韓国ドローン飛行ツアー済州島1

【かんこくどろーんふらいんぐつあーちぇじゅとうわん】

ジャンル シミュレーション
対応機種 Nintendo Switch
発売・開発元 14次元
発売日 2024年8月22日
定価 499円→790円
プレイ人数 1人
セーブデータ 1個
レーティング IARC:3+
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 70km/hゲー
ほぼ放置のみでクリア可能
美麗な映像は見所


概要

主に鉄道シミュレーターを制作していた韓国のパブリッシャー「14次元」が発売した作品。
鉄道にっぽん! 路線たび』シリーズを露骨に模倣した作風となっていたが、本作はこれをドローンの操作風に改変してゲーム化している。
舞台は韓国南部にある離島の済州島。日本の五島列島から西に約250kmの場所にあり、自然豊かな行楽地として知られている。
ゲームに使用されている風景は実際にドローンで撮影したものが元となっている。


ゲーム内容

  • 本作の内容は、いかほど「到着時刻」より早く、かつバッテリーを消費せずに規定の位置までドローンを飛ばせるかに挑むというものである。
    • とはいっても、ドローンの動きは実写映像の再生速度によって表現されるので、プレイヤーが操作するのはスロットルのみ。15段階でブレーキはない。
    • 飛行中は最高速度ならぬ「最低速度」が表示されることがあり、表示区間内はそれより高い速度を保たなければならない。3回違反すると強制的にプレイ終了となる。
    • 飛行ルートには上昇・下降するポイントが決められていて、上昇中はスロットルを上げないと速度が落ちるのに対し、下降中は何もしなくても速度が上がる。陸上モビリティでいう勾配である。
    • ドローンには決まったバッテリー残量があり、飛行中減り続ける。高段位のスロットルを使うと減少量が大きくなる。
  • ゴールに到達すると、タイムやバッテリー消費量から算出される点数によって「神」と1〜4等の5段階で評価され、それに応じたコインがもらえる。
    • コインは新しいコースを開放したり、ショップでアイテムを買ったりするのに使える。
  • 「店」では、バッテリー減少を食い止めるアイテムや時間進行を止めるアイテムを買える。
    • ただしアイテムを使うと得点が下がってしまう。

問題点

全体的なゲームバランスについて

  • 基本的に難易度が異様に高い。
    • 上述したシステムを踏まえれば「上りではスロットルを上げ、下りでは極力バッテリーを消費しないようにしてタイム短縮を狙う」というプレイが想定されていると思われるが、それなりに考えて飛ばしても3等が関の山。
    • バッテリー残量のノルマをクリアするのは簡単だが、それではタイムが全く及ばない。ならばと速度を上げているとみるみるバッテリーが減り、すっからかんになってしまうこともしばしばである。ここのバランスが初見殺しどころか無理ゲーの域に達しており、1プレイの長さもあってかなり難しい。
    • アイテムを使えばやや緩和されるが、点数が下がってしまううえにコインを消費する。プレイで得られるコインは評価が低いと少なくなるため、ここもしょっぱい塩梅になっている。
  • ところが、上記のような内容を根本からひっくり返す70km/hバグが存在し、これもゲームバランスを壊している。
    • どういうわけか、T5スロットルかつ速度を70km/hにして飛ばしていると上昇・下降の影響を一切受けずに速度をキープして飛ばし続けることができる
    • T5は初期状態で入力されているいわばニュートラルのノッチであり、バッテリー消費も抑えられる。序盤だけ高速で飛ばすなど少し工夫するだけで(コースによっては何もしなくても)簡単に「神」評価が取れてしまう。
    • こうなるとただの映像ソフトである。
  • よって、本作は正攻法でプレイしようとすると高い難易度にぶち当たり、70km/hの魔法に気がついてしまえば文字通りの放置ゲーと化してしまう。このゲームは普通に遊ぶことが難しいといってよい。

その他の点

  • 第1ステージは同じ場所をふらふらと回り続けるものになっており、だだっ広い草原ということもありとにかく退屈。
    • 後半に進むにつれて映像は派手になっていくのだが、これでは出鼻をくじかれたような感じである。
  • 自分がどの辺りまで進んだのか、言い方を変えればゴールまでの残り距離が全く分からない。先述した難易度の高さはこの不親切なシステムの煽りを受けたものでもある。
    • ゴールした際の演出も突然映像が止まって飛行完了SEが流れるというもので、毎回虚を突かれたような思いになる。
  • あくまで筆者の体感だが、最も難易度が高いのは最初のステージであり、後半に進むにつれて難易度が下がっていくアンバランスな構成になっている。
    • 最初のステージは非常に勾配が多く、その影響を受けてバッテリーが減りやすいのである。
  • 音声がBGMとスロットル切り替えのSEのみで、ドローンのローター音や風切り音などは一切ついていない。操作者目線ということかもしれないが…
    • BGMも数が少なく、ステージの個数分すらない。

評価点

  • 映像自体は非常に美麗かつ多彩であり、済州島の表情豊かな自然を楽しめる。
    • 草原に始まり、山深い峡谷や穏やかな海岸線、さらには冬の装いの古民家に至るまで、日本にも劣らない四季の移ろいを映像で見てとれる。
    • 韓国という素材の珍しさもあって、ビデオ作品としてはむしろ上質な部類。70km/hバグに気づけば美しい映像を見るための作品として消費することも十分に可能である。
  • 数が少ないとはいえ、BGMも壮大な自然の雰囲気に合っている。
    • あまりに仰々しい曲なので、現地では北朝鮮の宣伝ビデオのようだと言われている模様。何にせよ、心に訴えかけてくる情景と音楽ということである。

総評

ゲームの根本を覆すほどプレイヤー有利なバグがある一方、それに気づけなければ高難度かつコース解放のためのコイン集め作業が続く苦しいゲームになってしまいかねない。
せめてもっと難易度を下げて普通に遊べる作品になっていれば、バグが歓迎されることもなかっただろう。
映像自体の質はインディーズのゲームとは思えないほど高いので、「手軽に韓国の風景を楽しみたい」という人なら遊んでみる価値はあるかもしれない。


余談

  • 『1』というからには『2』もあり、こちらも済州島が舞台。さらには韓国(大陸部)中部の丹陽郡、北部の春川市を舞台とした作品も展開されており、いつの間にか本家鉄道シミュレーターを上回る作品数になっている。
    • これら4作は全て半年の間にリリースされている。
最終更新:2025年01月22日 22:52