PowerWash Simulator

【ぱわーうぉっしゅ しみゅれーたー】

ジャンル シミュレーション



対応機種 Windows 10 (Steam/Microsoft Store)
Xbox Series X/S
Xbox One
Nintendo Switch
プレイステーション5
プレイステーション4
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 FuturLab
発売日 【Win/XSX/One】2022年7月15日
【Switch/PS5/PS4】2023年1月31日
定価 2,970円(税込)
プレイ人数 1~6人
レーティング IARC:3+
備考 日本語版はダウンロード専売
判定 なし
ポイント 高圧洗浄機で汚れを落とすゲーム
結局のところ作業ゲー


概要

イギリスのゲーム開発スタジオ「FuturLab」が開発し、スクウェア・エニックスよりリリースされたシミュレーションゲーム。
「スクウェア・エニックス コレクティブ」という、インディーズゲーム開発支援機構の支援のもと制作された。


特徴

  • 高圧洗浄機を使い、様々なモノの汚れを落としていくシミュレーター。
    • プレイヤーは一人称視点で、高圧洗浄機を操り汚れを落とす。
    • 高圧洗浄機はノズルが複数種類あり、洗浄力が低い代わりに範囲の広い40度ノズル~絞りが強く洗浄力の高い0度ノズルまで。それらと洗浄機の長さを変更できる拡張パーツを組み合わせて、バリエーション豊かな仕事に挑む。
  • 建物や公園、船、ヘリなどステージごとに汚れを落とす場所やモノが決まっており、洗浄達成率を100%にすることがゲームの目的。
    • 洗浄対象は細かく区分されており、例えば車だと「胴体」「窓」「扉」「サイドミラー」「ホイール」「タイヤ」「バンパー」…などなど分類されており、それぞれを達成するごとに小刻みに報酬が得られる。
    • ステージによっては画面が暗く汚れが見えづらいこともあるが、汚れはハイライトできるため、基本的には汚れを見つけられず困ることはない。
      • 一部、奥まった場所や出っ張ったパーツの下側など、通常の視点から眺めているだけでは気付かない・洗えない場所もある。プレイヤーは姿勢を変更できるので、洗浄対象を眺めながら見落としそうな場所に予め目星を付けておくと良い。
      • 洗浄対象の洗浄率が99%後半まで行くと、該当箇所は清掃完了したものとして、残った汚れも全てクリアされる。最後まで自分でやりたいという向きもあるだろうが、中々水が届かない場所もあるためやむを得ない仕様か。
  • 水の音にもこだわって作られており、設定画面には水の音だけで音量・トーンなど3つの項目が用意されている。
    • 仕様上、ゲームをプレイしている時間のほぼ100%で鳴り続ける音なので、配慮が行き届いている。
    • 音自体は心地よく作られている。淡々と洗浄するゲーム構造もあいまって、睡眠導入としても機能してしまうが…。
  • ゲームモード
    • キャリアモード
      • このゲームのメインとなるモード。依頼を請けて様々な建物や乗り物を洗浄していく。このモードに限り、仕事の進行に応じて報酬が手に入り、その報酬を使って新しい機材を購入しアップグレードすることができる。
      • またストーリーもあり、プレイヤー以外の人物が直接姿を見せることこそないものの、画面に表示されるメッセージを通じて様々な情報が提示される。一介の高圧洗浄業者に過ぎないプレイヤーが、予想もつかないほど大きなスケールの出来事に巻き込まれていく様は一見の価値あり。
    • 特別依頼
      • 上記のキャリアモードには登場しない、様々なステージを遊べるモード。使用できる機材はステージごとに固定されている。
    • チャレンジモード
      • ステージをクリアするまでのタイムを競う「タイムチャレンジ」と、ステージをいかに少量の水でクリアできるかを競う「ウォーターチャレンジ」のふたつが存在する。キャリアモードで登場したいくつかのステージがピックアップされている。
    • フリープレイ
      • キャリアモードでクリアしたステージを再度自由に遊ぶことができる。また、フリープレイ中は洗浄液を無尽蔵に使用できる。

