アイドルマネージャー

【あいどるまねーじゃー】

ジャンル ビジネス・シミュレーションゲーム



対応機種 Windows/MacOS/Linux(Steam)
Nintendo Switch
プレイステーション4
プレイステーション5
発売元 PLAYISM
開発元 Glitch Pitch
発売日 【Steam】2021年7月27日
【Switch/PS4/PS5】2022年8月25日
定価 【Switch/PS4/PS5(パッケージ版)】4,480円
【Switch/PS4/PS5(DL版)】2,480円
【Steam】1,980円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 良作
ポイント リアルアイドルシミュレーション
ブラックでシビアな芸能界


概要

  • ジャンルとしては「アイドルマスターシリーズ」に代表されるアイドルシミュレーションゲーム。しかし(基本的に)アイドル達のキラキラした青春を描くそれらとは異なり、「どんな手を使ってでも業界をのし上がるアイドル経営シミュレーション」を標榜する非常にドロドロした内容に仕上がっている。
    • アイドル同士のいさかい、スキャンダル、ゴシップ雑誌や極端なアイドルおたく、ライバルグループの妨害など芸能界の負の部分が多く描かれ体験版が公開されるや否や、ユーザーからは「闇のアイマス」と評された。
  • 全体的に日本の芸能界・アイドル業界がモチーフになっているが、開発元のGlitch Pitchはロシアのインディーデベロッパーである。
    • インタビューによるとすばり「AKBシミュレーター」をイメージして作成したとのこと。そのため「総選挙」「劇場」「握手会」などの実在のアイドル要素が含まれる。(4Gamer.netによる開発元インタビュー)

シナリオ

来たる「スポーツの祭典」を前に取り締まりを受け廃業となった風俗店の廃ビル。
単なる一介の若手マネージャーであった「プレイヤー」は、そのビルのオーナーで投資家でもある「不二本」に気に入られ500万円もの融資と1フロアをタダで譲り受け、念願のアイドル事務所の社長となる。

不二本の真意は一体なんだったのか、華やかなだけではない芸能界の世界に飛び込んでいく。


システム

  • 基本的な流れは融資された資金を元にアイドルやスタッフを雇い、テナントを借りて、仕事やCDを制作発売して、資金を稼ぐというのが一連の流れ。
    • 不二本から融資された資金「500万円」を元手に支出、売上を出しながら黒字にしなくてはならない。赤字が続くとゲームオーバーとなる。
  • ゲーム画面は高層ビルシミュレーション『The Tower』のような事務所の建物を横から眺める構成。ここにテナントやアイドルを配置していく。

アイドル

  • アイドルにはキュート、クールなどのパラメーターがあり*1、曲の相性によって、売上が変化する。またそれぞれスキルが設定されていて、スキルによっていじめに強かったり(鈍感)、恋愛に発展しやすかったり(恋愛体質)、様々なメリットデメリットを受ける。
    • アイドルのニックネームや外見や衣装をカスタムする事も可能。だが本名・表情・ポーズ等変更できないものもある。
    • アイドルにボイストレーニングやダンスレッスンを施し、アイドルが育てられる。
    • 事務所がSNSの投稿内容まで管理するのかや、スカートの丈なども設定できる。
    • スタミナはアクティビティを行うのに必要。疲れ切った状態で働かせるとメンタルが減少。スタミナが低いと負傷するリスクが上昇しメンタルが低いと塞ぎ込んでしまう。
    • メンタルはスタミナによる影響のほか、ランダムイベントの結果次第で上下することもある。また給料が低いと下がる。
    • いじめを受けているアイドルはメンタルが下がる。早急の解決が必要である。
  • メンバーを10人以上採用するとメイングループのメンバーの中で新しく姉妹グループを作ることができる。2つ目の姉妹ユニットを作成するにはメンバー20人以上必要。
    • 姉妹ユニットのメンバーはメイングループのシングルに参加できるが、姉妹グループに所属していないメンバーが飛び入り参加することはできない。
    • 姉妹グループのシングルは訴求したい層に対して研究ポイントを振ることができ、これを活用することでメイングループに比べてよりピンポイントにファンを増やすことが出来る。
    • 一度加入させると1年間は所属先を変更できない。
  • アイドルたちは概ね「20歳」を過ぎると引退してしまう。引退したアイドルはその後の動向によって語られるが、「野球選手と結婚する」「広告会社に転職する」という正統派の卒業後の進路から「キャバクラに勤務」「消息不明」と言ったやたら生々しいものまである。
    • しかしそのアイドルに対して影響力を上げておけば引退を引き伸ばすことも可能。一気に時間を進めることは出来ないので実行するのは大変だが、その気になれば30歳を過ぎてもいつまでも活動させられる。アイドルは、やめらんない!
    • また同じ容姿の後継者や双子の妹を紹介してもらったり、スタッフとして雇うことも可能。

