えりかとさとるの夢冒険
【えりかとさとるのゆめぼうけん】
| ジャンル | アドベンチャー |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| メディア | 2MbitROMカートリッジ | 
| 発売元 | ナムコ | 
| 開発元 | アトラス | 
| 発売日 | 1988年9月27日 | 
| 定価 | 4,900円 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 可愛らしく良質なグラフィック 詰んでしまうポイントあり
 ゲーム外に恐ろしい隠しメッセージ
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概要
擬人化された動物達の住む世界に迷い込んだ双子の兄妹、えりかとさとるが、謎のメッセージをきっかけに「時の冠」を探し求めるというメルヘンチックな世界観のアドベンチャーゲーム。
システムとしては極めてオーソドックスなコマンド選択型アドベンチャーだが、他の作品には見られない独自要素もある。
特徴
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アドベンチャーゲームにしては珍しく2人プレイ用モードが存在する。
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えりか・さとるはそれぞれ独立して操作することができる(ただし、2人が別々の場所でイベントを同時に展開するようなことはない)。2人が合流した状態でないと発生しないイベントもある一方で、どちらか1人の状態でも進められるイベントもある。
 
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全6章。1章~5章はクリアに必要なフラグを成立させた状態で駅に行けば次の章へ進める。最終章はダンジョンで「時の冠」を探す。
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謎解きが基本的に手探りかつノーヒントであり、序盤はゲームを進めるのがやや大変なものの、特にシステムもシナリオも破綻なくまとめられており、更にカートリッジに搭載された独自音源がファミコンとは思えない美麗なサウンドを奏でてくれるなど、全体的なクオリティは水準以上。
評価点
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グラフィック、音楽、シナリオの評価は高い。
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ファミコン中期の作品でありながらグラフィックは繊細に描かれており、擬人化した動物たちも相まって子供受けしやすいのがよかった。
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擬人化した動物たちもいい人ばかりかと思いきや、ミーハーだったり、ヘンだったり、怪しかったり、悪いヤツと個性的。
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ゲーム中には動物たち以外に人間も何人か出てくるが、美人な女性はとことんまでに美しく描かれている。
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キーとなるキャラクター以外にも住人A、住人Bにあたるグラフィックも使いまわしではなく個別の動物のグラフィックになっていたりと芸が細かい。
 
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ストーリー中に相方がさらわれてしまったり、海を泳いでいる最中に溺れかかったりというイベントも起こる。二人で同時操作するアクションイベントもあり、2Pプレイヤーと共に”冒険している”という臨場感もあった。
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何よりも、拡張音源システムを使ったハイファイなサウンド。「夢冒険」という名に相応しい出来になっている。
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虚無僧の正体についてエンディングで伏線が張られていて把握できるようになっていたり思わずニヤリとさせる場面も。
 
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アドベンチャーで2人同時プレイもできるという点。基本1人でプレイするものが多い中で珍しいプレイスタイルになっている。
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1人プレイではナゾザンスというクイズがあり、動物に関するクイズが出題され間違っても再挑戦できる。動物に関する内容なのでちょっとした豆知識になったりするかも。
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2人プレイではクイズの代わりにミニゲームが発生する。連打を要求されたり、2人でボタンを押すタイミングを合わせなければならないなど、結構シビア。
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メルヘンな世界観ながら、不気味な演出を醸し出す場面がある。それにあわせたBGMも拍車をかけており、子供にしたら怖いと思わせるものがある。
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並び地蔵や、墓地、虚無僧のズームアップ、えりか誘拐のイベントなどがあたる。「本当は怖いグリム童話」の如き黒い雰囲気を醸し出しているところも本作の特徴である。
 
問題点
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アドベンチャーで2人プレイができるという利点があるが、1人でやる場合は2人のキャラクターを1人ずつ操作しなければならず、面倒。せめて1Pプレイ時と2P プレイ時で謎解きを差別化しプレイスタイルを選べたらよかったのだが。
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シナリオのフラグ立てや進行などの殆どは2人居合わせる状態でないと起こらないことが多いため、進行の面倒くささに拍車をかけてしまっている。
 
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ヒントが無くつかみ辛い所がある。
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並び地蔵に頭巾をかぶせる場面があるが、正しい順番でかぶせないと進行が出来ない。順番に関してはヒントが無く4体もあるため、ここで詰まった人も多い。
 
