Plumbers Don't Wear Ties

【ぷらまーず どんと うぇあ たいず】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 Windows3.1
3DO Interactive Multiplayer
発売元 【Win】Unica*1
【3DO】Kirin Entertainment
開発元 United Pixture
発売日 【Win】1993年
【3DO】1994年9月30日(未確定)*2
レーティング Rating:17(17歳以上対象)
判定 クソゲー
ポイント 英語圏で伝説化した3DO最悪のクソゲー
独りよがりで滑っているシナリオ
インタラクティブムービーと称して全編スライドショーを出す暴挙
冗長で苛立ちの募るテンポ
その割にボリュームは薄い
あまりの酷さにカルト人気を経てリマスター化


概要

要所で選択肢を選んでシナリオを進めていくオーソドックスなアドベンチャーゲーム。
タイトルを直訳すると「配管工はネクタイを締めない」または「配管工はネクタイをしない」*3
親から結婚を急かされている配管工のジョンと求職中のジェーンを中心としたドタバタコメディ。

元々はWindows向けにひっそり発売されたタイトルで、新たに普及したCD媒体を活かしたインタラクティブ・ムービーとして送り出された。
しかし当時から雑誌で酷評されており、それが(何をとち狂ったのか)3DOにも移植されてしまう。
最終的に今作は様々な媒体で酷評を受けることになり、今日では海外で「最悪のクソゲー」の一つとして語り継がれている。
同時に、"負けハード"として知られる3DOの敗因を体現したタイトルとしても名高い。


特徴

  • プレイヤーは、要所で出る選択肢で2人の行動を選んでいくことでハッピーエンドを目指す。
    • 当時の最先端ゲーム機らしく、実写(動画・静止画含む)を全編で使っている。
      • ゲームのパッケージ裏面には「Plays like a game …feels like a MOVIE!!!(映画のようなゲームプレイ!!!)」という文がある。
    • 1つあるベストエンディング以外は全てバッドエンディング(ゲームオーバー)である為、不正解の選択肢を選んだ場合は直前(またはそれ以前)の選択肢からやり直しとなる。

問題点

  • 実写映像を用いたADV、それもムービーが売りのCD媒体ソフトでありながら、その中身は静止画で自動進行するスライドショーである。
    • 起動直後こそヒロイン役の演者による紹介挨拶が流れるのだが、それ以降は一切動画がなく、いわゆる紙芝居が続くのみ。今作で真っ先に槍玉に挙がる批判点となっている。
  • 肝心のスライドショーとしても粗末。とにかくテンポが悪く、冗長かつ意味不明な映像をさまざまな場面で見せられる。
    • ゲームを開始するとオープニングが始まるのだが、その内容は本編と無関係なサーキットの映像*4を約1分にわたり見せられるというもの。
      • ネガ反転やモザイクといった、基本的な映像エフェクトを考えなしに多用していて安っぽいことこの上ない。この時出るスタッフロールは細いうえに文字色が背景色に似ている為、極めて見辛い。
      • 同様の安っぽいエフェクトは今作の要所要所で見られ、素人のパワーポイントさながらとなっている。
      • このシーンではレースカーに乗ったパンダが何の説明も無く唐突に現れる(もちろん静止画)
        コラ写真を作る上で当然の技術を一切使っていない為*5、異常にパンダの存在が浮いている。
    • オープニングに限らず、この後も視聴者のことを考えないようなテンポの悪い描写が度々現れる。
      • たとえばゲーム開始後、操作可能になるまで10分ほどかかる。最初に表示される選択肢によってスキップは可能だが、スタッフも長いと感じていたのだろうか。
      • 大半の場面において画像が切り替わるまでに4秒近くかかり、場面転換などはじれったく感じられる。
      • その他にも、ジョンがジェニーを口説き落とせたと思い込んではしゃぐシーンだけで40秒も使ったりする。
    • 出演俳優の演技も質が低く、何かと批判の的になる。
  • それでいてボリュームも薄い。
    • DISK1枚組で映像部分は総計1時間20分しかなく、そこまで周回を求められるゲームではない。
      • 最低でも2周で全部のエンディングを回ることが可能なので*6、総プレイ時間は3時間もかからない始末。
  • そして最大の問題はメタネタまみれの寒いシナリオ。ウィットに富んだジョークや下ネタで笑いを取る一般的なコメディを期待すると非常に落胆する。
    • 「意味不明な展開=シュールで面白い」と脚本家が勘違いしているらしく、中盤以降は寒い超展開が多く続く。要所要所で「ここは笑うところだよ!」と言わんばかりの大袈裟な強調を行うなど、コメディで絶対にやってはいけない描写を次々と連発しており、「スタッフだけは面白かったのだろう」と感じさせる痛々しさがある。
      • こうした問題点を文章で説明するのは難しいが、ノリが近い日本のゲームを一つ挙げるとすれば『厄 友情談疑』のそれに極めて近い。プレイヤーの困惑をよそに作り手の満足感ばかりが伝わる空気は『デスクリムゾン』のOPにも通ずるものがある。
    • パッケージ裏等からもセクシーな要素を売りにしているのだが、その煩雑さから海外では「低俗でつまらない」と顰蹙を買っている。
      • 要所要所の下ネタやサービスシーンは作劇上の必要性が薄く、ただ安直で下品なものとみなされている。
+
  • 大げさな演出の筆頭はゲーム序盤。ジョンの母(毒親)が家に訪問すると言い出しただけで、まるで世界の終わりでも告げるかのような効果音が13秒もかけて流れ続ける。
    • その時の映像は、ジョンに向かって等速でズームイン・ズームアウトを繰り返すというなんとも安っぽいもの。今作序盤の迷シーンの筆頭である。
    • その後も、ジェーンが「服を脱げ」と言われて過剰な効果音が流れる似たようなシーンがある。シナリオ上はシリアスな場面なのだが、緊張感がそがれる。

