マグナカルタ

【まぐなかるた】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション2
発売元 バンプレスト
開発元 バンプレスト、SOFTMAX
発売日 2004年11月11日
定価 7,329円(税込)
レーティング CERO:全年齢対象
廉価版 PlayStation2 the Best
2005年7月7日/3,800円(税込)
判定 クソゲー
ポイント ストレスフルな移動システム
発生しまくる長時間ロード
イラスト・キャラデザは好評
マグナカルタシリーズ
マグナカルタ (PSP) / 2


概要

  • 発売元はバンプレスト(後のバンダイナムコゲームス)だが、韓国のソフトメーカーSOFTMAXとの日韓共同開発作品。
  • 韓国のイラストレーター、キム・ヒョンテ氏によるイラストや美麗なグラフィックが当時話題になった。
  • 当時の韓国ではPCゲームが主流であり、パッケージゲームを売る土壌が無かったため日本で展開された。
    • これは開発スタッフがちゃんとエンディングのあるゲームを作りたかったことからはじまっている。

問題点

  • おつかいで進行するシナリオ。
    • とにかくおつかいイベントが多い。何かある度にあっちへ行って来い、あそこへ行け、とのおつかいイベント。それもサブイベントではなくメインシナリオがおつかいばかりであるためにダレる。
    • ストーリーが盛り上がる所に至るのが遅すぎる。そこまで至ればそこそこ面白くはなるのだが、終盤もいいところである。プレイヤーとしてはそれまで散々おつかいをさせられて萎え切っており、そこまで至らないプレイヤーも多い。
    • とは言え、前述した個性的なキャラクターたちについて語られる描写もあるため、気にいるキャラが複数いればそれをモチベーションにすることはできる。
  • 独特ながら全く活かせていない戦闘システム。
    • 土地の属性によって異なる「カン」という一般的なRPGでMPにあたる物が存在するのだが、システムが全く練りきれておらず、戦闘を面白くするどころかむしろプレイヤーの足を引っ張るだけの存在になっている。
      • これ自体は「属性相性によって被ダメージ・与ダメージが変化する」という他のゲームにも良くある仕様だが、その増減幅がやたら極端。こちらのカンが有利な場合はともかく、不利な場合は雀の涙ほどしかダメージを与えられなくなる。
      • しかも味方の各キャラが使用できるカンは基本固定*1。有利を取れるカンが無い仲間は全く活躍できないため、単に仲間が足手まといになりやすい仕様。
      • 一応、消費アイテムでフォローできない事もないが…(灯篭の項で後述)
    • また、カンにはフィールド上の残存量が設定されており、敵・味方を問わず該当する属性の技が使用される度に減っていく。そしてカンが尽きると味方のみ該当属性の技が使えなくなる。
      • 敵も使えなくなるなら戦略的な要素にもなったろうが、敵はこの仕様を無視してくるため、単にこちらが好きなように技を使えなくなるだけの枷にしかなっていない。
      • そして技が使えなくなると効率的な攻撃技が一気に制限され、先述した極端なダメージ増減もあって戦闘がだらだらと長引きがち。
      • カンは時間経過で自然回復するという仕様もあるが、それはそれで待ち時間が長くダルい。更に「敵の行動でもカンは消費される」という仕様がこの自然回復すら台無しにしてくるため、ひたすら冗長な戦闘を続けるしかない場合も。
    • フィールド全体のカンを司る「灯篭」という設置物が存在し、これである程度フィールド上のカン属性を変化させ、特定の属性を強化したり敵を弱体化させたりはできる。
      • ただしカンの操作にはある程度制限があり、特に真逆の属性に変化させようとすると爆発して灯篭が使用不能になるなど、これもいまいち不自由な仕様。
      • また灯篭への干渉には消費アイテム「呪符」が必要。呪符そのものは店で買えるが、金策が自由にできない仕様(後述)が地味に足を引っ張る。
