桃太郎電鉄7
【ももたろうでんてつせぶん】
ジャンル
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ボードゲーム
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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ハドソン
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開発元
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メイクソフトウェア
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発売日
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1997年12月23日
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定価
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5,800円(税別)
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プレイ人数
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1~4人
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廉価版
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PlayStation the Best for Family:2000年2月24日/2,800円 PS one Books:2003年3月27日/1,800円
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判定
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良作
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ポイント
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凶悪なギーガボンビーの登場 区分化で便利になったカード 「さくま」初登場 以後のシリーズの土台となった
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桃太郎シリーズ
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桃太郎電鉄(桃太郎)シリーズ初のプレイステーション版。
タイトルの『7』は、初代『桃太郎電鉄』から数えて7作品目ということでつけられており、ゲーム内でのみ「ギーガボンビー誕生の巻」というサブタイトルが付けられている。
基本的なルールなどはシリーズ共通として変わらないが、大きな変化として新ボンビーやカードの区分化が導入されている。
新要素・変更点
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特殊ボンビー『ギーガボンビー』
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『キングボンビーの体内に巣くう凶悪な宇宙生物』という設定で、キングボンビーが悪事(ボンビラス星行きのぞいて)を働くたびに頭上の10の数字が1つずつ減っていき、0になることで出現する(キングボンビーに変身した直後はカウントは変化せず、次ターン以降で減っていく)。
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出現直後に全てのプレイヤーの所持金・カード・独占された駅1か所の物件を全て食べつくし去っていく。以後、誰かが目的地に着くまではボンビー自体が存在しない状態になる。
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カウントの途中で貧乏神に戻っても数字は元には戻らず次の変身時に持ち越されてしまうが、「カウントが5以下」の状態の時にマップ内のどこかにある「ハサン仙人」の住むマスに止まればカウントダウンをリセットできる(マスに停まるのは4人全員の内、誰でもよい)。
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ただし、リセット直後に悪行を行ってくるため、カウント1回分はマイナスとなる。
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このギーガボンビーは桃太郎電鉄シリーズのゲストボンビーの元祖的存在であり、桃鉄シリーズの数多くのボンビーの中でも数少ないキングボンビーの上位存在として描かれているボンビーでもある。
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カードの区分化
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今まで同じ手持ちにまとまっていたカードが「進行系」「便利系」の2つに分かれるようになり、カードを各5枚ずつ最大10枚持てるようになった。
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「進行系」は「急行カード」や「リニアカード」など、サイコロ・移動数を増やすものが該当し、それ以外は全て「便利系」に入る。
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「ダビングカード」「ウイルスカード」はどちらかにランダムに入り、入った方にしか効果を発揮しない。「エンジェルカード」「デビルカード」もランダムに入る。
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この仕様は後発の作品で「便利系」の所持上限の増加などが行われつつ『2010(タッグマッチ)』まで一部除いて続役されることになり、『2017』まではスタンダードの仕様となった。
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従来の「えんま」を超える強さのCOMプレイヤーとして、さくらあきらをモデルにした「さくま」が初登場。
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高度な行動パターンのうえに運要素にも強い。並のプレイヤーだと苦戦すると思われるが、「えんま」でも物足りなかったプレイヤーに満足な強さになっている。
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本作以降も登場し、作中最強のCPUの座を維持している。プレイヤーが協力してさくまに勝つ、といったプレイスタイルも可能となった。
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カードの種類が削減された
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前述の「金太郎カード」を始め、「福袋カード」や「「も」「く」「て」「き」「ち」カード」などといった、様々なカードが廃止された。
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スリの銀二の被害を防ぐ「パトカード」も廃止された代わりに、「損害保険カード」で保険金が下りる形に変更になった。