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通常のファミコンソフトに比べると音量レベルがやや低い。他のソフトから差し替えると音量次第で聞こえ辛く感じることも。
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第5章で「盗まれた荷物を取り返す」もしくは「クイズに正解して壺をもらう」を2回行ってしまうと
その後、正解の行動が反映されずに詰んでしまう。その時はパスワードを使ってやり直すしかない。
総評
謎解きが基本的に手探りかつノーヒントであり、序盤はゲームを進めるのがやや大変なものの、特にシステムもシナリオも破綻なくまとめられている。
グラフィック、シナリオについても評価が高く、水準以上の高いクオリティを保っている。
名作といって差し支えない逸品である。
余談
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本作のパッケージイラストは『ガンダム』シリーズのコミカライズを多く手掛けた「ときた洸一」氏である。
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同メーカーが発売した『ワギャンランド』のワギャンが雪像や絵画としてゲスト出演している。
隠されたメッセージ
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2000年代に入ってから、2chのレトロゲーム板の本作のスレッドにて、とある隠しメッセージの存在が明らかになり、話題となった。
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その内容は、「『ひでむし』なるスタッフの辛辣な愚痴メッセージが表示される」というもので、ROM内のテキストの存在が初めて明らかになったのは2001年(参照)だが、3年後の2004年(参照)にゲーム中でそれを出現させるための隠しコマンドが発見されたことで、一躍話題となった。
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こちらの動画でも8:10頃にも経緯が書かれている。また、こちらの動画では当時の詳細が更に深く取り上げられている。
    
    
        | + | 隠しメッセージ発覚の経緯 | 
件のメッセージ(参考動画)
この隠しメッセージはゲーム公開当時には誰にも気づかれず、13年後に有志がROM内に存在するテキストを発見したことで存在が明るみに出た。さらに、その3年後に当時のスタッフ(ひでむしの元同僚)のカミングアウトにより、ゲーム内で実際に見られるメッセージとして仕込まれていたことが発覚。
 元々は墓に持っていくつもりだったために肝心のコマンドは忘れ去られていたものの、その後有志のROMデータ解析によって出現コマンドが解明された。
 全貌判明まで実に16年の歳月が掛かった訳だが、内容の過激さを考えると、長い時間を経る事なくしては決して明かせないメッセージであった、ともいえる。
 
ちなみにこのメッセージを見るための条件は非常に厳しく、リアルで1時間強待った上で、さらに1Pと2Pのコントローラーで特定のコマンドを同時押ししないといけない。
この文章の発覚当初は、単に文章がROM内で残されているだけでゲーム上では見る方法は無いと思われていたほどで、コマンドの複雑さから当時偶然発見されるなどおよそありえず、実際気づかれる事はなかった。
メッセージ前半部分でながれるBGMは本作と同じくアトラスが開発したNES用ソフト『The Karate Kid』のもの。
 
またこのゲームはパスワードでコンティニューする方式であり、各章の終わりにパスワードが表示される。のだが、このパスワードにも恐ろしいメッセージが隠されていたことが2012年に判明していた。2度目の発覚である。
 
ネットや書籍等では、「デザイナーが“公にできない私的隠しメッセージ”を仕込んだゲーム」として『元祖西遊記スーパーモンキー大冒険』と一緒に紹介される事が多い。
また某大百科では、ゲーム会社の厳しい労働環境を示すものとしてクソゲーのページに動画へのリンクが貼ってある。
下請けの存在がほとんど伏せられていた当時でもトーセやマイクロニクスなどとは違い、アトラスは当時からゲーム雑誌でもしばしば名前が出されるなど一般FCユーザーからもそれなりの知名度・名声があった。だからこそこんなめんどくさい方法で裏メッセージを隠したのだろうか?
 
隠しメッセージを書いた張本人である「ひでむし」氏は既にゲーム業界から離れているらしく、現在の消息は不明。
 
今となっては確かめる術もないが、メッセージの中には後の『真・女神転生』シリーズで名をあげることになるスタッフとおぼしき人物の名前(岡田、金子、相原、岩田祐一)が、メッセージ後半の謝辞部分にて確認できる。
余談だが、ゲーム中に「アナタハ メガミヲ シンジマスカ?マモナク メガミハ テンセイシマース」という台詞を喋る神父が登場する。実は、本作にはもう一つ未だにゲーム中での出し方が判明していない隠しメッセージが存在しており、そこには『デジタル・デビル物語 女神転生II』の宣伝が含まれている。
    
    見たことあるという人もいるそうだが如何せん古いゲームであるためうろ覚えであり、「町のどこかで隠しアイテムを使うとアイテムが手に入る」以降の事は分からないらしい。
        | + | そのメッセージの内容 | えりかとさとるのたびは まだ まだ つづきます。 ナゾに つまづいても あきらめないでね!!
 ところで・・・ このゲームって、またのなをパラダイスと いうんだよ。
 そのうち ナムコからでる DDS2もよろしく。
 |  根気に自信のある人なら、このメッセージの出し方を探してみるのも面白いかもしれない。
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最終更新:2023年03月06日 16:30