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デッドゾーン

【でっどぞーん】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 ファミリーコンピュータ ディスクシステム
発売・開発元 サンソフト
発売日
()は書換開始日
1986年11月20日(1987年1月10日)
定価 2,980円
プレイ人数 1人
判定 なし
ポイント SFのアドベンチャーは異質ながらストーリーは本格的
ディスクシステム初のアドベンチャーゲーム
ゲーム本編でBGMなしは寂しい


概要

サンソフトが1986年にファミリーコンピュータディスクシステム用ソフトとして発売したコマンド選択式SFテキストアドベンチャーゲーム。
1983年に公開された同名のアメリカ映画(日本では1987年公開)とは全く無関係でストーリーは完全にオリジナルなもの。

テキストアドベンチャーは推理系サスペンスモノが一般的な時代としては異色なSF世界観で、恋人のマリーを見つけるためにコロニー内を探索する。
キャラクターデザインはもりけん氏を起用している。


ストーリー

遠い未来にあたる宇宙歴0385年。
既に地球は、膨大に膨れ上がった人口を支えられず、新たなる居住地を宇宙に求め、スペースコロニーを建設し始めた。
これが宇宙歴の始まりである。

以来385年、523号のコロニーが建設され、かつての地球人のほとんどが宇宙で生活するようになり、今や地球への旅行が人々の夢となっている。
太陽系の開発は既に終わり、ここ数年来はシリウス太陽系の開発が始まっていた。それまではワープ航法が試験的或いは非常時のみ許可されていたが一般的な使用が認められ、自由に往来できるようになった。

カーク・マックレーはシリウス太陽系コロニー第3号のチーフ技術者で、数日前に任務を終えたばかりであった。
カークにはマリーという婚約者がおり、結婚を目前に控えていたが、マリーの仕事の都合で延期せざるをえなくなっていた。
これで仕事納めになる祝いにカークは手製のロボット「キャリー」をプレゼントする。

それから5ヶ月。マリーの仕事は順調に進み、カークはスペースボート設計の仕事を行っていた。
シリウス第3惑星は人間が住むに最適とされ、移住計画が浮上したためである。 そんなカークの元にマリーから、ライオネックスでの仕事が順調なため1ヶ月スケジュールが縮まりそうだと通信が入った。
そしてパーティの準備をしているので遊びに来てほしいと誘われたのだった。

3日後、カークはライオネックスに到着。工事が終わったためか関係者の姿はなくひっそりしていた。
驚かすつもりでいるのか?訝しんでいたが、その時レーザーショックガンの光が降り注ぎ、カークは気を失った。
気が付けば、あたりは薄暗く地下室のようだった。よく見るとそれは廃棄所で壊れたロボットが散乱していた。

「一体何が起こったんだ!何故俺はここにいるんだ!」

カークの叫び声は、虚しく廃棄所にこだまするだけだった。

ライオネックスとは

スペースコロニー524号「ライオネックス」
シリウス第3惑星から54,000kmのところ、惑星とその衛星「サフィアン」の中間点にあたる居住人数10万の小型コロニー。
第3惑星移住に向けての研究所のような役目を持っており、移住開始時には宇宙ステーションの役割を担うことになる。
広大なスペースポートを持ち、食糧供給が大変重要な役割となるため、農場や食料研究用の施設等が充分に取られている。
自己修復の機能を持っており、流星等の衝突による損傷にも直ちに分析し修復が働く。
またゴミ収集や農作業を行う「作業ロボット」治安維持を務める「公安ロボット」コロニーそのものの修繕を行う「修理ロボット」が配備されている。
これらロボットはマザーコンピュータからの電波指令で動いている。マザーコンピュータの動力源はメインは原子力。サブとして太陽エネルギーも可能。
マザーコンピュータルームはコロニー中心部にビルのような形で建っており、駐在員の部屋や農業研究所、ロボット動力室があり、コンピュータ自身はその上にある。

キャラクター

  • カーク・マックレー
    • 本作の主人公。
    • 地球連邦宇宙開発局勤務の27歳。木星第2大学で宇宙工学を専攻した。宇宙物理が得意。
  • マリー・プラント
    • 本作のヒロイン。
    • 26歳でカークの1年後輩にあたり、同じ部署に勤務している。水星第7大学で電子工学を専攻。今回初めてプロジェクトのチーフ技術者に選ばれた。
  • キャリー
    • カークによって作られたロボットで、マリーにプレゼントされた。5ヶ月の間マリーとライオネックスで行動を共にしていたので、ライオネックスのことはそれなりに知っている。

