バランワンダーワールド

【ばらんわんだーわーるど】

ジャンル ワンダーアクション


対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション5
プレイステーション4
Xbox Series X/S
Xbox One
Windows 10(Steam/Microsoft Store)
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 スクウェア・エニックス / アーゼスト
発売日 2021年3月26日
定価 7,678円(税込)
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
備考 PS4版はPS5版への無料アップグレードに対応
MS Store版はスマートデリバリーに対応
国内One/XSX版はダウンロード専売
判定 クソゲー
ポイント 2021年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門大賞
無駄に制限の課せられたアクション
欠陥だらけの衣装システム
面白味が全く無いバランチャレンジ
ストーリーが説明不足
世界観・キャラデザ・BGMは好評
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧


概要

スクウェア・エニックスから発売された完全新作の3Dアクションゲーム。
ディレクターはかつてセガに所属していた中裕司氏、キャラクターデザインは『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』のソニックや『ナイツ NiGHTS into Dreams...』で知られる大島直人氏*1、開発は初代社長であった石井洋児氏*2を始め元セガの開発者が数名ほど在籍していることで知られているアーゼスト*3と、元セガ所属のスタッフが多数関わっている作品。

開発を担当したアーゼストは、設立以来携帯型ゲーム機向けタイトルを中心としており、本作は2017年の『BOOST BEAST』以来の据置機向けタイトルにして、本格的な3Dプラットフォーマーゲームとしても同社初となる。

ただ配信された体験版の評判が悪く、アーゼストが手掛けた他のアクションゲームも出来のよくない物ばかりだったため、発表時点で警戒する向きもあったのだが…。


ストーリー

物語の舞台は、人々の心の中の幸せな記憶や想い(ポジティブ)と、
満たされない悩みや不安(ネガティブ)とが入り混じった、
不思議な心象世界「ワンダーワールド」

謎のマエストロ バランによってワンダーワールドへと導かれた
少年レオと少女エマは、この世界で「大切なモノ」を探す旅に出ます。

失われた「心のバランス」を取り戻し、現実世界へと帰るために……。

(公式サイト「STORY」より引用)


特徴

ステージの仕様

  • ステージ選択式の3Dアクションゲーム。
    • 「ティムズエリア」と呼ばれる拠点からステージを選択する。
    • ステージは章ごとにアクト1とアクト2の2つから選択する。両方のステージをクリアすることで、ボスステージに挑戦できる。
    • ラスボス撃破・エンディング後は各章にアクト3が追加される。

操作方法

  • 「左スティックで移動」「ボタンでジャンプ または 衣装ごとのアクション」とかなりシンプル。
    • 基本的に敵はジャンプで踏んで倒すことができる。

衣装

  • ステージ中には衣装が配置されており、鍵を取得することで着替えることができる。
    • 衣装ごとに独自のアクションを行うことができる。衣装の数は80種類以上。
    • 衣装は最大3つまでストックできる。L/Rボタンで衣装をチェンジ可能。
    • PS5版では一部コスチュームのアクションがアダプティブトリガーに対応している。

ドロップ

  • ステージ中に設置されている。ドロップは集めることでティムズエリアでティムという小動物に与えることができる。
    • 与えることでティムが成長し、最大まで育ったティムから卵を産み出すことでティムをさらに増やすことができる。
    • 色は赤色・紫色・水色・黄色・虹色の5種類。
    • 虹色は特定のタイミングでのみ入手でき、隠し要素解放に使用する。

ティムズエリア

  • ステージ選択とティムの育成を兼ねた、本作の拠点とも言える場所。
    • 中央部にティムタワーが存在し、ティムがそこで遊ぶごとにカウンターの数値が増加する。規定数達成するたびにタワーがどんどん大きくなっていく。

バランスタチュー

  • ステージ内に置いてあるバランをかたどった金色の像。
    • 一定数集めると、新しいステージへ入れるようになる。要は『スーパーマリオ64』でいうパワースターと同じ役割。

