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グランツーリスモ6

【ぐらんつーりすもしっくす】

ジャンル オンラインカーライフシミュレーター
対応機種 プレイステーション3
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 Polyphony Digital
発売日 2013年12月5日
定価 通常版:6,648円
ダウンロード版:6,195円
15周年アニバーサリーボックス:7,600円
PS3本体同梱版:24,743円
プレイ人数 1,2人(オンラインプレイ時最大16人)
レーティング CERO:A (全年齢対象)
判定 良作
ポイント 15周年を迎えた『グランツーリスモ』の集大成
シリーズ最多の1200台以上の車種を収録
粗が多かった前作から順当に進化
シリーズでもトップクラスの攻略テンポの良さ
月面と月の重力を再現したコースを収録
グランツーリスモシリーズ
PlayStation Studios作品


概要

ドライビングシミュレーターの金字塔『グランツーリスモ』シリーズのナンバリングタイトル第6作目。
シリーズ最多の1200台以上の車種と40ロケーション・107レイアウトのコースが収録されている。
この他、粗が多かった前作から様々な要素が追加・改善されている。
また、『5』に引き続きオンライン対応となっており、様々なオンラインサービスが楽しめた。

パッケージ車両は、2013年に満を持して発表された「シボレー コルベット スティングレイ (C7)」。


特徴・評価点

  • A-Spec/B-Spec
    • 自分でクルマを運転するA-Specと、監督となってAIドライバーを勝利に導くB-Specの2つのモードが存在する。
    • ただし、B-SpecはVer1.16(2015年2月)からの追加要素であり、初期バージョンではA-Spec固定だった。
  • シリーズ最多の1200台以上の車種が収録されている。
    • 収録台数が1000台以上と非常に多かった前作だが、今作では更に200台以上の車両が追加され、1200台以上の車種が収録されている
      この収録車種はグランツーリスモシリーズどころか、レースゲームやドライビングシミュレーター全体で見てもトップクラスの量である
    • 今作の新規収録車種は、前作のフェラーリ・ランボルギーニの収録ほどのインパクトはないが、年代・国籍問わず幅広く収録されている。
      当時の最新車両であるNSXコンセプトや3代目バイパー、ファン垂涎のRX500やシェルビー デイトナコブラ等、多種多様な車両が収録された。
      今作でプレミアム化した車両も多く、ブガッティ ヴェイロン、ザウバー メルセデス C9、トヨタ2000GT等は好評を以て迎えられた。
    • また、前作は初回限定版や何らかの周辺機器の特典であり、入手困難だった特別仕様車も、今作ではほぼ全て導入されている。
      特に前作で非常に入手ハードルが高かったアウディ R8 クロムラインは、価格性能比に優れており実用性が非常に高い。
    • リストラ車種もなくはないが、事情が察せられるものを除けばジネッタとジェンセンの2台程度であり、批判の声は少ない。
  • Vision Gran Turismo
    • これまでGTシリーズでは『4』にてナイキとのコラボレーションによる「NIKE ONE」や『5』にて「GT by シトロエン」や「レッドブル・Xシリーズ」など、実在企業とのコラボレーションによる架空車両の制作を度々行ってきたが、GTシリーズ15周年記念として各メーカーに「各メーカーが考えるグランツーリスモ」のテーマの元コンセプトカーを制作してもらい、それをGT6に収録する企画。
    • 基本的にゲーム内だけの車両ではあるが、フルスケールモデルや実走可能なモデルが制作された車両もある等、現実世界への影響も大きい。
      一例として第1段の「メルセデス・ベンツ AMG Vision Gran Turismo」は、2017年の映画「ジャスティス・リーグ」に登場している。
    • 当初は1年間程度の企画とされていたが、プロジェクトの長期化に伴い、次回作『SPORT』を超え現行作『7』でも企画が進行中である。
  • 新規コースが多数追加され、合計で40ロケーション・107レイアウトを収録。時間変化・天候変化に対応したコースも増加している。
    • 今作ではリアルサーキットに更なるテコ入れが施されており、有名な「シルバーストン」「バサースト」「ウィロースプリングス」等から、知る人ぞ知る「アスカリ・レース・リゾート」まで、多数のリアルサーキットを新規収録。後に「レッドブル・リンク」も追加されており、また前作とは違ってアップデートでの無料追加となった。
      その上で前作のサーキットはほぼ全て続投しており、前作で有料DLCだった「もてぎ」「スパ」も今作ではデフォルトで収録されている。
    • オリジナルサーキットは、カートコース「グランツーリスモアリーナ」とバリエーションが豊富な「マッターホルン」を新規収録。
      更に、前作では惜しくも収録が見送られた「アプリコットヒル」「ミッドフィールド」が復活し、従来作のファンを大いに喜ばせた。
      また、ニュルブルクリンクを超える超ロングコース「サーキット・デ・ラ・シエラ」も非常にユニークだとして好評であった。
  • トラックパスエディター
    • Ver 1.21から追加された。前作の「コースメーカー」に当たる機能だが、いくつかのパラメータを設定して自動生成という作成方法であった前作とは違い、ゼロから自分でルートを作成できるようになった。
