Rubber Hose Rampage
【らばーほーすらんぺーじ】
| ジャンル | アクション |  | 
| 対応機種 | Windows(Microsoft Store/Steam) Xbox One
 プレイステーション5
 | 
| メディア | ダウンロード専用 | 
| 発売・開発元 | Revie Studios | 
| 発売日 | 【MS Store】2024年1月26日 【PS5】2024年4月16日
 【Steam】2024年5月9日
 | 
| 定価 | 【MS Store/Steam】700円(税込) 【PS5】770円(税込)
 | 
| レーティング | IARC:7+ | 
| 備考 | Win(MS Store)/One版はクロスバイ対応 | 
| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | 著作権の切れた『蒸気船ウィリー』を使用したゲーム ゲームシステムがどう見ても『Cuphead』
 システムのパクリを差し引いても劣悪な出来
 | 
 
概要
1928年にディズニーが制作したアニメーション『蒸気船ウィリー』が2023年12月31日をもって著作権の保護期間が切れてパブリックドメインとなったことをご存知だろうか?
2024年からは『蒸気船ウィリー』という作品に加え、作中の登場人物である「ミッキーマウス」や「ミニーマウス」などのキャラクターも著作権が切れて、自由に使用することが可能になった(ただし、商標権があるため名前をそのまま使うことはできない)。
そんな『蒸気船ウィリー』の著作権が切れて1ヶ月もしない内にそれらを素材として使用し、制作・発売されたのが本ゲームである。
上記の通り商標権がある都合上、本ゲームの登場人物の名前は全て名無しとなっているが、記事内においては、便宜上「ミッキー」や「ミニー」といった元となったキャラの名前を表記させていただく。
特徴
- 
2Dのアクションシューティングゲーム
- 
最大ライフは3でスティックで移動、Xボタンでショット、Aボタンでジャンプ、Yボタンでダッシュができる。
- 
RBボタン+スティックで位置を固定したままショットの発射方向だけを変えることができる。
- 
ショットにはいくつか種類があり、2つまで装備可能。LBボタンでショットを切り替えることができる。
- 
ショットはゲームを進めていくごとに開放されていく。
 
 
- 
プレイアブルキャラクターはミッキーとミニーを選択可能。性能に違いはない。
- 
ステージ制を採用しており、ステージをクリアするごとに先に進めるようになる。
- 
なお本作のステージは全てボスステージとなっており、ボスに攻撃を当てて、画面上部の赤いライフバーを削り切ることでステージクリアとなる。
- 
ステージをクリアするとクリアタイムと残りライフによって、評価がされる。
 
- 
以上の記述を読んで、勘のいい方は気付いたかもしれないが、基本的なゲームシステムやゲームデザインが1930年代のカートゥーンアニメーションを再現したインディーゲーム『Cuphead』そのまんまである。
- 
単にシステムが同じだけではなく、最初にプレイするチュートリアルが『Cuphead』のチュートリアルに酷似していたり、クリアタイムと残りライフによって評価が変わるなど類似している要素は枚挙にいとまがない。
- 
挙句の果てに、操作キャラのグラフィックが明らかにカップヘッドとマグマンをトレースしている。前述した通り『蒸気船ウィリー』の著作権は切れているため、それらの無断利用は問題ないのだが、こっちの方はマズイのでは……。
 
- 
あまりにも似せすぎているため、『Cuphead』のパクリとして炎上した『Enchanted Portals』が可愛く見えてくるレベル。
 
問題点
- 
システムの元となった『Cuphead』から、アクションやシステムが削られている。
- 
『Cuphead』に存在した「パリィ」「EXショット」「お守り」などが本作には存在しておらず、ゲーム性・アクション性が『Cuphead』よりも狭まっている。
- 
強引に解釈すれば『Cuphead』との差別化を図ったのかもしれないが、単純にできることが減っただけで、それらがゲーム的にもプラスになっていないため、結局「元から劣化している」という評価になってしまう。
 
- 
他にも、画面端で武器が見切れた状態でショットを撃ってしまうと、弾が消えてしまうという地味に厄介な劣化点もある。
- 
特に『Cuphead』で言うところの「チェイサー」に相当する「BEEHIVE BLASTER」という、標的を自動で追尾してくれるショットがこの仕様の問題点をモロに受けてしまっており、上記の仕様のせいで画面端でショットを撃っても、すぐに弾が消えて敵に当たらないという事態に陥りやすい。
 
