プリンセスピーチ Showtime!
【ぷりんせすぴーち しょーたいむ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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Nintendo Switch
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発売元
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任天堂
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開発元
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グッドフィール
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発売日
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2024年3月22日
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定価
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パッケージ:6,578円 ダウンロード:6,500円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1個
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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ピーチが舞台の主役に変身 劇場らしさにこだわった演出 システム・ストーリーは薄い
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マリオシリーズ関連作品
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概要
タイトルの通り、『マリオ』不動のヒロインであるピーチを主人公に据えた一作。
『プリンセスピーチ』としてはDSの『スーパープリンセスピーチ』に続く2作目となるが、ストーリー・ゲームシステムとも直接のつながりはない。
グッドフィールは過去に任天堂の『毛糸のカービィ』『ヨッシー ウールワールド』などのアクションゲームを開発している。
ストーリー
ある日、ピーチ城にキラメキ劇場からの招待状が届く。主役・キラリスタや演者のキャストンが舞台を演じるという触れ込みで、さっそくピーチとキノピオたちは劇場に足を運んだ。
しかし、突如グレープ劇団が襲来。舞台を悲惨なものへと作り変えてしまう。
ピーチは閉じ込められてしまうが、そこにキラメキの妖精ステラが現れ、一緒に劇場を取り戻すことに。ステラから受け取ったリボンでキラメキの力を使えるようになったピーチは、皆を励まし、グレープ劇団を倒しながら舞台を駆け巡っていく。
システム
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基本はステージクリア型のアクションゲームである。一応ステージは3Dだが奥行きはあってないようなもので、ほぼ2Dアクションと言ってよい。
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体力制で、5回ダメージを受けるとミスとなる。ただしコインが減らされてその場からやり直しになるだけで、残機の概念はない。
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ある人物に話しかければ体力が3ポイント増えるアイテムがもらえるのでさらに難度は下げられる。アイテムはいつでも返却可能。
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探偵ステージはアクション要素がほぼない。探索や推理がメインとなるため、アドベンチャーゲームに近い。
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ステージはピーチが演じる役柄ごと「(役柄のマーク)-1, 2…」のようにナンバリングされており、1ステージにつき1つの役柄だけが登場する。
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各役柄で最初のステージのみ、初期状態では移動・ジャンプのほかはBボタンでキラメキの力を使う動作しかできない。
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キラメキの力(の波動)を当てると、絶望したキャストンを元気づけたり、マップ上のオブジェクトに変化を与えたりできるほか、敵にダメージも与えられる。
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ステージ内には「剣士のキラメキ」「忍者のキラメキ」など役柄ごとのキラメキが置かれており、触れるとピーチがその役柄に変身する。
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変身後は役柄固有のアクションに加え、ZL/ZRで「アピール」ができるようになる。スポットライトで照らされた場所でアピールをすると、コインやキラメキストーン(後述)が手に入る舞台裏へ進める。
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ステージ内での収集・やり込み要素として「コイン」「キラメキストーン」「アルバム」「リボン」がある。
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コインはマリオシリーズのそれと同じく、マップに設置されているほか敵を倒したり、オブジェクトを動かしたりすると手に入る。
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キラメキストーンはステージ内で条件を満たすと手に入る。あらかじめ個数は決まっており、クリアにあたり必ず入手するものもあれば、自分で取りに行く必要があるものや、ミニゲームを優秀な成績でクリアしなければならないものもある。
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全て集めると、ステージごとの名場面を写した「アルバム」写真も手に入る。
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リボンは、各ステージにいるシルクハットをかぶったキャストン(リボンおじさん)を助けると手に入る。ショップでは手に入らない限定品なので、コンプリートにはリボンおじさんを探し出すことが必要。
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劇場内のショップでは、ピーチを着せ替えられる「ドレスリボン」、ステラを着せ替えられる「ステラリボン」が販売されており、コインで購入できる。
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ただし両リボンとも、前記の通りリボンおじさんからしか入手できないものや、特定ステージのクリアでゲットできるものもある。
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劇場はビルのようになっていて、各階につき4つの舞台(ステージ)がある。4つのステージを全てクリアするとボス戦となり、これに勝利すると上の階に進める。
