ヨッシー New アイランド
【よっしー にゅー あいらんど】
ジャンル
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横スクロールアクション
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対応機種
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ニンテンドー3DS
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発売元
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任天堂
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開発元
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アーゼスト
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発売日
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2014年7月24日
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定価
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4,571円(税別)
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プレイ人数
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1~2人
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セーブスロット
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3個
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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シリーズファンから不評
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ポイント
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SFC版のエンディングぶち壊し タイトルとは裏腹に新要素少なめ 劣化した操作性と理不尽な仕様 隠しハテナ雲の嵐 入手できるかは運のタマゴメダル クリアだけなら難しくない
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ヨッシーシリーズリンク
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概要
SFCで発売された人気ソフト『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』の続編にあたる作品。
開発元の「アーゼスト」は『ヨッシーの万有引力』や『ヨッシーアイランドDS』を開発した「アートゥーン」の後継会社である。
前2作の評判から嫌な予感がしたファンは少なくなかったが、その予感は見事に的中してしまった。
特徴
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基本的なアクションはSFC版と変わらない。舌を伸ばして敵を食べ、タマゴを作って投げる。今回は敵を捕食したりタマゴブロックから出した際、ランダムで黄色タマゴや赤タマゴも出現するようになった(しかしこの点が問題点となる)。
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タマゴの投げ方には従来の「いけいけ」と「じっくり」に加え、3DS本体を傾けて狙いを定める「ジャイロ」がある。
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稀に巨大なヘイホーや鉄製のヘイホーが出現。これをボタン連打で飲み込むとタマゴも巨大化し、前者は土管などの仕掛けを破壊できる「メガタマゴ」に、後者は水に潜るのに必要な「テツタマゴ」となる。
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グラフィックはやはり手描き風で可愛らしく、大人も子供も親しみやすい。
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採点システムも存在しているが、今作ではスペシャルフラワー5個、赤コイン20枚、スターのお守り30の採点が別々になり、一度に3種類全てをパーフェクトにしなくても済むようになった。
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各ワールドの全コースでパーフェクト達成すると高難易度のスペシャルコースが解放される。
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ステージクリア時にルーレットが花で止まると、そのコースで入手したフラワーの数と同じ数の「タマゴメダル」が手に入る。集めると、乗り物を使ったミニゲームを楽しめる。
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変身も引き続き登場。SFC版から存在する「ヘリコプター」「せんすいかん」に加え、DS版から登場の「トロッコ」、そして今作で追加された「ききゅう」「さくがんき」「そり」がある。
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スーパーマリオブラザーズシリーズ同様に攻撃ボタンも押しておかないとダッシュが出来ない、二画面を駆使したせいで上下にも気を配る必要があるステージ構成といった『DS』の要素は廃止された。
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アクションゲームが苦手なプレイヤーへの救済要素として、同じコースで3回ミスするとヨッシーが空を飛べるようになる羽根が、4回目からは追加で無敵状態にもなる黄金の羽根が出現。使うかどうかは任意。
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ちなみに隠しボスは全ての通常コース(スペシャルコースは除く)を羽根を使わずにクリアしていないと戦う事ができない。ただし羽根を使った状態でクリアしたコースを改めて羽根を使わずにクリアすると、羽根を一度も使わずにクリアした扱いになるので後から再挑戦は可能。