    • コースの作成には「トラックパスエディター」というアプリが必要であったが、2018年3月にオンラインサービスを終了したため、現在はダウンロード不可。
  • 天体シミュレーターの実装
    • 前作からの時間変化システムをさらに一歩進め、コースの緯度経度データを元にある日のコースの天体の動きを再現。
    • 正直言われなければ気づかないようなものではであるが、細かい所も妥協しないポリフォニーデジタルのこだわりを感じるシステムである。
  • シリーズでもトップクラスのテンポの良さ
    • 今作はレースやスペシャルイベントで賞金をかなり稼ぎやすくなっている。その為、高額な車も歴代シリーズに比べると比較的容易に購入できるようになった。
    • 更に、耐久レースにかかる時間が大幅に緩和された。24時間耐久レースは24分間耐久レースとなり、時間経過を60倍にすることで疑似的に24時間耐久レースを再現するようになった。
  • 挙動の改善
    • 前作から挙動モデルを一新、リアリティがさらに向上した。
    • シリーズで初めてパーツメーカーとの協業を行い、横浜ゴムとタイヤモデル、KWオートモーティブとサスペンションモデルの開発を行い、リアリティの向上に一役買っている。
    • 空力のシミュレーションに関しても、実車からのデータ収集を通して、大幅な改良・改善が施されている。
  • グラフィックの改善
    • 適応型テッセレーションの実装により、カメラが車両への接近に伴い、車両のモデルに使われるポリゴンが細かく分割されるようになった。
      この最適化により、前作から更にグラフィックが進化している。そのグラフィックは次世代機のPS4にも引けを取らない程である。
    • また、HDRのダイナミックレンジを前作比で50倍に拡大、色味やボケ具合などがさらにきれいになった。
  • スタンダードカー/プレミアムカーの区分の廃止
    • 『5』では過去作からブラッシュアップしたカーモデルを「スタンダードカー」、新規作成のモデルを「プレミアムカー」として明確に区分していたが、今作では(ゲーム内においては)その区分が無くなった。
    • これによりフォトトラベルにおいてもスタンダードカー(相当)、プレミアムカー(相当)両方、すべての車を写真撮影出来るようになった。
    • しかしながら区分を表記しなくなっただけであり、基本的にはモデルは引き継がれているので状態としてはさほど変化していない。
  • 一部のスタンダードカーが、プレミアムカーと見紛うほどのモデリングに改善された。
    • 前作ではスタンダードカーはPS2時代の3Dモデルが流用されていたため、プレミアムカーと比べてグラフィックに大きな差があった。
      しかし今作では、先述のプレミアム化した車両とは別に、一部車両のグラフィックが作り直され、クオリティが大幅に向上している。
      これらは通称「セミプレミアムカー」と呼ばれ、インテリアこそ未実装だが、エクステリアはプレミアムカーに決して引けを取らない。
      車両によってバラつきこそあるが、三菱 FTOやトミーカイラ ZZ-S、 シボレー C2型コルベット Z06等は特に美しいグラフィックを誇る。
    • 前作のNA型ロードスターは2台のみプレミアム相当だったが、今作ではMX-5を含む全車がプレミアム相当に引き上げられている。
      これはNA型ロードスターのモデリングが全車共通な事を利用し、スタンダード相当だった車両に前作のモデリングを反映させたためである。
      あくまでエクステリアのみでありインテリアまでは再現されてないが、それでもこういった形のモデリング流用は好意的に見られている。
      また、各MX-5はボディペイントを施すとストライプが現れるようになっている。模様も全車異なり、細かな差別化の試みがうかがえる。
      加えて三菱 FTO等は、スタンダードカーは装備不可能なカーボンボンネットが用意される等、プレミアム相当の扱いを部分的に受けている。
  • 全ての車がディーラーから買えるようになった。
    • 前作までは中古車・プレゼントカー限定の車があり、更に中古車はランダムで入れ替わる、イベント制覇で貰えるプレゼントカーは全くのノーヒントのために、好きな時に欲しい車が買えない問題点があった。
  • レベル制からステージ評価制へと変更。
    • 前作はレベル制が採用されており、レベルが低いうちはスポーツカーすら買うことが出来なかったが、
      今作ではレベル制が廃止されており、Cr.(お金)さえあれば好きな車をいつでも買うことが出来るように改善された。
    • また今作はメニュー構造が簡略化され、レースイベントに参加して「スター」を獲得することでゲームキャリアが進んでいく、カジュアルゲームのような様式を採用。スターは1つのレースイベントにつき最大で3つ獲得でき、「レースに出場」、「3位以内でフィニッシュ」、「1位でフィニッシュ」という3つの条件がある。
      • レースだけでなくライセンスもキャリア進行に組み込まれているため、ライセンスがないとレースに出られない仕様が復活している。しかし今作は各ライセンスの試験数が5つと歴代作品と比べてもかなり少なく、難易度自体もやや抑えられているので、レースに出るまでのハードルが下がっている。ただしゴールドタイムを狙おうとすると難易度は相応に高くなる。*1
  • レース開始前のロード時間が大幅に短縮された。前作では約数十秒かかっていたロードが、今作では約10秒以内には終わるようになっている。
