星恋*ティンクル
【ほしこいてぃんくる】
| ジャンル | 恋愛ADV |  
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| 対応機種 | Windows 7/8/10 | 
| 発売・開発元 | きゃべつそふと | 
| 発売日 | 2017年1月27日 | 
| 定価 | 9,250円(税別) | 
| レーティング | アダルトゲーム | 
| 配信 | FANZA:2017年3月24日/7,945円 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | キャラ・シナリオの両面が半端 強烈なおしっこゲー
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| きゃべつそふと作品 | 
 
概要
「きゃべつそふと」ブランドの処女作。
FANZAダウンロード版はパッケージ版と同日に発売された。
プロデューサーの「まお」が『思い描いている作品を大好きな方々と作りたい』という考えで企画され、原画を「梱枝りこ」、シナリオを「なかひろ」が担当している。(2016年のテックジャイアンインタビューより)
ストーリー
ノスタルジックな雰囲気に包まれた港町・渚沙町(なぎさちょう)。
空には、この町でしか見えない星── ナギが灯っている。
ナギを守り星として崇める住民たちは、毎年12月になると星夜祭(せいやさい)を催していた。
外の街から引っ越してきた主人公は、ナギに対してはあまり関心がない。
星夜祭のために何かやろうという気もなく、それよりも新しい生活に馴染むほうが大切だった。
病弱な妹との二人暮らしは、最初のうちは苦労の連続。
それでも、町のきれいな空気に触れることで、妹の体調は徐々に回復に向かっていく。
転入生である主人公もまた、新しい学園で友達ができたりと、田舎町の生活に慣れていった。
両親がいなくとも、不自由することのない生活。
だけど一つだけ、自由にできないことがあった。
それは、ナギの存在を町の外に知らせてはいけないという、奇妙な掟だった。
そんなある日のこと。
主人公はナギと同じ名を持つ少女── 凪(なぎ)と、不思議な出会いを果たすことになるのだった。
これは、人と星とを結んだ恋物語。
(公式サイトより抜粋)
特徴
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吉里吉里Zで作られたノベルゲーム。
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いくつかの選択肢でヒロインの好感度を上げ、高かったヒロイン個別ルートに入るスタンダードな恋愛ADVである。
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個別ルート攻略後はタイトル画面からアフターストーリーを閲覧可能になる。各キャラ5~6の小話が用意されており、エッチシーンもいくつか含まれている。
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パッケージやタイトル画面の4人がメインヒロイン。「鳴瀬川凪」のみルートロックがかかっており、ほかの3人をクリア後にルートが解禁される。
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「鳴瀬川凪」攻略後にゲームを開始すると『グランドルートから始める』の選択肢が追加される。これをもって本作のストーリーは完結する。
 
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ウインドウモードやテキスト速度といった一般的な設定のほかに、「そらは立ち絵服装」の項目があり、メインヒロインの「群雲そらは」のみ立ち絵を「透け私服」に設定可能。
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タイトル画面で放置するとオープニングムービーが流れる。
 
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ストーリーの概要
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田舎町に引っ越してきた兄妹が友人を作り、学校生活を楽しむ傍らで、町に潜む謎に迫るといったスタンダードな内容。
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主人公の周囲の人物は特殊能力「神技」を持っている。例えばメインヒロインの織紙珠希は人や動物に好かれる力を持つ。ほかに神社や巫女が頻繁に登場するなど、共通ルートや一部個別ルートは伝奇要素が強めとなっている。
 
評価点
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ノベルゲームとしての素材・土台は良好
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ライトノベルのイラスト等で活躍している梱枝りこの原画は、萌え系の絵柄で安定している。
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メインヒロイン単体のCG80枚に加え、サブキャラ・集合絵・SD絵も20枚あり、枚数は価格に見合っている。
 
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オープニングムービー「ぼくらの星座」は2種類のアレンジBGMとしても使われており、要所で流れるため印象に残りやすい。
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エンディングムービー、グランドエンドで別曲が用意されている。
 
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システムはショートカットキー・ジェスチャー設定に対応しており、快適に操作できる。
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立ち絵鑑賞モードがあり、本編で使われていないサブキャラの裸立ち絵も閲覧可能。テキストも自由入力できる。
 
 
賛否両論点
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ステレオタイプなキャラクター・シナリオ
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鳴瀬川凪…見た目はロリだが、主人公から見て先輩。お姉さんぶることもあるが、幼い言動も多め。
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群雲そらは…病弱で自立していないブラコン妹。他の女の子に対する嫉妬が多い。
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織紙珠希…主人公の同級生。素直になれないツンデレ。王子様に憧れ妄想癖がある。
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花々見咲良…そらはと同級生。基本的には穏やかだが、時折腹黒な一面を見せてそらはを驚かせる。
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上記のように全体的に安直なキャラ付けに感じやすい。個別ルートも乗り越えるべき壁に対して捻りのない解決法で対処するため、この手の創作物に慣れている人からすれば既視感を覚えやすい。
 