評価点

  • 汚れを落としていく爽快感。
    • 実際に高圧洗浄機を使用したことのある人からは「本当の高圧洗浄機で汚れを落としていくのも楽しい」との意見も挙がっているため、そこの面白さを追求したゲームとも言えるかもしれない。
      • 泥まみれに汚れた建物や車が、太陽光を反射するほどに輝くよう洗浄されていく工程が、そもそも単純に爽快感が高い。小刻みに洗浄達成演出が入って報酬が得られる構造が、プレイヤーをもうちょっと、もうちょっと洗浄したいと高圧洗浄機の世界にのめり込ませていく。
    • もっとも、根本的なゲームデザイン上、どんな物質のどんな汚れであろうが高圧洗浄機一つで汚れが落ちるため、リアリティーとしてはやや微妙だが、そこはご愛敬ということで*1
    • 本作では水で洗い流した汚れはその場で消滅し、一度きれいになった箇所は再び汚れることもない。どこでも好きなところから洗い始められるよう、リアリティーよりも爽快感や自由度を重視したデザインゆえと考えられる。
      • シミュレーターとタイトルにあるが、「洗浄業者としての体験」というより「高圧洗浄機で汚れを落とす体験」にフォーカスが当てられており、例えば水道代や汚水の処理などはゲームに盛り込まれていない。

賛否両論点

  • 結局のところ作業ゲーであること。
    • 恐らく本作の評価を分ける最大のポイント。基本的なゲームデザインは「ひたすら汚れを落としていく」の1点に集約されているため、この点を許容できるか否かで評価が大きく分かれる。
    • ゲームのボリューム自体はかなりあるものの、やることが基本的に変わらないため、プレイヤーによってはひたすら同じことを繰り返す内容に、マンネリになって飽きてしまう可能性もある。
    • どのくらいの「作業」かと言うと、ゲームスタート後の3ステージ目辺りで既にクリアまで30分はかかるステージとなり、その後も平気で1時間以上かかるステージが連続する。
    • プレイヤーのゲームスキルもそこまで求められない。よく言えばカジュアルに楽しめるし、悪く言えばプレイヤーの工夫が活きづらい。