    • ロード画面も、前作は黒画面にコース名とロゴ、そして進捗バーだけという簡素なものであったが、今作はアニメーションを交えた画面になっており、体感時間も減少している。
    • 本体・ネット回線によるが、初回起動時はパッチのダウンロード・ゲームデータのインストールに結構時間がかかる*2。前作と同様、画面上に表示される残り時間は当てにならない。
  • レース中のUIが一部改善された。
    • 前作はタイヤの消耗がゲージのみで表現されていたが、今作はタイヤの隣に「0-10」の数字が表示されるようになり、どれくらいタイヤを消耗しているかが分かりやすくなっている。交換したばかりのタイヤは「10」だが、タイヤが消耗すると数字が減っていくようになる。
      また、現在装着しているタイヤの種類も表示されるようになっている。例として、スポーツ・ハードを装着しているときは「SH」と表示されるようになっている。
  • 前作では消耗品だったペイントアイテムが、今作から何度でも使用可能になった。
  • 前作には存在しなかったチューニングパーツ「ナイトロ」が復活した。
    ただし価格のわりに効果が強力だった『4』の反省か、今作では50万から1000万に値上がりしている。
  • 自発的に探してみないと気付きにくい評価点だが、今作ではホイールやエアロパーツ等のカスタムパーツが新規に多数追加された。
    一例として前作にも収録されていた「三菱 i-MiEV」は、2012年のパイクスピーク仕様を再現できるエアロパーツが用意されている。
  • スペシャルイベント
    • 『レッドブル Xチャレンジ』
      • 2010~13年のF1チャンピオン、セバスチャン・ベッテルのレクチャーを受けつつ、フォーミュラカーのドライビングを段階的に学ぶモード。
        今作ではスペシャルイベントではなくなっており、ゲーム内では独立したイベントとして扱われているが、便宜上この項目で紹介する。
      • 今作では「レッドブル X2014 ジュニア」「レッドブル X2014 スタンダード」「レッドブル X2014 ファンカー」の3台が収録されている。
        性能的には「ジュニア」は現実世界におけるF3に相当し、「スタンダード」はF1に相当、「ファンカー」は説明不要の最速マシンである。
        まずレーシングカートから開始され、レッドブル X2014 ジュニア→同スタンダード→同ファンカーと徐々にステップアップしていく。
      • 前作のXチャレンジはベッテルのタイムとゴーストをそのまま使っており、PS3作品全体でも最高峰の難易度と語り草になっていた。
        一方で今作のゴーストは「ベッテルを模したAI」になっており、難易度が大幅に低下、練習すれば十分クリアできるバランスに改善された。
        また、今作のXチャレンジはアップデートでの追加となっており、仮にクリアできなくともプラチナトロフィー解除に影響しなくなっている。
      • 今作のXチャレンジは資金稼ぎの側面も持ち合わせており、ジュニアでは約7000万、スタンダードだと1.15億を30分程度で稼ぐ事ができる。
        勿論相応のドライビングテクニックを求められるが、オンラインサービスが終了した現在でも十分な額の資金を稼げるようになっている。
    • 『グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード』
      • レースゲーム初収録となるコース「グッドウッド ヒルクライム」を使用して、イギリスで開催される伝統あるカーイベント、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードを疑似体験できるイベント。
    • 『月面探査 ~LUNAR EXPLORATION~』
      • 1971年7月、アポロ15号が月面着陸した際に走った月の探索ルートを月面車、ルナロービングビークル LRV-001を用いて走るイベント。
      • レーシングシミュレーターから離れたゲーム感あふれる内容とは裏腹に難易度は高め。地球の1/6である月の重力を再現した上で、本イベント専用の挙動エンジンを開発しており、車両の接地感はかなり低い。更に月面フィールドには岩がゴロゴロしており、乗り上げただけであっという間に転倒してしまう。
      • なお、このコースはイベント専用であり他の車種で走行することはできない。
    • 『アイルトン・セナ・トリビュート』(Ver 1.08で追加)
      • 「音速の貴公子」こと伝説のF1ドライバー、アイルトン・セナの半生をたどるイベント。
      • セナが操ってきたマシンを用いてタイムアタックを行う。また、セナのキャリアを紹介するムービーも鑑賞できる。
    • 『シエラ・タイムラリー』(Ver 1.12で追加)
      • 全長約27kmを誇るオリジナルの超ロングコース「サーキット・デ・ラ・シエラ」を走るイベント。
      • 走行距離に応じて加算されていくスコアを競う。コースにはプレイヤー以外の敵車も走行しており、追い抜くとスコアの倍率が加算される。連続して追い抜くとコンボとなり倍率がどんどん上がっていくが、接触やコースアウトをしてしまうと倍率が戻ってしまうため、速く走ることはもちろんいかに多くの敵車をきれいに追い抜いていくかが高得点の鍵となる。
      • スコアとは別に制限時間が設定されており、こちらはチェックポイントを通過すると加算される。コースを1周完走するか、残り時間が0になると終了。

