重品は「掘り出し物」の品目に並ぶ場合がある。

転職

  • レベルが10以上になったユニットは、キャンプコマンドから任意のタイミングで転職が行える。
    • 転職するとレベルアップによるステータスの伸び方が変わり、より強力な武器や魔法を扱えるメリットがある。

ユニット

+ ユニット解説(カッコ内は転職後)
  • 剣士(勇者) :主人公専用ユニット。攻守のバランスに優れる。転職後は強力な攻撃魔法を扱えるが、MPは控え目。
  • 戦士(ウォーリア) :機動性でイマイチ劣るが、近接戦闘においては並ぶ者なしのエキスパート。
  • アーチャー(スナイパー) :弓による高火力と射程が強み。飛行型の敵に強い。
  • レンジャー(ボウナイト) :アーチャーの攻撃性能と騎士の機動性能を併せ持ったハイブリッド職。
  • 魔術師(ウィザード) :攻撃魔法・補助魔法のスペシャリスト。耐久力に難がある。
  • 騎士(パラディン) :高い機動力と戦闘能力を兼ね備えた切り込み隊長役。
  • モンク(マスターモンク) :肉弾戦と回復魔法に長ける格闘家。戦士と同様機動力の低さがネック。
  • 鳥人(バードラー) :高い攻撃力と飛行能力による抜群の機動力を持つ。反面地形効果を受けない影響で耐久力は低く、弓攻撃に対して弱点を持つ。
  • 僧侶(司祭) :回復魔法・補助魔法を得意とする。大器晩成型だが近接戦闘もそこそここなす。
  • 獣人(ベルセルク) :戦士をより攻撃に特化させた性能を持つ獣人。
  • 魔法生物 :とあるマップに隠れている隠しキャラ。

前作「シャイニング・フォース 神々の遺産」からの変更点

シミュレーションパート以外のシステムについて、携帯機であるゲームギアのスペックに合わせて以下の点が変更されている。

  • 町や村・中継地のシステムの簡略化。探索要素をオミットしたキャンプコマンドとして一本化された。
    • 「本陣」「出口」「お店」のメニューのみ存在し、出口を選択することで即時にSLGパートに移行する形となっている。
  • 勝利条件達成後のフィールドの任意探索パートの廃止。
    • これによりゲーム全体の流れは、ステージクリア型の形式を取る比較的シンプルなものとなった。

評価点

  • シャイニングフォースの世界観やシステムを見事に継承。
    • シャイニングシリーズの特徴の一つである、十字型コマンドを始めとしたユーザーインターフェイスの快適性をほぼ忠実に再現している。
      • 操作性もキーレスポンスが早く概ね良好と言える。
    • ゲーム開始時の「女性がプレイヤーと一緒に、本に綴られた物語を読み進める」ていで始まるシーンも健在。世界観の再現についても抜かりはない。
  • 町が簡略化された影響で、シミュレーションパート以外のパートが快適になった。
    • お店で買った武器は本陣へ戻って装備しなければいけないが、あまりストレスは感じない。
  • シミュレーションゲーム初心者から熟練者まで幅広く楽しめる絶妙な難易度。
    • フォース1と同様に敵勢力は手強く、ユニットの能力と相性・地形効果を考慮して進めなければ攻略は難しい。
    • 一方でリターンや天使の羽根を使えば、ノーリスクで町へ戻ってバトルをやり直せるため、これを利用した稼ぎを行えば、能力差で強引に突き進むことも出来る。
      • 熟練者はリターンを縛れば、手に汗握るスリリングな戦術を楽しめるだろう。
  • レベルアップ時に超過した経験値は次に持ち越されるようになったので経験値が無駄にならなくなった。
    • 「フォース1」ではレベルアップ時に100を超えた分の経験値は消滅してしまっていた。
  • フォース1に存在した上級職に転職した際の能力値低下が撤廃され、気軽に転職を行えるようになった。
    • 以降の作品でもこの仕様が標準となった。
  • 前作と同様、ステージ攻略途中での中断セーブが可能。携帯機のお手軽さも相まって、時間の制約にとらわれず好きな時間にプレイ出来る。
  • フォース1のキャラクターやその近親者が登場する。同作をプレイした人ならニヤリと出来ること請け合い。
  • シミュレーションゲームにありがちな、敵の思考による待ち時間がほぼないに等しい。
    • 携帯機に最適化するにあたり、思考ルーチンを可能な限りシンプル化した努力の賜物であろう。
  • 当時のフルカラー携帯機であるゲームギアの特色を十分に生かした美麗なグラフィック。
    • キャラクターの顔グラフィックは梶山氏のデザインの特徴を上手く捉えている。
    • マップグラフィックは地形の視認性がよく、SRPGとしてはありがたいところ。
    • 戦闘グラフィックはアニメーションパターンこそ削られているものの、据置機の前作に見劣りしないクオリティを誇る。
  • 今作のBGMは「フォース1」の吉村政彦氏に代わり、武内基朗氏が担当した事で大きくリファインされた。
    • PSG音源とは思えない重厚なハーモニーを駆使したBGMの数々は、前作に負けじと勇壮かつ壮大。
      • 特にマップBGM「はるかなるたびじ」、仲間加入時BGM「ビクトリーロード」はなかなかの名曲。
    • 隠しコマンドでサウンドテストが可能で、楽曲のタイトルもそこで確認できる。
      • ジングルについては楽曲のフレーズにそのまま言葉を載せたような脱力モノのタイトルが付いており、クオリティとのギャップを楽しむのも一興。
    • 武内基朗氏はその後、フォース2などのシリーズのBGMに関わり、ゲーム機のスペックに捉われないシンフォニックな楽曲を数多く生み出した。

