ガーディック外伝
【がーでぃっくがいでん】
ジャンル
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アクションシューティングRPG
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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1MbitROMカートリッジ
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発売元
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アイレム
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開発元
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コンパイル
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発売日
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1988年2月15日
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定価
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5,500円
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プレイ人数
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1人
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判定
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良作
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ポイント
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コンパイルSTGの流れを汲む高速スクロール 見かけによらないタフネスさでガンガン撃墜する爽快感 時代を先取りしたビキニアーマーメカ娘 シューターに対しては難しめな謎解き
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コンパイルSTGシリーズ
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概要
その名の通りMSX用シューティングゲーム『ガーディック』の外伝的作品。
同作を発展させる形で、本作では縦STG・トップビューのアクションSTGとRPG要素を組み合わせた内容となっている。
主人公「システムD.P」(当時の紹介記事では「ミリア」という愛称があるとのこと)は戦闘用アンドロイドであり、戦闘機とビキニアーマーの女の子のような人型形態の変形をするのだが、
これは後の21世紀にトレンドの1つとなる「ビキニアーマー風メカ少女」の先駆者的存在であるとする声もある。
ストーリー
銀河の彼方から巨大な落とし物とも言うべき謎の物体が近づきつつあった。
「ナジュ」と名付けられたこの物体は、遥過去に人類とは別の存在が落とした巨大カプセルだった。
ナジュは長い年月をかけて凶悪生命体が内部で増殖し続け、その縄張り争いの影響で地球に直撃しようとしていたのである。
その後のある日、地球外のノウハウで創られた最強戦士「システムD.P.」が、ガーディックを生み出した者より送り込まれてきた。
地球の命運を救うには、彼女がカプセルの奥深くにある10個の安全装置を起爆させ、ナジュを自爆させるしかない。
内容
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全体的にはシューティングがメインになっており、主人公ミリアはラビリンスステージでは人型、コリドール(ダンジョン)ステージでは戦闘機形態になる。
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スタート直後は戦闘機形態で「惑星ナジュ」を目指すところから始まる。
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その後は「ナジュ」に広がるダンジョンを探索して「コリドール」の攻略を目指す。
キーなどを入手して行動範囲を広げつつ、最終的に全てのコリドール(その中にある10の安全装置)を破壊し、惑星ナジュを自爆させることが目的となる。
ラビリンスステージ
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「惑星ナジュ」の外枠にあたる部分で本体コリドールへの入り口が随所に点在している。
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ここでメッセージなどを頼りに、21のコリドールを捜し出し、コリドール1から10を破壊する。
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ステージマップ自体もいくつもの区画に区切られており、何もない状態では行けない部分がある。
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後述のコリドール攻略でキーを手に入れることによって、新しい区間に入れるようになり、また新しいコリドールを目指すことになる。
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道中には小ボスのような敵が出現することがあり、その時は警報のような音が鳴り響き、今いる区画が破壊不能な壁に閉ざされる。
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閉ざされた後は、その小ボスを破壊しない限り進むことはできないが、閉ざされる前に突っ切ればパスも可能。
コリドール(ダンジョン)ステージ
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ラビリンス内に全部で21の入り口がある。このステージでは戦闘機形態で戦うことになり、最初に変形のアクションが入る。
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全部で21あり、ボスを倒すことで安全装置を破壊したり、ラビリンスで新しい区画に行けるキーを手に入れることができる。
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コリドール11から20は謎解きがなく、そのまま入ることができる。攻略には必須ではないので無視しても良いが、クリア報酬でいろいろアイテムが手に入るため、攻略しておきたい。
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コリドール21は、いわゆる最終ステージ。コリドール1から10をすべて破壊すると解放される。
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一度攻略したコリドールは破壊され、二度と入ることはできない。
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本作の代名詞「SHS(スーパーハイスピードシューティング)」とは基本的にこのシーンでの特徴である高速スクロール背景を指したもの。
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コリドールとは別に、ゲームスタート時の突入シーンも戦闘機形態によるシューティングパートとなっている。
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コリドールのみを通しでプレイ可能な隠しモードもある。
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パスワード入力画面で「えいえるじい」と入力すればスタート。各ステージクリア後に、ステージごとの得点に応じて各種アイテムが手に入る。また、通常モードとエンディングが少し異なる。
アイテム関連
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オプション