注意!ここからの映像は少しずつエロくなっていくよ!!人の体を見ると気分を害する人、心を痛める人は音楽が止まるまで目をつぶっていてね!

  • ゲームを始めて少し経つと、上記のメッセージがシャワーシーンの直前にデカデカと表示され、大音量のブザーとともに警告される。
    • セクシー要素を売りにしているゲームでありながら、思い切り興醒めさせるのはいかがなものか。
    • 昨今の動画配信サービスでは「ネタバレ注意!」「ここ伏線だよ!」とか言い出す人間が疎まれがちだが、やっていることは大体同じだと思ってほしい。世が世なら、この作者はニコニコ動画で痛々しいコメントを書いていそうである……
  • また当該のセクシーシーンも3DO版以降では「CENSORED(検閲済み)」「変な男が描かれた駐車禁止マーク」といった過剰なエフェクトで局部を隠しており*7、萎えることうけあい。
    • ジョン(男)の裸まで同時に見せるので、人によっては全然興奮しないポイントである。
  • 先述のテンポの悪さも、ギャグのつまらなさを助長している。
    • 特に顕著なのはジョンとジェニーのネガティブな妄想を別の演者で再現する茶番と、終盤でジェニーが金銭交渉を始めるシーン。いずれも結末がわかりきっているバッドエンドを5分近くにわたりダラダラ続けるので苦痛度が高い。
  • バッドエンドの内容によっては、ジェニーが突然プレイヤーの方を向いて恨み節を吐き連ねることがある。
  • 作品終盤の重要シーンでは、演者が台本を間違えガヤが思わず笑ってしまうシーンがノーカットで流れる。
  • ようやくハッピーエンドに到達したと思ったら、「じゃあどういう結末を見たい?」といきなり選択肢を挟まれるので気分台無し。
    • 作品の質の低さも相まって「まだ続くのか……」と感じられる。
    • しかも正規ルートの選択肢名は「ハリウッド的な結末を見たい!」とこれまた白けさせるような名称。
  • そんなひどいメタネタの筆頭にして、今作の象徴ともいえるのが、要所要所で挟まれるナレーション描写である。
    • ゲームを進めていくと明るいBGMとともにバラエティ番組のようなナレーションが登場し、話の流れをぶった切ってプレイヤーに選択肢を迫ってくる。これが電波な上にうざったい。
    • 彼らの喋り&演出はいちいち長い上に飛ばす事が出来ず、今作におけるストレス要因の筆頭となっている。あげくの果てに選択肢が表示されてもまともに操作が出来ず、喋り終わるまで待つ必要がある。
    • あるシーンでは「フィクション乗っ取り魔」を自称するカラテ使いの女が唐突に現れ、最初からいたナレーターを襲って倒し「やっとうざい奴と酷い音楽が消えた」と言ってナレーター職を乗っ取る。
      • そうかと思えば次の選択肢シーンにおいて、元のナレーターがこの女を20秒くらいかけてマシンガンで射殺して復職する。そして犬が拍手して迎える。犬……?
    • 求職中のジェーンが面接を受けるシーンの選択肢が「仕事を承諾する」「仕事を拒絶する」「面接官が変態になる」の3つ。
      最後の選択肢を選ぶと、ここからは18歳以上対象だとの説明をされる。本作は17歳でも出来るゲームでは無かったのか?
      • ちなみにこの選択肢を選ぶと、面接官がジェーンに服を脱げと強要してくる。この時ナレーターに「君の病的好奇心がジェーンに危機をもたらした!」と言われる。うるさい。
        その後「脱衣を拒絶する」「脱衣を承諾する」の選択肢が与えられるのだが…。
