この記事ではGBソフト『ダブル役満』『ダブル役満Jr.』(実質的に同一作品)とその続編『ダブル役満II』について扱う。判定はいずれもなし


ダブル役満

【だぶるやくまん】

ダブル役満Jr.

【だぶるやくまんじゅにあ】

ジャンル テーブル(麻雀)

対応機種 ゲームボーイ
発売元 バップ
開発元 イマージュソフト (I.M.G.)
発売日 【無印】1993年3月19日
【Jr.】1993年8月19日
定価 【無印】4,500円
【Jr.】4,800円
プレイ人数 1~2人
判定 なし
ポイント メーカーは違ってもゲーム性は継承して発展形
ロジックだけでなくキャラの性格まで付けられた
名前は違ってもどっちも一緒


概要

1993年3月にバップが発売したゲームボーイソフトで2人打ちの麻雀ゲーム。
1989年4月に発売されたゲームボーイローンチの『役満』の続編のようなタイトルだが、こちらは任天堂発売のため特に関連はない。
上記作品と『雀卓ボーイ』(1992年1月発売・ナムコ)に続く3本目となるゲームボーイの麻雀ゲームである。

8月には『ダブル役満Jr.』が発売されているが実質同じものであるため本項目で同等に扱うものとす。


内容

  • 任天堂の『役満』同様2人打ちの麻雀ゲーム。
    • 上記作品の続編ではないため微妙な差はあるものの根本は麻雀であることに変わりはなく、画面構成も上記作品とよく似ている。
      • 違いは、チー、ポン、カン、ロン、リーチなどはBボタンで別ウインドウ出して選ぶ形。
  • まず最初にタイトルからゲームモードを選択。
    • シンプルモード
      タイトル画面から選択する。ルールは「デフォルト設定でBGMなし、相手はメンタンピン(詳細は後述)」という形ですぐ始めることができる。「シンプルモード」と言うより「クイックスタート」に近い。
    • 1-PLAYER
      この中に更に2通りのゲームモードがある。
      • マージャンハウス
        ルールを設定し、思考の異なる7人のCOMP相手にフリー対戦。各対戦相手とプレイヤーの得点が集計される。
      • トーナメント
        上記と同じCOMP7人とプレイヤー8人でトーナメントを行い優勝を目指す。
        プレイヤーが途中敗退しても、最後に誰が優勝したのか発表される。
    • 2-PLAYER
      通信ケーブルで対戦するモード。『無印』と『Jr.』でも対戦できる。
  • ルールをカスタマイズする。
    初期状態は「ハコテン終了」のみ「ナシ」で他は「アリ」。
    • 喰断
      喰った場合でもタンヤオ単体での和了を認める。「ナシ」にすると喰ってのタンヤオのみ和了ができない。
    • 後付
      「アリ」にすると役の後付けを認める。
    • フリテンリーチ
      「アリ」にするとフリテン状態でもリーチをかけられる。
    • 西入
      「アリ」にすると西場に入る。「ナシ」なら南場のみの半荘。ただし「ナシ」でも同点の場合は西場に入る。
    • ハコテン終了
      「ナシ」ならばマイナスでも無制限に行われる。「アリ」にするとハコテンになった時点で強制的に打ち切り終了(ただし1000点に満たなくてもリーチはかけられる)。
    • ノーテン親流
      「アリ」親がノーテンだった場合に親の権利が流れる。「ナシ」なら子が和了るまでは流れない。
  • ルールを決めた後でBGMを3通りまたはOFFの中から選ぶ。
    • 2P対戦時はお互いに別のBGMにすることもできる。
  • 上記以外の主なルール
    • カンしてもウラドラの追加はされない(表のみが増える)。
    • 5本場に突入した場合のリャンシバはない。
    • 複合役満が有効で、ダイシャリン、スウアンコウの単騎待ち、コクシムソウ13面待ち、大スーシー、チューレンポート9面待ちはダブル役満となる。
    • 親決めは最初にサイコロを振り奇数なら1P(プレイヤー)が親となる。
      • 2人対戦の場合スタートを先に押した方が1Pとなる。
  • その他特徴
    • 一発やハイテイ、ホオテイなどを決めると魚などが横切るデモ演出がある。
    • 役満で和了ったり和了られたりすると、それに応じた台詞が全画面で展開される。
    • 任天堂の『役満』と違って相手により自身の配牌が特殊になる場合がある。
      • 例えば後述の「オーオカエチゴ」相手の場合プレイヤーも役満狙いの配牌が来やすくなる。

