デジタルピンボール ネクロノミコン

【でじたるぴんぼーる ねくろのみこん】

ジャンル ピンボール
対応機種 セガサターン
メディア CD-ROM
発売・開発元 カゼ
発売日 1996年11月15日
定価 6,800円(税別)
プレイ人数 1人
判定 良作
KAZe/デジタルピンボールシリーズ


概要

前作『ラストグラディエーターズ』で好評を博したデジタルピンボールシリーズの続編。
本作ではクトゥルフ神話を題材とした3つの台を攻略していく。


システム

基本的にはほぼ前作と同じルール。本作で追加されたルールは以下の通り。

  • 本作に登場する台を連続でクリアしていく「REALMS MODE」が追加。
    • 以下のいずれかの条件を満たすことでクリア条件が達成され、次の台に移行する通路が特定ランプに開き、そこにボールを入れるとクリアとなり次の台に移行。
      • ファイナルラウンドを含めたすべてのラウンドを終了。
      • マルチボール中における、最上位ランクのジャックポットを獲得してマルチボールを終える。

台の一覧

  • ARKHAM
    • クトゥルフ神話でおなじみの町アーカムを舞台とした台。
    • 一見オーソドックスなレイアウトだが、この台のみのマルチボール専用射出レーンが印象的。中央に位置するランプレーンが曲者で、安全に得点を稼ぎにくい。
  • CULT OF THE BLOODY TONGUE
    • ナイアルラトホテップを崇めるカルト教団「血塗られた舌教団」との対峙がテーマである台。
    • 上部フリッパーによるループレーンや、左右をループできるランプなどが高得点要素につながる、難易度の比較的低い台。
  • DREAMLANDS
    • 夢の中の異世界であるドリームランドを舞台とした台。
    • 画面上部を大きく覆うループランプと右側の小フィールドが目を引く。トップレーン上にマグネットロックが設置されている独自要素もあり。

評価点

  • 前作からさらに磨きのかかった台の魅力
    • 本作は透明度が高く台からはみ出しているランプやレーン、マルチボール時に大きく変形するオブジェクトなど、現実のピンボールではありえないギミック・演出をあえて盛り込んでおり、なかなかのインパクト。
    • それでありながらも玉の挙動は前作以上にリアルであり、あくまで現実のピンボールに即したプレイ感覚を維持しているのは見事。
    • 今作はジャックポット達成時以外の各種ディスプレイもすべて背景を透明にするという割り切った仕様にしており、達成時のインパクトと視認性を両立させている。
    • DREAMLANDSの幻想的なサウンド面は本作の演出を語るに当たって外せないだろう。
  • 台の題材にクトゥルフ神話を利用していること
    • 本作発売時点では現在のようにクトゥルフ神話はメジャーとはまだ言い難かった面はあるものの、この時代に本格的なクトゥルフ神話を題材としている点は先進的ともいえる。
    • 現在でもややマイナーな「血塗られた舌教団」などなかなかマニアックなところからネタを取り込んでいるのも新鮮。
    • 各種デモムービーも世界観にマッチしていて完成度が高い。
  • 前作で超上級者向けにやや不満のあった部分の解消
    • 前作で不満のあったランキングが1位しか登録されないのが複数登録可能になった、スコアの最大桁数が10桁になっていたのが12桁に拡張されるなど、超上級者向けの不満点が解消。
  • 非常に完成度の高いBGMとサウンド
    • 今回もメタル系の非常に格好よく、かつ世界観にマッチしたBGMが本作を彩る。効果音もより鮮明・派手になっている。
    • オープニングムービーのBGMはメタル界の大物であるドリームシアターのジョン・ペトルーシが作曲。

賛否両論点

  • シャトルマウスでの操作が非対応となった
    • 台の挙動を再現しやすいマウスの非対応は若干さみしい。
    • とはいえマウスでの操作は台揺らしが頻発しティルトを誘発しやすいので仕方のない側面もある。
  • 台ごとのラウンド数が削減されている
    • 前作に比べて台が3つに削減されているのにラウンド数が半減しているのはやはり物足りない側面もある。
    • とはいえあまりラウンドを増やすとREALMS MODEのクリア条件が厳しくなるので妥当な調整ともいえる。

問題点

  • 台の難易度設定に難あり
    • 3つの台の中ではデフォルトで最初の位置にあり、REALMS MODEでも最初にプレイすることになるARKHAMが実は一番難易度が高い。そのため、なかなか最初の台をクリアできない悪循環に陥ることも。
  • 稀ながらバグが確認されている
    • 特にボールが埋まる・フリッパーを抜けてしまう現象や、CULT OF THE BLOODY TONGUEのソウルホールでボールが排出されない現象など、発生率は低いとは言え致命的なものが発生しうる。

総評

前作に比べ演出やボールの挙動もパワーアップし、順当に進化を遂げたデジタルピンボールの渾身の作品。
さらにこの時代にクトゥルフ神話を前面に出した演出・作風は新鮮でもある。
若干難易度設定などに難はあるものの、完成度の高いピンボールを遊びたいのなら安心してお勧めできる作品。

最終更新:2025年03月23日 15:13