本記事ではWin版とSwitch版について扱います。
ノラと皇女と野良猫ハート
【のらとおうじょとのらねこはーと】
ジャンル
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アドベンチャー (公式ジャンル名:絶対キミと添い遂げる、臆病で勇敢なブレイブハートストーリー)
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初回限定版

特装版
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対応機種
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Windows Vista~10
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発売・開発元
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HARUKAZE
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発売日
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PC: 2016年2月26日
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定価
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初回限定版/特装版:9,800円(税別)
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レーティング
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アダルトゲーム
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配信
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DMM:2016年3月11日/7,980円
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判定
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なし
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ポイント
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CG・声優によるキャラの魅力は抜群 かなり人を選ぶテキスト 意味不明一歩手前の絶妙なギャグ
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HARUKAZE作品 らぶおぶ恋愛皇帝 of LOVE! ノラと皇女と野良猫ハート (Vita/アペンド) - ノラと皇女と野良猫ハート2 (アペンド)
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ノラと皇女と野良猫ハート HD
【のらとおうじょとのらねこはーと えいちでぃー】
ジャンル
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アドベンチャー (公式ジャンル名:絶対キミと添い遂げる、 臆病で勇敢なブレイブハートストーリー)
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対応機種
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Nintendo Switch
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発売元
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PIACCI
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発売日
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2018年10月25日
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レーティング
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CERO:D(17才以上対象)
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判定
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なし
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概要
HARUKAZEの2作目。略称は『ノラとと』。
タイトルロゴには「Nora, Princess, and Stray cat.」と書かれているが、公式サイトでの表記を優先して、本ページはサブタイトルなしとしている。
前作、『らぶおぶ恋愛皇帝 of LOVE!』は良い素材を揃えていたものの、人を選ぶテキストで大きく評価が分かれた作品であった。
そのため本作は期待も不安視もされていたが…。
ストーリー
主人公はある日、金髪の美少女パトリシアを発見する。
彼女は冥界から来ており、地上を滅ぼすのが目的だった!
その後、彼女の眷属となった主人公は、ネコの体に入れ替われるようになる。
基本的には、異文化で育ったパトリシアと、癖の強い主人公の友人たちで織り成されるコメディストーリーである。
特徴
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基本的なシステムは一般的なノベルゲームそのもの。テキストウインドウに文章が表示される。
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幕間に、本編と無関係な短いコント「ネコのお考え」が挟まれる。
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スキップして本編を進めることも可能で、(パッチ適用済みなら)後から回想で見直すことも可能。
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エンディング後にも小ネタが用意されている。
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ネタバレ
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エンディング後に選択肢が表示され「もうちょっと遊ぶ」を選択するとこれまた短いコントが披露される。
しかも話の結末はかなり意外な顛末となっており必見もの。
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キャラクター紹介
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長めなので閉じ
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反田ノラ
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パトリシアを助けたせいでキスをされ、黒猫としてパトリシアの眷属になってしまった少年。
