ニンジャウォーリアーズ
【にんじゃうぉーりあーず】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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アーケード
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発売・開発元
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タイトー
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稼動開始日
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1988年2月
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プレイ可能人数
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1~2人(同時プレイ)
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判定
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なし
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ポイント
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使い捨て主人公 ゲームとしてはやや大味 すこぶる評価の高いBGM
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概要
同社制作の『ダライアス』に続く3画面筐体ゲーム第2弾。
システムそのものはオーソドックスなライフ制の横スクロールアクションゲームとなっている。
ストーリー
かつて繁栄を極めていた某国は、今では邪悪な魔力を秘めた悪の独裁者バングラーの魔の手により、
あらゆる犯罪と腐敗蔓延る腐敗社会と化し、荒廃の一途をたどっていた。
この病める大国に一大革命をもたらすべく組織された革命軍のリーダー、サー・マルクは、
東洋の島国に伝わる「忍者」をモチーフとして2体の殺人兵器「KUNOICHI」と「NINJA」を作り出し、
バングラー抹殺任務を託した。
ゲーム内容
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8方向レバー+2ボタン
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ボタンはそれぞれ「クナイ攻撃(押しっぱなしでクナイガード)」「手裏剣(弾数制限あり)」
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クナイガードで敵のナイフ攻撃や銃弾などの飛び道具を防御することができるが、体当たりや爆発、火炎攻撃、レーザー等の一部の攻撃は防御出来ない。
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また、一定時間以上クナイガードをするとペナルティーとして追加の敵が現れる。
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ジャンプは上方向にレバー入れで行い、斜め下に入れるとしゃがみ歩きする。
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クナイガード状態で斜めジャンプをすると着地するまで無敵になる回転ジャンプになる。攻撃回避はもちろん、敵との間合いを詰めたり背後を取ったりなど使い道は多い。
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クナイによる攻撃は攻撃力が高く、手裏剣は遠距離攻撃ではあるものの攻撃力はクナイの半分である。
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戦車の搭乗兵など、クナイでは倒せない敵も存在し、そういった敵の排除に手裏剣が必要である。
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手裏剣は忍者系など一部の敵を倒す毎に5発補充。次のステージ開始時には30発にリセットされる。
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2面、4面で出現する敵の戦車は敵味方無関係に轢き殺していくため、これを利用して進む事もできる。
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ただし、得点にはならないのでハイスコアを目指す場合はなるべく頼らないようにする必要がある。
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実は1Pと2Pで性能が異なり、2P(ニンジャ)の方がほんの少しだが防御力が高いため、とりあえず先に進みたい・クリアを目指すなら2P側がおすすめ。
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一方で赤の忍装束に金髪美女風の派手なビジュアルや部位破損(後述)の関係からプレイヤーからの人気は1P(クノイチ)の方が高かったようだ。
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また、ソロプレイ時のみ、どちらかを使うかで最終決戦におけるバングラーの攻撃パターンに微妙な差が生じる。
評価点
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多関節を用いて描かれたキャラグラフィック
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兵器らしく「がっしょんがっしょん」と歩く姿や、群がる敵兵士や忍者風の怪人などを無言で斬り殺していく、まさに殺人兵器然とした姿はインパクト大。
また飛び道具などで攻撃された箇所は外装が剥げてダメージを受けやすくなるというギミックもあり、キャラクターの設定をゲーム面で活かしている。
外装が剥げた姿は(おそらくモチーフとなったであろう)ターミネーターのエンドスケルトンを彷彿とさせ、EDで語られる狂った殺人マシーンである事を強く印象付けているとも言えよう。
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ステージクリアするとHP残量がスコアボーナスになるとともに全快するが、外装破損は一切修復されないため、攻略する上では出来るだけ避ける必要がある。中にはできる限り早く外装を全て剥がした状態で全クリアを目指す縛りプレイも存在する。
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「音楽でストーリーを語る」方向性で作曲された楽曲群。
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『ダライアス』でお馴染みの小倉久佳(ZUNTATA)が手がけており、プレイヤーの攻略を鼓舞するような良曲・名曲が揃っている。
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1面&6面BGM“DADDY MULK”はその中でも飛びぬけて有名であり、マニアからは「チップチューンから完全に脱却した始めてのゲーム音楽」「ゲーム音楽史があるなら必ずそこに記載されるべき」とまで言われている。