      • と、上記の問題点を完全に解消できるような要素ではない。
  • タイミング良く画面に表示されたボタンを押すことで攻撃を発動させる「トリニティ・アクション・システム」も完成度が低い。
    • 簡単に言えばリズムゲー的システム。しかし毎回何の工夫もなくだいたい同じタイミングでボタンを入力させられるだけ。本当に単調な作業をやらされるだけで無味乾燥。
    • 本作はコマンド制RPGなので攻撃のたびにこれをやらされる事になるが、面白いわけでもないのに強制される面倒なシステムと化している。
    • 他のゲームで例えるなら『シャドウハーツ』のジャッジメントリング、『MOTHER3』のサウンドバトルに似たシステム。それぞれ上手く一要素として完成させているその2作とは雲泥の差だが。
  • また、こちらのレベルが上がると敵も同じだけ強くなるためレベルの意味がほとんど無い。一応技を覚えるためにレベルを上げる意味はあるのだが、それだけである。
  • 終盤に主人公が習得する戦闘スタイルがチートすぎる攻撃性能を誇っている。正に「もうあいつ一人でいいんじゃないかな」状態。
    • これのせいで前述の戦闘システムもほとんど空気となり、他の仲間のレベルが上がって技を覚えようがもうどうでも良くなってしまう。
    • しかし、ラスボスへ向かう道中には主人公以外の仲間キャラでの強制戦闘があるため、ある程度技を習得していないと非常に面倒なことになる。
  • そこまで進む前に飽きるor投げ出す人も多いので忘れられがち(?)なのだが…。
    • まずこのゲームにおける戦闘スタイルは3種類あり、普通にコマンドが見えるモード(修羅・羅刹モード)とコマンドが見えないモードがある(夜叉モード)。夜叉モードはいわゆるカウンターで、うまく使いこなせば戦闘をノーダメージで切り抜けられるが、そもそも敵が複数あるコマンドの中でどれを使ってくるかなど分かるはずもなく、初期スタイルの修羅モード以外シールドが発動しない為まず使用しない。
    • 普段であれば、ただでさえ面倒な戦闘を長引かせないためにも修羅モード以外に変える猛者はいないと思われると言うのに、強制的に夜叉モードで戦闘させられるイベントがある。
    • しかも救済処置がないので自力で乗り越えるしかない。お陰でここで躓くプレイヤー続出。
  • ストレスフルな基本システム。
    • 3Dフィールドの探索(シンボルエンカウント制)の際には「ゆっくり歩く『ディテクト(探索)モード』」と「素早く移動する『ダッシュモード』」の二つが選べるが、どちらを選んでもイライラするもどかしい仕様になっている。
      • 『ダッシュモード』は素早い移動こそ可能だが、「フィールド上に落ちているアイテムを視認しにくくなる」「敵シンボルを視認しにくくなる(不意打ちされやすい)」とデメリットがかなり致命的。
      • 『ディテクトモード』には上記のデメリットは無く、逆に敵へ先制攻撃を仕掛けられるなどのメリットは多いが、移動が遅すぎでイライラしやすい。ダッシュモードのデメリットが痛すぎるため基本的にこちらを使う事になるが、本当に移動が遅いので多大なストレス要素となる。
      • 緊張感の演出という部分で成功しているが、サクサク進められないため周回プレイをする気を削ぐ一番の要素とも言える。
    • 敵は一度倒すと次のストーリーシーンになるまでリスポーンしない。レベルは前述のとおりの仕様なので困ることはないが、金や素材が有限なので下手を打つと困る。
    • 特定の場所をカリンツ(主人公)パーティで進行していると必ずフリーズする。これは先にリース(ヒロイン)PTで進めておくことで回避可能。
  • とにかく長いロード時間。
    • ローディングは平均して10秒以上。その間の退屈しのぎもなし。
    • しかもこれがマップを切り替えるたびに起こる。小さな建物に入っただけでも起こる。
    • なお、これでもローカライズでまともになった方で、本国版はもっと酷かったと言う。

