シャイニング・フォースCD
【しゃいにんぐふぉーす しーでぃー】
| ジャンル | シミュレーションRPG |  
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| 対応機種 | メガCD | 
| メディア | CD-ROM 1枚 | 
| 発売元 | セガ・エンタープライゼス | 
| 開発元 | ソニックソフトウェアプランニング | 
| 発売日 | 1994年7月22日 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 定価 | 7,800円 | 
| その他 | バックアップRAMカートリッジ対応 | 
| 判定 | 良作 | 
| シャイニングシリーズ | 
 
概要
ゲームギアで発売された『シャイニング・フォース外伝 遠征・邪神の国へ』『外伝II 邪神の覚醒』の2本をメガCD対応ソフトとして移植し、後日談のおまけシナリオを加えたもの。
外伝シリーズは『シャイニング・フォース 神々の遺産』(以下『フォース1』)のその後の物語であり、直接的なストーリーのつながりは無いが世界観は地続きになっている。
また、メインメンバーの多くは『フォース1』キャラの子孫という設定。旧キャラ本人も一部登場するが、外見が大きく変わっているのでびっくりする人も多い。キャラクターデザインは梶山浩が担当。
ゲームギア発の外伝シリーズには「そもそもフォースシリーズは据え置き機で出してほしかった」的な不満点があったものだが、その評判を受けてか、こうしてカップリング移植されるに至った。
特徴
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ゲームシステムは『フォース1』とほぼ同じだが、主な違いを以下に示す。
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目立つ特徴として「町の簡略化」が挙げられる。必要最低限の商店(武器屋・道具屋)と教会の他は本陣機能のみであり、住人との会話やアイテム探し・任意イベントといったRPGの副次的な要素はばっさりカットされている。
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また、町はマップを歩き回る方式ではない。画面中央が町の出入り口、左が本陣、右が商店と全てが一画面に収まっていて、方向ボタンの左右を押すだけでトントンと移動できる。
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本陣会話は携帯機派生シリーズでは初搭載。また、『フォース2』で裏技で搭載されていた味方のオートコマンドが正式に搭載。
 
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上位クラスに転職するとパラメータが強化される(『フォース1』では一時的にパラメータが下がっていた)。
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もっとも、以降のシリーズ作品でもこちらの方式がスタンダードになり、結果的には『フォース1』の方が異色となった。
 
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魔法体系については『フォース2』のものに統一された。
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また、外伝での細かい仕様の違いについては『外伝2』側の仕様に統一されている。
 
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敵ユニットの行動パターンは、既定のもの(大別して4種類くらい)をゲーム全体で使いまわすような単純構造になっている。ただしマップが比較的狭く、自然と混戦が成立するように配置されているので、「何も考えずに楽勝」なんて事にはいかない。
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最終的な自軍メンバー総数は18人前後と、携帯機相応に少なめ。構成は、騎士2名、魔法使い2名、戦士2名…といった具合に、同業の性能違いキャラがそれぞれ2名ずついるような感じをイメージしてもらえればそれでだいたい合ってる。
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『外伝2』の難易度は、『外伝1』経験済みである事を前提に少し難しく設定されている。軍が二分されて完全別行動で進軍するといった、過去シリーズに例の無かった珍しいシチュエーションもある。
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一部の戦闘グラフィックは、据え置き機シリーズからの流用あり。
評価点
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GG版は、シリーズが備えていた特徴やゲーム性を引継いだ上で「遊びやすい」という長所を更に先鋭化させ、うまく携帯機に落とし込んでいた。
 今作はそれに加え、読み込み時間やCOMの思考時間が短く、快適さ・テンポの良さは過去作中No.1。恐らくこれからもシリーズ中トップクラスを誇るだろう。2本分+αの内容なのでボリューム面の問題もない。
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町の機能が最小限になったため、ゲーム進行は戦闘と強制イベントシーンのみを交互に繰り返す形になり、非常にテンポが早い。敵の行動ルーチン単純化の恩恵か、COMの思考時間も短い。
 
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GG版ではオミットされていた本陣でのキャラ会話が本作で追加。
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これにより今まで掘り下げが不十分であったキャラの個性が発揮され、より感情移入度が増した。
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前述の味方のオートコマンドもそのキャラに応じた行動をとるため、その面でも感情移入度は高い。
 