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サンプリング音に三味線ソロを使っていたり、表題にもある「DADDY」という単語をリフレインする印象的なフレーズなど、当時のゲームミュージック界隈では他に類を見ない、非常に斬新な発想であった。
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最後の6面で再び“DADDY MULK”が流れるという演出も憎く、自力で辿り着いたプレイヤーの心を震わせた。
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もちろん他の曲もかなりのクオリティを誇り、そちらが好きなファンも珍しくはない。
問題点
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やや変化にかけるゲーム展開
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ゲームテンポは悪くないが、プレイヤーの移動がもっさり気味で長いステージをひたすら歩く、という印象が強くやや展開の面白みに欠ける。
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回転ジャンプを連続で行うことで通常の歩きよりも速く移動できるが、画面のスクロールの速度は常に一定。
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高い難易度。
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敵が人海戦術で攻めてくる上、こちらの姿勢に敏感に反応して襲ってくることが主な要因。
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中ボスや大ボスとして登場するくノ一、火炎忍者、シャドーマンなどの忍者系はどれも強敵。ゴリ押しはほぼ通用せず、それぞれのアルゴリズムを読んだ立ち回りが必要不可欠。
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戦車出現時の画面外からの威嚇砲撃は本作屈指の初見殺しであり、この攻撃で多くのプレイヤーが散っていった。
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それでも敵のアルゴリズムを理解し、パターンを組んでいけば5面クリアまでは進めることが可能だが、最終面である6面(バングラー邸)はそれまでの面とは比べ物にならない程の高難易度。
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ステージの開幕から敵の攻撃が熾烈な上に、タイム(全面共通で300秒)に対してステージ全長がかなり長い。あまり敵にかまっている余裕はないほど時間がシビアになっており、倒す必要のない敵はスルーして先へ急ぐことが要求される。
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さらにステージが迷路状になっており、正しいルートを通る必要がある。移動が緩慢である(階段を通るのに7秒も使う)&最後の中ボス戦にどうしても時間が要るのも相まって、一度でも間違ったルートを通ってしまうと時間切れによるゲームオーバーが確定する。
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細かい稼ぎが熱いゲームなのだが永久パターンが存在している。
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永久パターンの存在するゲームの例に違わず、『ダライアスII』に換装されたり、場合によっては『ダライアス』に戻されたりした。
衝撃の結末
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本作は1988年の『スプラッターハウス』(ナムコ)と並び、最も救いのないエンディングを迎える80年代業務用ゲームのひとつとして知られることとなる。
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以下ネタバレ注意
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立ちはだかる数々の敵をせん滅しつつ突き進み、ついにバングラーの抹殺に成功したニンジャ達。
その時を見計らうかのようにマルクがボタンを押した瞬間、ニンジャ達の体が大爆発を起こし、バングラー邸もろとも瓦礫の藻屑と消えてしまう。
恐らく抹殺したバングラーを完全に消し去る他にも証拠隠滅のためと思われるが、とにもかくにもこのいきなりの展開に目が点になること必至。
突然の展開で唖然とさせられているところにかぶさる
「平和が訪れたなどと思ってはいけない なぜなら彼らは不死身の“狂ったマシーン”なのだから」という、
まるでマルクが第二のバングラーになることを暗示するようなエンディングメッセージ、
そして廃墟と化したバングラー邸をバックにスタッフロールとともに流れる、全滅と聞き間違うような物悲しいBGMで畳み掛けてくる。
ちなみにこのエンディングBGMの曲名は「PARADOX」(矛盾)。
作戦の成否にかかわらず自爆させられるニンジャ達を一言で現しきった題名だと言える。
ダライアスを始めとするタイトー製ゲームのエンディングは濃い反面、英文がただ流れるだけで理解しづらいものが多いのだが、
このゲームは翻訳映画のように縦書き日本語字幕が流れる親切設計でもある。
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一方で、デモ中に流れるオープニングはアニメーションのないモノクロの1枚絵がしばらく表示された後、画面が暗転してタイトルコールがされる、と言う物であり、これだけでストーリー設定を理解するのは難しい。
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これについては本来エンディングと同じく、テキストと音声によるストーリー解説がつく予定だったようで、ロケーションテスト版で実装されていたのだが、何かしらの事情により製品版では削られてしまった。
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この削られたストーリー解説つきのオープニングは一部のサントラで聞くことができるほか、後述のメガCD版で復活している。
総評
ゲーム性の面では、同じ3画面という構成を演出面に存分に生かしていた「ダライアス」と比べて展開のメリハリに欠けやや大味で、3画面にする意義にやや乏しい側面は否めない。
一方で、革命の世を舞台とした退廃的な世界観を表現した硬派なグラフィックや人の業という物を考えさせられるシリアスなストーリー性と、それらを彩る音楽のクオリティの高さで深く印象付けることに成功した。
硬派かつシリアスなストーリーと、それらを印象深く演出する手腕に定評のあるタイトーらしさが色濃く表れた1作と言えるだろう。
前述した様に、ゲームとしては大味かつ高い難易度でヒットしたとは言い難いが、素晴らしいBGMと絶大なインパクトかつ深いエンディングは
ゲームの歴史に「革命」を起こした作品のひとつであるのは間違いない。
移植・リメイク
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『ニンジャウォーリアーズ』(PCエンジン版 発売日:1989年6月30日)