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流石に同額の損害保険が降りるのはおかしいと思ったのか、後の作品では「パトカード」が復活している。
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モモトラマンカードの仕様変更
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金太郎カードの廃止に伴い怪獣退治は一律、モモトラマンカードで対応するようになった。
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モモトラマンを出動させるには予め使用してスタンバイ状態にする必要がある。
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これ自体はSFC版『DX』時点での仕様変更で、勝てばスタンバイ状態が継続するが、敗北するとスタンバイ状態が解除される。
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物件駅を独占すると、その物件駅の屋根の色がプレイヤーの汽車と同じ色に変化してわかりやすくなった。
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借金を背負った時のBGMが「泣き落としのバラード」に変更になった。
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元々『II』で使われていた曲。以後のシリーズでもこの曲が使われ続けることとなり、お馴染みのBGMとして定着した。
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本作から「ショッカーO野」のミニゲームや「○○ラリーカード」が登場した。
評価点
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ハードを移したことによる表現力の変化
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オープニングや月ごとの切り替えイラストがアニメーションするようになった。月ごとのイラストも画面いっぱいに大きく表示される。
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月代わりのイラストが表示される画面で流れるBGM「ほんわかカレンダー」も本作が初出。これも以後のシリーズの月切り替え時のお馴染みのBGMとして定着している。
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恒例となっている女湯の一枚絵のクオリティもアップしている。
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貧乏神が変身するシーンでもアニメーション演出が導入され、CGで描かれた貧乏神の顔がモーフィングでグニグニと変化しながら変身形態が決まるようになった。
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キングボンビーと思わせてミニボンビーに、あるいはその逆、という風にフェイントもかけてくるようになった。
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プラス(マイナス)駅やカード駅で発生するルーレットがリール式に変更された。
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キングボンビーとメカボンビー達の対決も演出面がパワーアップし、派手な効果音や演出が付くようになった。
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演出は長くなったものの、腕で気力を溜めて放つキングボンビーの「ボンビーム」、体を半回転して撃ち出すメカボンビーRXの「ヒップバズーカ」など見てて楽しいものとなった。
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現在の目的地のみ駅舎が大きく表示されるようになり判りやすくなった。
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カードが2種類に分類されたことにより、カードの管理がしやすくなった。
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すべて同じ手持ちでまとめられていた過去作では、手持ちのカード内容次第では有利なカードばかりで取捨選択に悩まされる、という事態も多かったがその点が解消された。
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特に進行形カードが別枠となったことで価値がこれまで以上に高まり、「急行カードや特急カードをいかに常備しておくか」が後続シリーズに渡る攻略の基本となった。
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本作で初登場したシステムの多くは後のシリーズにも引き継がれているものが多く、基本的な要素は本作で整うこととなる。
賛否両論点
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ブロックカードの価値の向上に伴う妨害系カードの価値の低下
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本作では妨害系カードの効果を防ぐブロックカードの効果が変更され、1回効果を発動した時点で必ず消滅するようになった代わりに妨害カードの効果を必ず防ぐようになった。
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店で売られているため補充は容易であり、進行形と便利系の区分けによりカードの上限を気にせずに常備できるようになったことに加えカード自体の所持数に制限がないため、結果として妨害系カードの価値が一挙に低下した。
資金力に余裕がある上級者ほどブロックカードを大量購入して防御を固めるという強力な戦法を固持できるため、金策に不慣れな初心者や中級者にとってはカードでの巻き返しが難しくなったことも含めて不利な調整となってしまった。
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この点は、後の作品でブロックカードの所持数の制限やブロックカード自体の廃止などで改善されていくことになる。
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強力なカードの削除
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「とっかえっこカード」や「乗っ取りカード」等の逆転を狙えるカードが削除されてしまったため、上述の妨害カードの価値低下も相まって、初心者・中級者には不利となってしまっている。
問題点
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ギーガボンビーの被害が防ぎ辛い
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キングボンビーは変身してから元に戻るまでに数回は悪行を行うのが常であるためカウントダウンの進行が早く、うかうかしているとあっという間にリミットが来てしまう。
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カウントをリセットしてくれる上述のハサン仙人はマップ上の特定のマスにいるのだが、たったの一ヶ所でしか会えない上に、位置的にたどり着きにくい場所にある。上述の通り「カウントが5以下」の時でないと会えないのでタイミングを調整するのも難しい。