賛否両論点

  • グレード・性能・国籍等の細かい違いだけで、別々に収録されている車種が多い。
    • これは前作の項目でも述べているが、従来作は日本版・北米版・欧州版で内容に差があったのを、前作から全世界共通の内容にしたため。
      例えばNA型ロードスターを残して、その海外版であるMX-5を削除してしまうと、MX-5に慣れ親しんだ海外ユーザーから反発を買ってしまう。
      こういった反発やオンラインプレイの弊害を避けるための処置であるが、事情を知らないユーザーからはただの水増しだと非難されやすい。
    • ちなみに、前作では車両国籍が販売国であり、その設定に少なからずミスがあったが、本作では全てメーカー国籍に変更・改善されている。
    • また、車種によっては日本向けと海外向けで購入可能なボディカラーが異なる(日産マーチ/マイクラなど)、NA型のマツダMX-5・MX-5ミアータに限りボディペイントを施すことでストライプが出現する(しかも異なる車名・グレード全てに個々のデザインが用意されている)等、ある程度の使い道や需要があるといえる。
  • 「GT AUTO」にて、洗車やオイル交換をする際のアニメーションがカットされている。
    • 『4』と『5』ではGT AUTOのスタッフが自分の車に対し、洗車やオイル交換する様子がアニメーションで分かるようになっていたのだが、今作からその演出がカットされ、初代から『3』までの演出に近くなった。
    • アニメーションがカットされたことでテンポ自体はよくなったのだが、アニメーションが無くなってしまったことを残念がる人も少なくない。
  • 本作はナンバリングタイトルでありながら、オープニングテーマにシリーズお馴染みの『Moon Over The Castle』が使われていない。
    • スピンオフといえる『コンセプト2001』、『4』及び『5』のプロローグ版及びPSP版では同テーマが使われていないが、ナンバリングタイトルで使われていないのは今作が初。
      ファンにとってはグランツーリスモシリーズのオープニング=『Moon Over The Castle』と言っても過言ではなく、いつものテーマでない事に違和感を覚えやすい。
    • とはいえオープニング自体は非常に高品質であり、使用されている嘉生大樹氏の『All My Life』も文句の付け所がない名曲である*3
    • またネタバレになるため詳細は伏せるが、オープニングに使用されていないというだけで『Moon Over The Castle』自体は本作でもとある場面で使用されており、そこではしっかりとプレイヤーを盛り上げてくれる。
      • ただし、本作で使用されているのは『5プロローグ』及び『5』版であり*4、本作のために新たにアレンジされた『Moon Over The Castle』は存在しない。オープニング同様ナンバリングタイトルで新規アレンジが用意されなかったのは今作が初。

