TVチャンピオン
【てれびちゃんぴおん】
ジャンル
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アクション・パチンコ
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対応機種
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ゲームボーイ
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発売元
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ユタカ
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開発元
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トムクリエイト エレクトロニクスアプリケーション ピクセル
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発売日
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1994年10月28日
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定価
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3,980円
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プレイ人数
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1人
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判定
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クソゲー
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シリーズファンから不評
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ポイント
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玉の動きがやたらと鈍いパチンコ やる気のない選手が相手の大食い選手権
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テレビ東京関連作品リンク
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概要
原作は1992年4月~2006年9月までテレビ東京系で放送されていた競技方式の視聴者参加型バラエティ番組。
番組は「大食い王選手権」を筆頭にしたフィジカルの強さ、様々な知識、様々な職人の技術、レゴブロック・ミニ四駆・ゲームといったホビー系など手広いジャンルでそのチャンピオンを競い合うことで人気となった。
また番組ではその様々な知識を競うクイズもあり、その解答方法もユニークな趣向が取り入れられていた。
本作はその番組のゲーム化作品でゲームボーイソフトとして1994年10月にユタカから発売された。
内容
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番組では豊富なバリエーションがあったがゲームでは「全国大食い選手権」「激闘!パチンコ王」の2部門のみ。
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この両方を制するとエンディングとなる。
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因みにパチンコの方は「全国パチンコ王選手権」の第5回が発売当時行われたばかり(1994年9月8日放送)であった。
全国大食い選手権
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まず最初に、6種類の料理「ビフテキ」「スパゲティ」「ラーメン」「たこ焼き」「ピザ」「とんかつ」の中から好きなものと嫌いなものを決める。
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予選「わんこそばキャッチゲーム」
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上から降ってくるわんこそばをAボタンでお椀を上に向けて20個キャッチすればクリアー(予選突破)。
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落としてしまうと1個分がマイナスされ、落としたそばが残りそれを踏むと転んでしまうので以後障害となる(次に新しく落とすまでその場に残る)。
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本戦1ラウンド「サバイバル迷路ゲーム」
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真ん中に食堂があり、迷路内に散乱している料理を食堂に持ち込んで食べる。
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トータルで10ポイント分食べればクリアーでビリにならなければ突破。
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基本1ポイントだが好きなものなら2ポイントになり、嫌いなものを食べるとポイントが1マイナス。
大食いなら別に個人の好き嫌いは関係ないのでは?
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他の挑戦者も迷路内を徘徊しており、料理を持っていない者は持っている者とぶつかるとAボタン連打でのバトルとなり勝てば持っている料理を奪える。
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本戦2ラウンド「ドラッグ岡持ちめくりゲーム」
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いわゆる16枚の「神経衰弱」であるが、取ったカードで抜けた部分に新しいカードが補充される。
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カードは必ず大外に補充されるので角以外を取った場合、外のカードが内に向かって詰められる。
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ポイントは上記同様1ポイントで、好きな食べ物なら2ポイントで、嫌いなものを揃えるとマイナス1ポイントとなり、10ポイントで勝ち抜け(上位2名まで)。
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説明書によれば設定上では揃えるとそれを食べたと言う解釈になっているらしい。
やっぱり別に個人の好き嫌いは関係ないのでは?
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決勝「トライ オブ ウインダム」
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ここに来てやっとハッキリわかる大食いの種目で6種類の料理を完食を目指す。それぞれに最大量と時間が決められており食べ残しの少ない方が勝者となる。
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連打することで食べていく単純な種目だが画面上部に腹具合を現すゲージがあり、食べるほどこれも上がっていき満タンになるとギブアップとなり敗退。
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好きな品目はゲージの上りが緩やかで、嫌いな品目だと倍の勢いで上がる。
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連打を止めて休むと、ゲージがジワジワ回復していく。
激闘!パチンコ王
