Stellar Blade
【すてらーぶれいど】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション5
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発売元
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ソニー・インタラクティブエンタテインメント
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開発元
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SHIFT UP
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発売日
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2024年4月26日
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定価
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【スタンダードエディション】8,980円(税込) 【デジタルデラックスエディション】9,980円(税込)
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レーティング
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CERO:D(17歳以上対象)
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プレイ人数
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1人
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判定
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良作
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ポイント
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韓国産美少女3Dアクションゲーム 美しいフォトリアル調のグラフィック ゲームバランスは死にゲー寄り
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PlayStation Studios作品
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概要
『マグナカルタ』や『ブレイドアンドソウル』、『勝利の女神:NIKKE』などを手掛けてきた韓国のゲームクリエイター、キム・ヒョンテ氏と、同氏が率いる韓国のゲーム会社SHIFT UPが開発した3Dアクションゲーム。
韓国産ゲームとしては珍しいCS機向けのAAAタイトルとして開発されており、SHIFT UPが家庭用ゲーム機で初めてリリースするゲームでもある。
以前より2019年から「Project EVE」のコードネームで発表されていたが、2022年9月14日に行われたプレイステーション関連の情報番組「State of Play」において、『Stellar Blade』のタイトルでSIEをパブリッシャーにPS5専用タイトルとして発売されることが正式決定、2024年4月26日にリリースされた。
ストーリー
地球は正体不明の敵勢力に襲われ、人類は為す術もなく故郷を奪われた。
絶望へと追いやられていく中、失われし人類の楽園を取り戻すべく、精鋭部隊が今、決死の任務へと旅立つ。
(パッケージ裏より引用)
特徴
バトルシステム
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基本操作は、□で弱攻撃、△で強攻撃、×でジャンプ、L1でガード、〇で回避。
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タイミングを合わせてガード・回避することでジャストパリィ・ジャスト回避も可能。スキルを習得するとここからカウンターを仕掛けることもできるようになるほか、総じて敵の攻撃も一発一発が重いので、これらの習得が生き残る第一歩となる。
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L1+〇×△□ボタンで、「ベータスキル」という攻撃技を使用可能。
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ブリンク・リパルス
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ブリンクは敵が青く光って攻撃を仕掛けてきた際に、タイミングを合わせて前方に回避することで一瞬で相手の背後に回る。そこからカウンターを叩き込むことで気絶させたり追撃ができる。
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リパルスは敵が紫色に光って攻撃を仕掛けてきた際に、タイミングを合わせて後方に回避することで蹴りを放ちつつ距離をとる。成功すると一定時間敵がダウンし弱点が露出するので、射撃で大ダメージを与えられる。
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アサルト・アンブッシュ
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気づかれていない雑魚を一撃で仕留める、いわゆるステルスキル。アサルトは空中からのステルスキルで、アンブッシュは背後からのステルスキル。道中や探索中のダメージを抑えるための必須スキルと言える。
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本作はしゃがむ動作がないため、背後から近づいても気づかれやすい代わりに他作品と比べるとアンブッシュの射程が長く、多少離れた相手にも決められる。
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射撃
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物語を進めることによって、ドローンを銃に変形させて腕に装着する射撃モードが解禁される。L2を押すと射撃モードに移行し、L2を押したままR2で射撃ができる。弾は有限で、当然ながらなくなると撃てなくなる。
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ドローンのアップデートで扱える弾の種類がや所持数が増える。弾は通常弾にあたるスラグ弾、ショッガンに加え、着弾すると爆発して周囲にダメージを与える爆発弾、マルチロック可能なホーミング弾を放つスティンガー、チャージして照射レーザーを放つチャージブラスターの5種が使用可能になる。
エリア構成・探索
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マップ・エリア構成について
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ゲーム開始直後のエリア「エイドス7」は拠点のザイオンに着くまで一本道のエリアとなっている。
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拠点であるザイオン以外にも、荒野や砂漠といった広がったエリアもあるが、エリアごとにロードを挟んで移動する仕組みとなっており、オープンワールドではない。
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寄り道要素
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ザイオンに到着してからは、サブミッションが解禁され、町の住民たちから依頼を受けることができる。
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また、エリア内にはデータバンクや缶などが落ちていることがあり、本作における収集要素となっている。