        「脱衣を承諾する」とSMプレイ(のスライドショー)が始まる。シナリオ的には何だかんだピンチを乗り切っているのだが、チキンマスクをつけた男からヒロインを清純にしなかったことをとがめられ、待ち受けるものはゲームオーバー&やり直しである。
  • 物語の本筋もめちゃくちゃで、中盤からの超展開はある意味で必見。
+ 詳細
  • ジェーンの雇い主であるスラッシャーは、入社当日になって契約をキャンセルする。当然ジェーンは反発するも、スラッシャーは枕仕事を要求し、ジェーンは反撃して逃走する。ここまではよくある流れなのだが問題はその後。
  • 要求を断られたスラッシャーは激昂し、机の上にあった刃物*8を頭上にかかげてジェーンを全力で追跡する。
    • プライドを折られて衝動的に殺意を抱いた……というわけではなく、部屋を出てわりと長距離を逃げていくジェーンに対し、わざわざ凶器を見えるように掲げながら律儀に追跡して殺害を試みる。見たところ衝動的なそれではなく、なんか無計画に殺そうとしている。
    • この追跡の最中に先述の司会者交代シーンが入るので、テンポも最悪。
  • ここで正規ルートに進むと、ジョンを巻き込んで追いかけっこする様子が約3分半にわたって長々と描写される。尋常な長さではなく、いつになったら終わるのかとイライラさせられる。
    • 途中で3人が休憩したり談笑したりするシーンが意味もなく挟まれる。ギャグシーンのつもりかもしれないが、テンポが悪いせいで全然笑えない。
    • 繰り返しになるが、凶器を持っている方は枕仕事を断られただけで相手を殺そうとしている。そっちの方が社会的に死にそうなのだが、このシーンでは白昼堂々刃物を持って追いかけっこをしているのに誰も警察を呼ぼうとしない。もう倫理観がむちゃくちゃである。
    • なおジョンが無事にとらえた後、彼は警察を呼ぶよう指示する。ちゃんとこの世界に警察はあったようだが、優先順位がぐちゃぐちゃである。
  • 今作ではなぜか得点が記録されているが、ゲーム上なんの意味もない。
    • 今作の分岐は単にプレイヤーの選択だけで確定し、得点による分岐は一切ない。
    • 序盤のナレーションによれば「ロクでもない選択をしたらスコアとして記録するから覚えておけよ」ということらしい。その後も失敗のたびに減点などの話を持ち出したり、プレイヤーを貶す要因にしてくるが、本当にそれだけであり、単なる嫌がらせ以上の意味を持たない。
      • なお正規ルートを選び続けても途中で合計がマイナスになる。「それだけロクでもない選択肢を選んだ」という意味なのだが、超展開を強要しておいてこの仕打ちは何と理不尽なことか。

評価点

  • シナリオ(超展開)の好意的評価。
    • 前述の問題点(超展開は不評)の指摘と矛盾するが、「バカゲー」として見た場合、前述の通りシナリオ展開のぶっ飛び具合が凄まじい為、一種異様な魅力を持つことに成功している。
  • バッドエンド後のシナリオ復帰までのレスポンスは良い(直前の選択肢等まで戻される為&ロード時間も短め)。
    • 先述の通りゲーム開始から最初の選択肢まではスキップが可能で、今作の進行で褒められる数少ない要素である。
  • ゲーム序盤の毒親描写は妙に生々しく、シナリオの稚拙さに反してここの解像度は高い。
    • 息子の私生活に過剰なほど干渉し、意に沿わないと癇癪を起こして人格攻撃を行うなど、ネットでよく挙がる毒親体験談のそれをリアルになぞっている。
    • 毒親に限らずともハラスメント被害の経験がある人であれば、序盤の描写にはいろいろ考えさせられるものがあるかもしれない。