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典型的なパチンコシミュレーションゲームのような方式。
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予選
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1000発持ってスタートし3000発まで増やせればクリア(上位6名まで)。クリア時はボーナス玉が追加される。
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本戦1ラウンド
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1000発+予選ラウンド通過時のボーナス玉で開始し5000発まで増やせばクリア(上位4名まで)。クリア時はボーナス玉が追加される。
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本戦2ラウンド
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5000発+1ラウンドの通過時のボーナス玉-1ラウンドでの追加借り玉を持ち越して開始。1時間での持ち玉を競う。4人中上位3人が決勝へ、最下位は敗者復活戦へ。
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敗者復活戦
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手を動かしてランダムで出現するドル箱の上でAを連打して玉を掴み取りする。
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制限時間内に2500発以上掴み取れたら、その玉を持ち玉としてそのまま3位と入れ替わって決勝ラウンドに進出できる。
こんなラクな競技で入れ替えられるなんて3位通過の人は文句ブーブー必至だが…
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決勝
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2ラウンド終了時の持ち玉、敗者復活戦の場合はその競技で掴み取った玉(こちらは2ラウンドでどれだけ持っていようが無効)を持ち越してスタート。3人の中で最も持ち玉の多い者がチャンピオンとなる。
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予選ではハネモノが2種類のみだが、予選→本戦→決勝と進むごとに新しい機種が追加される。
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無制限に玉数のみを競う第2ラウンド以降で、もう打つ気がないなら時間をスキップできる。
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実際、番組でも上記の大会の前回にあたる「第4回全国パチンコ王選手権」(1993年12月16日放送)では、決勝ラウンドで序盤に出して逃げ切りが確定となったと同時に手を止めていた。
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機種ラインナップ
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うしべえ
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羽根物でモデルは「たぬ吉くん」(京楽)と考えられる。
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おおさかデンネン
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羽根物でモデルは「ビッグシューター」(平和)と考えられる。
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エスコート(本戦第1ラウンド以降)
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セブン機でモデルは「ルーキーパステル」(西陣)と考えられる。
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オールシーズン(本戦第1ラウンド以降)
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セブン機でモデルは「春夏秋冬」(西陣)と考えられる。
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ハートレディ(決勝ラウンドのみ)
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権利モノでモデルは「カーニバル」(ニューギン)と考えられる。
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うさちゃん(決勝ラウンドのみ)
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権利モノでモデルは「バレリーナ」(平和)と考えられる。
問題点
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特にひどいのが「激闘!パチンコ王」。
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元ネタである「全国パチンコ王選手権」は、ただ出玉を競うだけでなく釘読みクイズ(第4回)だったりサウンド当てのクイズ(第5回)だったりと様々な種目があったのに、本作にはそういったものは一切ない(ゲームボーイでパチンコのサウンドを再現するのは難しく、権利関係も絡むので非常に困難ではあるが)。
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パチンコそのものは出玉を得ることを目的とするゲームに違いないが、直近で行われた「第5回全国パチンコ王選手権」の第1ラウンドで「持ち玉無制限でいかに連荘させるか?」(機種は西陣の「CR花満開」)という最高連続回数を競う独自ルールで行われるなどパチンコそのものの競技でも一味加えておりただ出玉を競うだけではなかったのに本作ではただ出玉を淡々と稼ぐだけのゲームで、そういった番組らしい工夫は一切ない。
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玉の動きが信じられないほど鈍く、加えてパチンコそのものの玉の動きもまるでコンニャクでできているかのように釘に当って絡みながらずるんずるんと落ちていくだけでパチンコ特有の玉の動きとはかけ離れている。
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時間がそれに合わせて長く取られているが、ただ時間ばかりがダラダラかかるだけで鈍い玉の動きを見ているだけで眠くなりそうなほど。
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「全国大食い選手権」も、イマイチ実感がわかない。
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もともと大食い一本ではゲームが単調化してしまうのもあるだろうが、2ラウンド目の「ドラッグ岡持ちめくりゲーム」は説明書を読まなければ大食い競技であることすら感じられない。
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ゲームバランス面で問題になるようなものではないが、大食い選手権の方は挑戦者をプレイヤーが選ぶと言うのも滑稽。
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番組では予選から勝ち抜いてきた者と前回チャンピオンなのでプレイヤーに選ばせるのは不自然。パチンコ王同様ランダムで決まる方がまだしっくりくる。
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「サバイバル迷路ゲーム」では食品によっては見た目でわかりにくいものもある。