頭は良くなく、近所のお子様とも考え方があまり変わらないので幼稚さが目立つ。 頑固な面があり、その際は子どものようにムキになったりする。 反面友情や人情に厚く、付き合いが深い相手には全力で尽くす男。
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パトリシア・オブ・エンド
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冥界の皇女。胸が大きい(Fカップ)。
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勉強熱心で、誰とでも分け隔てなく接する少女。ただし純真さが強く、非常識な行動を取ることもある。
「~だけれど」という語尾を好んで使う。金髪ツインテールではあるがツンさは少なめ。 ただし個別ルートでは中々の嫉妬ぶりと淫乱さを見せつける。
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夕莉シャチ
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ノラの同居人で幼馴染。胸が大きい(Hカップ)。
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あまり感情を露にしない。反田家のお母さんのような存在。
家事の達人で、彼女の夕飯を求めて各キャラがわざわざやってきたりする。 黒木同様、誰にでも敬語を使う。正体不明のマシーンを使って天気予報を行う。
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黒木未知
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風紀委員。胸が大きい(Gカップ)。
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生真面目で色恋沙汰の知識はすっからかん(ただし学ぼうとする気持ちはある)。
成績は優秀だが、所謂「勉強だけ出来てそれ以外の知識が足りてない」典型的な理系女子。 5月8日生まれのせいか、作中で
ゴーヤ
と関連付けされる。シャチ同様、誰にでも敬語を使う。 掛け合いでは専ら弄られ役。それでいて突っ込みも冴える。見ていて飽きないキャラといえよう。
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明日原ユウキ
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同世代の後輩。要は留年生。胸が大きい(Eカップ)。
ありとあらゆるバイトを経験しており、作中ではコンビニと猫喫茶を掛け持ちしている。 遊んでる軽そうなギャルだが、貞操概念は強くご多分に漏れず処女。 昔は悪い友達とつるんでいたせいか、シナリオでもたびたび衝突する。
以下はサブキャラ
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ルーシア・オブ・エンド
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パトリシアの姉。胸が大きい(Iカップ)。
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剣の達人で堅物だが、超絶のシスコン。
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ユウラシア・オブ・エンド
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パトリシアの妹。胸は小さい。
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ノラのことを「すけべねこ」と称して絡んでくる。天真爛漫。
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井田
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眉なしドレッドヘアーの不良でノラの悪友。喧嘩が強い。
底抜けのバカだが、時折突っ込みをすることも。
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ノブチナ
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ノラの悪友。極道の娘なせいか喧嘩が強すぎる。
ネコのお考えではほぼ彼女が主役。シュールかつ意味不明な発言の数々は 哲学と言えるくらい難解である。
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田中ちゃん
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上記2名とノラと仲良しの小柄な少女。平和主義者で自転車が好き。
この娘も誰にでも敬語を使う。
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冥界の女王
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冥界を取り仕切っている女王で、パトリシア、ルーシア、ユウラシアの母。
見た目が完全にファンタジーの魔女そのもの。
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評価点
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ビジュアル面
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立ち絵、背景といったCGは非常に出来が良い。一部のスチルは立ち絵とイメージが合っていなかったりはする。
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立ち絵の差分が非常に多く、キャラクターの表情がコロコロ変わり可愛らしい。
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別原画家が担当したモブキャラクターも男女問わずやたらに数が多い。
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コメディパート
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テキスト面で最も評価されている部分。意味不明一歩手前の絶妙なギャグの数々は大きな見所である。
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また、ネットスラングやアニメネタのパロディではなく、オリジナルネタで勝負していることも評価されている。
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声優
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実力があり人気の高い声優を採用しており、演技は申し分なし。
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ニュートラルな口調はもちろんのこと、呆れたり脱力だったりふざけた意味で迫真で大仰な演技は抱腹間違いなし。
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キャラクター
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上述した要素が上手く絡み合っており、キャラクターの魅力は抜群に高い。