総評

コメディ映画を作るうえでやってはいけないことを全部詰め込んだうえで、クオリティ面の努力も何から何まで放棄した作品。
内輪じみた寒いネタの応酬、意味不明で下品な内容の数々と、シナリオだけでもキツイものがある。それでいて中身は質の低いスライドショーを淡々と見るだけであり、安直な映像表現、冗長なテンポも相まって退屈極まりない。
それでいて1時間程度の極小ボリュームの本作だが、見方によっては「たった1時間で解放してもらえる」という救いにすらなる。

3DOは他ハードよりも気軽にゲームを販売でき、様々な企業の参入に力を入れていたものの、裏を返せば「低品質なゲームも乱造できてしまう」というリスクも抱えていた。
特に3DOが打ち出した「映像とゲームの融合」は中途半端でつまらない作品を次々と生み出す一因になっており、本作もまた思い切り当てはまってしまっている。
今作は、こうした3DOの悪い面を体現した負の遺産としても広く知られている。


反響

唯一流通した北米を中心に、今作は様々なメディアで度重なる酷評を受けることとなった。
そのあんまりな内容から、今作は日本で言う『デスクリムゾン』よろしく「伝説のクソゲー」としての一面も持ち合わせている。
英語版Wikipediaの記事は(今作に限らず)ゲームのレビューを網羅的に扱っているため、そちらも参照のこと。

  • 知名度の高い3DO版が発売される前から、雑誌『PC Gamers』ではすでに酷評記事が書かれていた(画像)。
    • その結果は100点中の3点。レビュアーからは「こんなもんは見たことがないし、できればもう二度と見たくない」と締めくくられている。
  • その後もイギリスの『PC Format』誌で4%(同雑誌中最低点)、アメリカの『Electronic Gaming Monthly』誌で最悪のゲームワースト4位に挙がっており、海外ゲームデータベースサイト「MobyGames」がかつて独自に集計したメタスコアでは今作が3DOソフト中最低値を記録していた。
  • そして今作の知名度を爆発的に上げたのが、怒れるビデオゲームオタクことAVGNによる紹介動画。雑なエフェクト等は甲斐甲斐しくネタにされた。
    • 本動画は負けハードとして知られる3DOの紹介も兼ねており、CD-iの『Hotel MARIO』『ゼルダ』三部作*9、Atari Jaguarの『Cybermorph』と共に「負けハードの中でも更に酷いゲーム」の代表格としてその存在を知らしめている。
    • ニコニコ動画には有志による翻訳動画がアップされており、北米限定かつ未翻訳の今作は日本でも知名度を上げた。
    • ちなみに同番組ではこの10年後に3DO自体の網羅的な紹介も行っている。英語圏における有名タイトルを一通り紹介しており、見どころ満載である。
      • ただし例によって評価の高いゲームも厳しめに批評しており、コメント欄ではいくつか異論も挙がっているので、あくまでコメディ志向の動画である点は忘れないよう注意。
  • その後も様々なメディアが度々本作を取り上げた結果、その出来に反して需要が増大してしまったらしく、中古市場では法外な価格が付けられている。
    • 3DOは希少なレアソフトでさえ10万を超えるのは稀なのだが、今作は日本円にして約14万で取引されている(2023年2月現在)。
    • 3DOはリージョンフリーなので、入手さえできれば日本の規格ハードでもプレイ可能。