COMPプレイヤー

  • 「メンタンピン」本名:諸葛伯 38歳
    リーチをかける王道なスタイルで、状況に応じて逃げもすれば、鳴きも使うなどオーソドックスなスタイル。
  • 「マリリン」本名:マリリン・メイヤー 19歳
    鳴きを多用してスピードで和了を目指す。
    プレイヤーがツモやロンをすると、泣き落としをかけてくるがAボタンで却下できるので特に問題はない。
  • 「コマチヒメ」本名:清原小町 18歳
    鳴きは一切せず、テンパイでもリーチをかけないダマテンスタイル。
  • 「イナヅマオリュウ」本名:那智龍子 18歳
    早い手で常にリーチをかけてくる攻撃的な麻雀をするが、裏を返せば常に降りないので守りは弱い。
  • 「バップおじさん」
    おおらかな性格で、人が勝つのを見て喜んでいるらしい。その通りにとにかく弱いので初心者向け。
  • 「マージャザウルス」本名:不明 50万歳以上
    スタイル自体は「メンタンピン」同様の王道なスタイルだが、和了率やドラが絡んでくる確率が高いので強敵。
  • 「オーオカエチゴ」本名:大岡恒盛
    「役満麻雀」を好んでいるため、普通の麻雀は打たない。
    とことん役満狙いなのは言うまでもないが、プレイヤーも役満狙いの配牌が来やすいので役満の応酬になりやすい。

評価点

  • プレイそのものの快適さ。
    • メーカーは違うもののゲーム性そのものは、ローンチとしてミリオンセラーを達成した上記作品と同じ。
    • チョンボが発生するケースに関してはシステムで拒絶する点なども初心者に優しい。
  • 細かいルール設定と、それぞれの個性ある思考ロジックを持った対戦相手。
    • 対戦相手は7パターンもあるのは非常に豊富。
    • ルールも任天堂の『役満』より細かい設定・変更が可能。
  • キャラクターの表情などが豊富でキャラの性格などが感じられる。
    • 開始前の台詞や役満和了時など、キャラがいろいろな台詞でその性格を見せてくれるので、その意味でもより楽しい。
    • このあたりはロジックによるキャラ付けはされていても、淡々と麻雀をするゲームでは味わえない。
  • タイトルの通り複合役満が有効になっている。

賛否両論点

  • 配牌まで恣意的な要素があるのでイカサマのように感じられる一面もある。
    • 『スーチーパイシリーズ』のように、それを主軸に据えているなら問題ないが正統派の麻雀ゲームとしては好みが分かれるところ。

問題点

  • 牌の並びが左から、ピンズ・マンズ・ソウズ・字牌に順に並んでいるのは少々慣れない配置。
    • 一般的な麻雀ゲームではマンズ・ピンズ・ソウズ・字牌の順番がデフォルトに近いので、わざわざこのような変則的に並べる必要性があるかと言われたら疑問。
  • 任天堂の『役満』から4年も経過していることを考えると少々ゲームモードが少なめ。
    • 上記作品同様の様々な相手とのトータルスコアを記録するモードの他に、トーナメントもあるなど進化はしているものの4年という長い歳月に見合うかと言われると少々物足りなく感じられる。
  • 「シンプルモード」の必要性が薄い。
    • 麻雀だけサッと始めたいという点では悪くないように思えるが、デフォルト+相手メンタンピンという程度なら、それほど手間もかからず始められる。
    • どころか、他の相手とやりたいのにスタートでシンプルモードを選んでしまったりしてやり直す方が多いことを考えると、このモードがカーソル初期位置になっていることが足かせに感じられる。

総評

メーカーは違えどタイトルの通り正統派で対戦のできる麻雀ゲームでプレイ環境の快適さという点でも『役満』(任天堂)を受け継いだような形で、キャラ要素なども加わった。
淡々と麻雀するだけだった上記作品ではなかったステージクリアのようなトーナメントモードができたなどプレイの幅も広がっている。4年が経過したご時世であることを考えると少々ボリューム面で物足りないところもあるが順当な+αを加えた発展形。


その後の展開

  • 『Jr.』発売から間もない同年9月19日には4人打ちバージョンの『ダブル役満II』を発売。
    • このソフトは『Jr.』のような同一なものではなく本作のゲーム性を引き継いで4人打ち化したものとなっている(後述)。

余談

  • トーナメントに優勝するとエンディングになるのだが、そのままだとスタッフロールにならずタイトルに移行する。
  • 本作のCPUキャラはそれぞれ細かいキャラ設定があり説明書で見ることができる。

ダブル役満II

【だぶるやくまんつー】

ジャンル テーブル(麻雀)
対応機種 ゲームボーイ
発売元 バップ
開発元 イマージュソフト (I.M.G.)
発売日 1993年9月19日
定価 4,800円
プレイ人数 1~2人
判定 なし
ポイント 『ダブル役満』の4人打ちバージョン
前作キャラは実質全員が続投で新キャラも続々参戦
折角の4人打ちなのに4P対戦ができない

概要(II)

1993年9月にバップから発売されたゲームボーイの麻雀ゲームで上記『ダブル役満』の続編作。
本作では4人打ちのスタイルに変更されている。

麻雀のルール設定などは根本的に上記作と同様のため、本項目では相違点のみを扱うものとす


相違点(II)