プロデュース

  • オーディション
    • 「地区」「ブロック」「全国」の3つの規模があり開催するたびに採用候補が5人提示される。採用人数は自由で、採用せずに終えることも可能。
      • アイドル候補には「ノーマル」「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」の四種類があり、後者の方が能力も高い。オーディションの規模が大きいほど高ランクのアイドルの卵が見つかりやすくなる。
    • 規模が地方ブロック以上のオーディションは、1度開催するとクールダウン期間を終えるまで次のオーディションを開催できない。
      • このクールダウン期間は資金か研究ポイントを支払うことで即座にリセットする事も可能。
    • なお、ストーリーモードでチュートリアルをオンにした場合、最初のオーディションでゴールドランクのアイドル候補が確定で1人出現する。
  • 会話
    • アイドルと個別で会話することができる。
    • 雑談をすると親愛度を上げることができる。親愛度を上げると下記のようなディープな会話をしてくれる。
    • 人間関係を聞くと「〇〇には彼氏がいる」などの他のアイドルのゴシップネタを教えてくれる。
    • 「センターにしてほしい」「番組を持ちたい」など希望を聞き、叶えると影響力が上がる。
      • 影響度が上がるとイジメをやめさせることができたり、彼氏と別れさせることが可能である。
      • だが、首謀者をはっきりとさせた上で、イジメを行っている派閥のリーダーに対してやめさせないといじめは止まらない。
    • 影響力を使って、別のメンバーの弱みを探らせると、そのメンバーへの影響力が上がる。
    • 親愛度が上がればアタックして恋愛関係になることも可能。「恋愛度」のパラメーターになり「恋愛度Lv1」になるとデートに誘える。Lv5だとアイドルとの結婚ルートに行くことができるが、どのキャラとも恋仲になれるわけではなく、未成年(18歳未満)の場合アタックできない。メンバーの性的対象にならない場合はアタックしても友好度が下がってしまう。
    • 後輩がいるアイドルに指導を頼むと、後輩のトレーニング速度が上がる。
    • いつ頃の卒業を考えているかも尋ねることが可能。あらかじめ聞いておく事で先の計画を練る楽しみができる。
  • CD制作
    • 作詞/作曲/編曲/振付、どのアイドルをセンターに据えるか、何人組で歌うのか、そして何枚刷るか。これら全てをプレイヤー自身がプロデュースし、CDを制作してリリースする。
    • プロデューサー一人で全て行うことも可能。
    • シングルのステータスは参加するメンバーの能力により決定し、フォーメーション設定時にセンターに近いメンバーほど寄与度が高くなる。
    • メンバー間の仲の良さに応じて「メンバー結束力」が変動し、いじめが起きていると曲の出来に悪影響がでる。
    • 前回のシングル発売からおよそ1ヶ月以内に新しいシングルを出すと売れ行きが落ちる。例外として、姉妹グループ名義とメイングループ名義で出すシングルの場合は互いに影響しない。
    • 総選挙後にトップ10メンバーのみで構成されたシングルを1枚企画することができる。
  • アクティビティ
    • 公演、宣伝、スパが選択可能。一日一回のみ。「ファン1000人」など項目を達成し、レベルアップすると効果が大きくなる。
    • 公演は資金を、宣伝はファンを獲得でき、スパは体力を回復できる。
  • 研究ポイント
    • スタッフ達が何もしてないと自主的に研究して貯まるポイント
    • ポイントが貯まると、他の宣伝方法、別のジャンルの曲の制作ができるようになる。
  • アワード
    • 毎年の7月15日に開催される表彰式。
    • 各部門のアワード(受賞)・ノミネート条件を満たすとボーナスが得られる。
    • アワードの前日、受賞スピーチで誰に感謝させるのかを選ぶことができる。誰に感謝させるかで恩恵が変わる。
  • スペシャルイベント
    • 総選挙、ワールドツアー、コンサートの三種類あり、成功すると大幅な利益を挙げられる。それぞれ企画、調整、リハーサルを行う必要がある。
    • 総選挙の場合はCD発売とコンサートを行う必要がある。
  • コンサート
    • 5曲以上のシングルをリリースするとコンサートを行える。クールダウン期間は1ヶ月。
    • 会場の規模、チケット代、誰がセンターで歌うか、何曲歌うか、休憩時間を作るかを決めることができる。
    • ライブの設定を終えたら、企画、調整、リハーサルを終えるとコンサートを開ける。
    • ボルテージの値が高いと追加の売上が出き、予想ボルテージより高いボルテージにすることができれば、計画段階の予想売上を超える。
    • ボルテージは曲・休憩トークの数やイベントで増減する。
    • アクションカードがスタッフの能力によって獲得でき、ボルテージを上げたり、トラブル発生率を下げることが可能。
    • コンサートトラブル
      • 「マイクから音が出ない」などトラブルが起こることがあり、1曲ごと(トーク休憩含む)に成功失敗の判定があり、失敗すると2択のイベントが起きる。
      • センターのスタミナが多ければ多いほど発生確率は低くなる。
  • 総選挙
    • 新しいシングルとコンサートを計画している段階で、アイドルが5人以上稼働している状態で開催できる。クールダウン期間は3ヶ月。
    • 流れとしては、シングル発売→2週間後にコンサート→コンサート終了後に総選挙。
    • 総選挙では順位に介入でき、自分の好きなアイドルを一位にすることも可能。
    • 総選挙終了後にトップ10のみで構成された総選挙シングルを1枚企画することができる。
    • ファンの規模によって中継の規模を選ぶことが可能。
  • ワールドツアー
    • アメリカやヨーロッパやアジアなどで海外でコンサートを開くことができる。クールダウン期間は3ヶ月。
    • 制作費やチケット価格は国によって変動する。
    • 同じ地域で複数の国を巡れば、移動費を削減することができるが、スタミナが多く消費される。
    • 80%以上の集客率があれば、次回はより大きな会場でコンサートを開ける。
      • だからといって毎回同じ国で開いていると、今度はマンネリしているということであまり集客できなくなる。
  • スキャンダル
    • 恋愛やSNSトラブルなどの不祥事を起こすとスキャンダルポイントが溜まってしまい、売り上げ等に影響が出やすい。
    • 問題児のアイドルを解雇したり、スタッフに責任を押し付けたりするとスキャンダルポイントが減る。