弾数有限性の武器で、強力な特殊弾。
全12種類。ショップではチップ(CHIP)の支払いで購入できる。敵のドロップやブロックに隠れているものもある。
基本的にはラビリンス、コリドールのどちらでも使用可能で、使用にはチップを消費する。武器によって、1発ごとに、あるいは時間により消費されるものがある。
各武器は3段階までパワーアップする。
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全方位弾:方位入力方向に弾が飛ぶ
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バック・サイド:自機の両斜め後方に弾が飛ぶ
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ウェーブ:自機前方にウェーブ発射。コリドールでは左右にゆらす事もできる
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回転弾:自機の周囲を弾が回る
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手榴弾:投げた後、爆発して敵をまきこむ
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ファイヤ・ボール:貫通弾。飛びながら進路上のものを焼き払う
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エリア・ブラスト:画面上の敵に向かって貫通しながら飛んでいく
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リピール:前方に回転しながら飛んでいく
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レーザー:強力なレーザー光線(歩行時には使えない)
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サーベル:自機の前方に出現する棒状の武器
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カッター:サーベルがミリアの両サイドから出る
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エネミー・イレーサー:フラッシュし、画面中の敵を一撃する。他と違いチップ消費制ではなく個数制
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アイテム
ライフやチップを回復させるもの。
なおライフやチップのMAXが上がると、メインショットの範囲や攻撃力、連射速度も上昇する(実質的なレベルアップ)。
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タンク:ライフを最大まで回復させる。
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青ランダー:ライフのMAX、残量を上げる。
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赤ランダー:チップのMAX値を上げる。
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銃:攻撃力をレベルアップさせる。
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盾:防御力をレベルアップさせる。
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連射:通常弾がパワーアップする。
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パワー:ライフを一定量回復させる。
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青チップ:チップが20増える。
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赤チップ:チップが500増える。
評価点
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敵の攻撃は激しいが自機のタフさから、ちょっとやそっとの攻撃にはビクともせず積極的に攻撃でき、STG初心者でも撃ちまくりの爽快感が存分に味わえる。
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更に回復アイテムの出現頻度も高い。単にタフというだけでなく倒すことによって回復アイテムがドロップされる頻度も高く、ゴリ押し気味でも大丈夫。
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連射パッドがなくても、1段階パワーアップしただけで強力なオート連射ができる。
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時代を先取りした奇抜な主人公のキャラデザイン。
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機械ながら見た目はビキニアーマー美女の「システムD.P.」ことミリアは当時限りなくオンリーワンに近いものだった。
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人型形態から戦闘機形態に回転しながら変形していく描写も粗いドット絵ながら、その様子が容易に伝わるほど描き込まれている。
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エンディングでは彼女のアップの顔が描かれておりそんな彼女の美少女っぷりがよくわかる。
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細部まで描き込まれたグラフィックの数々。
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またボスをはじめ巨大な敵キャラも、俊敏な動きで襲ってくる迫力も抜群で、旧来のシューティングとは一線を隔している。
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シューティング特有の破壊する爽快感に加えてスピード感も抜群。
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FCD版ZANACを思わせる背景の高速スクロールも、おかしな処理落ちなどもなく、その高速で走る背景をバックに撃ちまくる爽快感とスピード感の両立が高次元でしっかり成り立っている。
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上記のミリア自身の変形やエンディングでの美少女ぶりにも、ついつい見とれてしまうレベル。
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多彩なアイテムとパワーアップ要素。
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様々な性能を持った武器はいずれも個性を持っているためムダなものがない。
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デフォルトのビームでは破壊が困難な敵も、これらを駆使することで効率よく倒すことができる。
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また主人公のミリア自身もチップ最大値を増やしていくことでデフォルトのビームがパワーアップする。
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敵キャラはコリドール、ラビリンスとも非常に豊富でボスだけでなくザコもバラエティに富んでいる。
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「複数の種族が縄張り争いをしている」という設定を反映し、エリアごとに見た目を含めた固有の特徴が作り分けられている。
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コリドールのボスに至っては特にその特徴が際立つものばかり。