評価点

  • 韓国の人気絵師、キム・ヒョンテ氏によるイラストやキャラクターデザイン。特にヒロインのリースは人気がある。
    • 初回購入特典として本作のキャラクターのデザイン画などが収録された画集が付いた。ページ数こそ多くないがハードカバー仕様で安っぽくない仕上がり。
    • ゲームと直接的な関係はないが、別にキム・ヒョンテ氏の画集も発売されており、そちらにも本作のキャラクターイラストが収録されている。
    • また女性キャラが移動する際の乳揺れも搭載されており、一部のプレイヤーから評価を得た。
    • グラフィックは開発当時としては綺麗な部類に入る。
  • プレイアブルキャラクターが10人とやや多めな人数からパーティを組むことができるが、どのキャラも個性的で魅力がある。
    • 美少年、マッチョ、渋いおじさんから、美少女、お姉さんetcとしっかりキャラが差別化されており、誰かしらお気に入りを見つけることができるだろう。
    • 敵サイドや非プレイアブルキャラクターも誰もが個性的であり、それぞれ魅力がある。(余談だが敵の幹部の一人がなぜかマリリン・マンソンに似ている)
  • シナリオは良くも悪くも王道的だが、種族間の対立や長い戦争の歴史、蔓延する奇病など、やや重いものの深みのある設定が世界観を盛り上げている。
    • とくに後半からのストーリー展開は評価が高い。
  • クソゲーのお約束と言うべきか声優陣が非常に豪華。主人公を演じる保志総一朗氏とヒロインを演じる堀江由衣氏を始めとして、男性陣には森川智之氏や子安武人氏、石田彰氏らが、女性陣にもゆかな氏や豊口めぐみ氏、三石琴乃氏に桑島法子氏、田中理恵氏など錚々たる顔ぶれが並ぶ。
  • BGMもボーカル入りのOPテーマ曲もともに好評。

総評

フィールドを自由に駆け回ることをわざわざ抑制してしまう移動システムはストレスでしかなく、無駄に詰め込むだけ詰め込んだ戦闘システムは一切溶け込まず我々の邪魔をし、無駄に長いロード時間が追い打ちをかける。本作独自のシステムのほとんどがプレイの快適性を邪魔するために機能してしまっている本末転倒な作品。
個性的なキャラクターや世界観、当時としては高水準なグラフィック、終盤のストーリー展開など素直に評価されている点も多いだけに、素材を上手く調理できなかった感があまりに勿体無い。


その後の展開

  • 2006年5月25日に『マグナカルタ ポータブル』としてPSPへ移植された。
    • フィールド上で「ダッシュモード」でも敵やアイテムが発見できるなどのシステム面の改善、主人公・ヒロインのカラーリング追加など様々な要素が変更されている。
  • 2009年に『マグナカルタ2』が発売。
    • 1の出来に加えて購買意欲を自ら削ぎ落とすような体験版で全く期待されていなかったが、いざ発売されると良ゲーとまでは行かずとも普通に遊べる出来と評され、クソゲー呼ばわりは免れた。

余談

  • 先述したようにグラフィックは「開発当時としては」綺麗な部類ではある。
    • ただし本作が開発されたのはそもそも2000年ごろ。そこから4年も経ってしまっていては、むしろ他の作品と比べると少々見劣りするグラフィックとなってしまっている。
    • それでもOPムービーのクオリティは素晴らしいため、それが使用されたCMなどに騙されたプレイヤーは少なくないと思われる。
      • 一方でゲーム内にはOPと同レベルのムービーが片手で数えるほどしかない。しかもほんの数秒だったりする。因みにOPの戦闘シーンは本編で一切存在しない。
    • もっともRPGにおけるムービーを多用する傾向を「映像が見たいわけじゃないゲームを遊ばせろ」として好まないプレイヤーもいるため、ムービーが少ないことが必ずしも欠点とは言い難いとの見方もできる。
  • 外見的要素をきっかけとして興味を持つユーザーが多かった事もあり、「Q.このゲームは買いですか? A.画集を買いましょう」とまで言われた。
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最終更新:2022年01月23日 08:21

*1 使用する流派を切り替えるか、秘伝書で新しい流派を取得すれば別のカンを使用できるようにはなる。