バランチャレンジ

  • ステージ内の金色のシルクハットに触れると専用の空間へ移動して始まる、バラン本人曰く「シルクハットを見つけた褒美に、自分の能力を主人公に試しに使わせる」ミニゲーム。
    • 公式サイトではVQTE(ビジュアルクイックタイムイベント)と謳っており、ムービーのバランの動きに合わせてボタン入力を行う必要がある。
      • 具体的には半透明のバランの静止画が画面外からスライド移動してくるので、バランにピッタリ重なるタイミングでボタンを1回押すタイプと、同じく画面外から複数の半透明のバランが集まってくるのに合わせてボタン連打するタイプの2種類。
      • 前者はボタン入力のタイミング次第で評価が変動するという意味で、リズムゲーに近い仕様といえるか。
    • 成績次第で「バランスタチュー」や「ドロップ」を、バランから報酬として貰える。ドロップについては現在の所持数を評価ごとの倍率分増やす形となる。

問題点

アクション面の問題点

売りである筈の衣装関連のシステムが欠陥だらけ

  • 本作で真っ先に挙げられる批判点である。「80種類以上の衣装が、あらゆるアクションを可能にする」と公式では謳っているが、これがお世辞にも出来の良い物とは言えず、テンポの悪化とストレスの増加を招いている。
    • 最たる問題は「1つの衣装につき、使えるアクションは一つだけしかない」こと。
      • こう書くとよくあるシステムに見えるかもしれないが、この「アクション」にはジャンプといった(アクションゲームでは)基本的な動作も含まれている。
        どういうことかと言うと、一部の衣装は固有のアクションが使える代わりにジャンプが一切使えない。例えば段差を上る際等、ジャンプが必要な場面ではジャンプが可能な衣装に一々着替える必要がある。
      • レビューなどでよく使われる例えが、「(『スーパーマリオブラザーズ』において)スーパーマリオからファイアマリオに変身すると、ファイアボールが出せる代わりにジャンプができなくなる」というもの。こう書けば本作の衣装システムの欠陥が伝わるだろう。
      • 衣装に着替える際にもその場で2秒間クルクル回るモーションが差し込まれるため、テンポが悪くなっている。
      • 一定時間ごとに自動で能力発動 → 解除を繰り返す衣装もあるが、任意で切り替えできないためゲームテンポが悪くなる。
      • 着ていると足が遅くなる衣装もあるが、元々があまり速くないので苛つくほどに遅くなる。
    • ミスをすると衣装を失ってしまう。
      • ステージ外に落ちたり、敵の攻撃を受けたりするだけで身に着けていた衣装を失くしてしまう。それがスタチュー獲得に必須な衣装だった場合、もう一度衣装を取得するために後戻りを強いられることになる。
      • 一度取得した衣装は何度でも着られるというシステムではなく、衣装ごとにストック(コスチューム部屋の在庫)数があり、当然ミスをすれば減る。ストックを増やすには何度も同じ衣装を拾っておく必要がある。
      • どのステージも、他のステージで手に入る衣装を持ち込まないとバランスタチューを回収しきれないため、必要な衣装の残機を切らしてしまった場合は何度もあちこちのステージを行き来することになる。
    • 鍵がなければ取得できない。
      • 衣装を取得するにはステージ中に落ちている鍵を取得してから、衣装に触れる必要がある。
      • 序盤の内は鍵と衣装が近くに配置されているのでさほど不便ではないが、終盤からは鍵と衣装が離れた場所に配置されているケースも存在する。
      • シンプルに「衣装に触れた時点で取得できる」でよかったはずなのに、何故このような仕様にしたのかが謎。
      • 一応、下記の通り衣装は3つ以上取得すると衣装部屋に送られてしまうため「意図せず衣装に触れて必要な衣装が上書きされる」ことを抑制する役割は果たしているが、それならば3つ以上取得時に入れ替えるかの確認を表示すればいいだけの話である。
      • 鍵を使わずに衣装を取得する能力の衣装もあるが、それ自体が衣装なので衣装枠を1つ使ってしまう。
    • 3つまでしか衣装を持てない。
      • その場で持っていられる衣装は3つまで(同一衣装×3でも3つとしてカウント)であり、4つ目の衣装を手に入れると一番後ろの衣装がコスチューム部屋に送られる仕様となっているのだが、コスチューム部屋に入るためには態々セーブポイントに戻らなければならない。
      • バランスタチューを全て集める為には少なくとも4種類の衣装が必要になってくるため、コンプリートを目指そうとすると煩わしくなってくる。
    • 衣装の格差が大きい。
      • 移動系の衣装は「ジャンプ距離が伸びる」「空中浮遊が可能になる」と似たような性能の衣装が多く、後半のステージの衣装ほど優秀になるというのは当然とはいえ、ある衣装の性能が別の衣装の上位互換であることも多い。
      • 攻撃系の衣装はことごとくジャンプが使えなくなるのに加え、道中に出現する敵は大抵ジャンプで倒せるため使い勝手が非常に悪い。
      • 特定のギミックを解除するのに必要な衣装もギミック自体が少ない上に、移動系の衣装が揃ってくるとギミックを丸ごとすっ飛ばすことも可能になるため、大半の衣装が使われなくなる。
      • ステージの工夫もいまひとつ。衣装の使い方を工夫してギミックの解き方を探すといったパズル要素も、プレイヤーなりの突破方法を探すといった自由度も乏しく、ただただ各ギミックに愚直に専用衣装を用意しているだけの部分が多く煩雑なだけである。
      • たとえば『レゴシティ アンダーカバー』のように一つの衣装に複数の能力を持たせて衣装の数を抑えるといった工夫もない。
      • 使いどころがかなりピンポイントな衣装やその場でミニゲームするだけ、お立ち台でちょっとした演奏を聞けるだけの衣装もあり「80種類以上の衣装」と言われても水増し感が強い。
      • そもそも多くのアクションゲームにおいて特殊な能力を取得せずとも色々なギミックを作動できたり、主人公が成長して新たなアクションを解禁したら以降何度も使えるようになるといったものが多い。
      • しかし、本作ではそういったギミックやアクションを衣装の個々に分割してしまっている。そう説明すればこのシステムの無駄な煩雑さが伝わるのではないだろうか。
    • 「衣装」と表現されているもののデザインは着ぐるみに近く、衣装によっては明らかに人外の骨格となるため「変身」に近い。
    • なお、衣装を変更する際には長めの無敵時間がある。これを利用すると一部の障害物ギミックやボスの攻撃を無視できてしまう。