問題点

  • 本陣での仲間との会話はない。
    • そのためキャラクター同士の掛け合いはイベントでしか見られず、キャラの個性が薄れてしまっている。
  • 武器は誰が装備できるかわからないので実際に試してみる他ない。
    • 装備品の傾向を見れば大体の見当はつくのが幸い。
  • 持ち物もステータスで確認しないと種類や数を知る事ができない。
  • 魔術師を始めとした後衛職の扱い辛さ。
    • 攻撃魔法の威力がほぼ固定ダメージのため、武器やレベルによる伸びしろの大きい前衛・中衛職と比べると、後衛職の利便さは敵のHPが飛躍的に上昇する中盤以降は頭打ちになりがち。
      • 必中効果や攻撃範囲、補助能力といった前衛職にないアドバンテージは健在のため、前衛職と協力してその強みをどう生かすかがカギとなるだろう。
  • 仲間の一人、メイフェアが育てにくい。
    • このゲームでは敵にトドメを刺した時が一番経験値が多く獲得できるが、メイフェアは僧侶キャラのため攻撃力が低くこれが難しい。
    • しかもメイフェアは加入時のレベルが、その時点での主人公たちと比較して低めなのも攻撃力の低さに拍車をかけている。
    • そして範囲回復魔法を扱える僧侶キャラが彼女一人だけ*1なので、ある程度意図的に育成しないと終盤の攻略が厳しくなる。
  • 隠し仲間のドミンゴの初期能力
    • 魔法使い系のキャラクターなのだが、仲間になった時点で使えるのはブレイズとフリーズのレベル1のみ。この頃には仲間の魔法使いが上位版を習得していると思われるので、仲間になるタイミングとしては相対的に弱い。せっかくの隠し仲間なのに…
    • しかし根気よく育てれば大きくステータスを伸ばすことが出来、上位魔法の習得も相まって目覚ましい成長を見せてくれる。
      • 運用次第では地形による移動制限を受けにくい魔法使いとして活躍してくれる。正しく大器晩成キャラクターと言えるだろう。
  • 本作ではストーリーが完結しない。
    • エンディングの内容も急展開を迎えた上で結末の描かれない、いわゆるクリフハンガー的なものとなっている。
      • ストーリーは次回作の「シャイニングフォース外伝2」に持ち越されてそこで完結するようになっている。

総評

シャイニングフォースのシステムを簡略化した上でゲームギアという携帯機に上手く落とし込んだ作品。
シリーズのファンにもゲームギアでSRPGを楽しみたいという人にもオススメできる一作である。

余談

後にメガCDに続編の外伝2とセットになってシャイニング・フォースCDとして移植されている。
また「シャイニングフォース クロニクル」というタイトルでモバイルにも移植されている。

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最終更新:2023年01月04日 19:13

*1 似た立ち位置の使い手としては他にアミーゴという隠しキャラがいるが、加入は最終盤