【せきろ しゃどうず だい とぅわいす】
『DARK SOULS』シリーズなどでお馴染みのフロム・ソフトウェアが、アメリカのゲーム会社アクティビジョンと共同開発したアクションゲーム。パブリッシャーは国内ではフロム・ソフトウェア、海外ではアクティビジョンが担当している。
間違われやすいが、タイトルの読み方は「せきろう」ではなく「せきろ」が正しい。
タイトルには「隻腕の狼」という意味が込められており、作中でも主人公の狼が「隻狼(せきろ)」と呼ばれる場面がある。
なお、公式サイトのタブには「隻狼」の漢字表記が入っているが、ここでは製品情報・SPEC欄での表記を正式名とした。
大まかな内容としては、戦国末期の架空の日本を舞台とした忍者アクションである。
そこに『DARK SOULS』シリーズに代表される死に覚えを前提とする近接戦闘メインのシステムと、同社が版権を持っている『天誅』シリーズの忍者ステルスアクションのテイストを加えた作品となっている。
ただし、『SOULS』シリーズに比べてストーリーやバックボーンといった世界観の描写が明確になっているのも本作の特徴である。
『天誅』シリーズほどステルス要素は重視されておらず、『SOULS』シリーズのような1対1の戦闘への比重が大きい。
一方で、敵の多い場所など忍者らしく隠密行動をとる事で攻略が楽になる局面もまた多くある。
また、独自の要素としては、「体幹」システムに基づいた、敵との激しい剣戟アクションが大きな特徴。
何回も死んで攻略法を覚える、いわゆる「死にゲー」であることが発売前から宣伝されていたが、蓋を開けてみれば想像以上の高い難易度となっており、多くのプレイヤーを驚愕させた。
その一方、本作の秀逸なゲーム性は世界中で高く評価され、The Game AwardsならびにSteamアワードにて2019年Game of the Yearを受賞した。
これを受けてPS4では「Game Of The Year Edition」が発売されているが、違いは無料アップデートの適用有無のみで、実質的な廉価版となっている。
戦国末期、北方にある葦名の国は、内府軍との戦によって存亡の危機を迎えていた。
そんな中、葦名の国の跡継ぎである「葦名弦一郎」は、葦名を守る為に「竜胤(りゅういん)の御子」と呼ばれる不死の力を持った少年「九郎」の利用を画策する。
一方、九郎に忠誠を誓い、不死の力を授かった忍び「狼」は、九郎を守るため奔走するものの、弦一郎の手にかかり左腕を斬られ倒れてしまった。
荒れ寺で目覚めた狼は、謎の仏師から斬られた左腕に「忍び義手」を着けられ、九郎が弦一郎の手に落ちた事を知る。
かくして隻腕の狼−−−「隻狼」の、主とその力を巡る死闘が始まった。
基本的なアクションとステージ構成
致命の一撃「忍殺」
剣戟による「体幹」ゲージの削り合い
危険攻撃
異端の命「回生」と代償「竜咳」
状態異常攻撃
「忍び義手」「義手忍具」
成長システム
「常在効果」「流派技」「体術」
新たな戦いと「さらなる苦難」
+ | アップデートで改善された問題点・不具合など |
『DARK SOULS』シリーズなどで近年注目度を高めてきたフロム・ソフトウェアの、新たなマイルストーンとも言うべき逸品である。
同社の「死にゲー」の流れを引き継ぎつつ、熱中度の高い新鮮な戦闘システムと和風の世界観を提示した本作は、新たなファン層をも惹き付けGOTY受賞にまで至った。
反面、とにかく難易度が高く緩和の手段が限られている為、何度も何度も何度も死にまくるであろうことと合わせて、人を選ぶ側面は従来以上に強い。
古来より伝統的な「難しいゲームを頑張って攻略する」という行為のすべてを思う存分に堪能できる作品であるが、それだけに気軽にゲームを楽しみたい層にはまずお勧めできない。
「何かやり甲斐のある挑戦をしたい」という方に、是非とも手に取って頂きたい一本である。
*1 『DARK SOULS』の篝火同様に雑魚も復活する。
*2 敵の体感回復行動は長い予兆中に攻撃を打ち込めば妨害可能。
*3 例えば、火縄銃の弾丸、猛牛の突進、ゴリラのような大猿の全力パンチなど、直感的にはとてもか細い忍者刀でガード出来そうもない、思わずステップ回避したくなる攻撃でも硬直・体幹ダメージは長いがガード・弾きのどちらも出来る。例外的に「危」が出ないのにガードしても大きな削りダメージを受ける攻撃も存在するが、そういう敵は非常に少ない。
*4 ガードした場合は丸いエフェクトが出ず、ガン!と若干鈍い音に変わる。
*5 『ASSASSIN’S CREED』シリーズの初期作など、前例がないわけではない。
*6 アイテムマラソンや経験値マラソンなどは健在であるが。
*7 更に何故か掴みの射程が非常に長い
*8 強化は任意であるため、どちらかを強化しなければ疑似的にできないこともない。 ただし、『SOULS』シリーズようなトレードオフ要素ではなく縛りプレイの域を出ない。
*9 体力・体幹を上げるのに必要な数珠玉は拾える物や購入できる物もある。攻め力は特定のアイテムを入手すると、スキルポイントを消費して上げることができるが、ポイントの消費とスキルゲージの鈍化が激しいため容易に利用できるものではない。
*10 終盤にはアイテム「竜の舞い面」によってスキルポイントを費やして攻め力を上げられるようになるが、効率は恐ろしく悪い。また攻め力は最大99だが、15以上は倍率が大きく低下する。
*11 お蝶は狼の師の1人であり、敗れると「そなたなど、まだまだ子犬よ」と嘲られる。
*12 特に「掴み技は比較的レア」という点を認識していれば、モーションのクセを覚えて「突くような前振りには前ステ」「横に振りかぶって薙ぎ払うようなものはジャンプ」といった感じですぐに相手の攻撃に適応できる場合が多くなる。
*13 一応全体図のようなものがあるにはあるが、天気予報図に使われるような大雑把な地形が把握できる程度なので役に立たない。
*14 隙は大きめだが、単体の相手に強力な体幹ダメージを与えつつ自分の体幹を回復可能。
*15 長大なリーチと攻撃範囲を誇り、ガードされても貫通ダメージを与える。形代を3つ消費するが、無くても射程と威力が若干低下するだけで問題無く使える。
*16 下段攻撃を回避しつつ、そのまま蹴りで体幹に大ダメージを与えられる。
*17 とはいえ、そもそもが回避と攻撃を兼ね備えるという高性能技であったため特に気に留めていないプレーヤーも多い。
*18 比喩ではなく、作中にも「怖気」という名前で即死効果の状態異常が中盤から登場する。
*19 最初に覚える流派技。出が早めで周囲の敵をまとめて攻撃できるうえ、2段目は敵のガードを貫通して削りダメージを与える。
*20 完全な形は「忍びよ、卑怯とは言うまいな」であり、最序盤の負けイベント戦闘で弦一郎を倒すと、手下に狼を不意打ちさせて言う。
*21 史実において捕火方(とりびほう)という携行型の火炎放射器が忍び道具として存在したのは事実である。
*22 表記は「芦名」や本作と同じ「葦名」とする場合もある。