ゴールデンアックス・ザ・デュエル

【ごーるでんあっくす ざ でゅえる】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 アーケード(ST-V)
セガサターン
発売・開発元 セガ・エンタープライゼス
稼動開始日・発売日 【AC】1995年2月21日
【SS】1995年9月29日
プレイ人数 1~2人
判定 ゲームバランスが不安定
ゴールデンアックスシリーズ


概要

セガが発売した名作ベルトスクロールアクション『ゴールデンアックス』の対戦格闘。
時系列的には『ゴールデンアックス デスアダーの復讐』の80年後となっている。
セガサターン互換基板である「ST-V」のデビュー作でもある。


特徴

基本的なシステムは一般的な6ボタン系の対戦格闘のシステムに準じているが、本作固有のシステムとしては以下の通り。

  • 画面上には時折シーフが登場しており、攻撃を加えると肉やポーションを落とす。
    • 上記のポーションを5つ集めてパンチボタンかキックボタンを3つ同時押しすると一定時間パワーアップ及び超必殺技であるハイパーマジックが利用可能な状態になる。
      • ハイパーマジックはパワーアップ中であれば何度も繰り出すことは可能。
+ 登場キャラクター一覧
  • カイン・ブレード
    • 本作の主人公で、戦災孤児であったが高名な剣士に拾われ成長した剣士の青年。自分は剣を持ったまま戦って死ぬ事を理想として、ゴールデンアックスを巡る戦いに身を投じた。長剣と炎の魔法を使う。
  • ミラン・フレアー
    • ウィンドウッド王国の王女。ティリスの妹の子孫にあたる。デス・アダーによって王国に危機が迫った事でゴールデンアックスを巡る戦いに身を投じる事になった。曲刀と風の魔法を使う。
  • ギリアス・ロックヘッド
    • かつての英雄ギリアスの名を受け継いだドワーフの勇者。大地の魔法も使えるパワフルな斧使い。ゴールデンアックスを悪用されないように封印するために戦いに赴くことに。
  • ジャム
    • 獣神デガースに拾われ育てられた女の子。強力な爪使い。育ての親であるデガースを甦らせるためにゴールデンアックスを探し求める。
  • パンチョス
    • 発明マニアの肥満体の大男。発明をくり返すうちに強力な爆弾が完成。ゴールデンアックスの噂を聞きつけ、それが何でできているかに興味を持ち参戦。
  • グリーン
    • 並大抵でない体力と生命力を持っている森に住む巨人族。彼の一族はデス・アダーの下で奴隷として望まぬ戦いを強いられていたが暴動により唯一の生き残りになり、処刑されそうになったところを人間の少女に助けられ、人間になるためにゴールデンアックスを求める。
  • ドク
    • 遥か東方の島国へ渡り剣の腕を磨いた剣士にして医師。恋人がデス・アダー軍の手によって殺されたことで仇討ちに乗り出す。
  • キール
    • 劣等感から強さを求めて狂戦士と化したハーフエルフ。一度は仲間たちの手により氷漬けにされて封印されるが、デス・アダー軍の手によって覚醒。敵味方の区別なく怒りと狂気の赴くままに暴れまわる。短剣二刀流と氷の魔法を使う。
  • ゾマ
    • すべてが謎に包まれている魔術師。得意の魔術で相手を翻弄する。何故ゴールデンアックスを求める戦いに赴いたのかも謎。
  • デス・アダー
    • シリーズおなじみの悪の帝王。巨大な斧使い。プレイヤーキャラとして使用する際は通常の斧だが、CPUで中ボスとして対峙する際にはゴールデンアックスを携えて襲ってくる。
+ ボスキャラクター
  • ゴールデンアックス
    • デスアダー撃破後に残されたゴールデンアックスが人型となった形態。行動は比較的シンプルだが火力はラスボスにふさわしい高さ。