内容

  • 根本的にはスタンダードなコマンド選択型テキストアドベンチャーゲームになっている。
    • プレイヤーは廃棄所に閉じ込められたカークとして、その危機的状況を脱して恋人マリーを探しに行く。
    • 判断を誤るとゲームオーバーになることがある。その場合、そのフロアの最初からの再開となる。
    • テキストはコマンドを含め、すべてがカタカナ表記となっている。
  • コマンドは非常に細かく「ミル」「シラベル」が分かれているだけでなく「トル」「アケル」の他「オク」「イレル」「ウゴカス」「ノル」など独特なコマンドまである。
    • ほかに、特有のコマンドとしてキャリーが帯同している場合「キャリー」というコマンドがありキャリーに協力を頼むことができる。
  • ゲーム本編ではBGMがない。
    • タイトルとエンディング、後述のミニゲームのみBGMあり。
  • 文字表示音はタイプライターを打つような音。
    • 『ルパン三世』のサブタイトルで使われているようなバチバチ音と言えばわかりやすいだろう。

評価点

  • グラフィックが豊富。
    • ほとんど一枚絵ではあるものの、それが場面場面はもとよりコマンド1つ1つでも細かく切り替わる。
      • しかもグラフィックの表示部分も大きく、それでいて大雑把さもない。
    • どのグラフィックも当時にしては非常に細かい部分まで描かれており、アドベンチャーでは特に重要な部分の一つであるため、その部分の出来が良いのはゲームのトータルクオリティへの貢献も高い。
    • 同じ絵でも、その中でアクションが発生するなど、ちょっとしたアニメ感覚。
  • ストーリーは短いながらも中身は濃密で構成もしっかりしたものとなっている。
    • 説明書のバックストーリーを見ないと前提の部分はわからないが恋人のマリーを探しに行くという目的は理解できるし、最初の「廃棄所」という、いかにも「まずは脱出」という最初の目的も飲み込みやすい。
    • そして、だんだん階層を上に上に向かっていくという流れになるのも、それを通して目指すべき場所を感じ取りやすい。
  • ちょっとしたネタ要素。
    • 本作を語る上で有名なのはなんといっても『いっき』とのコラボで、物語の途中のあるポイントで同作のタイトルを模した画面に切り替わる。
      • そして、始まるのは神様から投げられたおむすびを取る同作のボーナスゲームを模したもので、権兵衛と田吾の代わりにキャリーがそれを行うシュールさも笑える。
      • 本来「いっき」と表示されていたタイトル名まで、これ専用に平仮名で「でーっどぞーん」と和風なフォントで作られているなど地味に凝っている*1
      • ただ、そんな突飛な展開も上述通りしっかりストーリーの流れに上手く乗ったものになっている。
  • 当時にしては非常に珍しい音声合成。
    • バリエーションは少ないがゲーム開始と同時の「なぜ俺は、ここにいるんだ!?」とカークの声が聞こえるのは驚いた人が多いと思われる。
      • キャリーコマンド選択時の「キャリー ドェース(でーす)」もキャリーの見た目通り愛嬌をたっぷり感じられる。

賛否両論点

  • 基本的に少ないヒントで直感的な判断をしなければならない。
    • この点はかなり理不尽に思えるが、世界観的にどちらかといえば冒険として判断を試していると考えればまんざら悪いともいいきれない。
    • 実際、ストレートでクリアした場合20分もかからずあっさり終わってしまうので、それはそれで虚しいものがある。
      • また謎解きの難易度自体はそこまで高くはなくゲームオーバーもあるにはあるがちょっとしたことであっさり多発するようなアンバランスなものでもない。

問題点

  • コマンドが多すぎて表示しきれない。
    • コマンドが多彩なのは直感的で良いのだが一度に表示できていない。
    • そのためBボタンで切り替える頻度が高く少々煩わしく感じやすい。
      • スペースは広く取られているので、コマンドのボックスをもっと広く取ってもよかっただろう。
  • ゲーム本編にはBGMがない。
    • まだ草創期とはいえ本編の大部分で無音なのは少々寂しく感じられる。
    • また、それでいて後述のミニゲーム中はタイトルからちゃんとBGMが付いているのはちぐはぐ。
  • ネタとしては面白いが『いっき』を模したミニゲームが地味に厄介。
    • なにしろ1つでも取り逃すとアウトで全部取り切れるまで何度もリトライさせられる。ミスが続いても中断できない。
    • そして投げるペースはオリジナルよりも早く、ほぼ同時に2つ3つ飛んでくることもある。
      • 最初はネタが面白くても、繰り返しているうちにさすがにだれてしまう。
  • アドベンチャーなのに登場人物が少ない。
    • カークとマリーのみで、キャリーを人物とみなしても3人だけでモブのような人物すらいない。
      • このようなアドベンチャーゲームはキャラクターも魅力になるだけにさすがにキャラ不足。