事務所

  • テナント
    • ダンス室、レコーディング室や医務室などを建設できる。作るにはテナント料がかかる。最初に借り受けたフロアから離れるほど高い賃貸料が課せられるので、この点も考慮して配置していく必要がある。
  • スタッフ
    • マネージャー、ダンスコーチや作曲家などを雇える。スタッフには能力の違いがあり、能力が高いと給料が多くなる。
  • 宣伝活動
    • マネージャーに仕事を見つけてきてもらい雑誌に出たりテレビに出たり、ネット配信を行ったり。多種多様な仕事を受けてファンを増やせる。
  • カフェ・メディア・劇場
    • 事務所ではシングルCDリリースはもちろん、カフェ・劇場・総選挙・番組制作などさまざな業態で自由な運営が可能。
    • ラジオ、インターネット番組、テレビ番組を企画することができる。毎週コストが必要だが、視聴者数に応じて収入も入る。

評価点

  • リアルなアイドル模様
    • アイドルマスター』などの疑似アイドルシミュレーションのゲームはあったが、それらの作品よりも出来る限り リアルに作られている。
    • アイドルに御法度の「恋人」や「スキャンダル」などのシステムが組み込まれており、アイドルシミュレーションとしてはより現実的になっている。
    • アイドル達も夢ばかり言ってられない現実という部分が多く描かれる。20歳を過ぎて引退し、その後人生がアイドルによってはかなり厳しい人生を歩んでいることも描かれる。
      • これは現役時代も同様で、「スキャンダルがバレる」「握手会でオタクに思わず引いてしまい炎上の火種に」「BL趣味が発覚しそうだがどうするか」「配信で荒らしに反応してしまった」といったリアリティのあるイベントが多数盛り込まれており、プレイヤーを悩ませてくる。
    • 『アイドルマスター』においては少々非現実的な部分があるが、*2そういったものが無い部分も評価されている。また、華やかな芸能界だけでなく、芸能界の闇の部分が描かれるというのも本作のオリジナリティの一つである。
  • 自由度が高い
    • ある程度の資金繰りができるようになると、アイドルを好みのグループにすることが可能。可愛い系の王道アイドルでもいいし、セクシー系の大人向けのアイドルなども可能。色々なアイドルプロデュースができる。
    • さらに、楽曲、ダンス、宣伝方法などもテーマごとに選べて、自分だけのアイドルたちをプロデュースできる。
    • コンサートも自分の好きなアイドル達を好きな楽曲で編成しオリジナルのライブをすることも可能。
    • 曲の種類も多く、「クール」「キュート」という王道的なテーマの曲から、「反抗」「ファンク」という重いテーマの物、更には「政治」とアイドルとは関係の薄そうなテーマまで作れる。 どんなアイドルだよ…
    • 番組作りも人気司会者を呼んだり、自分の好きなテーマ、好きなメディアで制作することも可能。
      • これら全てには自分でグループ名やタイトルを決めることができ、プロデュースするアイドルにテーマを持って名付けていけば愛着も一入。
    • 引退したアイドルはスタッフに雇えるので最終的にはスタッフも全員元アイドルの会社を作ることもできる。
    • 後述の恋愛要素も「恋愛OK」や「恋愛NG」にするなどこちらも自由度が高い。
  • シナリオ
    • シナリオは丁寧に作られており、引き込まれるものがある。不二本の過去や東京で行われる国際的スポーツイベント*3を巡る一連の政府の思惑、囚人のジレンマ*4などの心理学要素も含まれており、内容の質は良い。