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力の入ったBGM
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とにかくゲームの雰囲気を盛り上げようとする、多種多様な状況のBGMがプレイを彩る。特にコリドールは5大部族の背景に合わせたものが用意され、コリドール21にも専用の曲が流れる。さらにボス戦にも3曲が用意されている。
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そして、MSX版『ガーディック』で使われていた曲のアレンジも流れる。パスワード表示/入力画面や、各コリドールクリア後の曲などが該当する。
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隠しコマンド扱いだが、サウンドテストモードもある。
賛否両論点
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弾避けよりも力押し
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戦闘機形態が大きいのと、大半の弾が破壊可能なため、下手に避けるよりも弾幕で押したほうが楽な場面が、最初から最後まである。敵の弾を破壊してもアイテムが良く出るので、悪いことではない。
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一部のコリドールでは、一切の攻撃を受け付けないが、体当たりまたはエネミー・イレーサーのみで消せる敵も出てくる。
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使い勝手が極端な武器
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使える武器と役に立たない武器の差が大きい。サーベル、カッター、ウェーブ、ファイア・ボールの4種類を使いこなせれば、大抵は何とかなってしまう。
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特に、ファイア・ボールの2段階目以降は、通常では破壊できない敵の弾をも消してしまうため、威力以上に有用な武器として重宝してしまう。
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また、ゲーム後半から出てくるエネミー・イレーサーは、一度入手してしまうと、その後は敵を倒したアイテムとして補充できるようになるので、回復アイテム狙いで連打する場面もいくつかある。
問題点
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メッセージの見方や送り方が少々不便。
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メッセージを見ながらミリア自身も動いてしまったりなど、双方の操作が分離していないため少々煩わしく感じられる。
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かといってメッセージを見ている間、いちいち足止めされるのも不便なので仕方ない一面もあるが。
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シューティングの爽快感は素晴らしい出来だが謎解きが少々難しいのもある。
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そのため、謎が解けるまで人型形態でウロウロすることもしばしば。
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激しいスプライトオーバー
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各コリドールのボスが大きいのと、特に後半面の弾の量が多いことから、しばしば画面がちらつきを起こす。
総評
シューティングの醍醐味である「撃ちまくって破壊する爽快感」は文句なしで更にミリアのタフさや、その回復頻度も高いことも相まって少々のダメージを気にすることなく積極的に攻めていけるので、その爽快感を存分に体感できる。
また戦闘機化したコリドールステージでは敵の動きは速いのが多いが、上記のタフさのおかげでスピードの爽快感も伴い、さりとて楽しめる層を狭めてはいない。
同時にマップでも、ちゃんと行くべき先が見えるので迷いにくく、連射パッド級のオート連射ができたりと様々なアイテムも豊富でそれぞれ特性があり、とことんシューティングの醍醐味を味わえる仕様。
豊富なアイテムはしっかり特性を把握して使いこなす必要があったり、更に謎解きの要素もあるなど一筋縄ではいかない点も多いが、やりごたえは十分なものがある。
現在でも語り継がれる存在になったのはミリア自身のキャラクターによるところもあるだろうが、決してそれだけではなくシューティングとしてのクオリティの高さも確かなものだったことは間違いない。
それを支えるプログラムもグラフィックも優れており、今遊んでも「これホントに1メガROMなの?」と驚くばかりである。
余談
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本作の前身にあたる『ガーディック』はMSXでのソフトであり、MSXそのものの普及率はさほど高くなかったので「のっけから外伝をプレイした」という人も珍しくないだろう。
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海外版では『The Guardian Legend(和訳・伝説の守護者)』のタイトルでブローダーバンドから発売された。
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メッセージ類が英訳されている他、隠しモードのパスワードが変更されている。
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徳間書店の『わんぱっくコミック』1988年1月号~2月号で本作の漫画が掲載された(作:愛沢ひろし)。
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この作品は単行本化されておらず、現在では入手困難な当時の掲載誌でしか読めないため読む障壁が高い。
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主人公ミリアはオールドゲーマーからメカ少女としてはもちろんのこと、ビキニアーマーヒロインの一角としてもしばしば名が挙がる事がある。
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また当時目線では1989年に徳間書店発行の『ファミリーコンピュータMagazine』誌上で行われた「ファミコン美少女キャラコンテスト」(13号発表)では30位、「メカニックキャラコンテスト」(14号で発表)では13位と初の「カテゴリ違いの2部門でランクイン」を果たした。とはいえこの通りやっとこランクインできた程度(前者は30位までの発表、後者は15位までの発表)だったので、当時キャラクター性ではそこまで注目されていなかったようだ。
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本作単体でも硬派なパッケージデザインに対しゲーム中のグラフィック、説明書や攻略書籍の挿絵などその絵質にかなり差異があることから、ファンの中でも解釈がマチマチな傾向にある。
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しかし21世紀に入り「戦記絶唱シンフォギア」などの「ビキニアーマー風メカ少女」が確固たる人気を得ていることからしてもわかる通り、長い目で見れば目の付け所は間違っていなかったと言えるだろう。
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本作の効果音はPCエンジン版『ガンヘッド』に転用されている。
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日本物産のアーケード麻雀ゲーム『麻雀殺人事件』(1988年10月から稼働開始)に登場する容疑者の1人「葉子」が本作のミリアそっくりなコスプレをしている。
最終更新:2025年01月02日 09:36