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ヒロインの属性はうまくバラけており、個別ルートでは違った魅力を感じ取れるだろう。
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サブキャラクターも掛け合いを盛り上げる要因として一役買っている。
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言動や行動も不快になる面が少なく、他者をコケにするような発言も冗談の範疇で上手く収めている。ただしモブキャラクターは除く。
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その他
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エッチシーンは各自4つ以上用意されており、やや変わったシチュエーションだが評価も上々。
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BGM、挿入歌の数が多い。ただ、挿入歌のタイミングがおかしかったり(狙ってる可能性もあるが)する。
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メインヒロイン4人の歌う「野良猫ハート」は明るくノリが良い。
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基本的なシステムが揃っており、テキストを快適に読むのに役立つ。選択肢が少ないので個別ルートへの入り方も分かりやすい。
賛否両論点
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テキスト
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ナレーションが状況を説明する場面が多く、(括弧)も多用しまくっている。本作の大きな特徴であり、賛否両論を招いた要素である。
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非難としては「冗長」「頻繁に改行と無駄な文章が挟まってテンポが悪い」「文法的に美しくない」「見れば分かる情報は書くな」「面白くない」「逆に分かり辛い」「声付きナレーションがうざい」といったもの。
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また逆に唐突なものが多くなったりしてナレーションにすらなっていないことも。
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「かわいらしくて良い」「ナレーションは伏線になっている」といった肯定意見もある。
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(括弧)の使用例についてもちょっとした心情を現したものから、後述に例を挙げているようにちょっとした動作などで頻繁に挟まる。
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ナレーションのボイスはなくせるが、テキストの表示はどうしようもないため、気に入らなかったユーザーに対する救済処置はない。
具体例
【ナレーション】「パトリシアさんは、二人に事情を説明しました」
【ナレーション】「今抱えている妙な気持ちのこと。以前までは無かった音が聞こえること」
【パトリシア】「よしよし。ノラ。泣かないで(ノラをソファーで抱きかかえる)」
【ユウラシア】「ただいまー(買い物から帰宅)」
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上述以外にもテキストのノリが合わない人が多くいた。
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多少の好みは仕方がないところだが、他にもギャグを多用したり(ギャグ自体もついて来られない者は振り落とすものが多い)と人を選び過ぎるテキストである。
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それらが大丈夫でも、下ネタも多いのでここも控え目に言っても人を選ぶ。
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ツッコミ所の多い設定を淡々と流していったり、急激な場面転換なども多く、物語の構成だけを見ても控え目に言っても人を選ぶ。
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好みの問題ではあるが、メインヒロイン全員が巨乳。一応とあるルートでは貧乳キャラのアダルトシーンもある。
問題点
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個別ルートの粗
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黒木、明日原には「無駄にシリアス」の様な非難が多い。
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両者共に「母親」「不良」という配役のとってつけたかのような明確な悪役を用意することで展開させているため、色々な意味で不快感が強い。
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また、彼女らが問題を抱えていることは共通ルートの時点で判明するため、他ルートへ進んだ際にわだかまりが残る。
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パトリシアルートネタバレ
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彼女には姉と妹がそれぞれ一人いるのだが、どう選択肢を選ぼうが
ノラに抱かれる
ことになる。
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それも、ほぼ
パトリシアが主導して
である。パトリシアは嫉妬深いキャラ(独占欲が強く、ほんの少し靡くだけでヒステリーになるほど)なのに、
自分から別の女キャラを彼氏に抱かせるという貞操概念はかなり矛盾している。折角おまけシナリオがあるのだからせめてそちらでやればよかった。
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母との確執の描写も雑
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冥界の皇女なのだが、当然冥界の女王である実母からはノラとの交際を反対されてしまう。
シナリオの流れとしては、いかに冥界の女王を納得させるかがポイントになるはずだったのだが…以下シナリオの概略。
1.パトリシアが心臓の音を鳴らすようになり、ほぼ人間となる
2.逆にノラが獣として目覚め始め、そのせいで世界の人数に齟齬が起きてしまい問題になる
3.バランスを取るためにノラは冥界に修行に出て、1000年後自分の意志で猫と人間の変化を操作できるようになる
4.晴れて人間界に戻った(人間界では3日しか経過していない)ノラとパトリシアは幸せに暮らした
5.(ちなみにその間冥界の女王はどうしたかというと
登場すらしないでそのままED
である。いいのかこれで…。)
…ツッコミどころが多すぎるし、こんなシナリオにした意味も不明である。
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黒木ルートネタバレ
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家庭に恵まれておらず、母親に行動を制限されている。
