【なおことひでぼう さんすうのてんさい1/さんすうのてんさい2/かんじのてんさい1】
ジャンル | 教育 | ![]() ![]() |
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対応機種 | 3DO interactive multiplayer | ||
発売元 | 学漫 | ||
発売日 | 1995年3月10日 | ||
定価 | 3,980円 (税別) | ||
プレイ人数 | 1人 | ||
レーティング | 3DO用審査:E(一般向) | ||
備考 | Windows/Mac向けにも発売 | ||
判定 | クソゲー | ||
ポイント |
学習漫画の作家が手がけた教育ソフト 3DO、もとい第五世代据置ハード最低クラスの出来 悪質アセットフリップ並みの劣悪商品を95年に販売 書籍換算で50円に満たないボリューム 『漢字の天才』に至っては実用価値ほぼなし 強烈なインパクトは一種の魅力? |
3DO中期に発売された学習ソフト。
ゲームというよりは、映像教材に近い趣旨の作品である。
本記事では便宜的にタイトルを省略しているが、正式名称はそれぞれ以下の通り。
発売元の学漫は小規模な出版社で、このゲームの作者による漫画がメインコンテンツとなっていた(*1)。
今作は3DOソフトに多々見られた、ゲームを扱っていない企業による参入作品となっている。
ところで、3DOはあらゆる製作者の業界参入を容易にする方針を採っており、開発未経験の会社であっても気軽にソフトを販売することができた。ソフト一本あたりの費用がSFCの1割程度で、インディーズが参入する土壌も生まれていたほどである。
しかし参入の敷居が下がったゲーム市場は、得てしてアタリショックやアセットフリップなどの問題を引き起こしている。3DOでは大きな被害こそなかった(そもそもATARI2800やSteamほど市場が盛り上がらなかった)ものの、その片鱗が全く無かったわけではなく……
今作は知名度こそ低いが、その内容はクソゲー史に残りかねないクオリティとなっている。
さらに言うと、海外では『Plumbers Don't Wear Ties』が雑誌レビューを根拠に「最悪の3DO作品」として知られているが、今作はその対抗馬と言っていいレベルに達している。
+ | 参考画像 |
+ | 算数の天才1 |
+ | 算数の天才2 |
+ | 漢字の天才1 |
+ | 詳細 |
+ | 詳細 |
+ | 算数の天才(共通) |
+ | 漢字の天才 |
汎用な一般向けゲームエンジンが普及する前の作品でありながら、悪質アセットゲーに近い低品質で送り出されたとんでもない作品。
3DOの販売環境を踏まえると、「ゲームの販売ハードルが下がると、どういったソフトが売り出されてしまうのか」を示す貴重なケースと言えるかもしれない。
アセットフリップの台頭以降はこうした劣悪商品も珍しくないが、それ以前に生まれた数百円の小規模タイトル、商品チェックの概念が無かったアタリショック期の作品を除くと、商用コンシューマーゲームとしては最低クラスのソフトに数えられる。「最悪のクソゲーは何か」という話題に当たって本シリーズ(特に『漢字の天才』)が引き合いに出されたなら、かなりいい線まで行ってしまうのは明らかである。
ただしボリュームやクオリティさえ考えなければ、今作は最低限教育ソフトの形を為している。あまりにぶっとんだ作品なので、そのヘンテコな要素の数々がかえって子供を刺激し、各教科に興味を持ってもらえるかもしれない。
好奇心以外で本作を買うメリットはほとんどないが、もしコストをかけることなく何らかの理由で手に入れたのであれば、子供に遊ばせてみる余地があるのではないだろうか。くれぐれも自己責任で。
+ | プレイ動画 |
*1 同じ作者による作品が「学習マンガ出版」という出版社から複数出ていることが確認でき、おそらく同じ会社と見られる。
*2 海外で悪名高いクソゲーの一つ。度々挿入される質の低いアニメーションで広く知られており、精神的続編が作られるほどのカルト人気を誇っている。
*3 なお他のシリーズは見切れる部分に灰色の枠が表示されている(上記画像は削除済み)。おそらくスタッフは1作目『算数の天才1』の開発時にこの問題に気付き、同じミスが起きないよう枠を設けたと思われる。そこまで気づいていながら直そうとは思わなかったのだろうか……
*4 目次等を除いた、実質的な学習部分が書かれたページ数。
*5 ただし『元祖マンガ攻略法』当時のガリガリ君内容量は不明のため、少なめに見積もって120mlとする。またガリガリ君は軽減税率が適用されるため、消費税8%(75円)である点にも注意。
*6 ただし『算数の天才2』『漢字の天才1』は2つの項目を扱っているため、いくつか抱き合わせになっていた可能性はある。
*7 左の部分を見て「めぎへん」というあてずっぽうの答えを出すも外れた末、右上をむりやり「ル」と読んで正解となる、といった感じ。
*8 日本之実業社の学習漫画レーベル『○○なんてこわくない!』シリーズの一作。小学生向けでありながら中学数学の解き方を取り入れており、高校入試問題もおまけとして取り組めるという超本格的な内容である。可愛らしいキャラクターのラブコメ要素も魅力的で、算数の学習漫画としては中々におすすめできる一作である。
*9 90年代から発売されている「ドラえもんの学習シリーズ」の一作。宇宙を漂流するのび太たちが、様々な文章題に振り回されながら地球への帰還を目指す。扱うジャンルは12種類で、この書籍の「つるかめ算」は面積図を利用して解くものとなっている。
*10 M2(3DOの後継機)が撤退を宣言した2号後、97年8月15日号。ちなみにM2の欄は前の週に消滅した。
*11 下記の書籍のうち、漢字の方は少しペンネームを変えただけでほぼ同様の内容となっており、同じ作画担当による算数の書籍も流用の跡が見られるので、ほぼ間違いなく同一人物である。
*12 審査対象となったソフトのうち、一番最後のソフトは『ドラゴン・タイクーン・エッジ』だったのだが、これは丁度『ナオコとヒデ坊』の直前に発売されたソフトであった。
*13 例を挙げると、2023年現在もDL販売されているロングセラー知育ゲーム『パットパット/ファッティーベアーシリーズ』に0点や1点が付けられていたりした。
*14 ハイパーメディアクリエイターこと高城剛氏が送り出した、3DO専用の子供向けソフト(原作はNHKのアニメ)。氏の他の作品同様、ゲームに対するノウハウがあまりにも感じられない完成度となっている。
*15 1974年に放送されていた短編アニメ。あまりにも情報が少ないため「幻のカルトアニメ」と称されており、一部の有志が情報収集に乗り出している。野沢氏は主演を務めており、後に本作の事を覚えている旨の発言を残している。