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ネタバレ注意
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羽根を使った状態でクリアした通常コースがひとつでもある場合はラスボス戦はベビィクッパで終了だが、羽根を一度も使わずに通常コースを全クリアした状態だとその後大人クッパが時空を超えて登場する。
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そして大人クッパを撃破するとエンディングが変化し、今まで羽根を出してアシストしてくれたキャラの正体が大人マリオである事が判明する。
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問題点
シリーズものとしての問題点
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本作ならではの新要素が少ない。
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敵やギミックの殆どが初代で登場したものをそのまま流用しただけであり、目新しい要素が殆どない。
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そのくせ削られた要素も多いため独自の評価点もあるDSと違い、こちらは完全に初代の劣化にしかなっていない。
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新要素は前述したメガタマゴやテツタマゴ、モーフィング、1-4のハンマー、各種ボス、雑魚敵に至ってはマメさん程度という有様。
DSの頃はゲームバランスこそ不安定ながらも新要素を取り入れたり配置を工夫したりと努力の跡は見られたのだが……。
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なお上述した新要素の殆どはPVで紹介されている。
目玉要素の薄いゲームの宣伝にありがちな手法である。
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SFC版のエンディングをぶち壊すストーリー設定。
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この作品はSFC版のエンディング後のストーリーなのだが、その内容が「コウノトリが赤ちゃんのマリオとルイージの届け先を間違え、正しい届け先に向かう途中で再びさらわれた」という、身も蓋もないもの。SFC版の感動的なエンディングが台無しである。シチュエーション的にいえば初代をなぞること自体はある程度しかたないと言えるが、もう少し違った描き方はできなかったのだろうか。
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初代でマリオたちを助けたシーンと、スタッフロールで2人を運ぶコウノトリのシーンの間に本作が挟まれ、本作の事件が解決した後に初代のエンディングにおける「ヒーローたんじょう!」のシーンに繋がると強引に解釈することもできなくはないが……。
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操作性が初代と比べて悪い。本作が初プレイならさほど気にならないレベルだが、初代を遊んだ後に本作をプレイすると真っ先に気になる。
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立ち止まっている時に、後ろのタマゴを手に取ってから持ち上げるまでの速度が非常に遅い。本作ではタマゴが必要となる場面が非常に多い為ストレスが溜まる。
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実は歩いている時か上を向いている時であれば後ろのタマゴを手に取るモーションをキャンセルして素早くタマゴを持ち上げる事が出来るのだが、なぜ立ち止まっている時にそれが出来ないのか疑問である。
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舌を出した時や卵を作る時の減速も非常に急で後半のステージやスペシャルステージなど急かされる場面では特にネックになりやすい。
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卵を構えた状態で↓を入力すると構えをキャンセルできるのだが、空中でこれをやるとなんとヒップドロップを誤爆してしまう(過去作ではキャンセルのみ発動する仕様)。過去作に慣れている人は要注意。
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ダッシュ速度は初速が遅く、最高速になるまでに相当走らなければならない。
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踏ん張りジャンプの持続時間がかなり短く、難易度を無駄に上げている。さらに空中でダメージを受けると操作を一切受け付けず理不尽な落下死が多発する。
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変身時の移動はジャイロ操作のみで、アナログスティック操作ではできない。そのため、動かしにくい・見づらい・疲れる・外でプレイしにくいといった問題点を抱えている。
ゲームバランスの問題点
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ステージ自体は短いため、やり込まなければボリュームが薄い。
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やり込もうとすると前述した操作性の悪さや、後述する理不尽な隠しアイテムや仕様に悩まされることとなる。
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アイテムの隠し方が非常に投げやり。
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なんと8割ほどは触らないと発見できない隠しハテナ雲の中に隠されている。
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後戻りできない箇所や足場が不安定で落ち付いて探せないような場所にあったりと配置自体も嫌らしい。