登場人物
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イヴ
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本作の主人公。宇宙にある人類の避難所コロニーから、地球へ降り立った第7空挺部隊の一人。
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ザイオンの住民からは「天使」と呼ばれている。
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タキ
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第7空挺部隊隊長で、イヴの上官。
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物語序盤で、イヴとタキ以外の第7空挺部隊が全滅してしまい、イヴと共にネイティブの殲滅に向かうことになるのだが……。
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アダム
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荒れ果てた大地を放浪する回収屋で、ザイオンの住民たちのために物資を探し回っている。
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主にドローンを使って遠隔でイヴのサポートを行う。
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リリー
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かつて地球へと降下した第5空挺部隊の生き残りのエンジニア。
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イヴたちと合流した後は、装備の改良などを行い、イヴのサポートを行う。
評価点
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AAAタイトルの名に恥じない美しいグラフィック
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フォトリアル調のグラフィックであり、PS5専用として出したためか、グラフィックは高品質。
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日本と同じ東アジアである韓国産である
のとキム・ヒョンテ氏の趣味が反映されているということもあってか、主人公のイヴを始め登場人物にセクシーな美女が多く、国産ゲームを主にプレイしている日本人のゲーマーでも受け入れやすい。
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イヴの髪はロングのポニーテールだが、走っているときは自然な感じでなびき、立っていても体に埋まることなく体にかかるなど非常に精密に作られている。
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敵であるネイティブもしっかりグロテスクに描かれ、倒すべきクリーチャーとして存在感を放っている。
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フィールドも非常に精緻に描かれており、最初のエリアであるエイドス7では画面に水滴がつく演出まで用意されている。
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バトルシステムの評価点
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後述するように難易度こそ高いが理不尽というわけではなく、アクションゲームとしての土台はしっかりと作られている。
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敵キャラは、ガード不可の攻撃を仕掛けてくる際は黄色く光り、連続攻撃を繰り出してくる際は赤く光る、と言った具合に、攻撃の種類ごとに前兆があるため、パターンを覚えれば対処は可能。
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バトルシステムは少々複雑だが、ポーズ画面からいつでもシステムの確認と練習が可能。この点も地味にありがたい。
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カスタマイズできる主人公の容姿
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主人公のイヴの見た目を衣装はもちろん、髪型や髪色、ポニーテールの長さなどを細かく変更することが可能。
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衣装自体もいかにもSFなボディスーツから水着、チャイナドレスなど数多く用意されており、セクシーな衣装も少なくない。
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PS5専用タイトルとして出した恩恵
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PS5のコントローラーDualSenseのハプティックフィードバックやアダプティブトリガー、3Dオーディオといった機能にも対応している
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特にハプティックフィードバックは丁寧に設定されており、ムービーシーンにおいては、映像に合わせてダイナミックに振動する、雨が降っている映像で水滴が落ちたような感触が伝わるといったように、ゲームへの没入感を上手に高めてくれている。
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当然、SSDが標準搭載されたPS5なのでロード時間は短め。快適にプレイすることができる。
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質の高い日本語ローカライズ
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SIEがパブリッシャーを担当したおかげか、日本語ローカライズも質は高い。
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日本語ボイスもしっかりと収録されており、本作が海外産のゲームであることを忘れてしまいそうなほど。
賛否両論点
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ノーマルモードの難易度がかなり高い
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アクションとしての土台はしっかりと作られている本作であるが、ノーマルモードでの難易度がかなり高い。人によってはノーマルモードがハードモードと言ってもいいほど。
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まず、本作は攻撃ボタンやガード・回避ボタンを適当に連打しているだけでクリアできるほど甘く作られていない。敵の動きをよく見てジャストパリィを決めたり、ガードできない攻撃をしてきたら距離を取る、といったことを心掛けないとすぐにゲームオーバーとなってしまう。
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所持できる回復アイテムも少なめで、回復連打でごり押しするという戦法もできない。
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アクションゲームに慣れていないユーザーにとっては、ボス戦はおろか道中の雑魚敵相手でもゲームオーバーになる可能性も十分にあり得る。