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ボス戦に挑むにはステラに一定数のキラメキストーンを渡す必要がある。
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ある程度進むと階層間を直接移動できるエレベーターが解禁される。
評価点
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舞台っぽい演出が楽しい
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あくまで舞台上での演出ということで、炎などはそれそのものではなく舞台の大道具として表現されている。よく見ると、ステージ上のさまざまな物体が立て看板や吊り物、影絵、プロジェクションマッピングといった機械仕掛けになっており、見ていて楽しい。
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建物に入る際には舞台そのものが180度回転して建物内部のセットに変化するなどダイナミックな演出も光る。
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相手も
律儀に大道具を用いて襲いかかってくる。ここは敵勢力を劇団という設定にしたのが生きているといえる。
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ボスは舞台装置をモチーフにした(改造した?)怪物となっており、見た目の特徴が技にも反映されるこれまた面白いものである。
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役柄のイメージが忠実に生きたステージ
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探偵であれば尾行や犯人の名指し、忍者であれば水遁の術や身代わりの術といった、その役柄で真っ先に思い浮かぶような行動やシーンは大体表現されている。
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役柄自体も中世ヨーロッパ風の剣士に始まり、スケーター、忍者、カンフー、カウガールといった国際色豊かなものが揃えられている。
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舞台という狭いフィールドを逆手に取り、役柄に合った行動をとらなければ問題を解決できないことが強調された構成になっているのもポイント。
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階層ボスのステージではノーマルドレスのピーチで挑戦する必要があるため、文字通り全ての役柄に活躍の機会がある。もちろん、各役柄を使う専用ボスステージも用意されている。
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ステージ自体も中世風、中華風、未来風など多種多様であり、プレイしていて楽しい。
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本作一つでいろんな世界観を楽しめるあたりは『ライブアライブ』を彷彿とさせる。
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特に和風ステージは開発会社の過去作を知っているとより楽しめる…かもしれない。
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ピーチがかわいい・かっこいい
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ピーチが主人公ということで、あらゆるビジュアルに華がある。いつものドレス姿はもちろん、ステレオタイプな剣士やマーメイドのほか、忍者やカンフー姿もよく似合っていて新鮮。
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衣装ごとにピーチの細かな仕草も変化する。探偵やパティシエのピーチはひとつひとつの行動がかわいらしく、メインヒロインの面目躍如といったところである。
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メニュー画面から見られる「コレクション」では、ピーチの衣装を様々な角度から眺められる。ピーチファンには嬉しい機能だろう。
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アクション部分とミニゲーム部分のメリハリ
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アクション部分の出来に関しては後述する通り賛否分かれるところはあるが、それだけになっていないのは評価点。
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探偵での犯人探し、パティシエでのケーキ飾り付けといったちょっとしたミニゲームを挟むことでワンパターン化を防いでおり、よりその役柄らしさも味わうことができる。
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一部のミニゲームには、通常のステージとは別にスコアアタックモードも用意されている。
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ムービーが美麗
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Switch後期の作品ということもあり、短いものが多いとはいえムービーはかなり上質である。
賛否両論点
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アクション部分はかなり大味
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ステージ中で移動以外に使用するボタンがBボタンのみであるため、Bを連打するだけでクリアできることが多い。そうでなくても、本作は技コマンドの概念がないので何かしらの攻撃を当てられればなんとかなる。
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攻撃動作と回避動作が同じボタンに割り当てられている剣士ピーチが最たる例で、敵との戦いではB連打だけで勝手に避けて、勝手に適度な間合いを取り、勝手に攻撃してくれる。簡単というレベルではない。
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大人からすれば話にならない低難度だが、本作のメインターゲットであろう低年齢層のプレイヤーにはむしろ簡単に無双できて楽しく感じられるかもしれない。
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収集要素回収のミッションには、攻撃のミスが許されない・ノーダメージクリアを求められるボス戦などがあり、これらはそれなりに難しい。
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また、アクションの合間に挟まれるミニゲームは一定のテクニックやタイミングが求められるものになっており、(それでもかなり簡単ではあるが)比較的張り合いのある難度である。
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ピーチが喋らない