      • シナリオもライバルルートや不二本ルート、記者ルートなど何周もできるようになっている。フラグ立てに失敗するとその時点でシナリオが終了してしまうものもあり一筋縄では行かない。
      • 無事にエンディングを見ることができるとルートに応じたユニークキャラがアイドルやスタッフとして加入する。
  • 恋愛
    • アイドルに恋愛はご法度であるが、アタックして恋人にすることが可能。そのまま結婚することはもちろん、何股することすらも可能である。無論、記者にバレてBADエンドになることもある。結婚してからも場合によっては離婚することもあり、油断できない。
    • アイドル達は可愛く、自分好みに設定できるのでギャルゲーとしての要素も充実している。
      • 交際中のアイドルはデートに誘うことができるのだが、このイベントのパターンも意外と豊富。
  • 人間関係のシミュレーション
    • グループ内のいじめは会社の上司や女子校の教師になったような感覚で解決できる。
    • いじめられているアイドルに尋ねても答えてくれないので、一人ずつ聞き取りしていじめの首謀者を探るという妙にリアルなやり取りを行う事に。そして最終的にはいじめを行ったメンバーをクビにして問題解決という方法も取れる。
      • 首謀者が売れっ子なら逆にいじめられているアイドルをクビにしたり姉妹グループに移籍させ、とりあえず表面上の平和を保つという選択肢も。むしろこの方が手っ取り早かったりする。
    • 他にも師弟関係を結んだり、恋仲に発展したり多様な人間模様が見れる。
    • 事務所内ではアイドル達が各々動き回り、眺めているだけでも楽しい。上に関連して、時にはいじめやメンバー間の恋愛の現場を目撃してしまうこともある。
  • 経営シミュレーションとして
    • 働かせ過ぎると怪我をしてしまうので、医療室を設置する、スタミナの残量で仕事を選ぶなどの配慮も必要でアイドルを管理する会社経営ゲームとしても楽しめる。
    • 会社の収益を安定させるだけなら下記の通り、序盤を乗り越えれば加速度的にヌルゲー化していくのだが、ヒットチャートのランキングの上位を狙うなら話は別。様々な仕事を通じてグループもアイドル個人も幅広い層に訴求しなければ、本当の意味でトップアイドルの座に立つのは難しい。
    • また、「アイドルマスター」ではあくまでファンの獲得のみが目的だったが、本作はアイドル経営を通じたお金のやり取りもゲーム性となっている。
    • スタッフの給与は固定だがアイドルの給与はプレイヤーが手動で設定することが可能で、最低賃金を大きく下回る給金で働かせることも出来る。メンタルが下がるなどデメリットはあるが、序盤の資金繰りが厳しい時期にはやりがい搾取で頑張ってもらう戦略が非常に有効で、ユーザーの間ではブラック事務所を経営するプレイが横行し本作の黒さを象徴する要素となった。
      • 冒頭であげた開発元インタビューでも「プレイヤーがアイドルの幸せを気にせずに消耗品として扱い、利益だけを追求することを前提にしたゲームバランスにしている。ただし難易度は上がるがアイドルの幸せを両立させるプレイングも可能である」と答えている。
  • 難易度
    • 難易度には破産が発生しない「ルーズ」、資金繰りが厳しくなる「リスキー」があり初心者からヘビーユーザーまで満足できる。
  • Modサポート
    • Steam版は公式にModをサポートしており、登場するアイドル、イベント、髪型・衣装パーツなどを変更可能。好きなコンテンツでこのゲームをプレーしたいという欲を叶えてくれる。