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3画面筐体だったアーケード版の雰囲気に近づけるため、画面の上下をカットした横長のシネスコサイズのレイアウトとなっている。
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1人プレイ専用となったが、KUNOICHIとNINJAの好きな方を選択してプレイが可能で、コスチュームカラーも複数用意されていた。
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ROM容量の都合により戦車がカットされているものの、敵の動きや配置は他機種版よりもアーケード版に忠実である。
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『ニンジャウォーリアーズ』(メガCD版 発売日:1993年3月12日)
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こちらもアーケード版の3画面を意識して、映画で言うビスタサイズのように画面の上下をカットしたレイアウトとなっている。
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CD-ROMの特性を活かし、アーケード版のBGMとタイトーのサウンドチームのZUNTATAによるアレンジ版から使用BGMを選択可能。
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PCエンジン版では登場しなかった戦車も出現し2人プレイも可能となった。
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ZUNTATA出演によるオリジナルのオープニングも追加されている。これには静止画によるZUNTATAのPV的な物も含まれている。
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2022年10月27日発売予定のメガドライブミニ2に収録が決定した。
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『ニンジャウォーリアーズ』(携帯アプリ版 配信開始日:機種ごとに様々。プレインストール済みの機種もある)
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『ニンジャウォーリアーズ』(配信元:ハムスター PlayStation 4:2017年9月7日配信 Switch:2019年7月18日配信)
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『アーケードアーカイブス』シリーズの1作品として配信された。
こちらは先に配信された『ダライアス』と同じく16:9HDモニターの解像度を利用して、アーケード版と同じ3画面仕様をそのまま再現した初の移植となっている。
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『ダライアス』で好評だったモニターの繋ぎ目のズレやモニター毎の色合い再現機能やウーファー、5.1ch(7.1ch)サラウンド対応、コントローラーの振動によるボディソニック再現機能は引き続き搭載し、「国内版」「北米版」「欧州版」の3バージョン収録という太っ腹な構成になっている。
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『ザ・ニンジャウォーリアーズ AGAIN』(スーパーファミコン 開発元:ナツメ 発売日:1994年1月28日)
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アーケード版のリメイク作品。ストーリーは原作を踏襲しつつ、グラフィック・BGM・ゲーム性の面で大幅な変更が加えられている。
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『ザ・ニンジャウォーリアーズ ワンスアゲイン』(PlayStation 4/Switch 開発元:ナツメアタリ 配信開始日:2019年7月25日)
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上記『AGAIN』のリメイク作品。16:9対応、グラフィック・音源のリファイン、ローカル2P協力プレイ&タイムアタック、複数の新技と2体の新キャラ「YAKSHA」「RAIDEN」など、様々な追加要素がある。
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『AGAIN』で一度削除された原作のステージBGMも隠し要素として収録されている。
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『タイトーマイルストーン』(Switch 開発協力:ハムスター 発売日:2022年2月24日)
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オムニバスソフト。『ニンジャウォーリアーズ』を収録。
余談
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何故かロケーションテストが大阪のナムコ系列店舗で実施された。ロケーションテスト終了後は『ダライアス』に戻されたが、その後正式稼働時にはその店舗には導入されなかった。
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ナムコ系列店舗はこのパターンが多く、近年でも『スクールオブラグナロク』などが、ロケテスト実施店舗でありながら正式稼働時入荷なしとなっている。
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同社のSTG『ダライアスII』のロケーションテストver.で本作のBGMが、本来の『ダライアスII』のBGMに代わって使用されていた。
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続編の存在を匂わせるエンディングではあったものの、それらしきゲームは出されていない。
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一応、PCエンジンで『芸者ウォーリアーズ』というパロディ要素を含んだ続編が発売される予定だった。これによるとバングラーは死亡しておらず、土方のバイトで資金を貯めながら再度野望を抱いている事が発覚し、それを知ったマルクが「芸者型パワースーツ」を開発して主人公に着せて戦わせる…というストーリーだったが、発売日が長々と延びてお蔵入りとなった。
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当時、タイトーの創立記念式典に「素晴らしいゲストが来る」というので、社員全員がタイトーのゲームにちなんだ芸能人を期待していたが、実際に現れたのはタイトー社員のサウンドチーム「ZUNTATA」で、DADDY MULK等の生演奏を披露した。ちなみに三味線箇所はショルダーキーボードで代用されている。
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おそらく「製作者側が人前でゲーム音楽を生演奏した初の出来事」だと思われる。「演奏」とは真逆に近いゲーム音楽の、この開発側初の生演奏は当時出席した社員によると「大変盛り上がった」そうで、これが後のイベント等ライブ演奏のはずみになった模様。
最終更新:2024年05月30日 19:57