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2010年代後半以降は喋らないことがほとんどになったマリオ・ルイージとは違い、ピーチについては依然喋る側のキャラクターであったため、本作で台詞無しになったのはもったいないという声も。
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とはいえ、サポート役兼狂言回しとしてステラが良い存在感を放っているため、結果的に台詞量のバランスがとれているともいえる。
問題点
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テンポが悪い
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演出を見なければならない場面が多い。ひとつひとつは数秒〜十数秒程度だが、高頻度で挟まるのでテンポが悪い。
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一度見た演出であってもスキップできないため、コンプリートのための再プレイが億劫になりがち。
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クリア後には各ステージに隠れた忍者キャストンを探す「かくれんぼチャレンジ」が追加されるため、再プレイは必須。
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操作説明が足りていない
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先述した通り使うボタン自体はBボタンだけだが、ステージ中のどのギミックがどのような動作に対応しているのかの説明が最初のステージでしか出ない。
1ステージにつき1つの役柄しか出ない関係上、次にその役柄をこなす時には使い勝手を忘れてしまっていることが多く、不親切である。
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極端に複雑なアクションはないのでクリア自体はどうにかなることが多いが、操作がおぼつかないせいでキラメキストーンを逃したりするとストレスが溜まってしまう。
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また、ミニゲームには練習や例題がないため、ぶっつけ本番になるのも配慮が足りていない。ステージ最後で目押しを失敗したら、また一から再挑戦を求められるステージもある。
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ストーリーが薄い
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ピーチは各舞台を元の姿に戻していくが、その後はグレープがけしかけた部下を倒し、上の階の封印が解け、舞台を取り戻し…の繰り返し。合間にストーリーが挟まれることもなく、淡々とステージをクリアする過程が続く。
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「キラメキの力」もステラから与えられたものという説明に終始しており、(ビジュアル面以外に)ピーチが主人公である必然性がない。言ってしまえば、ピーチをマリオに置き換えても違和感なく成立する内容である。
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グレープ劇団にしても「『恐怖のショー』を披露する」の一点張りで、何のためにショーを開こうとしていたのかすら結局不明なまま。本心を語ったり反省の弁を述べたりするシーンも最後までなく、感情移入しにくい。
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本家マリオシリーズも(『RPG』系を除けば)もともとそこまで話が凝っているわけではないのだが、番外作品である本作はもう少しストーリーにもこだわってもよかったかもしれない。
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観客との絡みがない
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実は演者の他に観客のキャストンもおり、クリア後にはピーチに感想をのたまうこともあるのだが、ステージ中で観客が何かしてくるということはない。
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劇場が乗っ取られる緊急事態にもかかわらず、観客からのリアクションや、逆に観客に対するアクションといった要素がないのは不自然にも思える。
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ちなみに、観客の行動や注目度をゲームシステムに組み込んだ作品としては『ペーパーマリオRPG』が存在している。
総評
久しぶりのピーチ主役作品。低年齢層もターゲットとしていることもあり、難度やゲームシステムはお世辞にも高いクオリティとは言いがたいが、大きな欠陥はなく普通に遊びきれる。良作とはいかずとも、アクションゲームとして一定の完成度はクリアしていると言ってよい。
またステージの演出はかなりこだわって作られており、劇場という舞台設定、ピーチという主人公をいずれもしっかり生かしている。ピーチファンでなくても、この辺りのディテールは一見の価値ありだろう。
余談
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本作のゲーム内容が明かされた当時、「舞台劇をモチーフにした世界観」「いろんな衣装に着替えながら戦う」という要素から『バランワンダーワールド』を思い出した人が多かった模様。
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そして同作がお世辞にも出来が良いとは言えない内容だったせいか本作は「バランがやりたかった事」「完成版バラン」などと呼ばれる事も。
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実は、発売前の2023年10月12日頃にメインビジュアルが少しだけ変更されている。
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旧版でのピーチは過去作同様のデザインだったのに対し、更新されたバージョンでは彫りが深く陰影が際立った顔立ちとなり、表情自体もより吊り眉で勇ましいものとなった。その他細かなオブジェクトの修正も行われた模様(こちらで詳しく解説されている)。
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変更後のデザインは同年公開の映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を思わせるものとなっており、今後の作品では映画準拠のデザインになるのではとファンからも注目が集まったが、そのようなことはなかった。本作中のピーチのデザインも従来通りである。
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体験版では「剣士ピーチ」と「パティシエピーチ」のステージを一つずつプレイ可能。セーブデータ引継ぎはない。
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世界売り上げは122万本でミリオンを達成している(決算参考資料)。
最終更新:2025年06月18日 23:45