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特にイヴに対して複数の敵が出現した状況が非常にきつく、敵に背後を取られるとあっという間にゲームオーバーになってしまう。
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一応、難易度を抑えたストーリーモードも用意されているので、アクションゲームが苦手な方はそちらを選択することを推奨する。
問題点
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マップ表示機能のチュートリアルが遅い
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本作はマップの繋がりがやや複雑になっており道に迷いやすい。そのため本作においてマップ機能はそれなりに重要なのだが、このマップ機能が解禁されるのは拠点のザイオンに着いてから。
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最初のエリアであるエイドス7は要所要所でアダムがドローンを通してナビゲートしてくれるものの、そもそもマップがないため道に迷う可能性が非常に高い。
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ちなみにマップ表示の操作は「タッチパッドを上にスワイプ」というものなので、適当にボタンを押して気づくという可能性は低い。
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周辺の敵やオブジェクトをハイライトするスキャンは最初から使用できるが、一部のエリアではそれすら封じられる。
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微妙に行き届いてないユーザビリティー
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前述したようにノーマルモードはそれなりの難易度で、ゲームオーバーになることも珍しくないのだが、ゲームオーバーから復活する場所は、最後に訪れた休憩ポイント・チェックポイントとなっている。
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これ自体は古いゲームであれば特段珍しい仕様ではないのだが、昨今のゲームではボス戦で負けたら直前からやり直せる仕様であることも多いため、そういった意味では、本作の「ゲームオーバーになったらチェックポイントからやり直し」という仕様は少々古臭いものとなっている。
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しかも、休憩ポイントからボス戦まで中途半端に距離が離れていることもあり、その場合は何度もやり直しているうちに、復活してからボス戦までの移動が面倒くさくなってくる。
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一応、ゲームオーバーになっても進行フラグがリセットされたりすることはないものの、復活したらゲームオーバーになる前に消費したアイテムやゲージが消費されたままだったりと、痒い所に手が届かない。
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序盤に訪れる荒野や中盤に訪れる大沙漠は一見するとオープンワールドのような広大なフィールドだが、実際は見えない壁で区切られており、本来のルートと異なるルートから侵入しようとすると落下扱いとなり落下地点に巻き戻される。
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そのため、本来のルートに気づかないと「すぐ目の前なのにたどり着けない」といった事態が頻発する。
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その他細かい点
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回復アイテムを使用する際に短めではあるが隙があり、敵の近くで回復しようとすると、攻撃を受けて回復できないということがある。
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そのため、回復アイテムが残っていてもゲームオーバーになるということも珍しくなく、人によっては理不尽さを感じてしまう。
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回避がステップで距離が短いうえに無敵時間がない。そのくせ敵のガード不能攻撃は妙に誘導性能が高く、ジャスト回避に失敗した場合はほぼ確実に被弾となる。
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探索では空中ダッシュや壁走り、二段ジャンプを使えるなどかなり身軽であり、それと反する回避性能の低さはかなり気になるところ。
総評
美しいフォトリアル調のグラフィックや美麗なキャラクターデザインによって描かれるビジュアルは、他ゲームと比べても引けを取らないクオリティ。
ただ、死にゲー並みのゲームバランスに対して、ユーザビリティーが死にゲーとして作られていないなど、粗削りな部分も垣間見えるのは惜しいところ。
それでも豊富な衣装によって着せ替え可能な主人公や、退廃的な世界観など、日本人のユーザーからすると、魅力的に感じる要素はあり、アクションとしてもそれなりの出来であるため、総合的には満足度の高い一作と言えよう。
余談
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本作の開発を主導したキム・ヒョンテ氏は木城ゆきと氏による日本の漫画『銃夢』や、スクウェア・エニックス発売のARPG『NieR:Automata』といった作品などから影響を受けているとインタビューで公言している。
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ポストアポカリプスが舞台、女性型のアンドロイド・サイボーグが主人公で戦闘を行う、という点は上記の作品と共通している。
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また、キム・ヒョンテ氏はニーアシリーズのディレクターであるヨコオタロウ氏とも対談しており、対談記事を読めばわかるように、ヨコオ氏からも本作は好意的に見られている。(参考リンク)
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後に、『NieR:Automata』とコラボした有料DLCの配信も開始された。
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前述したように主人公を含め、セクシーな体型や衣装の女性キャラが多数登場する本作であるが、それが性的表現に厳しいとされている昨今のSIEから直々にPS5専用タイトルとして発売されることに驚く声も少なからずあった。
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実際、CS機でマルチで発売されるお色気ゲームの多くは、PS5/PS4版のみ独自の規制が設けられていることも珍しくない。
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ただし、SIEが表現規制の方針を変更したというわけではなく、2024年夏発売の『プリンセスメーカー2 リジェネレーション』のPS5/PS4版は、他機種版と比較して独自の規制がかけられており、それによってPS5/PS4版のみ、発売延期される事態も起きている。
自社のタイトルだけに甘いのは、今も変わっていないようだ。
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本作発売から約1ヶ月後の2024年5月20日、SHIFTUPは有価証券報告書を公開し、本作の続編とPC移植版の開発を検討していることを同書面で明らかにした。また、本作のアップデート及びDLCの提供を予定していることについても言及されている。
最終更新:2024年11月22日 20:44