シンプル過ぎる故に不便極まりない操作性

  • 衣装ごとに特殊なアクションがあるとはいえ、プレイヤーが出来る基本アクションが移動とジャンプだけというのは余りにも少なすぎる。2000年代初頭の3Dアクションゲームでもできたであろうダッシュやしゃがみなども存在しない。
    • それこそダッシュ等を必要としないゲームデザインならば問題なかったが、プレイヤーの移動速度は決して速くなく、それでいて広いフィールドを駆け回る場面も生じるためストレスの元となる。
      • 一応ダッシュする能力の衣装もあるが、それ自体が衣装のうえ、自動で発動/解除するタイプなので使い勝手は悪い。
  • 何より、前述した衣装システムによるアクション面の問題点は、無理にワンボタン操作で済ませようとしたことが原因である。もう1つボタン操作ができればジャンプや能力を任意で発動/解除したりなど、ある程度はまともな操作性を確保できたはず。
    • スマートフォン向けなどのようなカジュアルゲームならともかく、家庭用ゲーム機向けとして出すのであれば最低限「ジャンプボタン+アクションボタン」の2ボタンは必要だったであろう。

ゲームバランス・システムの問題点

バランスタチュー関連の問題点

  • 次のステージに進めるようになるまでのバランスタチュー獲得のノルマが厳しく、適当にステージを1周しただけではノルマを達成できない。ステージの隅々まで探し回り、バランスタチューを見つけ出す必要がある。
    • しかも、バランスタチューはステージのあらゆる箇所に巧妙に隠されており、そう簡単に見つけ出すことができない。
      • 酷い物だと、どう見ても背景にしか見えない所に隠されていることも多い。
      • 特徴で比較に出した『マリオ64』のようにバランスタチューがどこに置いてあるのかヒントも存在しない。
      • やりこみ要素であれば入手を難しくすることは理解できるのだが、このゲームの場合は収集が進行に必須であるため、ただただ煩わしさが増すだけである。
    • ボス戦では各ボスごとにダメージを与える手段が3つ用意されており、それを達成することでバランスタチューを最大3つ獲得できる。
      • しかし、これもノーヒントであるので、無駄に面倒臭い仕様である。