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もちろん、後述の通りCPUが弱すぎるので何も考えず手当たり次第に拾って食べていけば余裕で勝てるのだが。
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CPUが非常に弱く、まったく相手にならない。
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特にわかりやすいのが「ドラッグ岡持ちめくりゲーム」で、カードを全然記憶しておらず前の挑戦者がやらかしたミスと同じことを平然と繰り返す。
マイナスポイントになる嫌いな料理も、避けようとすらせず普通に取っていく。とどのつまり、ただランダムでめくっているだけでしかない。
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「サバイバル迷路ゲーム」では料理を取っても食堂に行かず向かおうとせずにウロチョロしたり、持っていないなら持っていないで率先して奪いに行くようなこともしない。更に嫌いな料理でも構わず持っていってしまう。
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「トライ オブ ウインダム」は特に考えず連打してゲージ満タン手前で休むだけの単純作業で圧勝できるほどヌルい。
料理の好き嫌いによる影響を唯一自然に表現できているとはいえ、それによる相手との駆け引きも何も必要としないのでは大した意味はない。
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そもそもゲームモードが貧弱すぎる。
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番組は概要の通り様々な分野での技や知識を競い合っていたため、数多くのジャンルが入り乱れていたのに、本作はたった2つだけしかない。
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これでは番組らしさが全然感じられない。知識の通部門は権利関係の絡みから難しいかも知れないが「寿司職人選手権」「手先が器用人選手権」「箸使い名人選手権」「汗かき王選手権」などは充分できそうではある。
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キャスティングは恐らく当時のMC田中義剛、松本明子、東ちづるの3名と思われるが、取って付けたようなこけし顔。
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恐らく肖像権を取得していないのであまり似せすぎてもまずいのだろうが即席で作ったやっつけ作業感が全面に出ている。
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プレイヤーキャラの顔は10種類も用意されているものの、ゲーム中でその顔が反映されているのは大食いの決勝とエンディングのみ。
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他の種目では全部共通のグラになっている。
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「サバイバル迷路ゲーム」や「パチンコ王」での台選びのようにグラ自体が顔がわからないほど小さいならまだしも、予選「わんこそばキャッチゲーム」ではちゃんと顔や性別がわかるようなグラなのに、太めだろうが女性だろうが、ヒゲ顔の男だろうが、オーバーウォールを着た普通の青年顔になっている。
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パチンコ王の機種ラインナップだけはそれなりにあるが見た目だけ人気機種を似せていながら確率変動も3回権利などもない手抜き仕様。
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通信対戦に非対応。
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番組の本戦は大体6人でスタートして、ラウンドが進むごとに1名ないし2名が脱落し決勝は2名または3名で競うというスタイルだったのでプレイヤー同士の対戦ゲームに向いたものであるにもかかわらずCPU相手の1人プレイ専用。
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そして上記の通りCPUプレイヤーはいずれも弱いため、せめてプレイヤーとの対戦ができれば少しはヌルさをカバーできただろう。
評価点
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選択できるプレイヤーの顔は老若男女10通りものバリエーションがある。
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これは当時のゲームボーイ作品ではかなり多い部類に入る。
総評
低性能ハードでソフトの小容量を考えれば多少はやむを得ないにせよ「激闘!パチンコ王」は既存パチンコゲームの劣化版で特に貧弱な出来。「全国大食い選手権」はCPUのロジックがまったくなっておらず雑に作ったとしか思えない。
様々なジャンルに基づいた競技でチャンピオンを決めることから人気だった番組であるにもかかわらず、その種目はたった2つだけと貧弱。特に番組の醍醐味として「クイズの解答権を得るためにフィジカルなゲームでバトルする」というのもあるのだが、それは一切取り入れられておらず番組の良さを活かした要素は皆無に等しい。
ムダに時間がかかる上にパチンコらしさも出せていないパチンコを採用するぐらいならとことんミニゲームのようなものに徹したり、それを織り交ぜたクイズゲームに徹した方がまだ番組らしいバリエーションを持てて違った印象になったかも知れない。
また折角大人数での対戦に向いた素材なのに4人用アダプターによる4人対戦どころか2人での対戦すらできずCPU相手の1人プレー専用という点も作り込み以前にゲームシステム構築の根本からいい加減さが感じられる。
余談
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本作は「第5回全国パチンコ王選手権」が行われた回、番組エンディングの直前で紹介された。
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一般人を対象にした「全国パチンコ王選手権」は第6回(1995年7月13日放送)が行われたのを最後に、その次のパチンコ大会は「全国スターパチンカー日本一決定戦」(1996年5月9日放送)としてパチプロのみを対象とした形にモデルチェンジしている。
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パチンコがパチプロ専用大会になった後は、本作同様「時間内の出玉を競うだけ」という単調な競技にどんどんシフトしていくことになる。
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ある意味本作のスタイルが番組に逆輸入されていくことになる…と思えるが、さすがに見せ場のポイントはちゃんと絞られているしスペックを紹介したり、そのリーチ演出等の解説がより詳しく入るようになった。もちろん選手もプロなのでプロらしい解説などもあった。
ただのオカルトで事実上何の攻略にもなっていないものも多々あったが…
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ゲームでは「全国大食い選手権」「激闘!パチンコ王」の両方を制することが目的だが、実際の番組ではそのような二冠はおろか両方の本戦進出者すら出ていない(予選でのエントリーがあった可能性はゼロではない)。
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1995年1月5日には『全国テレビゲーム王選手権』が放送された。
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しかし本作は当時発売されて間がない新作同然で番組そのもののゲームであるにもかかわらず出番はなかった。このようなお粗末なゲームなら番組側としてもなかったことにしたかったのだろう。
最終更新:2023年11月08日 13:46