賛否両論点

  • 資金繰りのバランスが極端
    • 序盤は弱小事務所らしく非常に経営が厳しく、漠然と経営しているとアイドルに払う給料にも事欠く赤字になりがち。シングルは刷る枚数の判断を誤ると生産数に対して全く売れず、悲惨なことになる。
    • しかしシングルを5曲リリースしコンサートが開催出来るようになると状況が一変。チケット代はプレイヤーが決められるのだが、10万円など無茶な金額に設定しても哀れ、アイドルオタク達は何故か文句を言いながら購入してしまい、一気に莫大な利益を獲得することが出来てしまう。
    • またテナント「劇場」を設置すると月始めに料金×契約数分の資金を獲得出来るアイドルの動画配信サブスクを始めることが出来る。普通の料金設定でもファンの数が多ければ十分な副収入になるのだが、こちらも無茶な金額に設定することが可能。あまり高いと徐々に契約を解除されてしまうが月末にいきなり値上げすることでファンに気づかれずに支払わせられる。詐欺だろ…。
      • この2つを悪用すると、どんどん黒字になりリアリティもへったくれも無くなってしまう。ただし自由なプロデュースはお金があってこそ成り立つものではある。
      • もちろん現実的なチケット代でファンに優しいアイドル事務所を経営することも出来る。
  • 意外と闇要素は薄い。
    • 前述の通りやりがい搾取で働かせたり、アイドル同士でいじめが起きたりと様々なアイドルの闇がフィーチャーされ、実際そのように宣伝されている本作だが、攻略的な観点で見るとむしろ如何に早くアイドル達を闇から遠ざけ、会社をホワイト化するかが重要でロールプレイ以外で敢えてブラックな芸能事務所を続ける意味はなく、このような要素を期待してプレイすると肩透かしを喰らう。
  • 育成があまり必要ない
    • グループ全体のファンの数さえ多ければ個人に対してはレッスン等は必要なく、能力の低く、歌が上手くない、ダンスが下手なアイドルでも売れることは可能。 それはそれでリアル
    • その為、わざわざ低ステータスなアイドルをレッスンするぐらいなら仕事を入れ、資金に余裕が生まれ次第ゴールドやプラチナランクの優秀なアイドルと入れ換えてしまった方がゲームとしては効率が良い。
      • しかし低ランクと高ランクの差は初期値のみで絶対的な差はないので、愛着のある弱小アイドル達を石からダイヤモンドに磨きあげていくのも一興ではある。