バランチャレンジの問題点

  • そもそも、面白くない。
    • バランチャレンジは特徴に記したようにQTE形式。QTE自体賛否が分かれるものだが、本作のこれはムービー主体ではなく、ボタン入力を主体としているので、面白味がほとんどない。
      • 映像自体も4~6回のボタン入力に対して1~2分と無駄に長く、使いまわしばかりで代わり映えしない上、下記のシビアな仕様と相まって、苦痛且つ退屈であろう時間が続くこともしばしば。
      • QTE回数は最も多いチャレンジで6回だが、その程度の回数にもかかわらず同一チャレンジ内で全く同じQTEが連続するものもある。
    • 各アクションの単調さだけでなくそれらの見せ方・演出という点でも難があり、「飛び道具を跳ね返されてライバルキャラが逃げ出すのをバランは追わずに見届けた後で、ライバルに立ちふさがり攻撃を仕掛けるQTEが発生する」「攻撃アクションの動作や破壊音が明らかに終わってないのに、ぶつ切りで次のシーンへ移行する」など、作りの粗さが見て取れてしまう。
  • バランチャレンジでバランスタチューを取得するには総合評価でExcellentを出す必要があるのだが、1度でもミスした時点で達成できなくなってしまう。
    • タイミングには「Excellent」「Great」「Good」「Miss」の4段階の評価があるのだが、複数回あるタイミングの内1回でもGreatやGoodを出してしまうと、総合評価がExcellentからGreatに落ちる。
    • つまるところ、スタチュー収集目的であればGreat以下はMissと同義になっており、常に最高評価を出し続けなければならないという無駄にシビアな設計となっている。
      • 前半のステージでは「Excellent」の判定も緩めだが、後半になるにつれて厳しくなる上に求められるボタン入力回数も増えてくる。さらにタイミングよくボタンを押すタイプでは、竜巻旋風脚の如く回転したりV字開脚で画面奥から急接近するなど、楽に成功させる気がない挙動でのQTEを強いてくる。
      • 途中で失敗した場合もスキップ不可のため、スタチュー狙いの場合で序盤に失敗してしまうと無駄に長いムービーを延々見ることになる。再挑戦を考えると、実際には後述のような対策を取ることになるが。
    • このチャレンジは収集アイテムのドロップの所持数を増やすというメリットもあり、GreatやGoodでもある程度増加する。しかし、ティムの育成はストーリークリアに必須ではないため、焼け石に水である。
      • 評価を4段階に分けた意味も薄く、せめて「トロフィーなどの実績開放には評価Excellentが必要だが、バランスタチュー獲得だけならそれ以下で済む」といった仕様の方が不満は少なかっただろう。

ボスを倒さないとアイテムが復活しない

  • 本作は一度攻略したギミックや取得したアイテムはその章のボスを倒すことでリセットされるという仕様がある。
    • ドロップの安易な稼ぎができない上、このアイテムの中には前述のバランチャレンジも含まれている。つまり、バランチャレンジでExcellentを出せなかった場合、わざわざその章のボスを倒す必要がある。
      • QTEに失敗してもチャレンジ終了前なら、本体のメニュー操作でゲームを終わらせて再起動すればボスの撃破を挟まず再挑戦できるが、その操作自体が煩わしいことには変わりないだろう。