余談

  • 原作であるWindows3.1版は限定販売で流通したらしく、3DO版に比べるとかなりレアなソフトとなっている。今作の話題においては、特に明記が無ければ3DO版を指すことが多い。
    • Windows版は3DO版冒頭のムービーシーン(ヒロインのジェーンがストーリーの簡単な説明をする)がない代わりに、ゲームの簡単な概要が表示される。
    • 操作はマウスオペレーションで、静止画は3DO版に比べると鮮明*10PC(Win3.1)版プレイ動画
    • 2017年に入って有志が全力で捜索したところ、とある図書館にPC版があることが発見され、ROMがInternet Archiveにアップロードされた。
      • おそらく無断アップロードだが、リマスター版が出た現在も事実上黙認されている状態にある。*11
  • 「主人公の配管工がネクタイを付けているからタイトル詐欺だ」というツッコミは本作を象徴する問題点のように扱われがちで、本記事にも長らくそう書かれていたのだが、実際はゲーム終盤できちんとタイトルが回収されており、ゲーム序盤でも間接的に回収されている。
    • おそらくAVGNに大々的にツッコまれた*12ことで誤解が独り歩きしたと見られるが、該当のシーンはまだゲーム序盤であり、やや早計な指摘となっている(だとしても直前の描写を踏まえると必ずしもタイトル詐欺とは言えないのだが)。
      • 同シリーズはあくまでエンタメ動画として過剰に茶々を入れがちな側面もあり、時折間違いを指摘されたり反論をくらったりするケースもある点に注意*13
+ 詳細(結末のネタバレあり)
  • まず配管工のジョンがネクタイを付けているのは確かだが、これは母親の身勝手な要求で仕方なく付けたものである。ジョン自身はゲーム序盤で配管工は(一般的に)ネクタイをしないことを理由に着用を断っている。なお上記のAVGNの動画はこのくだりに一切触れていない。
    • よってこの時点でタイトルが指しているのはゲーム内で言及されている一般常識の話とも解釈でき、主人公の服装を指していない可能性がある。どちらかといえば「普通なら配管工はネクタイをしないのに主人公は仕方なく締めている」という状況である。
    • 装着しているネクタイも身長や服装に全然似合っておらず、劇中でもあえて不恰好なファッションとして強調されている。
  • その後いろいろあってジョンがジェニーを救出した末に、このフレーズはラストで回収される。
    • 恋仲に落ちる二人だが、ジョンは「自分はただの配管工でしかない」とへり下り、デートへの誘いを躊躇してしまう(補足しておくと、このシーンは財力で貞操を買おうとした敵をしりぞけた直後)。そこでジェニーは彼のネクタイを見ながら一言述べ、二人でディナーへと赴くのであった。「冗談は言わないで。だって配管工はネクタイをしないでしょ」(大意)
    • なおこちらのタイトル回収シーンもAVGN動画では触れられていない(あまりの酷さにエンディング前の最終分岐でレビューを放棄したため)。
  • またレーティングに関しても本記事で「エロを売りにしているのにエロ要素が無い」としきりに強調されており、長らく誤解を招く状態となっていたため、こちらも補足。
    • まず今作のレーティングは17+(17歳以上推定)、つまり現代の日本で言うCERO:D相当であり、内容からしてこの判定は極めて妥当である。
      • ゲーム内のセクシー要素は全裸でのシャワーシーン(胸や局部は隠されている)、谷間の強調、SM描写などがあり、少なくとも未成年に対しては十分刺激的な内容になっている。これがR18なら確かにショボいが、CERO:D相当としては全く問題ない。
    • 3DOでの成年向けレーティングは「AO」であり、今作は成人向けゲームでは無い。*14
      • 参考に、日本版3DOソフトで同等のレーティング(16(16歳未満不適))は、過激な描写の多い非R18ギャルゲー『卒業シリーズ』に付与されている(なお『プリンセスメーカー2』は全年齢、『スーパーリアル麻雀 PV』はAO)。
      • 海外のニュースサイトでも、今作は過去に「ソフトコア」として紹介されている。(参考)
    • 3DOが実写AV市場の役目も果たしていたのは事実で*15、粗悪な品も多々見られたことで知られるため、このエピソードと何かしら混同されて伝わったと見られる。
      • もしくは成年向けと勘違いして購入した海外プレイヤーの話が曲解されて伝わったのかもしれない。
    • 確かに今作は海外においてポルノとしても低品質という扱いを受けているが、その理由はエロ要素の有無というよりも、内容の安直さ、悪趣味さの方に重点が置かれている。
      • 上述の海外ニュースサイトでは「性差別的」とまで言われている。特に同性愛ネタは当時でも十分アウトだったようである。
  • 3DO版はパッケージからして強烈。
    • 表には「A Plumber(配管工)」「A Daddy's Girl(パパ大好き娘)」「Chickens(ニワトリ)」「Crazed Yuppies(ノリの良い都会人)」「Evil Bosses(悪の親玉)」「Shower Scenes(シャワーシーン)」「Race Cars(レースカー)」「Pandas(パンダ)」「A Nun(修道女)」といった文字が並んでいる。
      パッケージを逆さまにすると「Get it?(わかった?)」の文字が。お前は何を言っているんだ。
    • いちおう書かれているフレーズは何らかのルートで回収されるが、こんなものを見せられても……
  • ヒロインのジェーンを演じた女性はアメリカの女子プロレス団体GLOWで「ハリウッド」のリングネームで活躍した、ジーン・バソン(Jeanne Basone)という人物である。