 
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強烈なおしっこゲー
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エッチシーンは4人×5シーンと普通程度の回数だが、そのうち半数以上でおしっこを漏らす。
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1回戦で漏らして、2回戦でも漏らすといった1シーン中2回以上の放尿もあり、別にカウントすると20回を超える。
 
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実はタイトルの「ティンクル」を「tinkle」と捉えた場合は「おしっこ」を意味している。体験版でも放尿シーンがあったものの、ここまで極端に偏っていることを察するのは困難であった。
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シチュエーションが大きく偏っているため、性的嗜好によってエッチシーンの好みが分かれやすい。
 
 
問題点
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ボリュームが少ない。オーバープライスでありながら20時間もかからず完走した報告が多い。
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テキスト量が少なく、シナリオ・エロ・キャラ萌えのいずれの観点でも半端となっている。
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特殊な演出があるわけでもない紙芝居のため、割高に感じやすい。
 
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様々な面でどっち付かずな出来
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「天照大神」「三種の神器」といった日本神話をモチーフとした要素と本作オリジナルの要素があり、それなりに話を整理する必要がある。しかし、前提がなかったかのような結論に結びついたり、サブキャラの鳴瀬川風子などが説明口調で逐一解説を入れるなど、会話やモノローグが不自然となっている場面がいくらかある。
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その一方でグランドルートの肝心なところは勢いだけで進むなど、読解負担を要する割に話の出来が悪い。細かい整合性を気にするよりも勢いで読ませるタイプの読み物も存在するが、本作はそれにも当てはまらない。
 
 
    
    
        | + | グランドルートのネタバレ | 
伝奇やファンタジー要素を含むこれまでから一変し、宇宙が絡んだSFが始まる。
男女で子供を産み育てることで、世代単位で航行する宇宙船などが突如登場。
ヒロインの一人は、電磁波のようなもので渚沙町に存在しており、本当の体は宇宙船にあることが判明。
これを知った主人公が宇宙へと飛び立ち、宇宙船に乗り込む。そのまま大気圏に突入し、地球へなんとか不時着。という結末を迎える。
少女を救うために主人公の周囲の人物が一丸となって協力する熱い展開ではあり、これまでの流れを踏まえた部分もあるものの、無理やり繋げたような伏線や説明不足な点が多々あり、まとまりは悪い。
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神技の代償としての不幸や忌み子などの要素がキャラゲーとしての華やかさに影を差す一方で、別のルートでは忌み子の設定がないかのように扱われるなど、一部の暗いテーマが話の面白さにつながっていない。
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個別ルートは大きな謎を残したまま、付き合いだしたところで終わってしまうため、キャラ萌えに着目した場合も不満が残りやすい。グランドルートを設けたストーリーにはありがちなことではあるが、個別ルートは繋ぎとしての側面が強く、消化不良である。
総評
全ルートプレイを前提としたグランドルートはダイナミックだが、如何せん結論ありきの強引な展開が目に付き、シナリオは難ありと言わざるを得ない。
グランドエンドに繋げるために各ルートで情報が小出しにされるため、個別ルートのキリが悪く、恋人として付き合ってからなど描写が薄いなどのバランスの悪さも見受けられる。
しかし、システム面は快適な部類で、萌え絵フルプライスのおしっこゲーというアイデンティティは確立している。エロ方面に価値を見出せるなら、購入を検討できるだろう。
余談
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ブランドのマスコットキャラクター「きゃべP」が、作中でもマスコットとして一枚絵で登場している。
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体験版にはエッチシーンが収録されている。
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前述のように偏った傾向を確認できるため、検討している人は先にプレイしておくとよいだろう。
 
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ゲーム発売前に月刊コミックアライブで漫画版が掲載されており、単行本化されている。
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発売前から清涼飲料水として「妹聖水 そらは発情やらしいドリンク」を発売していた。
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公式サイトの「COMING SOON」の項目が放置されている。
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2017年3月3日にキュアメイドカフェとコラボして、『星恋*ティンクル』カフェを開催していた。
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お約束というか「そらはの濃厚レモン水」「咲良のレモンティー」などが提供されていた。
 
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2018年11月30日にブランド2作目『アメイジング・グレイス -What color is your attribute?-』が発売された。
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ゲームエンジンが「Ethornell」に変更されている。セーブファイル数が900→80と一気に減っており、立ち絵鑑賞等のおまけも削減された。以降もきゃべつそふとブランドではEthornellが使われているため、システム面は本作が一番優れている。
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きゃべつそふとのYouTubeアカウントも2作目から新設されており、本作関連の動画を公開していたアカウントは旧アカウントになっている。
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2022年4月16日にコラボカフェ『きゃべつそふとCafe × STELLAMAP CAFE Collaboration』が開催されたが、本作は省かれていた。
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以上のように、『星恋*ティンクル』は以降のベースとなっておらず、ブランド全体でみると処女作でありながら特異な存在となっている。
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グッズ展開は冷遇気味だが、「Lycee Overture Ver.きゃべつそふと 1.0」には参戦しているなど、完全に忘れられたわけではない。
 
 
最終更新:2025年06月22日 04:30