雑魚敵を倒すと難易度が上がる

  • 本作には「バランスAI」といういわゆるゲームランクのようなものが搭載されており、公式へのインタビューなどによると、ゲームプレイが上手い人ほど強い敵が出現するようになり、中ボスに相当するネガティも特有のものに変化する。
    • つまり、下手に雑魚敵を倒しまくっていると強い敵が出現して無駄に難易度が上がるという理不尽な仕様となっている。
    • ただし1度でもダメージを受けると難易度は元に戻り、強敵が出現しなくなる。トロフィー・実績の中には、変化した中ボスを倒すことが条件のものがあり、これを狙うと逆に雑魚1体にも気の抜けない難易度となる。
      • トロフィー・実績を狙わず、本作を少しでも快適にプレイしたいなら雑魚敵はなるべく相手にせず無視した方がよい。
    • なお、プレイヤーの腕前に応じて難易度をリアルタイムで調整するシステムそのものは他作品にも存在し、好評を得ているものも少なくない。本作の場合は前述した衣装システムと操作性、スタチュー収集などのゲームデザインと噛み合っていないのが問題となっている。

マップ構造とゲームデザインが噛み合っていない

  • そもそも論になってしまうが、本作は『スーパーマリオブラザーズ』のようなステージ攻略型のマップで、『スーパーマリオ64』のように一定数のキーアイテムを集めなくては先に進めないという、中途半端なゲームデザインになっている。
    • 仮に「先に進むだけなら必ずしもバランスタチューを集める必要はない」もしくは「バランスタチュー探しをメインとしたデザインにしてマップは探索しやすい箱庭型にする」といった具合に、どちらかに振り切れていれば、まだマシな評価を得られていたと思われる。
    • 例に挙げたマリオシリーズでも、「ステージ攻略型」かつ「キーアイテムがクリアに必須」な作品は『スーパーマリオ 3Dランド』や『スーパーマリオ 3Dワールド』などいくつか存在しているが、それらの作品は収集アイテム探しがさほど困難ではないため、比較的ストレスが溜まりにくい仕様になっている。

シナリオ面の問題点

ストーリー・世界観設定が説明不足

  • 要所要所にカットシーンが入るが、文章や台詞があまり出てこず、どのようなストーリーでどのような世界観なのか、いまいちわかりづらくゲームに没入できない。
    • ステージ中に手に入るコスチュームや、ギミック、背景等からキャストの人物像をある程度推察できるが、それでも説明不足なのは否めない。
    • ゲーム中ではキャラクターが話す場面はおろか、キャラクターの名前すらろくに出てこないので、公式サイトなどを見ておかないとボスの名前すら分からない。
    • ラスボスに関しては名前はプレイ中に判明するものの、バックボーンを説明するムービーなどが一切ないため、ゲームをプレイするだけでは目的やバランとの関係性が一切分からない。
    • そもそもバランに関しても、ゲーム中では一切説明がないためどのような目的で行動し、プレイヤーと関わっているキャラクターなのか不明のまま進行することになる。結果的に、エンディングの演出も理解するのが難しくなっている。
    • 架空の言語を話す世界観に合わせて文字を限りなく減らしたとも考えられるが、本作では字幕も含め文字があまり出てこない。
  • アクト開始時に登場人物を指すステージ名が表示されるものの、明確に章のストーリーを説明するカットシーンが挿入されるのはボス戦前。
    • そのためアクト1・アクト2は、世界観の説明がほとんど無いままプレイさせられる。
  • いずれのステージも「何らかのトラブルによって心の闇を抱えた人の心象世界を探索し、心の闇を打ち破ることで立ち直らせる」というのがストーリーの流れである。
    • 立ち直った人が心を入れ替えて、再度自分のやりたいことに挑戦したり、新たな道を歩み始める、という自然な結末が多い。しかしあるステージでは、トラブル自体が無かったことになるというご都合主義のような不可解な結末となる。
  • これらの問題は後述の小説版で補完されており、各キャラクターの心情やバランおよびラスボスの目的・正体などはそちらを読むことで判明する。
    • しかし、小説などで世界観の補完をされたところでゲームしか触らないユーザーも多いため、ゲーム内で完結できる程度には詳細な説明をすべきであっただろう。