総評

ストーリーは短いながらもグラフィックは描写ごとに細かく用意されビジュアル要素は文句なしで、よくある「文字ばかりで退屈」なことにはなりにくいのが強み。
本作はほとんどノーヒントで判断力を試している一面が強いので、それに合わせて画面の変化が多いことは実際に行動している感覚を醸し出してくれている。
それだけにゲーム本編にもBGMがあれば、より一層ゲームに没入してストーリーを堪能できたかと思うと、残念の一言に尽きる。またキャラの少なさもアドベンチャーとしては物足りないところではある。


余談

  • バッドエンドのメッセージは「シンデ マッタ ガヤ」「モウ1カイ ヤロマイ」とモロに名古屋弁なのもサンソフトらしいところ。
    • ただ当時のサンソフトは名古屋市ではなく、愛知県でも名古屋市からは少し離れた江南市である。
      • もっとも、その程度の距離なら名古屋弁はそこそこ浸透しているが。
  • ゲームスタート前にセーブデータに名前を登録するが、その後キャスティングが表示される際にカークにはその名前、それ以外は「HVC-022」となっている。
    • その「HVC-022」とはディスクシステムの型式名だったりする。
  • 徳間書店の「わんぱっくコミックス」で漫画化された。
    • 同誌はもりけん氏の漫画作品も掲載していたが本作の漫画は、こばやし将氏によるもの。
    • 後に単行本化されているためレアな中でも比較的入手しやすいのが幸い。
  • もりけん氏は1986年12月発売の『マドゥーラの翼』や1988年1月発売の『リップルアイランド』でもキャラクターデザインを担当している。
    • これら作品も徳間書店の「わんぱっくコミックス」で漫画化され、こちらはもりけん氏自身によるものになっている。
      • ただし前者の方は、もりけん氏のものよりも、みなづき由宇氏によるゲームコミック版のビキニアーマールシアのインパクトが強すぎて存在感という点では本家の方が喰われ気味。
  • サンソフトは本作に続くディスクソフトのアドベンチャーゲームとして『皇帝の闇』という剣と魔法で戦うファンタジー系のアドベンチャーを予定していた。
    • だが本作の感想アンケートが中学生以上からの回答がほとんどだったようで小学生以下のプレイが少なかったと見るや次のサンソフトのアドベンチャーゲームは低年齢層の親しみやすさを重視したメルヘンチックなものへと路線変更となった。これこそが前述の『リップルアイランド』である。
      • 当初はディスクカードで予定していたが、それも後々ロムカセットに変更となった。
  • 後にサンソフトが発売する『ナゾラーランド第3号』(1988年3月11日発売・ファミコンディスクカード)は本作と関連が色濃いものになっている。
    • 「ミスナゾラーコンテスト」ではキャリーが前述の『リップルアイランド』のヒロイン「キャル」と司会を行っている。
    • 同作に収録されたアドベンチャーゲーム『ナゾラー少年探偵団』は本作で最初にカークが置かれた状況のパロディで、いろいろ細かいコマンド選択肢の構成も本作から踏襲されている。
    • また本作の続きのエピソードが一部語られる。
+ ネタバレに絡む部分
  • 「おたよりコーナー」でカークが登場しており本作の後日談を語っている。
    • その中で最後の約束通り、もう一度キャリー(キャリー2)を作って今はマリーと楽しくやっているとのこと。
    • そのため前述の司会のキャリーはこのキャリー2と思われる。

最終更新:2026年01月28日 08:13

*1 細かい所でクレジットも『いっき』は「1985 SUNSOFT」なのに対して「1986 SUNSOFT」に変えられている。また2人プレイもないゲームだが、それがある前述作品に準えて「1PLAYER GAME」「2PLAYERS GAME」という選択肢まである(もちろん選べないが)。