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また、会えるマスの正確な位置についてはゲーム内ではヒントがもらえず、説明書掲載のヒント画像を見なければならないのだが、よくよく見ないと分かり難い。
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ギーガボンビーの悪行自体は変身した時点で強制的に行われる上に悪行全体を防ぐ手立ては存在しないため、「独占金額の安い都市を確保しておく」「貴重なカードは惜しまず使う」「現金はできるだけバンバン使っておく」などの受け身な対策しか取ることができない。
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「ゴッドカード」があれば現金の被害だけは軽減できるが、「入手法が限られる」「値段が高額であるため気軽には買えない」という問題もある。
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損害系カードや借金も一律消滅するため逆転要素の一環でもあるが、いちいちリセットしに戻る手間がかかる(位置次第ではまず間に合わない)、それまでの駆け引きが無駄になる、うまく対処できないと短いスパンで繰り返し資産を0にされてしまうなどの点から、問題視するユーザーも多い。
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出現の有無をON/OFFで切り替えることもできない。
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いったん出現した後、目的地にわざと到着せずに貧乏神を出さないようにすることで一応の対処は可能だが、貧乏神の出現自体もプレイに変化を与える要素なだけに、それはそれで遊びの幅を狭めてしまうことになる。
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ディスクメディアになったことの弊害
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月の切り替え時にロードが発生するため、旧作よりもテンポが悪くなった。
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マップBGMもこの月の切り替え時のロードの際に最初から戻ってしまう。
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ロードが頻繁にかかる影響もあり、毎月セーブが廃止され、年ごとのセーブのみとなってしまった。これについてはゲーム中の説明でも「ディスクアクセスに時間がかかるために毎月セーブを廃止した」と説明される。
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常に年単位しかセーブできないため、ゲームをすぐ辞めたい場合でも、3月の決算を終えてセーブされるまでプレイしなくてはならない。
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リスタートしたい場合でも、どんなに月が進んでも4月からプレイを再開しなくてはならないため、プレイ時間が増幅してしまう。
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マップ上でセリフが発生する際にも一瞬の間が生じる。
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「女湯カード」の存在
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本作の新しいカードとして「女湯カード」が登場し、使用すると女湯が見れるかも…とされている。
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が、そんなことはなく、何度使用しても女湯がのぞけないというハズレカードとなっている。使用して見れないことから、「次こそは見れるかも」と思って大量に購入して泣きを見るプレイヤーも多かった。
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この「女湯カード」は20億(ダイヤ改正後は40億)と、当時のシリーズとしては結構高額のカードと設定されている。年数がある程度進めばお金が溜まりやすいので買いやすくなるが、序盤で買ってしまうとかなり大損となる。
総評
前作であるSFC版『HAPPY』で終了予定だったシリーズを存続に繋げた作品。
戦略性が変わったカードの区分化を始め、本作で登場した要素の数々は今でもお馴染みとなった物が多い。
上級者優位になり易いブロックカードの仕様変更や対処の難しいギーガボンビーなど若干のバランスの悪さはあるが、根本面で大きく破綻している個所はなく、旧作通りの安定した出来を保っている。
桃鉄シリーズの新たな出発点となり、今後の基礎を築いた作品となった。
余談
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本作をベースとしてGBに移植した『桃太郎電鉄jr. ~全国ラーメンめぐりの巻~』が発売されている。
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こちらではサブタイトル通り、ラーメンで有名な地域を巡るモードなど、特別ルールで遊べるモードが追加されている。
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また、携帯機かつロムカセットになったため、毎月セーブが復活している。その代わり、月替わりのイラストのアニメーションが廃止され、女湯が1種類のみに削減された。GBながらもギーガボンビーも再現されている。
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今作で初登場したギーガボンビーも『桃太郎電鉄15 五大ボンビー登場!の巻』で再登場することとなる。同作で再登場した「ブラックボンビー」よりも、再登場まで最も期間が開いているボンビーとなっている。
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こちらでもキングの上位存在を維持しており、カウントが減った時の秘書の反応や登場までの演出も『7』当初とほぼ同じ物が再現されている。もちろん、3D化されてより巨大に描かれている。
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ただし、今作では最後に行う独占物件を食べつくす悪事が変更されており、「とりかえしカード」を8枚押し付ける物とプレイヤー全体に確実に被害が及ぶものになっている。
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なお、同作のオープニングでは他のボンビー同様、単体で仙台に奇襲を仕掛けたり、キングボンビーに合体している描写がある。
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長らくはキングボンビーの上位存在を維持していたギーガボンビーだが、『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』でデストロイ号が登場したことにより唯一ではなくなった。
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キングボンビーから直接変化するパターンとしてはギーガボンビーが唯一である。
最終更新:2024年12月22日 14:05