その後の展開

  • 2024年3月5日より、『Definitive Edition』と題したリマスター版がPS4/PS5/PC/Switch/XSXにて配信開始された。これまで知名度に反してプレイ困難だった今作だが、この配信によって以前よりも遥かに遊びやすくなった。
    • 発売元はアメリカのゲームパブリッシャー兼ディストリビューターであるLimited Run Games*16。2021年6月に開催されたE3でのイベント「LRG3 2021」上にて情報が初公開された。パブリッシャーのツイート
      • 当初XSX版は発表されておらず、後から追加された。
      • 配信に先駆け、2023年9月22日よりパッケージの予約販売を開始。パッケージはリバーシブル仕様となっており裏面は なぜかアニメ風味の絵面になっている上、「配管工はネクタイをしない」と日本語タイトルも書かれている。
    • 追加要素として、3DO版を意識した新録オープニング、FPS風のミニゲーム、オーディオコメンタリーやインタビュー、フローチャート機能やスキップ機能といったリマスターらしいUI強化が加わっている。
      • UIは3DOよりもWindows3.1の方を意識している。当時を彷彿とさせるウィンドウデザインが懐かしい。
      • オープニングの要所要所で画像が乱れたり、メニューアイコンのサイズが整っていなかったり、あげくメインメニューから開けるオプション項目に至っては外枠の変更くらいしかできないという『デスクリムゾン』以下の内容と、元が伝説のクソゲーだけあって細部の意匠も徹底的に雑である。
      • なお付属のFPS風ゲームは迷路の中で凶器を持って襲ってくるスラッシャーにスッポンを投げて撃退するというカオスなもの。しかし追加特典の解禁にかかわる要素でありながら、マップも体力もない不親切仕様なのが難点である。ここまでクソゲーにしなくても……
    • なお既述の通り検閲解除の裏技が削除されており、乗っ取り女銃殺シーンの弾痕が削除される(おそらく銃規制のせい)など、原作を完全再現できなかった惜しい部分も見られる。
      • ただし弾痕が消えたシーンに関しては原作よりシュールさが増しており、これはこれで味がある。
    • 特に重要なのは英語字幕の表示機能。これにより、英語が聞き取れなくても読むことさえできればプレイ可能となった。
      • ただし字幕の表示タイミングは食い気味で、やや見づらいため注意。
最終更新:2024年09月22日 18:32
添付ファイル

*1 ソースは本記事の「反響」項にも貼ってある雑誌記事より。英語圏の多くのサイトでUnited Pixture発売と書かれているが、誤りと見られる。

*2 英語版Wikipedia版より。ただしそちらには要出典が付いている(2024年7月時点)。

*3 日本のサイトでは前者の表記が主流だが、リマスター版は後者を採用している。

*4 この後のシーンにおいて、主人公が見ていた夢であることが判明する。ただしその後のストーリーとは何の接点もない。

*5 例のパンダの切抜き合成がいい加減なところから見ても一目瞭然である。

*6 ただし中盤は若干細かい分岐があり、全ルートを踏破するのであれば3周かかる可能性がある。

*7 オープニングムービーの間に隠しコマンドを入力することで、この検閲を削除できるらしい。リマスター版では流石に実装されておらず、常に検閲が入る。

*8 画像だけだとペンにも見えるが、追跡後のナレーションでレターオープナーと明言されている。

*9 任天堂が開発に関与していない、ライセンスのみ得て作られた劣悪な作品群。通称「糞々のトライフォース」。

*10 3DOはRGB出力が出来ず、基本TVに映すのでどうしても荒く見えるのは仕方がない。

*11 Internet Archiveのコンテンツは基本的に版元の許可を得ておらず、いくつかの資料は著作権侵害による訴訟を受けている(2024年夏現在も係争中)。今作の場合は黙認されている可能性が高いとは言え、遊ぶのは法的にグレーと考えた方が良い。

*12 元動画の8:24あたり。

*13 特に最初期の『ドラキュラII 呪いの封印』に対するレビューは今なお賛否を呼んでいる。

*14 以前の版でもAOには触れられていたが、最初に該当の記述が書かれた際には触れられておらず、成人ソフトとして扱われていたところに後から追加されたものである。本サイトの前身である「クソゲーまとめwiki(跡地)」の履歴から確認可能。

*15 これは日本の3DO市場でも同様で、『Dの食卓』後にソフトが欠乏していた時期には雑誌の売り上げランキングがAO指定の『バーチャルカメラマンシリーズ』で埋まるという惨状もあった。

*16 現在はEmbracer Group内のメジャーレーベルの1つである「Embracer Freemode」の傘下に属している。