システムも説明不足気味

  • 操作方法は前述したようにシンプルなのだが、それでも説明不足に感じる部分も存在する。
    • 衣装のアクションは初取得時に文字で簡易的に説明されるだけで、具体的なアクションの効果が説明されていないこともある。
  • コスチューム部屋の入りかたなどゲームの基本かつ重要な要素も説明はない。
    • 「セーブポイントに立ち止まっているとコスチューム部屋が出現し、出現しきったらそこに入る」という手順なのだが、「一箇所にしばらく立ち止まる」という手順はプレイヤーによっては気づきにくいかもしれない。
  • ティムやドロップについても説明がない。
    • 先述のとおりドロップには5種類の色があり、ティムにドロップを与えていくと色が変わったりするのだが、色によって何の違いがあるのか説明はない。
    • ドロップの色によって配置されている数が違い、どの色が貴重なドロップなのかは感覚的にわかるのだが、だからといって何の意味があるのかはわからない。
    • ティムを増やしていくことでプレイヤーに(ゲーム進行上の)何のメリットがあるのかも具体的な説明はない。
    • なかでも一番致命的な説明不足は、ティムが1匹もいないと各アクトのゴールにたどり着いてもクリアできない点だろう。
    • ゴール到達時のムービーでティムが必ずなにかしらの動作をしているので完全ノーヒントとまでは言えないが、ゲーム内はおろか公式サイトにすらステージクリアの絶対条件の記載がないのは不親切もいい所である。
    • プレイヤーのモチベーションにも関わることなので、こういった仕様の説明は明確に示してほしいところ。
  • 容量やスペックの制約があった古いゲームではゲーム内でのストーリー説明やチュートリアルがほとんど、あるいは全く無いといった作品も多かったが、それらは取扱説明書で説明を補っていた。
    • また、ストーリーも細かな描写が無くても伝わるものにしたり、システム面もプレイヤーが自然に学習できるよう誘導するなど工夫を凝らしている。
    • 本作では昨今の流れに倣って取扱説明書がついていない。そしてストーリーや設定は現代のゲームらしく複雑である。にもかかわらずゲーム内では昔のゲームのような説明の無さで進行するので上述のような説明不足が多くなっている。

その他の問題点

カメラワークがかなり悪い

  • 壁を貫通したり、物に引っかかったり、寄りすぎたりと、視点操作が悪い。
    • このような不出来なカメラワークでバランスタチューを探すべく、あっちこっちを見回すゲームデザインなので、3D酔いを引き起こしやすい。

ティムズエリアについて

  • ステージは全部で12種類(+α)存在するが、最終的な並びが時計回りの番号順になっていないため不便。
    • 例えばステージ3(3章)に行きたくても、時計回りで3番目にはステージ10(10章)が存在するといった具合。単純にどこにどのステージがあるのかわかりにくい。

UIについて

  • 本作ではスティックとL/R(衣装変更)以外のボタン、つまりA/B/X/Y/ZL/ZRが全て同じ操作に割り当てられている。
    • そのため、メニューなどを操作するとき、Bでキャンセルすることができず、止める際にはいちいちカーソルを「もどる」に戻さなければいけない。
    • 操作を単純化して分かりやすくする意図だとは思われるが、コントローラーの操作自体に不慣れというビギナーユーザーのためだけに決定ボタン以外を全て捨てるというのはやりすぎの感が強い。

評価点

『ソニック』『ナイツ』などに代表されるデザイナーによる良好なキャラクターデザイン

  • 大島直人氏の手掛けるキャラクターデザインはかなり良好なもの。パッケージにも描かれているキーキャラクターのバランやラスボスのランスなどのデザインは好評である。
    • バランチャレンジで見られるバランとランスのアクションは見ごたえがあり、特にバランはソニックよろしくブーストしたり、某世紀末覇者を彷彿とさせるパンチを繰り出したり、多彩な動きを見せてくれる。それだけにゲームとしてのクオリティーの低さが惜しまれる。