問題点

  • 企画
    • テレビ番組や曲、コンサートなどの企画は全てプロデューサーが行うため人間関係の調整が必要な時は少々面倒。例えばいじめ発生中の犯人探しの会話とCD制作を連動するのが大変である。マネージャーなどに企画業務ができるようにできれば楽なのだが。
  • 休暇
    • なぜか休暇というコマンドがなくひたすら仕事・待機・レッスンが主な作業である。
    • 一応エステで回復ができるが、普通に休暇というコマンドが欲しい。 労働基準法とは…
  • 経営のダレやすさ
    • 純粋に利益を上げてファンの数を稼ぐことのみを目的にプレイしているとある程度進んだ段階からはひたすらシングル発売→コンサート開催→オーディションで更に高ランクのアイドルを集めてグループを拡張する、の繰り返しに終始しがちで増えていく数値を眺める以外の楽しさが見出せないと飽きやすい。
  • オファーのバランスの悪さ
    • シングル発売とコンサートが圧倒的に稼げる一方でテレビ、ラジオ、インターネットのメディア番組は直接利益を得られないので、売り上げが赤字になることが多く、メディア番組をやる意味があまりない。ファン獲得目的として見ても、番組ではあまりファンを獲得できない。
    • カフェ経営もメンバーのスタミナ管理や新メニューの開発など手間が掛かる割に実入りが乏しい。
    • 広告・ドラマは何か月も拘束される上に、スタミナ消費が多くスキャンダルが起きると違約金を支払わされるとこちらにメリットが少ない。リアルだと1番影響力がありそうなのに…。
      • 総じてこれらの仕事は事務所経営を行う上でのロールプレイ要素程度の存在になってしまっていて、プレイヤーの頭の中でプロデュースするアイドルのイメージ像を持っていないと、攻略的には敢えて選ぶ必要が薄い。
    • 一方で写真撮影の仕事は、拘束時間が短くスタミナの消費が低く終わればすぐお金が受け取れて、現実に比べて異常に効率が良く序盤はほぼこれだけ受ければいいレベル。
  • アイドルの種類が少ない
    • 20〜30パーツの顔と髪、服装がランダムに生成されるのだが、パターンが少ないため既存のアイドルと被ることが多く、良くも悪くもMODによる拡張を前提としているところがある。
  • ニューゲームは既存のデータを消さないとできない。
    • セーブデータがすでに存在している場合は、そのデータを消さない限りニューゲームができない
    • そのせいでライバルルートのデータを消さないと他分岐ルートを遊べない状態になっている。
  • 処理落ち
    • 事務所の中で動き回るアイドルを常に描画している関係で、一定数のアイドルを所属させると徐々にゲームの動作が重くなっていく。
      • 特にSwitch版は深刻でアイドルが30人を超えた辺りから非常にもっさりした状態になり、事務所の下から上へ画面を移動させるだけでもカクつき、メニューを開けばフリーズしたかのように固まり進行に一苦労することになる。
      • ストーリーモードをクリアする範疇ではここまでアイドルを増やすことがないのが救いか。
  • UI
    • 元々PCゲームなので、コントローラーだと少々コツのいる操作が必要である。

総評

既存のアイドルを題材としたゲームとは一線を画する、華やかなだけではないリアルな芸能界の雰囲気が味わえる意欲作。
経営シミュレーションとしてはやや底が浅いきらいがあるが、管理するリソースが生身の人間である「アイドル」というゲーム性は唯一無二。
開発者は「(このゲームにおいては)アイドルは利益を追求するための消耗品である」と語っているが、そのアイドル達にプレイヤーがプロデューサーとして感情移入することこそが、このゲームの真骨頂だと言える。アイドル達に巻き起こる様々な悲喜交々に他の経営シミュレーションにはない人間ドラマを見ることが出来る筈だ。

余談

  • OPとED曲は地下アイドルの代表格で界隈では高い知名度を誇るアイドルグループ「仮面女子」が担当。
    • ゲーム内でもメンバーがキャラクターボイスで出演している。
  • 製品版ではレーティングの都合で没になった 主にセンシティブな イベントがいくつか存在し、Steam版ではこれらのイベントを復活させるMODが公式で配布されている。

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SLG PLAYISM
最終更新:2025年01月11日 00:12

*1 キュートとクールはあるがパッションは無い。ボーカルとダンスはあるがビジュアルは無いとアイマスから意図的に一つ外したような構成になっている。

*2 ネット社会である現代において記者一人で人気が左右されるなど

*3 当然オリンピックであるが名称は出てこない。

*4 「お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる」現象を指す言葉