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「頭は良くないが、家庭に恵まれて明るく日々を過ごす主人公」と対の存在が黒木であり、悪く言えば育ちの悪い主人公と友達になっていることを母親に認められない。
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母親は主人公周辺の人物を見下した言動や行動を繰り返すが、それは故人の主人公の母親に対する嫉妬が原因。主人公にはどうしようもない。
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しかしこの母親は完全に悪役として描かれているのだが、主人公とその母に関しては、例えば自宅が全焼した際に「ま、いっか」みたいな感じで適当に済ませるような問題人物な上に、傍から見ると意味不明に周囲からちやほやされているので、客観的に見た場合何とも言い難い気持ちになる。
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ラストでは詐欺師に騙されそうだった黒木一家を主人公が救うことで解決するが、これまた唐突な展開であり黒木母娘の成長や性格の転換を感じにくい。
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明日原ルートネタバレ
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明日原は中卒で当てもなくふらふらしていたところを主人公に見つけられる。
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その後、共に勉学に励むことで同じ大学に受かることに成功。
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しかし、昔つるんでいた不良たちが明日原の働く喫茶店を襲撃、喫茶店のネコは暴力を振るわれ、店は傷付けられ…。
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問題解決はするが、不快感の強い内容のためあまり評価されていない。
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細かな不具合
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Vita版固有の不具合
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ネットワーク機能が無効化されてしまう。ゲームを中断しても,Wi-FiがONにならない。この仕様は『2』でも同様
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エンディングが流れず,フリーズしてしまうことがある
総評
テキストとナレーションと全体的な設定関連以外、具体的には絵と声は高評価を受けている。
独特なテキストとノリを楽しめるか、共通・個別ルートを受け入れられるかで本作の評価は大きく変わるだろう。
移植
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2017年9月28日に、全年齢向けの対応を行ったPlayStation Vita移植版が発売。
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2018年10月25日に、HD対応の『ノラと皇女と野良猫ハート HD』が、PlayStation 4とNintendo Switchで発売。規制内容など機種間で一部違いがある。
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2019年6月17日には同内容でSteamでも配信された。販売ページでのタイトルは英語となっているため注意。
その後の展開
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2016年6月24日にビジュアルファンブックを発売。書き下ろしのオリジナルストーリーを収録したアペンドディスクが付属している。
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2017年2月24日に『ノラと皇女と野良猫ハート TVアニメ化記念特装版』を発売。
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修正ファイルver1.07が適用済みである点以外に違いはない。初回版もパッチを当てることで同じ状態にできる。
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2017年7月12日にショートアニメが放映開始。
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原作以上にぶっ飛んだノリであり、特に6話「世界平和」はアニメの枠を超えたムービーで視聴者を困惑させた。
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2019年4月1日にVer1.08パッチが配信された。
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第2回キャラクター人気投票結果の1位「シャチ」と77位の「リポーター」のミニシナリオが追加される。
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なお、投票されたキャラは55人しかいなかったため、4月1日限定で再投票を行うことで77位が決定された。
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プレイヤーのほとんどが忘れていそうなモブ顔が並ぶ中、比較的容姿の良い「リポーター」が選ばれた。
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2021年2月26日にアペンドパッチ『ノラと皇女と野良猫ハート ネコのお考え100連発!!』がダウンロード専売で配信開始。価格は99円。
余談
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角川ゲームスの『LoveR』でパトリシア、ユウラシアのコラボ衣装が配信されている。
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セガの音ゲー『maimai FiNALE』『CHUNITHM STAR PLUS』『オンゲキPLUS』にアニメ版の楽曲が収録されている。前2つではコラボイベントも開催された。
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ジャケットイラストでは黒猫(ノラ)を抱えている2人の手の位置のせいで猫といえどアレを塗りつぶしているようにしか見えない。
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2021年2月には『オンゲキ R.E.D.』でもコラボイベントが開催された。
なお、CHUNITHMとオンゲキでは後に追加された曲が異なるが、どちらもゲームの方のOP曲である(CHUNITHMは本作、オンゲキは『2』のOP)。
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アニメ『ぼくたちのリメイク』第1話に本作のパッケージが登場した。(参考画像)
最終更新:2023年12月23日 20:18