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武器を誰が装備出来るか、どう変化するのかも、ゲームギア版より遥かにわかりやすくなった。
特に外伝1のゲームギア版は若干不親切だったのでかなり遊びやすくなっている。
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戦闘パートの難易度も適度。ルールを理解してムチャを控えれば最終的には負けないバランスであり、上手にキャラクターを育てられればリターン(撤退の魔法)に頼らずに進められる。
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レベルアップ時に超過分の経験値が次のレベルに繰り越されるようになった。
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キャラは経験値を100溜めるごとにレベルアップするが、『フォース1』ではレベルアップ時に100を超えた分の経験値は消滅してしまっていた。敵を倒した時に得られる経験値は多くの場合「49」であるため、最大で48もの経験値が無駄になる事があった。
 
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グラフィックと音楽は、ハード性能に応じてGG版から強化された。特にBGMは、CDメディアハードの能力を活かしたオーケストラ調の豪華版。
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なお、(ハード仕様の問題かもしれないが)BGMは「2ループした後一旦止まり、頭からかけ直し」になる。ゲーム自体がテンポ良く進むおかげで、2ループもするほど同じ画面を長く表示し続ける機会はあまりないのが幸い。
 
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『フォース2』から裏技的に導入されていた、クリア後のスペシャルバトルや難易度設定などが追加された。難易度設定については、ゲーム開始時点から解放されている。
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バックアップRAMカートリッジ対応。クリアデータを引継いで、育成済みのキャラクターデータを別のシナリオに持ち越す事が可能。
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追加シナリオを遊ぶだけなら別売りカートリッジは不要だが、本体メモリだけではキャラクターデータを引継ぐほどの容量は確保できず、追加シナリオ用デフォルト設定のパラメータでプレイする事になる。
 
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ゲームギア版では弱かった外伝1の隠し仲間「ドミンゴ」は今作では仲間加入時からブレイズとフリーズのレベル3が使えるようになり強化された。
賛否両論点
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ゲームギア版より敵側の出来る事が増えている。特に外伝1。
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わかりやすい例で言うなら外伝1の1面に登場するザコ敵「おおこうもり」はゲームギア版では特に何もなかったが、今作では攻撃をくらうと眠ってしまう効果が追加されている。
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他にも敵がアイテムを使用してきたり、ごく一部の敵が隠れていたり、無限湧きになっていたりと、ゲームギア版にはなかった要素が追加されている。
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これ自体はゲームに深みを与えていてゲームをより楽しめる要素ではあるのだが、結果的に難易度を上げる事にも繋がっている。
 
問題点
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グラフィックは『フォース2』寄りの作画であり、特に戦闘シーンの殺陣が『フォース1』に比べて地味。
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元が携帯機ゆえにハード性能の面で不利な部分があるものの、『フォース1』は作画そのものが好評だった作品であり、比較するとやはり見劣りしてしまう。
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フォース1の戦闘アニメは、躍動感のある絵と重さのある効果音が好評だっただけに、それが無くなってしまったと感じてしまう。
 
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本作のパラメータ成長は等差数列的なものに簡略化され、ある日突然大化けするといった「成長過程上の意外性」を見せる事はなくなった。また、キャラクターごとのパラメータ格差が丸まり気味である点も、好みは分かれる。
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携帯機の性能に合わせ出陣可能数も総キャラ数も少ない。だから尖った性能を他で補完する戦術が取りにくいことへの配慮だろう。またリターン無しを前提とするため、能力の穴が無いようにしていると思われるのだが、フォース1は性能・成長のユニークさも魅力であったので惜しいと思ってしまう。
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基本同職2人ずつだが、その性能はほぼ同じで見た目以外の差別化は微妙。もうちょっと特色あっても良いのでは…。
 
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システムだけでなくシナリオも簡素であり、絵本さながらのお約束展開がベースになっている。あまりにも堂々とベタなので、むしろ不満とも言いがたいくらい。
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魔法が弱い
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フォース1での魔法攻撃はダメージだけで言っても直接攻撃より強めでMP消費しがいはあったのだが、CDではHP,直接攻撃ともインフレ気味なのに魔法攻撃はフォース1以下。
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敵キャラ数が少なく群れることも少ないので、範囲攻撃可能も活かしにくい。硬い敵も少ないため、防御無視も…というか、それ以上にダメージが低い。
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魔法はLv4まであるが、Lv1は単体、Lv2は複数可、Lv3はLv2強化版、Lv4でようやく単体強化版…という具合なので、貧弱なLv1で戦う期間が長い。そしてようやくのLv4も、MP大消費に見合う威力ではない。
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このため魔法使いは「呪われるが高い攻撃力の装備を付けて、殴った方がいい」という始末に。
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一応、補助魔法は確率大幅強化されており、使えなくはない。だがボスには通じにくく、雑魚は殴った方が早いというオチに。
 