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なんと1-1に初見殺し的に隠されているポイントがある。チュートリアルとなるべきコースでこれは……。
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しかし皮肉にもこの先待ち受ける理不尽な隠しハテナ雲ラッシュのチュートリアルになっているとも言える。
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いかにも怪しいポイントならともかく、明確な目印のない空中などに隠されていることが多いのもマイナス。
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加えて隠しハテナ雲発見の当たり判定自体も妙に小さい上に微妙に左右に揺れているものもあり、ちゃんと探したはずなのに触れることができずに見落としてしまうケースもある。
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また変身のミニゲームの中にも赤コインが隠されている。そのミニゲームはコースの途中の扉にあり、進行のためには嫌でも必ずやらないといけない。
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レールの上をただ走るだけのトロッコ、ただ上に上昇していくだけの気球はまだ簡単だが、それ以外の乗り物は別。全てジャイロ操作なので焦りがちになってしまい、画面が見づらく判別が難しくなるため時折後退しながら総当たりするしかない。しかし後退を繰り返すとほぼ確実に時間切れになるうえ、削岩機で壊す岩の中に隠されていたりもする。
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これらは前作が高難度なのを反省して難度を下げた結果なのだろうが、理不尽になってしまえば、意味がない。もっとも初代でもクリアするのならさほど難しくないものの100点を取るのは難しい仕様だったので、前作の新要素も評価も低く原点回帰をねらったつもりなのだろう。
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スターのおまもりの取得判定が狭くなり、食べて取るのが難しくなった。
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そのため、走って回収しようとして下をくぐってしまったり舌で回収しようとして空振りしたりといったことが頻発する。
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ハテナ雲から出現した際は雲にあらかじめヨッシーを重ねて素早く全回収するのがシリーズの基本なのだが、本作では出現直後にスターに判定がないのか、すり抜けてしまう。
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即回収したい場合はハテナ雲の上に位置取りヨッシーを左右に振ると比較的安全に回収できる、が判定自体小さいため慣れないと難しい。
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そもそもヨッシーのジャンプ力では雲の上までは届かないような場所に設置してあることも少なくない。
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そしてお守りが消滅する時間も過去作より早く、うっかりばら撒いてしまえば全回収は困難。
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おまもりの数に余裕のないコースもあるためパーフェクトを狙う際に非常にストレスが溜まる。
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新要素「タマゴメダル」の入手方法が完全に運頼み。
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ルーレットが花で止まるのが条件だが、スペシャルフラワーを5個入手した状態でゴールしても当たる確率は1/2。スペシャルフラワーが少ないと当たる確率・個数共に少なくなる。そのため、運が悪いと何度同じコースをクリアしてもタマゴメダルを一切入手できないことも。
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ある程度ルーレットの位置を予測してゴールすることはできるが、狙って当てることは難しい。
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同じコースでの入手制限はなく、既にタマゴメダルを入手したコースでも再クリアすれば何度でもタマゴメダルを入手できるのが救いか。
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なお、タマゴメダルを30個集めるとそのワールドの乗り物ミニゲームが解禁されるが、前述したようにジャイロ操作を強要するため有り難味が薄い。
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今作では土管内に隠されているスーパースターを取るとマリオではなくヨッシーがパワーアップし、壁やトゲの上を自由に駆け回る。
しかしそこにも赤コインやフラワーが存在し、時には壁から壁へ素早く飛び移らないといけないルートも出てくる。こちらも失敗すると時間切れ確実。
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しかし最後に赤いスターを取ると超高速で出口まで飛んでいき、その間は完全無敵となり狭い通路に密集した岩や敵をなぎ倒していく。そこに辿り着くまでに溜まったイライラも一緒に吹き飛ばしてくれる。
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タマゴの仕様が噛み合っていない。
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SFC版では投げたタマゴの反射する回数はどのタマゴも一律4回で固定となっていた。しかし本作では緑タマゴは2回、黄色タマゴは1回、赤タマゴは全く反射しない、とタマゴの色によって反射回数が固定となっている。
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さらに本作ではタマゴブロックや敵から卵を生成した際にランダムで黄色タマゴや赤タマゴができる仕様となっており、これが前述の仕様とひどく相性が悪い。アイテムを獲得する為にタマゴの反射が必須となる場面なのに赤タマゴしかない…といった事がそこそこ発生する。