評価点

  • キャラクターの個性自体は悪くなく、バリエーション自体は凝っている。
    • 新キャラクターは野生児の少女、東方の剣術使い、異様な風貌の魔術師、創作では比較的珍しいハーフエルフの狂戦士などとなかなかに個性的であり、シリーズに新しいキャラを取り込もうとしている姿勢は評価できる。
      • とはいえ、これが後述の問題点にも引っかかってくるが…
  • 演出自体はなかなかに派手。
    • 特にハイパーマジックの演出はその絶大な威力にふさわしく派手なものが多い。
    • 各キャラのスプライトやステージ背景のクォリティも前作同様非常に高レベル。
  • BGMの評価も優秀。
    • 基盤の音源性能も相応に向上し、BGMの完成度もアップ。どの曲も各キャラクターのそれぞれのイメージにマッチした楽曲となっており評価は高い。
    • SS版ではCD-DA音源で収録という形式変更に伴いアレンジされており、さらに重厚なBGMとなっている。

賛否両論点

  • キャラクターデザイン
    • 本作は過去作品よりも若干対象年齢層を下げたとみられるところがあり、過去作と比較してアニメよりの画風にして新規プレイヤーには比較的とっつきやすいデザインには仕上がっている。
    • 反面、過去作からのシリーズファンにとっては硬派な世界観の雰囲気が薄れたことによる違和感もぬぐえない。

問題点

  • 登場キャラの人選
    • 初代作主人公モチーフキャラの3人とデスアダーはいるものの、それ以外は歴代シリーズにはいないタイプの新顔ばかりで『ゴールデンアックス』らしさがいまいち*1
    • また、デスアダー陣営のプレイヤーキャラクターはデスアダーのみしかいないため、デスアダー陣営の強大さが感じられないのも問題。
      • これだったら過去作の雑魚キャラであるズブロッカやバド兄弟やハイネケン准将のモチーフキャラなどをデスアダー陣営のプレイヤーキャラクターとして入れたほうがよかったという声も。
  • 難易度が高い
    • CPUの反応がかなり早く、2戦目からすでに超反応を繰り出してくるために厳しい戦いを強いられる。
    • まともに進むためにはハメ技を使わないと厳しく、そのハメ技を駆使しても反応が早いためになお厳しい戦いを強いられる。
  • ハイパーマジックの仕様
    • ベルトスクロールアクションの仕様を引き継いだともいえるのだが、対戦格闘というジャンルにおいてはアイテムを拾わないとゲージを溜められないというのは立ち回りにも影響するために食い合わせが良いとは言えない。
      • その上ハイパーマジックを複数回出せるといってもパワーアップの持続時間が短い割にハイパーマジックの演出時間が長いために実質複数回繰り出すことは現実的ではないため、ほぼ死に設定と化している。

総評

初代ゴールデンアックスのMD版移植で対戦モードが比較的好評だったこともあり対戦格闘にした着眼点は必ずしも悪いものではなかったのだが、いかんせん個性に乏しく当時多数発売された2D格闘の中に埋没した感はあった。
加えて対戦格闘としてもCPU戦のバランスがかなりきつめで、難易度の高さによるとっつきにくさもあってインカムでも評価はいまいちであった。
もう少し練りこみがあれば化けていたかもしれないだけに惜しい作品でもある。


余談

  • 本作のジャムに関しては野生児の女の子という点で『真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変』のチャムチャムと被ってしまっている。
    • これについては開発者も先に似た様なキャラを出されて悔しい思いをしたとのこと。
  • 本作以降、セガの自社発売の対戦格闘ゲームは『バーチャファイター』などの3D格闘ゲームへ軸足を移すようになった。
    • セガが自社発売作品で2D格闘ゲームを出すのは2014年の『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』まで大きく間が開くことになる。
最終更新:2025年06月14日 16:14

*1 一応、グリーンはイメージ的には前作のゴアがモチーフ、パンチョスの武装はシリーズ下級雑魚のヘニンガーに酷似という要素はあるが。