問題点

  • 一部の汚れを落とすのがシビア。
    • 基本的に汚れを全て落とすことがクリア条件となっているため、残り1%の汚れを落とすことに苦労することが、多々ある。
    • 特にモノの裏面などプレイヤーの死角となっている場所の汚れも落とす必要があるため、ややストレスが溜まりやすい。
  • 汚れの残っている部分をハイライト表示する機能や、ステージ内のオブジェクトごとに清掃完了率を表示する機能があるが、オブジェクトのどこに汚れが残っているかを見つけるのが大変なので、清掃対象が広い範囲にあるステージなどは「窓 99%」などが最後に残ると探すのが面倒になる。
    • ハイライトは汚れの濃度に応じて光るため、うっすら残ってしまった場合、ハイライトしても見つけづらいことがある。
  • 入手できる金額に限りがある
    • このゲームでは、キャリアモードのミッションクリアに応じて手に入る金で機材を購入しアップグレードするのだが、一度クリアしたミッションには再挑戦できないので、キャリアモードの進行中は手に入る金に限りがある*2
    • 最終的には買えるものを全て買っても金が余る状態になるので問題はないが、序盤はどの機材を購入するかあらかじめ考えて選ばないと、なかなか効率の良い機材を買えずに時間がかかってしまいがち。
  • 洗浄液の存在意義が薄い
    • 専用ノズルを購入すると、広範囲の汚れを落とせる洗浄液が使用可能になる。洗浄対象物の素材によって使い分ける必要はあるが、適切な洗浄液を使えば、頑固な汚れでもあっという間に落とすことができる。
    • だが洗浄液は消耗品であるため、使い切るたび金を払って購入が必要になる。汚れが簡単に落ちて気持ちいいからといって、一仕事まるまる洗浄液に頼ろうなどと考えると、ほぼ儲けが出なくなってしまう。初心者が陥りがちな罠と言ってもいい。
    • 対象物の素材によって洗浄液を使い分ける必要があるのもかなり面倒で、強力な洗浄機やノズルが手に入る中盤以降はむしろ使うと効率が落ちることも多くなり、ほとんど使いどころがなくなる。
    • 一応、迅速に汚れを落とすのが目的のタイムチャレンジでは活躍するため、ゲーム全編通して存在意義がないわけではない。
      また、金属のサビ汚れは他の汚れと比較してかなり落としにくいため、これを落とす際にも役立つ。
  • ゲームの仕様上仕方ないとはいえ、様々な角度へ視点を移動させるほか、洗浄箇所が近い視点にもなりやすいステージはかなり画面酔いしやすい。
    • もちろん個人差はあるが、3D視点に弱い人が細かい箇所や狭い部分を洗浄しようとするとキツい。
  • 有料DLCとして「SpongeBob SquarePants」「Back to the Future」の2種類が配信されているが、この評価が芳しくない。
    • というのも、5~6ステージが追加されるのみで、ウォッシャーとそのアタッチメント、スキンの追加等は一切行われない。
      にもかかわらず販売価格はDLC1つあたり880円とかなりの強気な価格設定であり、お世辞にも内容に見合っているとは言い難い。
      せめて得られる資金がキャンペーンモードのそれより高い等の調整が施されていれば良かったが、残念ながら特にそういった事もない。
      なまじ後述の無料DLCのボリュームがこの2つと同程度なだけに、この価格の見合わなさがより強調されてしまっている。

総評

「汚れを落としていくゲーム」としては比較的丁寧に作られており、決して出来の悪いゲームではない。
高圧洗浄機で汚れをひたすら落としていく内容に、爽快感・達成感を感じる人もいれば、作業感を覚える人もいるだろう。
根本のゲームデザインが人を選ぶ内容であるため、人によって楽しめるかどうかは少々意見が分かれる。
隙間時間の解消や暇つぶしとして遊ぶのであればピッタリな内容なので、一気にクリアしようとせずに、自分のペースでゆっくり進めていくのが、一番楽しめる遊び方かもしれない。


余談

発売元繋がりか、スクエニ関連の無料DLCの配信も予定されている。

  • トゥームレイダー』シリーズとコラボした無料DLC第1弾「トゥームレイダー特別依頼」が2023年1月31日に配信。
    • コラボ第1ステージは「ララ・クロフトの家(屋敷)一軒を掃除しろ」と言う凄まじいボリュームとなっている。リアルプレイで半日がかりを覚悟すること。
  • ファイナルファンタジーVII』とコラボした無料DLC第2弾「ミッドガル特別依頼」が2023年3月3日に配信。
    • 合計4ステージ。洗浄できるのは、
      クラウド達がミッドガルから出る時に使った「ハーディ=デイトナ&神羅sA-37式自動3輪」
      壱番魔晄炉で戦うことになる初ボス「ガードスコーピオン」
      神羅ビルに展示されている「ミッドガル全体模型」
      伍番魔晄炉で戦う「エアバスター」
      • いずれも入り組んだパーツが多く、多角的に洗浄することが求められる、実質の高難易度ステージといえる。
最終更新:2024年03月03日 08:57

*1 例えば「金属のサビはキレイに落とすが、その下の塗装は全く剥がさず新品同様の状態にする」など、汚れを落とすとかいう次元ではない状況も多々ある。

*2 フリーモードは何度でも繰り返し遊べる仕様だが、クリアしても報酬はないので、金策には使えない。