 
- 
グラフィック・演出面がいまいち
- 
流石に『Cuphead』レベルのクオリティを求めるのはいくら何でも酷だとしても、もう少しどうにかならなかったのかと思う箇所は多い。
- 
基本的にゲーム画面は白黒なのだが、操作キャラが使用する武器など一部のオブジェクトには色がついており、ちぐはぐな印象を受ける。
- 
背景がモノクロなせいで足場がどれかわかりづらいという問題点も。
 
- 
また『蒸気船ウィリー』以外にも著作権が切れているカートゥーンアニメのキャラクターたちが多数登場しているが、そのまんま流用しているせいで絵柄がバラバラで統一感がない。
- 
ボスを撃破した際に音やエフェクトなどの演出の類が一切なく、ボスの動きも止まらないため、初見だと倒せたのかどうかすらわからず困惑必須。
- 
BGMもグラフィックに合わせてか、著作権的に問題ないクラシックミュージックを使用しているのだが、アクションゲームである本作とは噛み合わない音楽が流れることもある。
 
- 
調整不足な敵の攻撃パターン
- 
敵の動きが単調かつワンパターンなものが多く、特定の位置でショットを撃っているだけで倒せる形態がある。
- 
かといって簡単に戦える攻撃パターンばかりかというとそうでもなく、やたら小さい敵キャラを発射してきたり、予備動作もなく高速移動したり、上から大量の弾をゆっくり落としてきたりと、厄介な攻撃や行動をしてくることもある。
 
- 
手抜きなステージ構成
- 
ステージこそ21もあるのだが、その殆どが1画面に収まる広さのエリアの真ん中にすり抜け可能な足場が一つ置いてあるだけと、手抜き極まりない。
 
評価点
- 
アクションゲームとしての土台は保たれている。
- 
上記のようにゲームバランスやグラフィックなどは散々な出来であるが、操作性に限って言えば、そこまで悪いものではない。
- 
『Cuphead』から削られているアクションがあることは先述した通りなのだが、「ダッシュ」「ショット切り替え」「ショットの向き変更」は削除されていないのは幸い。
 
- 
値段に対するボリュームはそれなりで、やりごたえはある。
- 
ステージは全部で21もあり、700円台のゲームとして見た場合、ボリュームは十分ある。
- 
難易度も『Cuphead』よろしく高めなので、やりごたえはかなりのもの。
- 
とはいえ、本作の難易度の高さはあえて高く調整されたものというよりも、どちらかというと敵の攻撃パターンの練り込み不足が起因となっているため、プレイしていて楽しく感じづらいのだが。
 
 
総評
劣化『Cuphead』。本作を評するのに、これ以上最適な言葉はないだろう。
システムを真似るなら、元作品の良いところも真似ればいいものを、使用できるアクションやシステムが元から削られている分、単なる劣化バージョンとなってしまった。
『Cuphead』のクローンであることを差し引いたとしても、雑なグラフィックや演出、調整不足な敵の攻撃パターン、手抜きなステージ構成など、クソゲー呼ばわりされても仕方ないクオリティであることは事実で、いまいちおすすめしづらいゲームである。
余談
- 
公式トレーラーの最後にはXboxの他に、Nintendo Switch・PlayStation・Steamのロゴもあり、今後はこれらでもリリースする予定らしい。
- 
なおトレーラーでは「COMING SPRING 2024」とあり、2024年の春に発売予定らしいのだが、何故Xbox One/Windows版だけが先行して発売されたのかは謎。
- 
その後、2024年4月16日にPS5版が発売、2024年5月9日にSteam版が発売された。
- 
なお、Switch版についてはRevie Studiosの公式Xアカウントによると、任天堂から承認されなかったため、発売中止になったとのこと。
 
- 
概要にて『蒸気船ウィリー』の著作権が切れたことを説明したが、それはアメリカでの話。実は日本では『蒸気船ウィリー』の著作権がいつ切れるのかは不明瞭となっている。
最終更新:2024年12月17日 07:51