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外伝2開始時に外伝1のデータを引き継ぐかどうか選択肢が出るが、引き継がれるのは外伝1の主人公の名前のみ。ステータスは一切引き継がれない。何人か共通するキャラもいるのに…
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もっとも、共通するキャラを外伝1クリア時のステータスで外伝2に引き継いだ場合、外伝2のバランスが崩壊する恐れがあるため仕方のない措置であるが…
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追加シナリオとおまけ面ではデータ引き継ぎでステータスを引き継ぐ事が出来る。
 
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移動力を上げる「いだてんピーマン」というアイテムを使用後に転職すると効果が失われてしまう。回避するなら転職後まで取っておくこと。
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外伝2のナターシャは転職後レベル16で「アタック」という魔法を習得するはずなのだが、追加シナリオでデータ引き継ぎをするとレベル16に上げてもアタックを覚えないバグが存在。
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回避するには外伝2でナターシャをレベル16に上げておくか、そもそもデータ引き継ぎをしなければいい。後者の場合キャラクターのレベルがやや低い状態からのスタートになるが…
 
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追加シナリオでは外伝1、外伝2のキャラを自由に組み合わせられるのだが、実は使用できないキャラが3名存在する。
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そのうちの一人、ラグは外伝1の最終面のみのゲスト参戦という特殊な立ち位置なのでまだ納得は出来るが問題は残り二人。
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外伝1で使えたメイフェアは、外伝2と同じように軍師として登場する。性能、見た目、性格的に人気ありそうなキャラなのでもったいない気がするが…
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ただ追加シナリオのストーリーの都合上、外伝1の軍師ロウは他国の人間なのであまりでしゃばると設定上不自然になるので仕方なかった面はある。
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なお外伝2のサラが性能的にはほぼ同じなので、メイフェアの代理にはなる。
 
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外伝1、外伝2両方で使えたテディも追加シナリオでは使えない。「獣人・ベルセルク」はテディだけなので、代理となるキャラもおらず明らかに彼だけ不遇。
 
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最後のおまけ面に関する問題点。
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最後のおまけ面では使用キャラが固定。おまけ面はかなりの高難度なので自由にキャラを組めないのはかなり痛い。
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最後のおまけ面は今作に登場するボスキャラが全員登場するボスラッシュ面、なのだが外伝1に登場する「エドモンド」だけ登場しない。
 
総評
もともと「中難易度+救済措置付き」でゲーム初心者も取っ付きやすい作りだったシリーズ作品。『外伝』で「軽快さ」が加わり、より遊びやすく仕上げられていた。
さらに移植によって、ハード仕様の都合で諦めていたボリューム・グラフィック・BGMといった要素が据え置き機相当にパワーアップし、GG版での「電池の消耗」という悩みもなくなった。
本作はそんな感じに、据え置き機・携帯機双方のいいとこ取りをしたソフトと言える。
大きな欠点がなく安定感・安心感に定評のあるシリーズとしては、こういった上位互換移植は嬉しいものである。外伝シリーズ未経験者ならこちらを選べば間違いはない。…『ファイナルコンフリクト』が出るまでは(後述)。
余談
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おまけシナリオはギャグ色が濃くなっている。『外伝1』のヒロイン格キャラクターの一人「メイフェア」は、一線を退いた『外伝2』で少しくだけた性格になったが、おまけシナリオではその傾向に磨きがかかっている。
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シャイニングシリーズ初のセクシー系女性忍者キャラが登場した(敵として)。その後、同シリーズに登場する女忍者の大半は、特に胸の発育がよろしいお色気担当が定位置となる。
その後の展開
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外伝シリーズ最終作にしてファミ通での評価が最も高かった『シャイニング・フォース外伝 ファイナルコンフリクト(以下FC)』は、本作『シャイニングフォースCD』の1年後に発売。そのため、当時外伝シリーズではこの『FC』だけゲームギア限定タイトルとなり、プレイ機会が限られてしまっていた。
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もっとも、本作に三本全部収まりきったという保証はないし、据え置き機とはいえメガCDとて十分マイナーハードの部類ではあるのだが。
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現在は、『FC』も携帯アプリで配信されている。
 また。2020年10月6日発売のゲームギアミクロイエローに外伝シリーズ全作品が収録されている。
 
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2022年10月27日発売のメガドライブミニ2に本作が収録された。
最終更新:2025年06月22日 16:55