問題点

  • 今作は発売日時点では複数の要素が未実装の状態であり、アップデートで段階的に追加するという形を取っていた。
    • この内イベントの追加等は、ゲーム全体のバランス・ボリューム・資金稼ぎの兼ね合いもあるため、致し方ない側面もある。
      GPSビジュアライザーやコースメーカー等については、外部会社との共同開発のため、実装に遅れが生じてしまうのも止む無しだろう。
    • 問題なのはコミュニティ・クイックマッチ・ゴーストのリセット等、基礎的な要素・システムが後になって実装された事である。
      これらの多くは前作の時点で実装されており、今作では延期しなかった事も相まって「発売を急いだのでは」と邪推される結果となった。
    • 特に前作では最初から実装されていたB-specは、発売から1年2か月が経過してようやくの実装であり、流石に遅いと言わざるを得ない。
      今作のB-specは前作とのそれとは全く異なるゲーム性・システムに昇華されており、それ故に開発が長期化したものと思われるが…。
      • 次回作『SPORT』以降ではB-specは廃止された。
  • 前作のコースメーカーではダートorスノーコースも作成できたが、今作の「トラックパスエディター」は舗装路コースしか作成できない。
    「鈴鹿サーキット」のような立体交差のあるコースも正規の方法では作れない。一応やろうと思えばできるが、少々バグじみたやり方となる。
    ただし舗装路に絞られた反面、「0から自由にコースを引ける」等、前作から劇的な進化を遂げている部分もあり、一概に退化とも言えない。
  • 同じハードなのである程度仕方ないことであるが、前作『5』とあまり変わり映えのしない内容。
    • 相変わらずプレミアムカーとスタンダードカーでグラフィックの差がかなり激しい。一部のスタンダードカーのグラフィックは改善されたとはいえ、PS2からのモデル流用が完全になくなったわけではない。
      • GT5で初登場だった「ジャガー XFR '10」についても、モデリングがスタンダードカー相当のままであり、プレミアムカー相当にリモデリングもされていない。
    • 前作に引き続き、エンジンサウンドのバラつきが非常に激しい。
      • 前作の途中から作られた車両は、シャシーダイナモを使ってエンジンサウンドを収録しており、これについては問題ない。
        しかしそれ以前の車両のサウンドは、基本的に『4』以前の流用であり、シャシーダイナモを使って収録した車両と比べるとどうしても劣る。
        あまりにも膨大な量の収録車種であり、現在ではまともな個体を探すのも難しい車両も多いため、致し方ない事ではあるが…。
    • 前々作『4』からの問題点である、ローリングスタートの際にスタートまでの時間がかかる点が改善されていない。
    • 山内一典氏へのインタビューによると、前作『5』発売直後から『6』の開発が水面下で始まっていたようである。余談だが『GT4』の時、ゲーム雑誌のインタビューでは「偶数タイトルは毎回苦労する」とコメントしていた。理由は、同じハードでありながら前作より進化しなければならないというプレッシャーがあるからだそうある。
  • 最初に購入する車両が「ホンダ フィット RS'10」で固定されている。
    • ゲーム開始時の所持金300万Cr.以内で買える車両の中には、フィットよりも高性能な車両が存在するにも拘わらず、他車両を購入できない。
      これまでのシリーズ作品でも初期所持金額による購入可能車種の制限はあったものの、特定車両の購入を指定されるのは今作が初となる。
      シリーズ初心者が車両選択に悩むか極端に性能が低い車両を購入し、レースで勝てずに詰む事を防ぐ措置と考えられる。
    • もっとも、このフィットは初心者が扱いやすいFFレイアウト、かつスポーツグレードの「RS」なので、チョイス自体は全く間違っていない。
      所持金300万に対し車両価格170万なので、仮にレースに苦戦したとしても、お釣りの130万でライトチューンができるよう配慮されている。
      性能も最序盤のイベントを問題なくクリアできる高さであり、その頃には2台目を購入できる資金も溜まるため、大した問題点にはならない。
    • 本作で最初に購入出来る車両が固定なのは不評だったのか、ナンバリング続編の『7』ではフィット、アクア、デミオの三車種から選べるようになり、選択の幅が多少広がっている。
  • ガレージには500台までしか収容できない。
    • 普通に考えれば充分多いのだが本作に登場する1200台以上もの車を納めるとなると、コレクション用の「ストックヤード」といったものも用意されており、それを使うしかないのだが、この「ストックヤード」の上限が9999台と、ガレージとの差が極端すぎる。
    • そのためか、「ストックヤード」の出入り(ロード/セーブ)に数分位かかるなど、使い勝手も良いとは言えない。
  • PS3本体の負荷軽減のためか、ピット作業の描画が簡略化されており、ピットイン時は視点が強制的に車内視点に固定される。
    • これにより、タイヤ交換の様子がかなり分かりづらくなっている。
    • 次回作『SPORT』以降ではハードの性能が向上したことにより、ピット作業の様子がリアルに再現されている。
    • ピットイン時は人間がピット作業する様子が描画されるのは『4』が初である。『3』以前のタイトルはピット作業は無人状態だった。

