勇気の推理 海苔

【ゆうきのすいり のり】

ジャンル ノベルゲーム
対応機種 Nintendo Switch
メディア ダウンロード専売
発売・開発元 HERO GAME
発売日 2022年9月15日
定価 150円
レーティング IARC:3+
セーブデータ 作成不可
判定 クソゲー
ポイント 電波超展開で構築されたノベルゲーム
演出面はフリーゲーム以下
勇気の推理シリーズ


概要

HERO GAMEからNintendo SwitchのDL専用ソフトとして発売されたノベルゲーム。


特徴

  • 文章を読み進めるだけのノベルゲーム。
    • ソフトを起動すると、いきなり物語が始まる。
    • メニューや設定項目なども存在しない。どのボタンを押しても文章を読み進めるだけである。
    • ストアページに書いてある通りセーブデータは作成不可。よってセーブ機能も存在しない。
    • バックログやスキップ機能といった昨今のノベルゲームによくある機能なども搭載されていない。

問題点

  • 電波と超展開で構築された低品質極まりないストーリーと文章
    • 本作の大まかなストーリーを簡潔に表すと「探偵を父親に持つ主人公が事件を解決していき、黒幕である詐欺師を捕まえる」というものなのだが、これが電波と超展開で構築された非常に低品質なもの。
      • ある場面では、主人公の滅茶苦茶な推理をその場にいる警官たちが満場一致で賞賛するなど、不自然な描写がかなり目立つ。
      • 何より、ノベルゲームでありながら文章量が少なめであり、登場人物の心情や過去などもろくに掘り下げられないため、登場人物への感情移入が難しい。
    • 本作の文章の質の低さを端的に表すのであれば、ノベルゲーム作成ソフトに触れたばかりの初心者がとりあえず練習がてらに作成したようなもの。ハッキリ言ってこれを商品として売り出したのは暴挙としか言いようがない。
+ 電波なストーリー・展開の一例(一応ネタバレ注意)
  • 前述した滅茶苦茶な推理の中身は、「被害者はダイエットのため、ゴーラという飲み物を断っていた。それを知っていた犯人は被害者の部屋にゴーラを大量に置いた。結果、被害者は ゴーラを一気飲みして死んだ 」というもの。全く意味が分からないが、本作における「推理」は万事こんな調子である。
  • 時限爆弾を解除する場面があるのだが、何故かその解除コードが女刑事の年齢
  • 話の途中で主人公が勇気から陽気に何の理由もなく交代する。しかも交代した割に勇気は普通に出てくるので、何のための交代なのか全く理解できない。
  • 「お餅ばかり食べている」という人物に対して、主人公の勇気が「障害があるのか?」と失礼極まりない質問を投げかけるシーンがある。
    • ちなみにこの人物が黒幕の正体を 勝手に自供 したことで事件は解決する。最早ミステリーでも何でもない。
  • これらはほんの一例で、本作では上記のような狙ったバカ要素なのか、書き手の技術不足によるものなのかよくわからない、意味不明な文章と展開が続いていく。ツッコむのもバカバカしくなってくるレベル。
  • 全く意味のない選択肢のようなもの。
    • 物語の途中、選択肢のようなものが提示されるのだが、どちらを選んでも文章に影響は無く、全く意味のないものとなっている。
      • 補足しておくと「どちらを選んでも文章が多少変わるだけで最終的に合流する」というものではなく、「AとBの選択肢の内、Aを選ぼうがBを選ぼうがBを選んだかのように話が進む」というもの。これでは選択肢を用意する意味がまるでない。
    • ちなみに製作者曰く、この問題点は任天堂の審査時にも指摘されたらしいのだが、「間違えてゲームオーバーにしたらやり直すのが面倒なので直さなかった」らしい。
      • 製作者の言い分にも一理あるのだが、それなら「選択肢を間違えても無理矢理にでも正しいストーリーに軌道修正する」「そもそも選択肢を用意しない」など、いくらでもやりようはあるのだが……。
  • 背景が手抜き。
    • 一応背景画像は表示されるのだが、文章と噛み合っていない場面が多々見られる。
      • 例えば、主人公がある場面でコンビニへ向かうのだが、背景は全く変わらずコンビニらしき背景が表示されることはない。
      • 他にも「■通学路」と場面転換の文章が表示されながら、背景が教室のまま全く切り替わらないなど、手抜きと思わしき部分が散見される。
    • 本作の背景画像は「街の全景」「教室」「被害者宅の室内」「主人公の家の外観」「空」「探偵事務所の室内」「豪邸の外観」の7つしかない。せめてコンビニや乗り物の写真ぐらいは欲しかったところ。
  • その他細かい問題点。
    • 「おじさんがが危篤」「元の発端は」等、誤植やおかしな表現が目立つ。
    • 文章を最後まで読み終えると、エンディングやクレジットも表示されることもなく最初に戻され、延々とループする。読了後の余韻も味わえない。

評価点?

  • ストーリーのテンポだけは良い。
    • 音や振動などの演出らしい演出が殆ど無く、問題点で記述した通り登場人物の心理描写や場面描写などもろくに描かれないため、話のテンポだけは良好。
    • とはいえ、ストーリーの進行が速すぎるせいで適当に読み進めていると、何が起こったのかがわかりづらく、超展開扱いされることが多いのだが。
  • ボリューム面での問題は特に無く、価格相応のプレイ時間となる。

総評

稚拙な文章・超展開かつ電波なシナリオ・手抜きな演出、とノベルゲームにあるまじき欠陥が三拍子揃った非常に低品質な一作。
定価こそ150円とSwitchソフトの中では安いが、それを差し引いても残念ながらクソゲー評価は免れないだろう。
一応、海苔を強調したインパクトの強いタイトル画像や電波&超展開なストーリーなど、「奇ゲー」としてのポテンシャルは持ち合わせているが、150円分の価値がある作品とは言い難く、余程の物好き以外には購入を推奨できない。


余談

  • 何故か『Reasoning of Courage』というタイトルで海外のNintendo e-shopでも定価1.50ドルで日本を差し置いて "先行" リリースされている。
    • しかも、あろうことかそちらでも対応言語は日本語のみ
      • 日本においても、日本語未対応の海外産ゲームが日本のNintendo e-shopでもリリースされることは2022年の昨今では珍しくないが、文章を読み進めるだけのノベルゲームを翻訳無しで海外でリリースしたことは、理解に苦しむ。
    • 一応、ストアページのタイトルこそ英語に翻訳されているが、本作の日本語タイトルにおける「勇気」とは主人公の名前であり、「勇気」→「Courage」という翻訳は誤訳である。
    • こんな内容でも作者のTwitterスペースでの証言によると22年11月時点でアメリカで100本売れているらしい…。
  • HERO GAMEは『勇気の推理1』というフリーソフトをWindows向けにはファンティア、Android向けにはGooglePlayにてそれぞれ無料公開している。
    • Switch版『海苔』と同じく、超展開なストーリーと稚拙な文章が目立つ一方で、こちらでは選択肢を間違えるとゲームオーバーになったり、謎解き要素が入っていたりと、少なくともSwitchで発売された『海苔』と比べると僅かではあるが、まだマシな内容となっている。
  • YouTubeにて製作者による本作開発の裏話が公開されている。(リンク
    • その動画によると、製作者はノベルゲーム自体が苦手であったのだが、友人から「ゲームを作るならノベルゲームが良い」と勧められたため、本作を開発したとのこと。

その後の展開

  • 2022年11月17日にHERO GAMEからNintendo Switchで『勇気の推理123』が発売された。
最終更新:2024年02月26日 19:36