  • 麻雀のルール設定は前作と同じ。
    • BGMが3種類から選べる点も同じだが、曲自体は新しくなっている。
    • トーナメントモードは廃止され、任天堂の『役満』と同様、純粋に麻雀をしてトータルスコアが記録されるのみのゲーム性となっている。
  • 一般的な4人打ちの雀卓スタイルと同様上下左右に座っている形になっている。
    • プレイヤー自身は画面下部。
    • ゲームボーイの小画面では画面全体の表示は無理があるため、相手の手牌状況(喰っている牌)はセレクトで画面をスクロールして見る必要がある。
  • 点数はスタートボタンを押して別画面に切り替えて見ることになる。
  • 前作に合ったイッパツやハイテイなどで起きる演出のアクションデモは中央部で行われる。

ゲームモード

  • 「シンプルモード」が「クイックスタート」に名称変更。
    • 基本ルールはデフォルトで対戦相手は特定の8人(下記)の中からランダムで選定される。
      • 対象の対戦相手
        シキソクゼクウ
        スーレンホウ
        ナハトリヒテン
        ニャーロンロン
        メンタンピン
        マリリン
        コマチヒメ
        イナズマオリュウ
  • 「オプションスタート」
    • 前作同様にルールを決めて対戦相手を選択してスタート。
  • 「2-PLAYER」
    • プレイヤー2人とCOMP2人で対戦するモード。
    • タイトルでこれを決定した側が1Pとなり、ルールや対戦相手を選定する権利が与えられる。

COMプレイヤー

  • 対戦キャラは15人。「メンタンピン」「マリリン」「バップおじさん」「コマチヒメ」「イナヅマオリュウ」の5人は前作から続投で登場(特徴はそのままなので前作の項目を参照)。
    • 「マージャザウルス」は「ジュリアザラス」という名前に変わっている。
    • 新キャラは下記の通り。
  • 「シキソクゼクウ」本名:山田寛一郎 77歳
    安くても和了やすさ重視。鳴きを多用するが、リーチをかけてくるころもある。
  • 「スーレンホウ」本名:好蓮宝 25歳
    鳴きはあまり使わずダマテンで和了することが多いが「コマチヒメ」のようにそれに徹しているわけではない。
  • 「ペンタロウ」本名:一辺太郎 年齢不詳
    「バップおじさん」ほどではないが弱い。
  • 「ヨドヤニヘイ」本名:淀屋仁兵衛 66歳
    役満勝負を好み、役満狙いをしてくるが周囲の者にも役満が出やすい。守りは皆無に等しい。
  • 「ナハトリヒテン」本名:カール・ナハトリヒテン 31歳
    堅実な役作りで、和了はリーチによるものが多い。
  • 「ウインディ」本名:衣笠美果 16歳
    前作『ダブル役満』で麻雀を覚えたばかりということもあって弱いが、ツキが乗るとやたら連荘しまくる。
  • 「ハナダハナコ」本名:花田花子 5歳
    子供ながら天分があり純粋に強い。
  • 「ニャーロンロン」本名:戸籍上未確認 2歳
    基本的にはリーチをかけてくる王道なスタイル。「メンタンピン」を少し弱くした程度。
  • 「トクガワウコン」本名:徳川右近 28歳
    前作の「オーオカエチゴ」と特徴はまったく同じ。
  • 「ヨドヤニヘイ」か「トクガワウコン」を入れていると、役満狙いの配牌が高確率で来るようになる。

評価点(II)

  • 4人打ちにより、一層実戦に即したような形を実現。
    • それによりクイックスタートのワンパターン傾向も改善。
  • 対戦相手もバリエーションが更に増え、より個性的になった。
    • 前作のキャラも実質的に全キャラが続投しているような形なので、思考パターンでは完全な上位互換と言い切っていい。
    • 特徴が被っているキャラもいるが多少のクセの違いはあるため、まんま生き写しの手抜きと言うわけではない。
    • 役満時や開始時の台詞も相変わらず個性的。

問題点(II)

  • 折角の4人打ちなのに4人対戦に非対応。
    • そのため、その持ち味を活かし切れていない。
    • そこまで普及率が高くないとはいえ「4人用対戦アダプタ」が発売されたのは1990年10月と3年近くも前で、その後4人対戦対応ソフトも多々発売された後だけに時期的な無理があるわけでもない。
  • 元々前作の時点で1993年のゲームにしては中身の薄さが否めなかったが、トーナメントがなくなったことでより薄くなった。
    • もっとも、4人制で勝ち抜け方式をするとのっけから準決勝になってしまうし、前作同様最大3戦行うには63人ものCPUキャラが必要なので仕方ないと言えば仕方ない。

総評(II)

前作のゲーム性を引き継いで、そのまま4人打ちにしたのみのあたりさわりのない出来。とはいえキャラの増加でより思考ロジックパターンが豊富になった点は本格派の麻雀ゲームとして良い点。
1993年のゲームにしてはゲームモードの狭さが難点だった所に、トーナメントモードがなくなってより狭くなった点は4人打ちになった都合上、キャラが足りないということで許容はできても折角4人打ちのゲームなのに4人での対戦ができないのは持ち味を活かし切れていない。


その後の展開(II)

  • 次作品は1994年4月1日にスーパーファミコンソフトとして『スーパーダブル役満』を発売。

最終更新:2024年08月08日 20:21