クオリティの高いBGM

  • BGMは素晴らしいの一言に尽きる。 全体的にアップテンポな曲が多く、否応なしにこちらの気分を高揚させてくれる。ステージのBGMは景観との親和性を大切にしながらも、それでいて耳に残るキャッチーなフレーズがちりばめられており、良い意味でゲーム音楽らしい。
    • ボス戦のBGMも妖しくもコミカルな道化師や化けネコ戦、壮大で威厳たっぷりなチェスのキング戦など、印象的なBGMが目白押し。
    • ボスを倒した後はミュージカル調のムービーが流れ、主人公とボスに囚われた身から救出された住人を讃えるような演出が発生するのだが、これにもキャラクターやステージ毎の特色が出ており、プレイヤーを飽きさせない。
      • ただし、ミュージカルで使用する楽曲はプレイヤーが助ける人数分用意されておらず、その数はわずか3曲。音楽自体は良いだけに、助けるごとに使い回しを意識させる点は残念である。

雰囲気ゲーとしては悪くない

  • タイトルの「ワンダーワールド」は伊達じゃない。登場人物たちは「バラニーズ」という独自の架空言語*4を話すなど、ファンタスティックな独自の世界観を構築できていることは評価できる。
    • 重くヒステリックな印象が強かった近年のスクエニ産のゲームにしては全編に渡って底抜けに明るく、エンディングも盛大にミュージカルで盛り上げて閉幕と言うプレイヤーを最後まで陰鬱な気持ちにさせない拘りを感じられる。
      • 例えるならディズニーの『不思議の国のアリス』のような世界観と言えばわかりやすいだろうか。そういった意味では同社の『キングダム ハーツシリーズ』に近いかもしれない。
    • 各ステージも個性的で、ビジュアルはかなり凝っている。
    • これらぱっと見の雰囲気といった部分は評価が高いだけに、上述の著しい問題点が目立ってしまっていることが非常に惜しい。

声優が豪華

  • 声優を売りとする作品ではないが、バラン役に鈴村健一氏、ランス役に櫻井孝宏氏と実力のある方たちが起用されている。
    • その他の登場キャラクターも、比較的新人の方やベテランの方まで幅広く出演している。ほとんど掛け声程度ではあるものの、演技面に関する違和感もない。

大きなバグ・不具合がない

  • バグ・不具合によって評価を落とすゲームは多いものの、このゲームに関してはデバッグは比較的丁寧であり、目立ったものは発見されていない。これも素直に評価できるポイントである。
    • Switch版は動作がやや不安定になる部分があると言われているが、他機種は良好。
    • 逆に言えば仕様通りなのにこの有様とも言えるのだが…。

最低限のボリュームはある

  • Any%なら普通に攻略する場合、12時間はかかる。完成度の低さに目を瞑れば最低限のボリュームを堪能できると言える。

総評

2021年に発売されたフルプライスのゲームで、ここまで出来の悪い3Dアクションがスクウェア・エニックスから発売されるとは誰が予想できただろうか。
操作をシンプルにし過ぎて快適性の無いアクションや、ゲームの進行に必要なバランスタチュー探しやバランチャレンジが原因で、とにかくストレスが溜まりやすく、爽快感などあったものではない。
タイトル通りワンダーな世界観やキャラクターデザインなど、褒めるところはあるにはあるが、それらを加味しても看過できない程の出来の悪さである。
確かにこれら2つの評価点は作品を彩る上で必要不可欠なものだが、それは緻密に練られたゲームデザインと優れたゲームシステム、そして何よりも動かすだけで楽しい快適な操作性があって初めて成立するということを深く実感させられる一作である。
結果として本作は「(『マリオ64』などの)20年以上前のゲームにも大きく劣る」といった誹りを受けることなってしまった。