総評

『グランツーリスモ』シリーズ15周年に相応しいシリーズの集大成の作品。
特に収録車種は1200台以上、コースは40ロケーション・107レイアウトが収録されており、『グランツーリスモ』シリーズ最大級のボリューム。
粗が多かった前作から様々な要素を改善した本作は、まさに「リアルドライビングシミュレーター」の1つの完成形と言えるだろう。


余談

  • 本作のPS4版も制作・発売される予定があったがこれは実現されず、次回作『グランツーリスモSPORT』に移行する形となった。
    • マルチプラットフォームでの発売は2022年発売のPS5/PS4用ソフト『グランツーリスモ7』がシリーズ初となる。
  • 「Vision Gran Turismo」は当初は28社が発表されていたが、先述の通り、プロジェクトの長期化に伴い次回作以降に持ち越された。
    今作では何らかの事情で「アルファロメオ」「ベルトーネ」の2社が辞退し、その後「ミニ」が参入、最終的に16社のVGTが収録された。
    ちなみに今作におけるVGTは、ダッジ/SRTの「トマホーク ビジョン グランツーリスモ」が最後の収録となった。
  • 本作のスタンダードカーの中には、プレミアムカー相当にまでモデリングされていないにもかかわらず、プレミアムカー相当の待遇を部分的に受けている車がある。
    • 例えば「マツダ デミオ スポルト '03」のエアロパーツ「専用ウィング」が、他のプレミアムカーと同様、「汎用のデザインではなくその車のデザインに沿った専用のもの」も選べる点、「クライスラー プロウラー '02」では車内視点にするとメーターが動いている点、など。
      • 後者については、屋根のないオープンカーはたとえスタンダードカーであっても、構造上の理由からか車内視点が用意されているのだが、大抵は「アウトウニオン V16 タイプC ストリームライン '37」のように、メーターは動作しない。
最終更新:2025年01月15日 07:42

*1 特に、最後のライセンス試験であるS-5が難しい。試験車は『ブガッティ ヴェイロン 16.4 '09』で、1000馬力を超えるスピードと重い車重のせいでブレーキが効きづらく曲がりにくいため、挙動に慣れるまでは苦戦必須。

*2 最短でも3時間弱かかる。また、ディスクに傷が付いているかディスクドライブが不調だとインストールが上手くできない場合がある。

*3 嘉生氏は『3』の頃からグランツーリスモシリーズに楽曲を提供し続けており、『5プロローグ』及び『5』のVer 2.0で変更された新OP曲も担当している。

*4 厳密には『5プロローグ』版には新規のイントロが追加されているが、新規アレンジとはみなされていないようで、ミュージックプレイヤーの曲名も「GT5 Prologue Version」となっている。