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ついでに卵の取得判定もスターのお守り同様妙に小さい。タマゴブロックから出した卵を回収するのに無駄に手間取ってしまう。
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一部コースの難易度が理不尽。
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前述したようにヨッシーの動作一つ一つにワンテンポ遅れがあるため急かされるギミックと致命的に相性が悪い。
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DSほど鬼畜ではないものの、操作性が悪いせいで操作が思うように行かず思わぬ場面でミスをしやすいため難易度は決して低くない。
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主に飲み込みや卵投げの挙動によるミスが多いためアイテム回収を諦めクリアに徹すればそこまで難しくはない。
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ボスはタマゴ3発で倒せるようになっているが、さすがにラスボス・隠しボスまでタマゴ3発で終了というのはあまりにも味気ない。
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しかも一度ダメージを与えるたびに相手の攻撃と無敵時間が挟まれるために待ち時間が長くなり地味にストレスが溜まる。
その他の問題点
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BGMの質が低い。
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タイトル画面の曲は64版『ヨッシーストーリー』のテーマ曲アレンジになっているのだが、64版経験者を含めた多くのユーザーから大不評を買った。
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コースやボス戦のBGMは本作メインテーマのアレンジしか使われていないが、それも全体的に出来が良いとは言い難い。
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特に変身ミニゲーム中のBGMはマヌケでやる気が無くなるという意見すらある。
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それぞれ違ったアレンジがされているとはいえ曲のフレーズが同じなので聞き飽きやすい。
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同じく劣化していると評されているDS版の方が「音楽」として成り立っているだけマシであるという声もある。
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一応城のBGMはDSのような眠くなる単純なBGMではなくなり、おどろおどろしさが復活してはいる。
評価点
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完全クリアを最初から諦め、クリアだけに徹すればそこまで難しくはない。
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制限時間もない上に残機が増えやすく、使うとミスしにくくなる羽根による救済措置はある。
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ただ前述したようにやり込まなければボリュームが薄いので、シリーズ未経験者でも楽しめるかどうかは微妙なところである。
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前述の採点システム変更により、100点を取りやすくなった。
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DS版のように複数の赤ちゃんを入れ替える必要がなくなり、ゲーム進行の煩わしさが軽減された。
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グラフィックは非常に綺麗でヨッシーシリーズ最高と言ってもいいほど。絵柄もかわいく、ザコ敵も魅力的。
総評
開発元が実質『ヨッシーアイランドDS』と同様ということもありやや不安視されながら迎えられた本作であったが、その出来は予想をさらに下回るものであった。
劣化した操作性・理不尽な仕様・質が低いBGMなど問題点は数多いが、やはり初代と比較して評価できる点が殆どない事と、初代のEDを台無しにしたストーリーがシリーズ作品としてあまりに致命的であった。
ベースは初代なので初代未プレイであればエンディングまで一通りプレイする分には楽しめるかもしれない。操作性の悪さや不親切な仕様もコンプリートを狙わなければそこまで気にならない範囲ではある。
しかし、一通りプレイするだけではボリュームが薄く、やり込もうとするとこのシリーズを語る上で外せない探索収集の大半が完全に運頼みのタマゴメダルの入手と隠しハテナ雲を総当たりで探すことに終始し、さらに操作性や仕様が足枷になるとくれば魅力の半減は必至である。
本作ならではの見所・長所も無いと断言して差し支えなく、追い討ちとばかりにWiiUで初代のGBA版がバーチャルコンソール(2023年3月に配信終了したため、現在は購入不可能。SFC版はWii/WiiU共に配信されなかった。)で、そしてSwitchで初代のSFC版が『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』にて配信されている為、Switchを所持しているならば態々本作をプレイする意義は極めて薄いだろう。
余談
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海外のレビューではMetacriticによる平均点が64点と低い点数を記録した。
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又、任天堂イギリスがTwitterで「お気に入りのヨッシーゲームは何?」というアンケートをしたところ、本作はわずか5%で最下位であった。(参考)
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今作から、ポチのぶち模様が初代の公式イラストのものとは逆になっている。
最終更新:2024年07月20日 23:30