余談

  • 2021年のクソゲーオブザイヤー据置部門にて大賞を受賞。スクウェア・エニックスとしては初の屈辱となった*5
  • 海外のゲームレビューネット番組「Zero Punctuation」にて『The Best, Worst and Blandest of 2021』で『The Worst Game of 2021』に輝き「不可解なほど酷いデザインと、交通事故レベルの魅力的な冷徹さを併せ持っている。」「複合骨折したコーラスラインのダンサーが、ハイキックのたびに露出した脛骨から血を前列にまき散らしながら、必死に笑顔を作ろうとしているようなものだ。」というコメントが付け加えられた。
  • 正確な売上本数は不明だが、発売週の2021年3月22日~2021年3月28日集計分の『ファミ通』のゲーム販売本数ランキングTOP30では30位のSwitch版『ファミリートレーナー』が2,170本という売り上げを記録(本作はランク外)しており、マルチプラットフォームで展開された本作はすべての機種でそれを下回る売り上げとなったことが判明している。
  • 2021年4月14日に体験版の配信が終了した。
  • 本作と同日に小説版である『バランワンダーワールド 謎のマエストロと不思議な劇場』が発売されている。
    • こちらは本編の設定を補足するのに加え、しっかりとしたストーリーが語られているためゲームとは異なり好評である。
    • ゲーム本編で語られるべきストーリーを外部媒体に丸投げしている点は『El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON』が比較に上がることがある。
    • 後述の通りあちらと同じく開発時のゴタゴタが垣間見えるものの、ゲームそのものの出来や情報発信の熱量の違いもあり、あちらと異なりゲーム本編の再評価には繋がっていない。
  • ニコニコ動画やYouTube等の活動で知られているピアニスト「まらしぃ」氏とコラボしており、一部楽曲のピアノアレンジ及びお手本動画が公開されている。
    • ピアノアレンジについては実際に楽譜をダウンロードすることができ、「#バラン演奏してみた」「#バランワンダーワールド」のハッシュタグを付け、自分で演奏する動画を投稿するキャンペーンが行われていた(現在は終了済)。
    • 賞品は「山崎了さん&まらしぃさんサイン入りオリジナル楽譜」と「リアルバラン帽子」と中々の力の入れ様。
    • また、スペシャルピアノメドレーも別途公開されており、その演奏は高く評価されている。
  • ステージ11(11章)のBGMが、映画『ゴーストバスターズ』の楽曲と似ていると話題になった。
  • 2022年4月に中裕司氏が、本作発売の約半年前にディレクターから外される業務命令が下されたと自身の公式Twitterにおいて公表。この件に関して氏はスクウェア・エニックスを提訴していた。
    • 本作の出来を見て同情する声もある*6一方で、あくまで中氏の主観目線で語られているのもあってか「鵜呑みにはできない」と疑問視する声や、そもそも本作の問題点の多くはシステムやコンセプトなど根深い物であり「発売までの半年程度で起きた問題とは思えない」「その半年を費やしたところで何も変わらない、16bit時代で認識が止まっているのでは?」など否定的な声も見られている。
    • また、体験版時点で出来を不安視されていたのだが、中氏は途端にTwitter上での本作のプロモーション活動をしなくなりプライベートに終始するようになっていたため、なおさら信用できないとする厳しい指摘も。
    • その後、2022年11月18日に中氏がインサイダー取引の容疑で逮捕。後の初公判で氏自身も容疑を認め、2023年7月7日に有罪判決が言い渡された。係争については触れられておらず、控訴するかは明かされていない(参照)。
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最終更新:2024年01月26日 00:41

*1 現在はデベロッパーであるアーゼストの代表取締役社長を務めている。

*2 セガ在籍時は『ファンタジーゾーン』のゲームデザイン、『ハングオン』や『アウトラン』ではディレクターを務めた。2022年7月に大島氏がアーゼストの社長に就任したことに伴い、現在は同社の会長職を務めている。

*3 1999年に前述の石井氏と大島氏らが設立したアートゥーンが前身。アートゥーンは2005年にAQインタラクティブの子会社となり、その後2010年に吸収合併されている。吸収合併後、石井氏はAQインタラクティブの役員を務めていたが同職の退任を機に大島氏と新たに立ち上げたのがアーゼストである。

*4 実際にはGreatを「ティエルグ」やExcellentを「テネレスケ」と言っているので、単に英文や英単語を逆さ読みしているだけであるが。

*5 次点であれば、2005年に4作、2006年には2作が入っている。

*6 元々のスクウェア・エニックスに対する風当たりの強さもあったので、同社叩きを目的とした便乗擁護が多かったことにも触れておく。